イベントレポート 東京オートサロン 2026

ピッカピカのデコトラ「ハイゼット トラック PTO ダンプ 大発命」を深掘り! ダイハツ米山知良氏に話を聞いた

2026年1月9日~11日 開催
「ハイゼット トラック PTO ダンプ 大発命(ダイハツメイ)」を深掘った

 東京オートサロン2026が1月9日~11日に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催されている。

 モータースポーツ車両や「ムーヴ」「タント カスタム」のカスタマイズカーなど、見どころ盛りだくさんのダイハツブースをいっそう明るく照らしているのが「ハイゼット トラック PTO ダンプ 大発命(ダイハツメイ)」だ。

ブース内で「大発命」の周囲だけ、少し空気感が違う。気がする

 ダイハツは事前のプレスリリースで「来場者に既存車の新たな一面を見せるようなカスタマイズカー」を出展すると発表していたが、その中でアートトラック(デコトラ)仕様の「大発命」を見た瞬間、目が離せなくなった。なぜ、どうして、どんな経緯で、「大発命」を製作することになったのか。どうしても気になったので、ダイハツのカスタマイズカーを長年担当している米山知良氏に話を聞いてきた。

右がダイハツ工業のショーカーデザインでおなじみ(?)の米山知良氏。左は内装のデザインと、後述する歴代ハイゼットのグラフィック化の担当者

 まず、率直に「なぜハイゼットをアートトラックにしたのか?」という質問を投げかけたところ、軽トラックをベースとした特装車(冷凍車やパネルバンなど)がいろいろある中で、唯一ダイハツにしかないPTOダンプ(エンジン動力を取り出して使うPTO[Power Take-Off]機構を搭載したダンプカー)をベースに、来場者に楽しんでもらえるクルマを作りたいと考え、企画がスタート。

 当初は、ヨーロッパのトラックの改造スタイルで、フォグランプを大量に装着するような「ユーロデコ」など、ほかの案も検討したものの、「やっぱり日本のアートトラックの方が、見る人たちに喜んでもらえるのではないか」と考え、この形に至ったという。

 車名の「大発命」には、社名の「ダイハツ」と、「わたしにダイハツメイ」のコンセプトをかけつつ、“ダイハツ命”という言葉遊びが取り入れられているという。また、ダイハツのスローガン「お客様に寄り添い、暮らしを豊かに」を高々と掲げたり、本社のある大阪府池田市と工場のある大分県中津市の地名を行灯に記したり、パッと見て「これは」と思うものにもしっかりとこだわりが込められている。

ダイハツのスローガン「お客様に寄り添い、暮らしを豊かに」を高々と掲げ、本社のある大阪府池田市と工場のある大分県中津市の地名を用いた行灯が前方を照らす
ウロコステンがキラキラしていて少し見づらいが、コンセプト「わたしにダイハツメイ」の文字が見える

 内装に関しては、実際にアートトラックに使われている「金華山」という生地のパターンをモチーフに、地域や歴史をリスペクトし、生地の柄の大きさや間隔、色味も実際の生地を見ながら調整を重ねたものになっているという。

 制作にあたっては、さまざまな場所の道の駅やトラックショップを巡り、トラック展にも行くなどして、実際に内装の生地を見たり、トラックドライバーから話を聞いたり、かなり調査をして、金華山生地のパターンなどを研究。

 リスペクトを込めて、歴代ハイゼットを並べる柄を一からオリジナルでデザインし、「誰が見ても笑顔になれる」というテーマで、池田市のサツキツツジや中津市の菊の花を柄として取り入れたり、遊び心として池田市が誇るマスコットで、「池田市民はみんな大好き」だというウォンバット柄も採用された。

 なお、歴代ハイゼット柄は初代から現行まですべていちからグラフィック化したということだが、初代ハイゼットなどはあまりいい写真が残っていなかったり、そもそも写真がなかったりしたため、昔のカタログを引っ張り出してきて、カタログの図面からグラフィックに起こすという作業をしたとのこと。

 グラフィック化を行なった担当者は「ちょっと大変……というか、やりがいのある作業でした!(笑)」と笑顔で話していた。

実際の「金華山」生地の柄の大きさや間隔など、細かい部分まで再現しているという。シフトノブはしっかり水中花
歴代ハイゼットのほか、池田市花のサツキツツジ、中津市花の菊に、ウォンバットの愛らしいイラストが用いられている。内装を見ると軽自動車とは思えない華やかさ
キラキラ輝くシャンデリアは、デザインはそのままに軽自動車サイズにカスタマイズされている(トラロープ……?)

 また、リアの荷台部分はダンプなので斜めになっているのだが、米山氏は「その角度を活かして何かできないかと考えた結果、滑り台なども検討したものの安全面を考慮して、輪投げにしました」と教えてくれた。

 この荷台の寸法は公式・競技用輪投げのちょうど2倍のサイズで、ステアリングカバーもおおよそ倍の大きさだったことから、ステアリングカバーとシフトノブを活かせる輪投げになったという。また、輪投げのパネルには描き起こした歴代ハイゼットトラックの絵が用いられている。

ひと目見て「なぜ輪投げ?」と思ったが、荷台の寸法は公式・競技用輪投げのちょうど2倍と言われると、なんとなくしっくりくるサイズ感。歴代ハイゼットがピカピカ光る
ステアリングカバーも内装と同じデザインの柄が用いられているオリジナル品
輪投げの棒の部分はキラキラのシフトノブ

 ほかにも、ルーフの上に装着されているダイハツマークが回転するランプや、“アオリ”に描かれている人が持っている輪投げの輪の数が、創業年の1907年にかけた数字になっていること、サイドの「DAIHATSU EMOISHI CHOOOU OMOROIDE(ダイハツ、エモいし、ちょーーーオモロイで)」(頭文字をとるとデコレーションの「DECO」になる)など、見どころは満載。設定された米山氏へのインタビュー時間の中ではすべて聞くことができないくらい、たくさんの要素が詰まっていた。

くるくると回りながら光るダイハツマーク
各人が持っている輪の数にまでこだわりが込められている
「DAIHATSU EMOISHI CHOOOU OMOROIDE(ダイハツ、エモいし、ちょーーーオモロイで)」にもちゃんと(?)意味がある

 ほかにもどんな要素があるのかは、ぜひ、実際にブースに足を運んで、「これはどんな意味だろう?」となめるようにじっくり見て、意外と難しいという輪投げを楽しんでもらえたら幸いだ。

なかなか積めるイケイケダイハツ車は、“なか”つ市に工場があり、“イケ”だ市に本社があるのだ!(笑)
編集部:北村友里恵