イベントレポート 東京オートサロン 2020

ブリヂストン、新スポーツタイヤ「POTENZA RE-71RS」公開。非対称パターンでグリップとロングライフ性能向上

ダントツのドライハンドリング性能、ラップを最大限短縮するという目標で開発

2020年1月10日~12日 開催

入場料:特別入場券3500円、大人一般入場券2500円、中・高校生一般入場券1800円(全日とも保護者同伴に限り小学生以下無料)

POTENZA RE-71RSの前に立つ、レーシングドライバーの山野哲也選手(中央)、佐々木雅弘選手(右)、蒲生尚弥選手(左)

 幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕した「東京オートサロン 2020」(1月10日~12日)。ブリヂストンのブースでは、スポーツタイヤ「POTENZA RE-71RS」が発表された。

 このタイヤはこれまでの「POTENZA RE-71R」の後継となるもので、非対称パターンを採用し、グリップとロングライフ性能を高めたもの。筑波サーキットでの性能評価試験では、最速ラップタイムを2%短縮、平均ラップタイムでは1.1%の短縮を実現した。また、摩耗性能も8000kmの走行試験で5%向上している。

「POTENZA RE-71RS」。サイズは265/35R18

 採用技術は非対称トレッドプロファイルにより、コーナリング時の接地面積を増大させて接地圧を均一化し、グリップ性能とロングライフ性能を両立。アウト側ショルダーのブロック剛性を上げることでコーナリング走行性を向上させるなどしている。

「POTENZA RE-71RS」をブースで発表

ブリヂストンのブース
POTENZA RE-71RSを装着したGRスープラ
ブリヂストンタイヤジャパン株式会社 常務執行役員 消費財タイヤ事業担当 長島淳二氏

 ブースで行なわれた東京オートサロン 2020 POTENZA RE-71RS新商品発表会では、ブリヂストンタイヤジャパンの常務執行役員 消費財タイヤ事業担当の長島淳二氏が「RE71の名を受け継ぐものとして、ストリートからサーキットまで、年間を通じて想定されるあらゆるコンディションにおいて、高いドライ、ウェットグリップ性能を発揮するスポーツタイヤ」とコンセプトを説明。特徴としては、グリップ性能の進化、ドライバーの感性を刺激するステアリングフィールの向上、摩耗性能の向上とした。

POTENZAの歴史
2015年にRE-71RとしてRE-71が復活
POTENZA RE-71RSの概要

 続いて、ブリヂストン タイヤ開発第4本部長 佐々木龍一氏が特徴について説明した。佐々木氏は「コーナリング中の路面との接地を極める、これをキーワードとして開発を行なってきた」とし、「ダントツのドライハンドリング性能、そしてラップを最大限短縮するという目標で開発した」と語った。

株式会社ブリヂストン タイヤ開発第4本部長 佐々木龍一氏

 接地面積を増やすため、接地の隙間を減らす「新トップコンパウンド」を採用して接触面積を11%増加。コーナリング時に荷重が外側にかかる点についても、主溝を内側に配置して外側にスリックの部分を設けることで「コーナリングで荷重が乗ったときもしっかりとグリップする」と説明した。また、接地状態も可視化技術の「アルティメットアイ」によって最適化を行なった結果、コーナリング中の接地面積を6%増加させたという。

POTENZA RE-71RSに採用した技術

 性能検証では、265/35R18サイズのタイヤで最速ラップタイムを2%短縮、平均ラップタイムを1.1%短縮し、215/45R17サイズでもそれぞれ1.4%、0.9%短縮したという。グリップ力の向上は、筑波サーキットの第1コーナーでの旋回Gが7.7%向上していることから証明できるとしている。

開発コンセプト
性能検証結果。18インチと17インチで試した
POTENZA RE-71RSの総合性能

 佐々木氏は、さらにドライハンドリング以外の性能も説明。ウェット性能や摩耗性能も現行品同等以上の性能を確保しているとした。

山野哲也選手を交えたトークショー

 発表会ではレーシングドライバーの山野哲也選手らによるトークショーも行なわれた。参加メンバーは山野選手のほか、レーシングドライバーの佐々木雅弘選手、蒲生尚弥選手に加え、開発陣からはブリヂストン PSタイヤ開発第3部長の伊藤貴弘氏、実車試験部実車試験第3ユニットリーダーの小澤通夫氏も参加した。

トークショーを実施。左から株式会社ブリヂストン 実車試験部実車試験第3ユニットリーダーの小澤通夫氏、PSタイヤ開発第3部長の伊藤貴弘氏、レーシングドライバーの山野哲也選手、佐々木雅弘選手、蒲生尚弥選手

 山野選手はPOTENZAについて「誰よりも中身と歴史を知っていると自負している」とし、学生時代に初めて購入したPOTENZAのタイヤがRE71Sで、ジムカーナ選手権に出て勝利を手にしたことからはじまり「モータースポーツをはじめて、これまで1シーズンとして、POTENZAを外したことがない、POTENZAがなければ生きていけない人生を過ごしている」と語った。

 山野選手はPOTENZA RE-71RSの開発に協力した点を振り返り「最高峰として君臨するにはパフォーマンスアップ、基準はやっぱりタイム」と指摘。「ブレーキング性能、そのあとにトラクション性能、さらに、結果としてコーナリングフォースが高まった。3つのレベルアップによって、クルマのどしっとした安定度の中に、切れのいいハンドリングが生まれたのがPOTENZA RE-71RS」と説明した。

 特徴として「ステアリングを切り込んだ瞬間からぐっと重たくなるキックバックを、すべての皆さんが体験できるようなタイヤになっている」とし、「最強のタイヤができたと自負している」と語った。

 開発陣からはPSタイヤ開発第3部長の伊藤貴弘氏が「サーキットのドライグリップ性能を非常に高いレベルまで引き上げている。トレッドパターン、構造、ゴム、形状、すべてにおいて一新したスペックを投入しており、従来品に比べて高いレベルで差を感じていただけると確信している」と述べた。また、「骨格部材も含めて大きく手を入れている」と進化をアピール。POTENZA RE-71RSは全63サイズあるが「フィーリングに応じたハンドリングができるよう、サイズごとに個別に設計を行なっている」と説明した。

 実車試験を担当した実車試験部実車試験第3ユニットリーダーの小澤通夫氏は、各地のサーキットを走行したデータなどをもとに設計したとし、POTENZA RE-71RSの非対称パターンや形状は「ステアリングを切ったときの剛性の高さも非対称で発揮できている」とタイヤの出来具合を説明。「アウト側に荷重がかかったときにタイヤがよれないよう、接地をすごく均一にするよう、非対称の形状やパターンを採用している」と説明した。

 さらに、開発に参加した佐々木選手は「スポーツタイヤに必要とされるハンドリング性能やコントロール性能が向上していると感じた」と感想を述べ、摩耗性能についても「かなりの周回数を走って、摩耗性能が向上していることを実感している」と語った。また、蒲生選手は「タイムアタックのプロジェクトを行なっているが、今後POTENZA RE-71RSがどんなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみ」と期待を寄せた。

 トークショーの最後に、伊藤氏がPOTENZA RE-71RSはPOTENZAからの買い替えはもちろん、POTENZAブランドが初めてという人にも体験してもらいたいと語ったほか、初心者に対しても「これまでサーキットを走ったことのない、デビューする方にも、POTENZA RE-71RSの高いグリップ力があれば、安心安全にサーキット走行が楽しめると思う」と高いグリップ性能をアピールした。

毎日トークショーを開催

 ブリヂストンのブースはPOTENZAなどのスポーツタイヤを展示するほか、会期中にブース内のステージでピストン西沢氏を司会に、SUPER GTやPOTENZA商品紹介などのトークセッションが行なわれる。

 中でも11日と12日には2017年のインディカー・シリーズ「インディアナポリス500マイルレース」(インディ500)で優勝し、2019年シーズンは第3戦でポール・トゥ・ウィンを果たすなどの活躍をみせた佐藤琢磨選手がトークショーに登壇する。

同時に発表されたカジュアルスポーツタイヤ「POTENZA Adrenalin RE004」
POTENZAを装着したクルマが展示された
そのほかのPOTENZAのラインアップ
ホイールも展示された

【お詫びと訂正】記事初出時、佐々木龍一氏の表記が間違っておりました。お詫びして訂正させていただきます。

正田拓也