イベントレポート 東京オートサロン 2026

ブリヂストン、2月販売開始の新製品「ポテンザ RE-71RZ」を「ポルシェ 959」「GT-R(R35型)」などに装着して展示

2026年1月9日~11日 開催
2月から販売を開始する新製品「ポテンザ RE-71RZ」とプレスカンファレンスの登壇者

 千葉県千葉市美浜区の幕張メッセで、カスタムカーと関連製品の展示会「東京オートサロン2026」が1月9日~11日の会期で開催されている。

 西ホール 308にあるブリヂストンブースでは、「10年後、20年後にも『走るわくわく』を提供し続ける」というコンセプトで展示を実施。2025年12月に発表し、2月からの販売開始を予定する乗用車用スポーツタイヤの新製品「ポテンザ RE-71RZ」をはじめ、ブリヂストンがモータースポーツ活動で培ってきた技術を注ぎ込んだポテンザブランドの“71系統”歴代タイヤを一堂に展示している。

 さらにポテンザ RE-71RZなどを装着する市販スポーツカー、ブリヂストンタイヤを装着してレースを戦うレースマシンなどの車両展示を行ない、特設ステージではスーパーGT参戦チームの監督やドライバー、ポテンザ製品の開発ドライバーなどがゲスト出演し、ブリヂストンのタイヤ開発やモータースポーツの将来などについて語り合うトークショーを開催する。

西ホール 308にあるブリヂストンブース

ドライビングがもっと楽しくなる“わくわくするタイヤ”を目指したと草野常務役員

株式会社ブリヂストン 常務役員 製品・生産技術 開発管掌 草野亜希夫氏

 開催初日の1月9日に行なわれたプレスカンファレンスでは、最初にブリヂストン 常務役員 製品・生産技術 開発管掌 草野亜希夫氏が登壇。来月発売となる新製品のポテンザ RE-71RZの技術概要について解説を行なった。

 草野常務役員は「ポテンザの歴史はわれわれブリヂストンのモータースポーツの歴史そのもの」と語り、モータースポーツで技術を磨き、タイヤの性能を鍛えており、とくに限界への挑戦を支えているのは設計者、工場スタッフ、評価ドライバーといった開発に携わるさまざまな人の力だと説明。1人ひとりが限界を超えた高い性能に挑戦する情熱を持って日々の開発を進めており、ポテンザブランドはブリヂストンのDNAを受け継いでいく進化の証しになっているという。

 最新モデルとなるポテンザ RE-71RZでは、まずグリップの追求を目的に設定して開発を実施。先代モデルとなる「ポテンザ RE-71RS」で実現した“ブリヂストンのストリートラジアル最大のグリップ”をさらに高め、前後に加えて左右方向のグリップを強化。“懐の深いグリップ”を実現することでクルマの走らせ方が変わり、ドライビングがもっと楽しくなる“わくわくするタイヤ”を目指したと述べた。

 さまざまなドライバーがさまざまな目的に使うなかでも安心して楽しんでもらえるよう、タイヤが温まるウォームアップとウェットグリップを強化。サーキット走行時に最初の1コーナーから安心して楽しめることを目指しつつ、長く安定して性能を発揮し続けることでドライビング中に“もっともっと走り続けたい”と感じてもらうことが新しいポテンザ RE-71RZが目指した世界だと語った。

ポテンザ RE-71Rの開発目標
「リニアな反応限界の拡大」でより思いどおりに、より安心に、より楽しい走りを実現

 具体的な技術としては、モータースポーツシーンで生み出され、継続的に進化させてきた分子レベルのポリマー技術、より正確で理想的な接地形状、より思いどおりに、安心で楽しい走りを実現するリニアな反応の限界向上などを図るため、新しいトレッドパターンとトップゴムを採用し、構造や形状なども含めてすべてを見直してフルモデルチェンジ。トレッドパターンでは主溝の本数や位置をゼロから見直し、強力なグリップを生み出すためブロック比率も変更。新しいパターンが持つポテンシャルを最大限に発揮できるよう、構造や形状も新設計。トップゴムにはモータースポーツのノウハウを採り入れた高強度ポリマー、樹脂、オイルを採用する「RZ High Gripゴム」を開発した。

 これらにより、RE-71RZは日常走行からサーキット走行までより楽しむことができ、サーキット走行ではドライ路面のラップタイムを従来製品から1.2%短縮。ウェット路面でもタイムを1.1%削減している。このほかにも摩耗ライフの向上、環境性能を高める次世代材料の採用なども行なってサスティナビリティにもこだわって完成させたタイヤとなっていると説明された。

トレッドパターン、トップゴム、構造・形状の全方位でフルモデルチェンジ
サーキットのラップタイムをドライ路面で1.2%、ウェット路面で1.1%短縮

「どんな人でも扱いやすいタイヤでなければ性能がよくても意味がない」

佐々木雅弘選手、立川祐路選手もゲスト出演して行なわれた「POTENZA 新商品プレスカンファレンス」

 草野常務役員による技術解説に続き、ポテンザ RE-71RZの開発にも携わった佐々木雅弘選手、立川祐路監督がゲスト出演して、開発担当エンジニアを務めたブリヂストン タイヤ性能企画管理課 加藤泰聖氏、ブリヂストンタイヤソリューションジャパン 消費財商品企画部 伊藤航氏と4人でクロストークを行ない、新型タイヤに与えられた性能などを解説する「POTENZA 新商品プレスカンファレンス」が実施された。

 佐々木選手はRE-71RZが「ストリート最強を目指したタイヤ」となっており、高いグリップ力を味わいつつよりクルマとタイヤを楽しみながら運転できる製品になっていると説明。グリップ力については従来品のポテンザ RE-71RSも好評を博していて、スーパー耐久シリーズのST-5クラスでも採用されるほどのレベルを備えていたが、ポテンザ RE-71RSから性能をひとまわり、ふたまわり高め、サーキットではタイムアップが目指せるようなタイヤとして開発したという。

 日常的な面ではウェットグリップ性能をしっかりと高めているほか、迫力のあるトレッドパターンながらイベント当日のように冬場で路面温度が低い状況でも走り始めた直後からグリップ力が立ち上がるようになっており、「どんな人でも扱いやすいタイヤでなければどんなに性能がよくても意味がない」と述べた。

 また、佐々木選手はトヨタ自動車と契約しているが、トヨタを含めて多くの自動車メーカーでMTのスポーツカーをこれからも残していこう、楽しいクルマを増やしていこうとしていて、このオートサロンの会場にもスポーツカーが好きな人が大勢集まっている。そんな人たちにRE-71RZを使ってもらいたい。また、見た目でも形やパターンがかっこいいので、カスタマイズされたクルマに装着しているだけでもかっこいいので、クルマ好きな人に選んでもらいたいとアピールした。

佐々木雅弘選手

 立川監督は、スポーツラジアルタイヤとしてグリップ力を高めることはもちろん最重要課題だが、一方で扱いやすさも大切な要素で、バランスを取ることが難しい部分だったとコメント。開発でサーキット走行しているときにラップタイムを削っていくことは、簡単ではないもののやりやすい部分だが、そこを追い求めてすぎるとタイヤ性能にピーキーな部分が出てきて、「上手に使えばグリップ力を引き出せて速く走れる」という扱いが難しいタイヤになってしまうと説明し、どんなに高い性能を持っていても使えなければ意味がなくなってしまうので、そこをしっかりと意識して開発に臨んだと述べた。

 また、低温時でも扱いやすいウォームアップ性能をよくしようと考えると、簡単に言うとタイヤにソフトなコンパウンドを使うことになるが、そうすると高い荷重がかかるサーキットのコーナーリング時にタイヤがよれてしまってロスが出てしまう。そうならないようコンパウンドと構造、パターンといった要素をいいとこ取りしてどのように高次元でバランスさせるかで非常に苦労したと明かした。

 ストリートで使うタイヤとして、「そんなに限界までストリートでグリップ力を使うことはないでしょ」と考える人もいるかもしれないが、タイヤのグリップ力の高さは安全性にもつながる部分で、万が一の事態が起きたときにグリップ力の余裕が必要になると指摘。また、RE-71RZを使ってもらえば、クルマが意のままに動くようになって運転する気持ちよさにつながるので、限界領域でなくても楽しさを味わえることが魅力的な部分だと語った。

立川祐路監督

 加藤氏はタイヤ開発において、目標の第一はサーキット走行時のラップタイム短縮となり、それに加えてサーキットを含めた操縦性の向上、運転しやすさも視野に入れ、目標達成に向けて新しいトレッドパターンやトレッドゴムを新規開発したことを紹介。開発ではラップタイム短縮も難しい課題だったが、そこと合わせて耐摩耗性を改良すると部分やストリート性能まで含めて性能を落とすことなくトータルでバランスよく向上させていくことにかなり苦労したと語った。

 パターンデザインでは、新製品を開発するときには社内のデザイン室からいくつか候補を出してもらい、そこから関係者で協議して選定していくというステップを踏んでいるが、今回のRE-71RZでは従来品とイメージが連動するようなパターンデザインもいくつか存在したが、今回は性能進化をユーザーに目で見て体感してもらえるよう、RE-71RSと違いの大きいデザインを採用していると説明した。

 溝については一見して減っているように感じるという意見もあるが、実際には縦方向に伸びる主溝の幅や角度、ほかにある溝の形状などを調整しており、RE-71RSと同じような溝の量に設定されていて、排水性をしっかりと確保してウェット走行時のグリップを確保していることを紹介している。

 快適性についてもかなり力を入れていて、一般的にグリップ力を高めてラップタイムをよくするためにはタイヤの構造的な剛性を高めていくことになるが、RE-71RZでは補強部材などをなるべく追加したりせず、必要な部分に必要な部材を入れ、よけいな部分はないかと考えて開発しているという。パターン面でも騒音の発生を抑制するため、細かい溝などを調整して音の面でもこだわっているという。

株式会社ブリヂストン タイヤ性能企画管理課 加藤泰聖氏

 伊藤氏はタイヤに対する入力がシビアになるサーキット走行で開発を進めることにより、スポーツラジアルタイヤに求められる優れたグリップ力やステアリング操作に対するリニアな応答性といった運動性能を磨き上げ、サーキットだけでなくストリートでもしっかりと味わってもらえるようになっているとアピール。また、高めた性能を長く利用してもらえるよう、サーキット使用でも摩耗ライフ性能を高めるにもこだわりを持って開発してきたと述べた。

 また、ブリヂストンでは「ポテンザ サーキット ミーティング」や「ポテンザ サーキット チャレンジ」といったサーキットイベントを行なっていて、ここで登壇している佐々木選手のようなプロドライバーに講師を務めてもらい、参加者がレッスンを受けられるような講習会になっている。このような場にRE-71RZを持っていき、実際に使って体験してもらうような企画を検討していると将来的な計画も紹介した。

ブリヂストンタイヤソリューションジャパン株式会社 消費財商品企画部 伊藤航氏

市販タイヤ展示

ポテンザ RE-71RZ

 市販タイヤの展示エリアでは、2月に発売予定の新製品であるポテンザ RE-71RZを「ポルシェ「959」と、トップシークレットによるチューニングが施された日産自動車「GT-R(R35型)」に装着して展示するほか、ブリヂストンとランボルギーニが共同開発したプレミアムタイヤ「ポテンザ スポーツ」を新車装着する「レヴエルト」の3モデルを車両展示。また、GT-R(R35型)とレヴエルトの2モデルは、来場者が運転席などに座って記念撮影することも可能となっている。

1985年に「ポテンザ RE71」が海外メーカー車両に初めて純正装着タイヤとして採用された「ポルシェ 959」。ブースではポテンザ RE-71RZを装着して展示されている
トップシークレットによるチューニングが施された日産自動車「GT-R(R35型)」
ブリヂストンとランボルギーニが共同開発したプレミアムタイヤ「ポテンザ スポーツ」を新車装着する「レヴエルト」
“71系統”歴代タイヤ展示
スポーツタイヤのラインアップ展示
スポーツタイヤのラインアップ展示のなかに2月発売予定の新製品「ポテンザ アドレナリン RE005」も置かれていた
ポテンザ アドレナリン RE005

モータースポーツ向けタイヤ展示

「2025 AUTOBACS SUPER GT」GT300クラスのチャンピオンマシン「LEON PYRAMID AMG/Mercedes-AMG GT3」(装着タイヤ:POTENZA)

 モータースポーツ向けタイヤの展示エリアでは、2025年のスーパーGT GT300クラスでシリーズチャンピオンを獲得した「K2 R&D LEON RACING」の65号車である「LEON PYRAMID AMG/Mercedes-AMG GT3」(装着タイヤ:POTENZA)をはじめ、ポテンザ RE-71RZ開発ドライバーの佐々木選手が筑波サーキットでのタイムアタック計測に使用したトヨタ自動車の「GR86」などを車両展示。

 また、2025年のスーパー耐久シリーズ・第7戦で実戦投入された再生資源・再生可能資源を用いる「モータースポーツ用サステナブルタイヤ」、世界最高峰のソーラーカーレース「2025 Bridgestone World Solar Challenge(BWSC)」のチャレンジャークラスで優勝を飾った「ブルネル・ソーラーカーチーム」(オランダ)のマシンにも装着された「BWSC専用タイヤ」なども展示している。

LEON PYRAMID AMG/Mercedes-AMG GT3
タイヤサイズはフロントが300/680R18、リアが330/40R18。ホイールはTWS製となる
佐々木選手がプロデュースしたチューニングカー「SCREEN-D2-GR86TA」
SCREEN-D2-GR86TA
285/35R19サイズのポテンザ RE-71RZを装着
スーパー耐久シリーズ・第7戦で実戦投入された再生資源・再生可能資源を用いる「モータースポーツ用サステナブルタイヤ」
世界最高峰のソーラーカーレース「2025 Bridgestone World Solar Challenge(BWSC)」の優勝チーム「ブルネル・ソーラーカーチーム」(オランダ)も採用した「BWSC専用タイヤ」
トレッド面に提供チームの名称などが並んでいる
佐久間 秀