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ブリヂストン、SUVの運動性能に快適性と静粛性をプラスする「アレンザ LX100」商品説明会
今後急速に拡大するであろうSUV向け補修用タイヤの需要に対応
2021年1月30日 08:10
- 2021年1月29日 実施
ブリヂストンは1月29日、オンロード向けSUV専用タイヤの新製品「ALENZA LX100（アレンザ エルエックス ヒャク）」のオンライン説明会を開催した。
アレンザ LX100は、「DUELER H/L850（デューラー エイチエル ハチゴーマル）」の後継としてコンフォート性能とSUVらしさを追求した上で、トータルバランスに配慮しながら静粛性を大幅向上させ、快適性を重視したSUV専用プレミアムコンフォートタイヤ。商品コンセプトは、デューラー H/L850の基本性能はそのままに静粛性を大きく向上し、ライフについても向上することで経済的かつ環境的にも負荷を低減。「高次元の静粛性」「SUV専用設計によるふらつきの低減」「耐摩耗性の向上」といった商品特徴を備えつつ、デューラー H/L850と比べて転がり抵抗を低減させることで、低燃費タイヤのラベリングA-cを全サイズで達成している。
サイズラインアップは全39サイズで、2月1日から順次発売。価格は1万9030円～10万5270円/本。アレンザ LX100では18インチ以上のサイズラインアップを拡大しているため、これまでより幅広い層に提供ができるようになっているという。
今後拡大するオンロードSUV向け補修用タイヤ需要を見据えて開発
説明会ではまず、アレンザ LX100のコンセプトと商品概要について、ブリヂストンタイヤソリューションジャパン 消費財商品企画部長の雀部俊彦氏が紹介。
オンロードSUV向け新商品を発売する背景について、SUV販売台数は近年増加傾向にあり、この先さらに拡大することが見込まれている中で、とくにオンロード系のSUV/CUVの車種拡大が著しく、市場の構成比率としても拡大してきている状況があると前置き。補修用タイヤの需要については2019年までほぼ横ばいで推移してきているが、今後の交換需要については2021年以降急速に拡大し、2024年には2019年対比で約2倍以上の需要が発生するという予測を示した。
また、オンロード系SUVが増加するに伴って、ユーザーのクルマの使い方が通常の乗用車ライクのものに徐々に変化していると紹介。SUVタイヤに関しては重量や車高を考慮した特有の性能に加え、乗用車に求められるような性能についても応えられる必要があると考え、今回新製品を発売することとなったという。
今回のアレンザ LX100の発売に伴い、ブリヂストンではSUVブランドの体系を見直し、より分かりやすく開発面でも提供する価値をしっかりと明確化するために、オンロードは「ALENZA（アレンザ）」ブランドに統合。オフロードについては「DUELER（デューラー）」ブランドと、棲み分けを図ることとした。
今後は、2017年から販売している「アレンザ 001」との2商品を合わせたアレンザブランドとしての訴求と、新商品のアレンザ LX100単体との、2種類の訴求を展開。キービジュアルについては、アレンザの持つ機能的価値と情緒的価値を表現したものにしていくとした。
雀部氏は「アレンザは伸長するオンロードSUV向けの新たなフラグシップタイヤブランドとして、お客さまに愛されるべく挑戦を続けてまいります。また、新商品LX100を中心に、これからもお客さまによりご満足いただけるような商品を展開し続けてまいります」とアレンザ LX100に込めた想いと今後への期待を語った。
従来からのSUV専用設計をベースにチューニング。「REGNO」採用技術も搭載
続けて、アレンザ LX100の採用技術の概要と商品の性能達成度についてブリヂストン PS/LTタイヤ設計企画第2課長の高橋淳一氏が説明。
アレンザ LX100は「SUV専用のコンフォート特化型タイヤ」として、「サイレントテクノロジーを搭載したパターンを開発すること」「従来からあるSUV専用設計をベースにファインチューニングすることで、乗り心地やふらつきといったSUV特有の運動特性を実現すべく開発すること」といったコンセプトを定めて開発。
具体的な技術としては、乗用車用フラグシップブランド「REGNO（レグノ）」でも実績のある高周波ノイズ抑制技術「3Dノイズ抑制グルーブ」を搭載。周方向にあるストレート溝の中で起きる共鳴が高周波ノイズの原因となっているため、このストレート溝とストレート溝の間に消音器と呼ばれるくぼみを設置。消音器をストレート溝にダブルブランチ型で繋げることで、両方の周方向のストレート溝から消音機能を作り出しているという。
さらに、3Dノイズ抑制グルーブはすり減ると消音機能が消失してしまうため、溝底に向かって溝が広がる「シークレットグルーブ」も採用。これにより、60％摩耗時も十分な消音器を残すことができ、摩耗後も静粛性を維持することができる。
また、サイレントテクノロジーの中周波ノイズ抑制技術として「3Dノイズカットデザイン」を採用。路面と接するトレッド部とサイドウォールの間に菱形の形状を施した3D形状を取り入れることで、トレッドの振動をサイドウォールに伝えにくくして、中周波のノイズを改善した。
これらのサイレントテクノロジーおよびSUV専用設計のファインチューニングにより、静粛性を中心に大幅な性能向上を実現。接地部に占めるグルーブを最適化することで、接地圧を低減するとともに均一化して、ライフ性能を従来比5％向上させたほか、転がり抵抗といった環境性能も向上。そのほかにも、ユーザーにより親しみやすくするため、グレーディング表記も行なっている。
これらのサイレントテクノロジーの効果をプルーピンググラウンドでテストした結果、従来品のデューラー H/L850に比べて新品時では約22％の騒音エネルギーを改善し、60％摩耗時は9％の低減を実現。これにより、摩耗後も快適な静粛性を伴ったドライブを提供できるとした。
SUV専用設計では、ふらつき防止と乗り心地の改良の2つに注力。ふらつき防止においては、車重がセダンやミニバンと比べると比較的重く、高性能エンジンなどを搭載し、運動性能が高いというSUV車両の特徴があるため、セダン用/ミニバン用と比べてケース部材を1枚増やした2枚としつつ、ビードフィラーやプライ折り返しを高めとすることで、ケースを高剛性化。レーンチェンジした際やコーナリングした際のふらつきを抑制し、SUV車両の特徴を生かせるようにしている。
乗り心地の改良については、高い車高やサスペンションなどを中心にボディ剛性が高いという特徴を踏まえ、トレッドゲージを最適化し、路面からの入力伝搬を低減することで乗り心地を改善。トレッドゲージはトレッド部のゴムの厚みのことで、変更することによる他の性能への影響も大きいといい、これらの最適化を図る上で独自技術の「アルティメットアイ」を採用し、接地面の観察をすることでより最適な構造設計を実現した。
高橋氏は「2017年にアレンザ 001をお届けしております。今回LX100をアレンザブランドに拡充することで、SUVライフを足下から支える準備ができたと考えております。今後もアレンザ、デューラー両輪で皆さまに快適なドライブと、安心・安全をお届けしてまいります」と締めくくった。
アレンザ LX100は「自動車メーカーがパッケージング化した運動性能に快適性をアレンジするアフターパーツ」
最後に、実際にアレンザ LX100を評価したブリヂストン 先進実車評価開発課長の中川一樹氏が、体感ポイントなどについて紹介。
中川氏は「まずは転がり出してすぐに分かるマイルドさを体感していただきたいと思います。乗り心地として感じる振動も、聞こえてくる音もどちらも転がり出してすぐに“心地よいな”と感じてもらえると思います。ゴムの性能だけに頼らず、パターン、構造全体から接地性を改善して、どこかがつっぱるということもなく、綺麗に転がっているというのを感じとれると思います」。
「次に走り出してからは“ゴー”という一般的にロードノイズと呼ばれる周波数帯よりも、もう少し高い領域のパターンノイズに耳を傾けてみてください。どの速度域でもパターンノイズを聞き分けるのに非常に苦労すると思います。前商品のデューラー H/L850でも十分に静粛性についての定評はいただいていたのですが、新商品についてはパターンが大きく寄与して、この高周波全体をさらに低減しています」。
「乗り心地、ノイズと背反性能になってしまう操縦安定性については、決して言い訳ではないのですが、商品のコンセプトでもあります快適性を表現するため、あえてマイルドな味付けとしております。スポーツ思考を求めて、シャキシャキとしたキレのある動きを好まれるお客さまに対しては、スポーティなアレンザ 001を選択していただけると思っています。アレンザ LX100はお客さまに合わせまして、マイルドでしっとりとした上質なハンドリングに仕上げています。高荷重、高重心であるSUVを受け止めるために求められるSUV構造というものは、他の商品と同様に搭載しておりますので、快適性能とSUVに求められるような力強いハンドリング、これらの高バランスをぜひ体感していただきたいと思っております」。
「今や販売台数の上位に多く位置するSUVですが、ひとくくりにSUVと言いましても、オフロード、オンロード、シティ派、コンパクトなど、ユーザーの嗜好もさまざまです。自動車メーカーがパッケージング化した運動性能というものに快適性をアレンジするアフターパーツとして、ぜひこのアレンザ LX100を選択していただきたいと思っています」と語った。
