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ブリヂストンのグローバルモータースポーツ管掌 今井弘氏に世界最大級のソーラーカーレース「BWSC2025」にタイヤを供給する狙いを聞く

2025年8月24日〜31日 開催
株式会社ブリヂストン 常務役員 グローバルモータースポーツ管掌 今井弘氏

 オーストラリアで開催された世界最高峰のソーラーカーレース「Bridgestone World Solar Challenge 2025」(以下、BWSC2025:現地時間8月24日〜31日開催)は8月31日、オーストラリア南部の都市「アデレード」ですべての日程を終えた。

「Bridgestone World Solar Challenge 2025」は、太陽光のみを動力源として、オーストラリア北部の都市「ダーウィン」から南部の都市「アデレード」までの約3000kmを総走行時間で競うソーラーカーレース。同大会には、東海大学、工学院大学、和歌山大学、大阪工業大学といった日本の大学チームも参加している。

予選が開催されたヒドゥンバレー・レースウェイでは、参加チームが集まって記念撮影が行なわれた

 1987年から2年に一度開催されており、今大会で16回目を迎えるソーラーカーレースに、ブリヂストンでは2013年からタイトルスポンサーを務めタイヤを供給している。同大会をサポートする狙いについて、ブリヂストン 常務役員 グローバルモータースポーツ管掌 今井弘氏に話を聞いた。

ブリヂストン 常務役員 グローバルモータースポーツ管掌 今井弘氏

 ブリヂストンは「BWSC2025」に、同社の商品設計基盤技術「ENLITEN」を搭載し、再生資源・再生可能資源比率向上したタイヤを提供している。ブリヂストンの「ENLITEN」は、タイヤ性能を従来品対比向上させた上で、求められる複雑な性能をモビリティ、ユーザーごとにカスタマイズする商品設計基盤技術となる。

 商品設計基盤技術「ENLITEN」について、今井氏は「ENLITENというのは基盤技術といって、いろんな技術をひとくくりにして、それを使ってタイヤの性能をカスタマイズしていくものです。普通にカスタマイズしていくと、何か1つの性能を上げると、1つの性能が下がってしまうということがありがちなんですけれども、そうでなくて、いわゆるベースとなる性能を広く底上げしていたうえで、タイヤによっていろんな違った要求性能がありますので、それに対して、ここはもう1つ伸ばしていこうと、そういうことをするためのものです」と説明した。

ブリヂストンが「BWSC2025」に供給するタイヤ
オーストラリアの路面の一例

 BWSCで使用されるタイヤについては、太陽光による限られた電力で約3000Kmの長距離を走り切るという過酷な条件において求められる「低転がり抵抗」「耐摩耗性能」「軽量化」に特化してカスタマイズ。さらに、BWSC用タイヤに求められる過酷な条件でのタイヤ性能に加えて、再生資源・再生可能資源比率を向上させる取り組みも行なわれている。

約3000Kmの長距離を走り切るBWSC用タイヤには過酷な条件が求められる

 同大会をサポートする狙いについて、今井氏は「ソーラーカーレースでは、極限に近い軽量化など、非常に面白い要求性能があります。ですので、そこでわれわれの技術を磨いていくことで、ENLITENで使っています基盤技術も広げられるというメリットが1つございます。もっと純粋に言えば、こういった未来に繋がるようなイベントを学生さんが主体でやっているわけで、それに対してわれわれもサポートしていくことで、地球の未来に貢献できるのではないかと考えております」と語った。

 ブリヂストンでは2013年からタイトルスポンサーとして同大会をサポートしている。そうした中で得られたものについて、今井氏は「われわれは2013年からサプライヤーとしてタイヤを供給していて、その間にも技術は進化し、クルーザークラスが始まってより現実に近いようなレイアウトのクルマを成立させるためには、新しい材料だとか、いろいろなアイデアを入れ込んできているわけですけれども、同時にわれわれも一緒に進化して、積み上げてきた歴史にあると思っています」と話した。

スタートポイントで東海大学のソーラーカーを見送る今井氏