レビュー

【タイヤレビュー】ブリヂストンの最新スポーツタイヤ「RE-71RZ」、筑波サーキットコース1000で全開チェック

「アドレナリン RE005」も確かめた

「ポテンザ RE-71RZ」を筑波サーキットコース1000で試した

「POTENZA」のラインアップが一部刷新

 ブリヂストンのスポーツブランド「POTENZA」のラインアップが一部刷新された。1つはリアルスポーツの「RE-71RS」が「RE-71RZ」へ。もう1つはカジュアルスポーツの「Adrenalin RE004」が「Adrenalin RE005」へと生まれ変わった。今回はそれぞれの銘柄を新旧比較してみる。

 およそ6年ぶりに生まれ変わった「RE-71RZ」は、最速への追求をさらに進化させたモデルだ。日常走行に加え、休日にはサーキット走行を楽しむようなユーザーをターゲットとしている。操作に対する応答性やクルマと一体になり操る高揚感を得る一方、ウエット性能や耐摩耗性も重視する方々にピッタリな銘柄だ。GR86やGRヤリス、そしてシビックやWRX STIなどをターゲットにしている。今回はGR86を使いタイヤの違いを見ていく。

「RE-71RZ」のトレッドパターンを見ると、これまでとはかなり違ってアウト側の溝が少なくなっている印象だ。縦溝はイン側に寄せられており、これにより限界域における均一な接地を実現したという。ブロック剛性はかなり高そうだ。また、コンパウンドもRZ専用のハイグリップゴムが与えられている。これはドライ&ウエットともに高いグリップを提供するグリップ向上材や、トレッドの摩耗を抑制する高強度ポリマーを新規に採用している。

「RE-71RS」の後継モデルとなる「RE-71RZ」は2026年2月に発売。プロドライバーの佐々木雅弘氏、立川祐路氏が実車評価に携わり、サーキットで培ったノウハウをタイヤ開発に注ぎ込むことで高いドライグリップとハンドリング応答性を両立。筑波サーキットコース2000のラップタイムは、「RE-71RS」対比で1.2%の短縮に成功している
搭載技術としては「ナノプロ・テック」技術を活用し、シリカとポリマーを最適配合した新開発ゴムを採用。従来品以上にゴムが路面にしっかり食い込みグリップを発揮することで、ドライ・ウエット路面で優れた走行性能を実現。また、接地面積と溝設定を最適化した新開発のパターンを採用。ブロック剛性を高めるスリックショルダーを採用し、イン側に排水性を高めるワイドストレートグルーブを配置することで、グリップ力とサーキットでの耐摩耗性を高次元で両立している
左が「RE-71RZ」、右が「RE-71RS」。ともに左がアウト側。「RE-71RS」は太い2本の主溝をイン側にレイアウトして高い排水性を確保するとともに、アウト側のトレッドのブロック剛性を高めてコーナリング時の高いグリップを狙っている。「RE-71RZ」では「RE-71RS」にあった細い主溝がなくなり、ブロック剛性さらに高まっている
試乗会場には佐々木雅弘選手、立川祐路選手らも訪れ、製品特徴を語った

「RE-71RS」と「RE-71RZ」の違い

ライトチューニングされたGR86で「RE-71RS」と「RE-71RZ」を比べた

 その進化を体感するために、まずはキャロッセ(クスコ)が仕立てた(車高調、補強、機械式デフなど)ライトチューニングのGR86で旧製品の「RE-71RS」を履いて筑波サーキットコース1000を走ってみる。ウォームアップも確認するため、ピットアウトから全開だ。

 そこでまず感じるのは走り始めの安定感がやや薄いことだった。試乗は3月後半で寒くはない状況ながらも、走り始めのステアリングの応答の甘さ、そしてテールが落ち着かずに破綻する状況があった。タイムアタックの1周目でもその感覚がやや残り、1周目は40秒835をマーク。落ち着いてきたところで2周目は40秒755。3周目がベストとなり40秒662というタイムの推移だった。走行後に最もストレスのかかる左フロントタイヤを確認すると、センターリブのアウト側がやや偏摩耗していた。

「RE-71RS」では走り始めのステアリングの応答の甘さなどが確認できた

 続いてはいよいよ「RE-71RZ」だ。こちらはコースインした直後のコーナーからステアリングに確かなグリップ感が得られるところが特徴的。剛性感が高く、しかもグリップも十分に感じられる。テールの落ち着きも上々であり、あまり怖さがない。けれども、まだまだ最高潮のグリップではないだろう。1周目は40秒551。2周目は40秒195、3周目は40秒545だった。

「RE-71RZ」では走り始めから確かなグリップ感が得られる

 正直に報告すると3周目の最終コーナー脱出で欲を出しややテールが流れてしまった。そこがなければもう少しタイムアップが見込めたのかもしれない。先ほどと同じく左フロントタイヤを見てみれば、偏摩耗がほとんど感じられないところがすごい。タイムアップしつつ、減りの心配も少ないとなれば、これはかなり長く楽しめることだろう。残念ながら旧タイヤよりは若干価格がアップするそうだが、以上のことを考えれば十分にメリットのあるスポーツタイヤだと思えた。

写真上が「RE-71RS」、下が「RE-71RZ」の走行後の状況。「RE-71RZ」が均一に溶けているのに対し、「RE-71RS」ではアウト側の細い主溝周辺で偏摩耗が見て取れる

「Adrenalin RE005」にもプチ試乗

「Adrenalin RE005」も試すことができた

 続いては「Adrenalin RE005」の進化を確認してみる。走行性能と低燃費を高次元でバランスさせたというこのタイヤは、ドライ制動で5%短縮、ウエット制動は9%短縮する一方で、転がり抵抗係数は13%低減しているという。

「Adrenalin RE005」も「RE-71RZ」と同じく2026年2月に発売。全40サイズでウエットラベリング「a」グレードを、転がり抵抗性能は19サイズで「A」グレードを達成するなど、安全性を向上したうえで快適性能やサステナビリティにつながる低燃費性能も追求した
「Adrenalin RE005」ではウエット性能・低燃費性能に貢献する「ナノプロ・テック」によるシリカとポリマーの最適配合による新開発のコンパウンドを採用。骨格部材にも新開発のゴムを適用し、低燃費性能を向上させている。また、地面の排水性を向上させるパルスグルーブを採用した新開発のパターンを導入。アドレナリン専用パターンとしてアルファベットの「A」の形状をモチーフとした「Aシェイプ」を継承し、ハンドリング性能も高めた
左が「Adrenalin RE005」、右が「Adrenalin RE004」。ともに左がアウト側

 試乗はパイロンスラロームでの比較と一般道試乗というメニューだ。旧製品を走らせたのちに「Adrenalin RE005」で走ってみると、パイロンスラロームを少ない操舵角で駆け抜けていけることが確認できた。

 その際、リアの追従性がよく、クルマとの一体感は明らかに上。全体的な応答性の良さが光っていた。ケースの作りに変更はないとのことだったが、トレッドパターンを変更して薄溝化したのか、明らかに剛性が高まったことを確認することができた。

パイロンスラロームでは「Adrenalin RE005」のほうが少ない操舵角で駆け抜けられた

 それでいて一般道試乗では転がり感も良く、スポーツすぎることのない仕上がりが日常走行にはマッチしている。高周波ノイズがやや感じられるところはスポーツタイヤといった感覚もあるが、そもそも音の大きいスポーツカーであればそれほど気になることはない。

日常走行でのマッチングのよさも確認できた

 このように2つのブランドともに確実な成長が見られた「POTENZA」。そもそも「POTENZA」はイタリア語で力強さを意味するが、その言葉どおりの性能が宿っているのは間違いない。タイヤにこだわりを持つ方々の想いを確実に受け止めてくれることだろう。

橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。2019年に「86/BRZ Race クラブマンEX」でシリーズチャンピオンを獲得するなどドライビング特化型なため、走りの評価はとにかく細かい。最近は先進運転支援システムの仕上がりにも興味を持っている。また、クルマ単体だけでなくタイヤにもうるさい一面を持ち、夏タイヤだけでなく、冬タイヤの乗り比べ経験も豊富。現在の愛車はユーノスロードスター(NA)、MINIクロスオーバー、フェアレディZ(RZ34)。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:安田 剛