レビュー
【タイヤレビュー】ブリヂストンの新スポーツタイヤ「POTENZA RE-71RS」をサーキットで全開チェック
「RE-71R」とのタイム差はいかに?
2020年2月28日 08:00
左右非対称パターン、非対称形状採用
ブリヂストンのストリート向けハイグリップラジアルタイヤが生まれ変わった。「RE-71RS」とした今回のタイヤは、2015年に登場した「RE-71R」の後継モデル。だが、トレッドパターンに共通性はなく、今回は左右非対称となって登場。ストレートグルーブはイン側に2本寄せ、アウト側は貫通する溝を持たないスリックショルダーブロックを持つなど、かなりタイム狙いなタイヤのようだ。
RE-71RSでは新非対称トレッドプロファイルを採用。トレッドゾーン毎にラウンド形状を設計し、イン側は極端にラウンド、センターリブは平らに、そしてアウト側は緩やかにラウンドするといった凝った造り込みを行なうことで、コーナリング中の接地面積を6%向上させることに成功。接地圧分布の均一化も行なったことで、耐摩耗性も5%向上したという。
また、トップコンパウンドも新設計とし、路面への食いつきがアップ。接触面積は11%も向上したそうだ。このような技術の組み合わせがあったからこそ、左右非対称パターンが採用できたという話もあった。かつてRE-71Rは左右対称パターンとしなければ、高速コーナーの接地が稼げないとしていた。それをあっさりとやめたことで疑問を感じたが、非対称パターンでも高速コーナーで問題ナシという判断が下されたらしい。
RE-71Rとのタイム差は?
今回は筑波サーキット コース1000において、86、ロードスター、そしてスイフトスポーツに試乗した。いずれの車両でも従来品のRE-71Rをチェックし、その後RE-71RSで再び走るメニューだ。試乗車両はすべてが足まわり、ブレーキ、そしてLSDなどを備えたライトチューニング仕様。走行会に参加する一般ユーザーを想定したものだった。
まずは86でコースインすると、コース上はハーフウェットだった。だが、そんな状況であってもRE-71RSは走り始めから確かな手応えと確実なグリップでコーナーをクリアしていく。グリップレベルはサーキット向けの「RE-12D」に近いイメージで、極端に言えば“RE-12Dの溝が多いバージョン”といった感覚だ。ウェット路面に乗ってもグリップがすっぽ抜けるようなことはなく、安心感が高い。RE-71Rではその状況でスナップオーバーステアが出ることが多く、操るのはなかなか難しい。
これは後に試乗したロードスターでも同じ傾向だった。ロードスターで走り出した時にはドライ路面になっていたのだが、RE-71Rは明らかに縦方向のグリップは強力だが、横方向のグリップが弱い。RE-71RSはそこが上手くバランスしたかに感じられるのだ。だから乗り方も変える必要があると感じるほど。極端に言えば、RE-71Rは真っ直ぐで確実に止めて真っ直ぐ出るのが最適解。もちろん、RE-71RSでもその傾向はあるのだが、横方向のグリップもシッカリしているため、例えば筑波サーキット コース1000のまわり込んだ最終コーナーであっても、旋回スピードを落とさずにクリアすることができるのだ。ロードスターと言えば旋回スピード命のクルマ。その特性を引き出すにはRE-71RSはありがたい。
最後に試乗したスイフトスポーツでも同様の傾向だったが、そこで感じたことは耐摩耗性がシッカリとしていたこと。このコースを2WD(FF)で走ると左フロントタイヤがキツイが、トレッド面に荒れた形跡が見られず、これなら長持ちするのもうなずけるといった感覚があったのだ。
結果として86で0.3秒(一部ウェット)、ロードスターで0.43秒、スイフトスポーツで0.46秒、RE-71RSはRE-71Rよりも速く走った。1周1kmのサーキットでこれだけのアップがあったのだから、長いコースに行けばかなりの差となることは確実だ。タイムダウンもそれほど見られず、7周をコンスタントに周回していた。
ただし、3周目あたりからトレッド面がヨレるようなフィーリングがあったことも事実。溝をシッカリと持たせ、ストリートにおける突然の雨にも備えた結果、サーキット向けのRE-12Dよりもブロック剛性が低いからだろう。タイムが出るから、耐摩耗性がいいからといって、連続周回を続けない方がRE-71RSとは長く付き合えそうな気がする。