DIYでクルマいじり

NAOさんのDIYでクルマいじり

第30回:S660 Moduloで真冬の女神湖へ!! プロスペック「ウインタードライビングパーク2017」に行ってみた

凍結した女神湖に作られた特設コースで開催された「2017 iceGUARD 5 PLUS & PROSPEC Winter Driving Park」。クルマの挙動を学ぶには最適な、ミッドシップのS660 Moduloで参加した

 あれっ!?毎日忙しく走り回っていたらアッと言う間に年末ですね。またまたご無沙汰してしまいました(汗)。最近ぜんぜんクルマいじってないんじゃないの?と心配されてしまいそうだが、温めてきたネタをこれから順次執筆していくので改めてよろしくお願いします!!

 さて、普段はFFミニバンのヴェルファイア(もちろんAT)に乗っている筆者だが、以前にMT仕様の軽量FRスポーツでドライビングスクールに参加させてもらう機会があった(関連記事:第29回:揺れるG-CUP!! ND型ロードスターでプロスペック「初級ドライビングスクール」を体験)。挙動がマイルドでゆったりとドライブできるFFミニバンにすっかり慣れている筆者の右足は、いつの間にか「多少ラフに操作してもクルマ側が吸収してくれる」前提の動きになってしまっていた。日下部先生はじめ講師陣からペダル操作はもちろん様々御指導を頂き、スクールから帰る際には愛車をよりスムーズにドライブできている(ような気に)なったことを鮮明に覚えている。

雪上クローズドコース×軽量ミッドシップスポーツ、楽しくない訳がないでしょ~!極端なツルツル路面をどうやったら攻略できるか、スタッドレスタイヤの上手な使い方を学べる貴重な機会だ

愛車FFミニバンではなく、軽MRスポーツで参加!

 今回はその雪道版である「2017 iceGUARD 5 PLUS & PROSPEC Winter Driving Park」(以下、2017 ウインタードライビングパーク)に参加する機会を得て、「雪国出身ドライバー、行ってきま~す!!!」とノリノリで愛車の整備を開始した。

 が、しかし。特設コースは長野県にある女神湖、凍結しているとはいえ湖の氷の上に作られるため、乗り入れできる車両に制限があるという。車重は2t未満、全高は155cm未満……なんと、乗り慣れた愛車は両方NGではないか。

 カミさんのヴィッツを借りて行くという方法もあるが、せっかくの機会なので低ミュー路で自分の運転を確かめるべく、Honda S660 Moduloを借用して参加することにした。

 ドライ路面では何度か乗ったことがあるS660だが、雪道でのドライブは初めての経験。そもそも、ミッドシップ車で雪道を走るのも初めてだったが、女神湖までの圧雪ワインディング路を何の問題もなく、それどころか「意のままに」操っている気にさせてくれる。

 もちろん、ミッドシップレイアウトS660のトラクション性能と最新の制御技術、そしてスタッドレスタイヤ(今回は横浜 iceGUARD 5 PLUSを装着)の高性能があればこそ。そこはシッカリ自覚していますよ、はい(笑)。

 クルマ自体がコンパクトで、車体が軽量にも関わらず後ろにエンジンがあることで後輪のグリップがシッカリ感じられるというミッドシップのメリットは、筆者にとっては舗装路よりも、むしろ雪上路のほうが効果が大きく感じられた。(舗装路で高いトラクション性能を必要とする状況を経験する機会がないためだが)

専用サスペンション、専用アルミホイールなどModuloパーツでチューニングされたHonda S660 Modulo仕様で参加。「しなやか」に味付けされたクルマは、ドライ路面はもちろん雪道でも実に乗りやすかった
スタッドレスタイヤに履き替えるため、タイヤガーデン浦和東店へ
スーパー吸水ゴムなどで氷上性能をアップしたというヨコハマ iceGUARD 5 PLUSを装着(ロケ当時の最新モデル、現在はiceGUARD 6が発売されている)
純正タイヤが横浜ゴム「NEOVA」ということもあり、同じ横浜ゴムのスタッドレスタイヤを装着しに来店するS660ユーザーも多いそうだ

早朝、極寒の女神湖。参加者の熱気がアツイ!

 2017 ウインタードライビングパークの受付開始は朝7時30分から。筆者はロケ準備もありちょっと早めに会場に入ったのだが、すでに参加者の愛車が駐車場にズラリ。それぞれのクルマを見ながら早速クルマ談義がスタートし、開場を待ちわびていた。

 受付では公式プログラム、ゼッケン、班分け用の名札などが配られ、保険加入などの説明を受ける。また、タレックスの偏光サングラスが無料で貸し出されるなど、参加者への気配りが充実していてありがたい。

受付開始は7時30分からだが、6時過ぎにはすでに参加者が集まりはじめ、クルマ談義に花を咲かせていた。言う間でもなく、寒い!!(笑)
受付では当日のプログラム、クルマに貼るゼッケンステッカー、Red、Blue、Yellowの3チームに班分けする名札などが配られる
雪道での運転がとても快適になる、タレックスの偏光サングラスが無料で貸し出された。「似合います?」「は、はい...(汗)」
休憩室に全員集合。2017 ウインタードライビングパークがスタートした

低μ路で思う存分練習できる貴重な機会

 プロスペック代表の日下部保雄氏を筆頭に、インストラクター各位から挨拶と、各担当セクションの説明を受ける。国定公園の女神湖(の凍った湖の上)ということで、注意事項もサーキットなどでのイベントとはひと味違っていて興味深い。

 湖上での飲食禁止、飲み物などの投棄禁止、滑って転ばない、赤い旗が立っているところは氷が薄い危険地帯なので近づかない、車間距離は30m以上、万が一氷が割れてもすぐにクルマがドボンと沈むことはないので落ち着いて避難する、などなど。

 早く走りたくてみんなウズウズしているのはもちろんなのだが、「究極の低μ路練習場」とも言える湖上コースで有意義な時間を過ごすための目標とコツ、滑るからといって単にクルマを振り回して遊んでいるだけでは何の意味もなく、普段なかなか感じることのできない挙動を味わって、よりクルマをコントロールするということなど、講師陣の巧みな話術もあり今日のプログラムを楽しく理解することができた。

プロスペック代表 日下部 保雄(くさかべ やすお)氏。FIA世界ラリー選手権(WRC)モンテカルロ・ラリー出場、1979年 日本人初の海外ラリー優勝、1984年 JAF全日本ラリー選手権Aクラス シリーズチャンピオン獲得、1989-1990年 JAF全日本ツーリングカー選手権グループA優勝。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)相談役、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
竹岡 圭(たけおか けい)氏。モータージャーナリスト、テレビ司会などのほか、各自動車メーカーの研修会インストラクターとしても活躍。今回は日下部氏とのトークショーを実施。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
片岡 良宏(かたおか よしひろ)氏。1996年 FIAアジア-パシフィックラリー選手権シリーズチャンピオン、1994-1999年 FIA世界ラリー選手権(WRC)参戦、1982-1994年 JAL全日本ラリー選手権参戦、2005年 中国ラリー選手権参戦 優勝1回
小西重行(こにし しげゆき)氏。1996-2000年 FIA世界ラリー選手権(WRC)参戦、1997年 FIAアジア-パシフィックラリー選手権 参戦、2002-2004年 JAF全日本ラリー選手権参戦
松井猛敏(まつい たけとし)氏。2000-2003年 スーパー耐久シリーズ参戦、2007、2010、2011年スーパー耐久シリーズ スポット参戦、2012-2015年 スーパー耐久シリーズ参戦
森岡史雄(もりおか ふみお)氏。2011年 ドイツ ポロワンメイクレース スポット参戦、自動車メーカー テストドライバー、自動車メーカー CM撮影ドライバー、自動車メーカー主催イベントインストラクター
福田良(ふくだ りょう)氏。2001年 フランスF3チャンピオン、2002年 F1テストドライバー、2003年 フォーミュラ・ニッポン出場、ルマン24時間出場
番場彬(ばんば あきら)氏。2008年 JRC 全日本ラリー選手権参戦、2011年 APRCシリーズ参戦 ジュニアカップ初代チャンピオン、2012年 APRCシリーズ参戦 N2クラス 2位
全体の流れはクルマのFMラジオを通じてアナウンスされるほか、各セクションごとにインストラクターが立ち、声掛けや同乗指導などを受けることができる

車体を洗って、いよいよコースイン!

 湖上のコースに入る前に、湖の環境を汚さないようスタッフが入念にクルマを高圧洗浄してくれる。御礼を言いつつ、はやる気持ちを抑え、緊張でエンストしないように気を付けつつ(笑)、ゆっくりとコースに降りる。

湖上コースに入る前に、高圧洗浄機でキレイキレイに。環境保護はもちろんだが、写真映えの意味でもありがたい
午前中の気温はおよそ-4℃前後、路面は圧雪でスタッドレスタイヤがしっかりグリップしてくれた
試しに路面の温度を測ってみたが、場所によってバラバラすぎてあまり参考にはならず

 未明には-10℃まで冷えていた気温も、陽が昇り徐々に温かくなってきた。とはいえ、午前中は-4℃前後。湖面に積もった雪は圧雪状態のままで、クルマのグリップもしっかり感じ取ることができる。

 午前中はフリー走行と質疑応答(トークショー含む)のみのプログラムなので、「ブレーキング&スラロームエリア」「アクセルワークエリア」「ハンドリングエリア」「タイムアタック」と4つに分けられたエリアを自由に選び、練習することができた。

さぁ、いよいよ走行開始!用意された各コースを自由に選び、インストラクターの説明を受けつつ練習する
路面は圧雪、ときどきアイスバーン。トラクションのよいS660 ModuloとiceGUARDのおかげで、クルマをコントロールする楽しさと難しさを堪能できた
スタッドレスタイヤが雪や氷の上でグリップできるのは、氷の上にできた水の膜を取り除いてタイヤを接地させているから。頭の中でタイヤの接地面をイメージしつつ……
FF、FR、ミッドシップ、4WDと様々な駆動方式のクルマが参加しており、それぞれの特性に合わせた運転の仕方を指導してもらえる
ミッドシップ車でのタイムの出し方について……ではなくて(笑)、ラフなアクセルワークで挙動を乱していること、カウンターステア量に心の迷いが出ていることなど、ズバッ!と指摘されている様子

 初めは慎重に慎重に走っていた参加者も、徐々に慣れて来てペースが上がってくる。低ミュー路では少しスピードを上げただけでグリップの限界を超えてしまうため、ラフな運転は即スピンにつながることも。十分なセーフティゾーンがある場所でこうした練習ができるのは、本当に貴重な機会と言える。

 例えばラフなアクセル操作で駆動輪を空転させてしまうと、摩擦によって熱が発生し氷が溶け、ますます滑りやすい路面を自ら作りだしてしまう。最近のクルマにはトラクションコントロールが装備されているものの、今日のような過酷な路面状況では、ほんの僅かなキッカケでもグリップの限界を超えてしまう。

 ミッドシップレイアウトでリアのトラクションがよいS660の場合は、仮にフロントタイヤのグリップが限界を超えて滑り出したとしても、アクセルワークでリアのオーバーステアを引き出してあげれば思ったコースで進むことができる、はず。

 実際、インストラクターの先生はその方法で超ツルツル路面を攻略していたが、なかなか素人には真似ができない(笑)。

 一番確実にできることとしては、スピードを落としてタイヤ接地面の荷重を増やし、丁寧なアクセル/ブレーキ操作とステアリング操作で運転すること。「ザ・基本」とでも言うべきことではあるが、極限のツルツル路面だからこそ、低い速度でそれを体感し、いろいろ試してみることができた。

少しずつコースと路面に慣れてきて、クルマをコントロールする楽しさと難しさを噛みしめつつ楽しくドライブ。トラクションコントロールなどの制御機能をON/OFFし、その挙動の違いに驚いている参加者も多くいた
パイロンスラロームはアクセルとブレーキで荷重をコントロールし、できるだけ小さくスムーズに旋回。クルマとタイヤの性能がいくら高くても限界があるので、タイヤがグリップを失わないステアリング操作とアクセル操作が肝心
松井猛敏インストラクター同乗走行(ハンドリングエリア)

 筆者は雪国出身の雪道ドライブ好きということで、一般の方よりはスタッドレスタイヤの種類を経験する機会が多いのだが、今日履いたiceGUARD5 PLUSは360度どの方向にもバランスよく氷に噛み付いてくれるタイヤだな、という印象を受けた。

 「□□性能が○○%向上しました!」というのはメーカーを問わずよく見る説明文だが、例えば氷上ブレーキ性能1つ取っても、「どの方向に」「どんな感じで」というのは正直乗ってみるまでは分からない。

 例えば、従来品の氷上グリップ性能が縦100%、横100%だとして、仮に新製品が縦120%、横103%だったらどうだろう。スタッドレスタイヤを初めて履く人は「そういうものか」と感じるだろうし、そもそもあまり気にしない人は「よく止まるね」で満足することだろう。そして、グリップ性能の表記に縦とか横とか方向を書く必要はなく、「性能アップしました!」は紛れもない事実だ。

 だが、これまで従来品を履いていた人がその新製品に「履き替えた」場合、相当な違和感を感じるのではないだろうか。もっと言えば、「横方向に滑る・・なんだこれは」という印象にもなりかねない。とくに筆者の場合、スタッドレスタイヤが氷に噛み付く姿を脳内で想像するだけでご飯が3杯食べられるタイプなので、グリップの縦横バランスはことのほか気になるのだ。

 また、タイヤのブロックパターンによっても氷上でのコントロール性は大きく変化することを、技術的にではなく経験的にとても感じてている。

 長年「グニャグニャでもよい、たくましく止まってほしい」と思っていたのだが、最近はグニャグニャ=柔らかいコンパウンドで細かなパターン/サイプじゃなくても、吸水ゴム性能の進化でしっかり氷上グリップしてくれる傾向で嬉しい限りだ。

 ABSがないクルマで雪道を学んだためか「氷上で止まりたいときはステアリングをまっすぐに戻してポンピング!」というのが染みつきすぎていて、今日乗ったような最新のクルマ S660 Moduloと、縦横バランスよくグリップしてくれるiG5+のような組み合わせでドライブしていても、はやくブレーキを解放してステンリングを切ればよいのに、いつまでもまっすぐタイヤを使って止まろうとしてしまう。

 三つ子の魂128まで。森岡インストラクターに同乗していただいた際にも、そのクセがハッキリと出てしまっていてお恥ずかしい限りだった(笑)。

森岡 史雄インストラクター同乗走行(タイムアタックコース)

日下部保雄&竹岡圭ゆるゆるトークショー♪

 2枠のフリー走行時間を終え、質疑応答/休憩の時間に。プログラムには書かれていなかったのだが、なんとここで日下部氏と竹岡氏によるトークショーがスタート。

 ラリーの話、雪道ドライブのコツなど、その場のノリでゆるゆると進行する2人のトークは動画でぜひご覧いただきたい。その後、昼食と集合写真撮影を挟み午後の部へ。

2017 iceGUARD 5 PLUS & PROSPEC Winter Driving Park 日下部保雄 × 竹岡 圭 トークショー(ノーカット)
班ごとの質疑応答/休憩時間に、日下部氏と竹岡氏のトークショーも開催。終始リラックスした雰囲気で進行された
お昼はカツカレーでした♪
講師陣で記念写真。左上から片岡氏、番場氏、小西氏、福田氏。左下から森岡氏、松井氏、日下部氏、竹岡氏

午後になり、徐々に雪が溶け出して……

 昼休みに美味しいカツカレーをいただいてリフレッシュ。温かいコーヒーで
くつろいでいると、徐々に青空が見えてきた。よーし、午後もがんばるぞー!
と再びクルマに向かうと、筆者の足の裏が異変に気がついた。普通のスニーカーでは歩きにくいほど、滑りやすい路面になっていたのだ。

午後の部スタート! S660 Moduloの左リアタイヤ付近を見るとお分かり頂けるだろうか。雪が溶けて、湖面=氷の上に水を撒いた状態に近づいてきている

 雪国出身者の意地でコケずにクルマまで歩くものの、明らかに午前中とは全く違う路面状況に。なにしろここは湖の上、ちょっと天気がよくなり陽が照ってくると、アッと言う間に雪が溶けて「アイスバーンの上に水を撒いた状態」、まさにスキッドパッド状態の極限ツルツル路面へと変貌してしまったのだ。

午前中は順調だった定常円旋回も、路面状況の変化により徐々にコントロールが難しくなってきた
吸水性のあるゴムやパターン形状によって「氷とタイヤの間にある水を取り除く」ことでグリップを発揮する、スタッドレスタイヤの性能を引き出せる走りを探っていく

 雪道や氷上でのドライブは、舗装路よりもずーっと低い速度でクルマの挙動が変化することも楽しみの1つだと筆者は思っている。(もちろん、安全な範囲内でということは言うまでもなく)。S660はミッドシップレイアウトですこぶるトラクション性能のよい高性能車であり、純正の夏タイヤはハイグリップスポーツタイヤのADVAN NEOVAが与えられている。

 一般のドライバーがドライ路面で走らせている分には、タイヤがグリップを失って滑り出すという状況はまず考えられないだろう。逆に、そういう状況を作り出そうと思ったら、相当なスピードで走行する必要があり、とてもじゃないが筆者には精神的にも肉体的にも耐えられないこと間違いなし(笑)。

 スタッドレスタイヤは、ゴムの素材とパターンの工夫によって氷上グリップ性能を発揮しており、ここ数年での性能向上は特に目を見張るものがあるが、それでもアスファルト路面と、雪上や氷上では、摩擦係数=μがあまりにも違いすぎる。一旦タイヤを空転させるなどしてしまうと、その場所を溶かしてますます滑りやすい状況を招いてしまうことは前記のとおりだ。

 長々と書いたが、どうして先生は通過できて、筆者はスピンしてしまったのか(笑)。原因は山ほどあるが、やはり「アクセル操作とステアリング操作がいまいちラフ」というところが大きいようだ。夏のスクールで日下部先生から「そんなにバコンとペダル踏んじゃダメですよ」と御指導いただいたことはよーく覚えているのだが、身に染みついた習慣というか、筆者の愛車以外への適応力の低さに我ながら苦笑してしまった。反省反省……。

「このクルマとタイヤでなら、行けると思う。」(私スキ風)
思うんだけど、こーの路面!(笑) ちょっとグレーっぽく見える部分、全てテロンテロンのツルンツルンの氷+水です
ああぁ……
こ、これは、見せるためのドリフトアングルなんだからねっ!!
(頼む、止まってくれ。借り物だし……)
見事に狙いどおり、コースの中央で停止することに成功!(違)
「ミッドシップを含めた後輪駆動は雪道に向かない」と言われることもあるが、雪道でのS660 Moduloは本当に操りやすく楽しかった。思わず顔がニヤけてしまっているが、もちろんお仕事です(笑)

伝説のラリードライバーが、シャルマンでデモ走行

ボディといい、内装といい、ホイールといい、完璧にレストアされたダイハツ シャルマン

 ちょっと休憩していると、なにやら聞き慣れないエンジン音が響いてきた。

 若い読者さんはもしかしたらご存じないかも知れないが、何を隠そう日下部氏は1979年、FIA WRC(世界ラリー選手権)モンテカルロ・ラリーに出場し、日本人として初めての海外ラリー優勝をマレーシアで飾った伝説のラリードライバーなのだ。

 日下部氏は以前ダイハツのワークスラリーチームでエースドライバーを務めており、今では入手が極めて困難なダイハツ初代シャルマン(1974年に発売され、トヨタの20系カローラと同じプラットフォームを採用していた)を探し出してレストアし、ラリーカー仕様に仕上げたのだという。

「懐かしいし、気分でるよね♪」ドライビングスクールのインストラクターモードから、ラリードライバーモードへスイッチした日下部先生

 参加者の熱い視線を集めつつ、日下部氏によるデモ走行がスタート。まるで昭和のラリーが蘇ったかのような不思議な空気を醸し出しつつ、超絶ツルツル路面のはずなのにスムーズかつ美しくコーナリング。

 トークショーでは「あのシャルマンはラリー車とはエンジンも違うしパワーのないおじいちゃんだよ(笑)」と笑っていたが、流石としか言いようのない日下部ドライビングに圧倒された。

WRCラリー、全日本ラリー、ツーリングカー選手権グループAなど、名だたるレースで優勝を飾ってきた日下部先生のドライビングは、実にスムーズで美しかった

普段できない体験をすることで、より安全に運転できる

 楽しかった「2017 iceGUARD 5 PLUS & PROSPEC Winter Driving Park」もいよいよフィナーレ。タイムアタックの結果発表、各インストラクターからの総評コメントの後、スポンサーさんなどから提供してもらったグッズ類を商品にジャンケン大会が行なわれた。

日下部先生はじめ、各インストラクターから今日のまとめコメントをいただいた
定番のジャンケン大会も大盛り上がり

 凍結した湖の上で、まる1日思いっ切り走ることができる貴重な経験をさせていただけたこと、改めて関係各位に感謝したい。

 雪道や凍結路は非常に滑りやすい(摩擦係数=μが低い)ため、10km/h、20km/hといった低い速度でもクルマの挙動が極端に現われる。また、速度が低いからこそ、筆者のような一般ドライバーであっても、目、手、腰、足などから伝わってくる情報をしっかり判断することができ、どうすればクルマが滑るのか、どのような時に制御ができなくなるのかを理解しやすい。

 もちろん、公道でこのような実験をすることはできないため、セーフティマージンが十分確保された今回のようなイベントで「ダメな操作」を体験できたことは非常に有意義だった。往路でもその高いトラクション性能で楽しい雪道ドライブを楽しませてくれたS660 Modulo + iceGUARDだが、イベントを終えた帰路はさらに楽しくドライブすることができた。氷上で練習することができたため、クルマの挙動と限界、スタッドレスタイヤが水の膜を切り裂いている様子をより頭の中で想像できるようになり、結果としてさらに心に余裕ができたからだろうか。

「2018 iceGUARD 6 & PROSPEC Winter Driving Park」はすでに募集を締め切っているが、興味のある方はまた次の機会など応募してみてはいかがだろうか。年末年始、そしてこれからが雪本番という地域も多い。くれぐれも安全運転で雪道ドライブを楽しもう!

今回の相棒となってくれたHonda S660 Moduloと、iceGUARD 5 PLUS
参加者全員で記念写真

協力:
横浜ゴム株式会社
株式会社ホンダアクセス

NAO

クルマいじりは電装系もエンジンも足まわりも何でもござれのNAOさん。現在の愛車はトヨタ「ヴェルファイア」。ドライブはもちろんアウトドアも大好きで、歴代愛車はどれも過走行状態に。純正のスタイルをできるだけ維持しつつ、家族がくつろげる快適さを追求するのがモットー。

Photo:高橋 学