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東海大学、「2017 ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」に参戦する新型車両「'17 Tokai Challenger」初公開
パナソニック、東レ、ブリヂストンなどの全面協力で新型車両を開発
2017年8月30日 00:08
- 2017年8月29日 発表
東海大学 チャレンジセンター・ライトパワープロジェクトのソーラーカーチームは8月29日、10月にオーストラリアで開催される世界最大級のソーラーカーレース「2017 ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(WSC)」の参戦体制発表会を開催。発表会場で新型車両「'17 Tokai Challenger」を初公開した。
公開された新型車両'17 Tokai Challengerは、ボディサイズが4980×1200×1000mm(全長×全幅×全高)、車両重量は140kg(推定)。太陽電池に出力962Wのパナソニックの太陽電池モジュール「HIT」を採用。
モーターはミツバのブラシレスDCダイレクトドライブモーター、バッテリーはパナソニックの高容量円筒型リチウムイオン電池20kgを搭載。タイヤはブリヂストン「ECOPIA with ologic」の95/80 R16を装着。
走行性能では、太陽光のみの巡航速度が90km/h、最高速は120km/h(レース設定)、150km/h(理論値)のスペックを有する。
チームが参戦する2017 ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジは、太陽光のみを動力源として、オーストラリア北部の都市「ダーウィン」から南部の「アデレード」までの総延長約3000kmを総走行時間で競うソーラーカーレース。
WSCは1987年から開催され、今回で14回目の開催となる。世界の29の国と地域から45チームがエントリー(チャレンジャークラスは28チーム)、同チームは「チャレンジャークラス」にエントリーする。同チームは1993年からWSCに出場しており、2009年と2011年の大会では2連覇を達成。しかし、2013年は準優勝、2015年は3位であったことから、今大会は世界一奪還を目標に掲げた。
参戦体制発表会では、東海大学 学長 山田清志氏、東海大学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクト ソーラーカーチーム総監督 木村英樹氏(工学部電気電子工学科教授)、東海大学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクト ソーラーカーチーム学生代表 工学部 動力機械工学科2年の武藤創氏が登場。
学生代表の武藤氏から今大会の概要やチーム体制について説明されたほか、ソーラーカーチーム総監督の木村氏が今大会に合わせて製作した新型車両の技術や参戦の意義などについて解説した。
今大会の新しいレギュレーションでは、太陽電池面積が3分の2に縮小される一方で、車体の最大サイズが拡大され、空力性能が重要なレギュレーションになっている。
新型車両の開発を進めてきた総監督の木村氏は「(新型車両では)空力のシミュレーションによりできる限り空気抵抗が減少するようにした。また、横風が当たったときに影響を受けにくい、幅が広い単胴型を採用。結果、2015年比で空気抵抗は30%以上低減することに成功した。太陽電池面積が3分の2になっていますので、空気抵抗も3分の2になれば、空気抵抗的には同じようなパフォーマンスを出せるのではないかというところを狙った」などと解説した。
発表会では続けて、サポート企業からパナソニック エコソリューションズ社 エナジーシステム事業部 ソーラーシステムビジネスユニット ビジネスユニット長 吉田和弘氏、ブリヂストン 執行役員 ブランド戦略担当 鈴木通弘氏、東レ 産業材料部長兼自動車材料戦略推進室 主幹 奥村勇吾氏が挨拶をした。
パナソニックの吉田氏は「新しいレギュレーションでは太陽電池面積が減らされたことから、さらに高性能な太陽電池として我々の研究開発段階の技術としてヘテロ接合技術とバックコンタクト技術を採用した太陽電池を提供いたします。変換効率は24.1%と世界でもトップレベルの出力が出るのではと考えていますので、前回、前々回は苦汁をなめる結果になりましたが、若い学生の力でリベンジしていただきたい」、ブリヂストンの鈴木氏は「我々が提供するECOPIA with ologicは、転がり抵抗や軽量化について基本性能を維持しながら極限まで追求して開発したタイヤ。このタイヤで東海大学には素晴らしいレースを戦ってほしい」、東レの奥村氏は「インディ500では佐藤琢磨選手が優勝しまして、彼らが使用するタイヤはブリヂストンさん、スポンサーはパナソニックさん、炭素繊維は弊社が供給しておりまして。同じ組み合わせでモータースポーツで大きな成績を残すことを祈念しています」などと、チームの活躍を期待するコメントを話した。