オグたん式「F1の読み方」

2013年のF1開幕

 3月に入ってF1は開幕を迎えた。第1戦オーストラリアGP、第2戦マレーシアGPともに熱戦が見られた。

 一方、チーム間の実力差を見極めるには、この2戦だけでは難しいとも感じられた。オーストラリアのアルバートパークは、おもに加速と減速が多い半面、高速のコーナーが極めて少ないためにマシンの総合的な実力を見極めにくかった。マレーシアのセパンは、ストレート、低速、中速、高速のコーナーがあり、ここで各マシンの総合力が測れると期待したが、雨が絡むことが多く、ドライコンディションでマシンも完全に仕上がった状態での実力というのは見られなかったからだ。

 そんなシーズンを占うための材料が不足している状態なのだが、それでも光るところ、注目できたところがいくつかあった。今回はそんなところを取り上げてみたい。

好調なロータスとフェラーリ

開幕の2戦を通して好調だったフェラーリ

 開幕戦を征したのはロータスのキミ・ライコネンだった。上位勢の大部分が3回のピットストップとするなか、ライコネンが2回ストップを選択。このピットストップを1回減らしたことで稼いだタイム差の貯金を上手く切り崩しながらもタイヤをセーブ。追ってきたアロンソが終盤の53周目に自己ベストラップを叩き出すと、ライコネンは56周目にファステストラップで応酬して、アロンソに対するリードと優位を守り抜いた。

 開幕戦でのライコネンはとても見事だった。ロータスE21のよさをかなり引き出しているように見えた。ロータスE21は、車載カメラの映像で見るとフロントサスペンションが他車よりもかなり動いて機能しているようだ。

 多くのF1マシンはフロントサスペンションを固めて、前後加速時に起きるピッチング(車体の前後の傾き)やコーナリング時におきるローリング(車体の横傾き)をさせないようにする傾向にある。ピッチングやローリングといった車体の姿勢変化はクルマが走るうえでは当たり前に起きる現象なのだが、F1マシンなど空力性能を突き詰めたいレーシングカーには困りものになりやすい。

 こうした空力を重視するレーシングカーは、車体の底面と路面との間を流れる気流で車体の底に気圧の低いエリアを発生させ、それがダウンフォースとなって車体とタイヤを路面に押しつけ、より安定して高速で走れるようになる。ところが車体の姿勢が変化すると、こうして発生するダウンフォースの量と、発生する位置(圧力中心)が変化してしまう。すると、あるときは安定してタイヤがグリップしていたのに、急に不安定でタイヤがグリップしなくなるという、気まぐれなマシンになってしまう。これではドライバーはマシンを信用できず、スロットルも、ブレーキも、ステアリングも、すべてを恐る恐る操作することになり、速く走れなくなってしまう。

 そこでフロントサスペンションを固めにして、車体の姿勢変化を少なくし、安定して一貫したダウンフォース量を確保しながら、リアサスペンションはやや柔らかめにして路面への追従をよくして、タイヤがエンジンとブレーキの力を安定して路面に伝えやすくなるようにしようとしている。

 しかし、フロントサスペンションを固めていくと、フロントタイヤへの負担が大きくなっていったり、フロントタイヤの機能を優先させたりと、リアタイヤが傷みやすくなる傾向もある。それはいくつかのチームで実際に見られた。

 開幕戦でのロータスE21はフロントサスペンションに動きを持たせることで、上手くタイヤの性能と持続性、空力性能とのバランスをとっているように見えた。そこにライコネンは丁寧なドライビングをすることで、車体の姿勢変化を少なくさせているようだった。これはライコネンの元々の才能に加えてラリーを経験したことがよかったのかもしれない。ラリーでのドリフトは車体の姿勢変化を上手くコントロールする術が求められ、こうしたなかでライコネンはさらにテクニックを磨いたように思えた。マシンとドライバーの双方が上手く機能し合ったことが、開幕戦でのロータスとライコネンの速さとタイヤの性能維持につながったように思えたのだ。

 先述のとおり開幕戦のアルバートパークは、主に前後方向の加速力とタイヤ負荷が試されるコースだったので、第2戦のセパンでのE21とライコネンの走りと戦いぶりに注目したかった。だが、雨が絡んだこととフリー走行でトラブルが発生して充分走れなかったこともあって、その評価は「また後日」ということになってしまった。

 ライコネンのチームメイトであるロマン・グロジャンは、開幕戦ではセットアップが上手く決まらなかったところもあったが、第2戦ではライコネンを上回る6位に入っている。持ち前の速さに安定感も出始めてきているようだ。このあとロータス勢がどうなっていくのか、じつに興味深いところだ。

アロンソとマッサのコンビに今後注目したい

 開幕の2戦を通してフェラーリも好調だった。フェルナンド・アロンソもフェリペ・マッサも予選から好位置につけ、アロンソは第2戦こそスタート直後の接触からフロントウイング破損、ひいてはコースアウトにつながったものの、アロンソ、マッサとも総じてよい走りをしていた。

 昨年のマシンとは打って変わり、F138はテストのときから素性がよさそうだったが、実戦でもかなり走りやすい、よいマシンのようだ。これは予選でのマッサの速さでも伺える。もちろん、この予選での好結果はマッサ自身によるところも大きいだろう。マッサは昨年後半から速さを取り戻し始めていて、表情や言葉に自信と力強さのようなものが出ていた。今年はそれがより強くなったように見える。現役ドライバーでは最高のレース巧者と言えるアロンソと速さを取り戻したマッサのコンビに、素性のよさそうなF138の組み合わせも今後に注目したいところだ。

伸びているフォースインディアとマルシャ

フォースインディア勢の予想を超える速さは見事だった

 好調で興味深いチームとして、フォースインディアを挙げておきたい。冬のテストではポール・ディレスタのチームメイトがなかなか決まらず不安な面もあったが、開幕2連戦はまずますの結果となった。とくにストレートなど高速系で強いというフォースインディアのマシンの伝統はVJM06にも受け継がれていることが分かった。また、エイドリアン・スーティルは開幕戦も上位を走り、その速さと巧さがブランクの間に錆びついていないことを示してくれた。第2戦ではホイールナットの問題で2台ともリタイヤになってしまったが、このフォースインディア勢の予想を超える速さは見事だった。

 予想を超えた活躍だったのはマルシャもそうで、とくにジュール・ビアンキは目覚ましかった。予選でも決勝でもライバルのケータハム勢を上回る結果を出しているからだ。ケータハムは、昨年に技術部門を刷新して今年やや不利なのは否めないが、マルシャのマシン・MR02が従来よりもよくなっている。それでもMR02が決して乗りやすく強いマシンではないことは、シャルル・ピックの頑張りを見ても分かる。

 そんな状況で、ビアンキは着実に好結果を出している。ビアンキは2009年のヨーロッパF3チャンピオンだったが、その年のマカオGPでは予選レースで他車との接触から順位を大きく落とし、決勝もうまく行かなかった。だが、速さとコントロールの巧さは光っていた。マシンの性能から上位進出は難しいが、その走りとライバルチームを脅かす戦いぶりから、ビアンキは才能を開花させていると言えるだろう。

 このフォースインディアとマルシャとは対照的に、マクラーレンとウィリアムズは彼らが予想していた以上に厳しい現実に直面したようだ。だが、まだ2連戦が終わっただけであり、イレギュラーなコンディションでもあった。間が空く中国GPやヨーロッパに戦いの場が戻るまでにどう回復してくるかだろう。

レッドブルとメルセデスAMG

 レッドブルとメルセデスAMGもマシンはよいところにきている。レッドブルRB9は予選での速さがあることを見せてくれたし、第2戦では決勝でも速さが出ていた。

レッドブルとメルセデスAMGもマシンはよいところにきている

 メルセデスAMGのW04もまだトップ争いは難しそうだが、昨年までのロータスのような位置で常に表彰台圏内を狙えそうなところまできているように見えた。これはメルセデスAMGにとって大きな躍進だろう。

 唯一残念なのは、この両チームが第2戦においてチームオーダー問題で話題の中心となってしまったことだ。チームオーダーのことについては、本連載(http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/f1_ogutan/20100730_384284.html)で2010年の夏にも記したのでそちらもご参照いただければと思う。

 ただし、2010年当時とは状況も少し変わっている。文中にあったF1のスポーティングレギュレーションにおけるチームオーダー禁止の条項は、2011年に撤廃された。一方、やはり2010年の文中にあった国際モータースポーツ競技規則の151条のc)の条文は今も残っている。

・F1スポーティングレギュレーション(2010年)
第39条 レース
39.1 レース結果に影響を及ぼすチームオーダーは禁止される。(←2011年条文廃止)

・国際モータースポーツ競技規則
第151条 規則違反
他の条項において既に規定されている反則事項のほかに、次の行為もまた本国際競技規則の違反とみなされる。
C)競技の公正または自動車スポーツの利益を阻害する性質を有する詐欺行為または不正行為。

第2戦でのベッテルとウェバーの問題は、あのような指示と不徹底なチームの姿勢がそもそもの失敗だったように思える

 再確認になってしまうが、現在のF1ではF1スポーティングレギュレーション上ではチームオーダーは問題なく、国際モータースポーツ競技規則ではグレーなところになっている。

 2010年の記事でも書いたが、F1がどんどん国際化してスポーツエンターテインメントとなっていくなかで、チームオーダーは興行上マイナスにも思える。これがシーズン終盤のチャンピオンがかかった戦いならそれは仕方ないかもしれない。でも、まだ第2戦でこれを発動するのは、高いチケットを買ってサーキットにきてくださったお客様やテレビをご覧頂いている皆さんに申し訳ないと筆者は思う。

 またチーム内の順位維持の取り決めを作ることにも、今回あらためて疑問符と課題をなげかけてくれた。もともとレーサーは最後には個人の戦いであり、ライバルの前を走って勝ちたいと思うのが自然なこと。すると、順位維持のような取り決めはドライバーの自然な欲求に反する面がある。

 セバスチャン・ベッテルにとっても、その判断と内なる勝利への欲望とのなかで難しい葛藤だったと思う。そして本来好人物で偉大なチャンピオンであるのに、イメージをやや落としてしまったベッテルを気の毒に思う。チームの指示通りに動いて裏切られたようになったマーク・ウェバーの怒りもよく理解できる。

 あのような指示と不徹底なチームの姿勢がそもそもの失敗だったように思える。もしも取り決めをしたなら、きちんとプロとしてそれをドライバーに守らせるようにチームはすべきだろう。これがグランプリレースの伝統の一面でもある。

 一方、取り決めを守らない(守らせられない)なら、そもそも取り決めなどせずに自由に戦わせたほうがドライバー間にとっても、F1にとっても、観客やファンの皆さんにとってもよりよいのではないだろうか。少なくとも、まだチャンピオン争いが深刻ではない第2戦の段階では、誰にもチャンスがあったほうが面白かったはずだろう。

 「ウチはチームオーダーなんてしないで、ドライバーに戦わせる」。マレーシアGP明けの週に開催されたスーパーフォーミュラの発表の中で、チーム・インパルの星野一義代表はこうコメントした。元日本一速い男で今もレーサーの魂を失わず、レーサーの心と情熱を理解する男の言葉は潔く見事で、いっそう格好よく思えた。

インディカーも開幕、佐藤琢磨まずまずの出だし

新加入の佐藤とチームの意思疎通がどうなるか不安もあったが、第1戦を見た限りではほぼ杞憂であった

 インディカーシリーズもセントピーターズバーグで開幕した。

 今季からA.J.フォイトのチーム加入した佐藤琢磨はフリー走行でトップタイムを出し、公式予選でも2番手と好調だった。だが、決勝ではうまくいかなかった。

 スタートで佐藤を含むホンダエンジン勢は加速が鈍かった。セントピーターズバーグのコースは飛行場を含む公道コース。オールラウンドな性能を目指してツインターボを選択しているシボレーエンジンが有利だった。半面、インディアナポリスなどスーパースピードウェイでの優位に重きをおいたシングルターボのホンダエンジンには不得意なところだった。それがスタートダッシュのたびに繰り返された。

 序盤に他車と接触してフロントウイングを傷めた佐藤は、プッシュ(アンダーステア)なマシンに苦しみながら走行。が、途中タイヤ交換とともにフロントウイングを交換すると、ふたたび速さを取り戻した。一時は最後尾近くにまで順位を落とした佐藤だが、これでバトルとオーバーテイクが可能となり、急速に順位を挽回。終わってみれば8位まで浮上してレースを終えた。

 伝説的インディカードライバーA.J.フォイトのチームで、そのカーナンバーも継承した佐藤。彼にとってもファンにとっても、8位は決して満足できる結果ではなかったはず。だが光も見えた。開幕前にはA.J.フォイトのチームの技術体制と、新加入の佐藤とチームの意思疎通がどうなるか不安もあったが、これは第1戦を見た限りではほぼ杞憂であった。ただ、チームのピットストップ作業のスピードにはやや課題も残った。

イタリアでも佐藤が活躍。日本人若手が躍進中

 イタリアのモンツァでは3月23日、24日にAuto GPワールドシリーズの開幕戦が開催され、佐藤公哉が23日のレース1で2位、雨となった24日のレース2では圧勝した。Auto GPのマシンはかつてのF3000マシンで発足し、現在ではA1GPのマシンをベースにしており、GP2やスーパーフォーミュラにも近いクラスで、F1予備軍となる有望なドライバーが集まっている。そこでの圧勝は、佐藤の未来にとってよい一歩になるだろう。

 このシリーズには黒田吉隆も参戦し、レース1ではピット作業でのトラブルから大きく順位を落としてしまった。これが影響してレース2も11番手スタートなったが、雨の難しいコンディションのなか7位まで挽回した。

 このほか、ヨーロッパではフォーミュラ・ルノー2.0ALPSに笹原右京が参戦する。アジアのアジアン・フォーミュラ・ルノーでは、霜野誠友と白石勇樹がトップ争いを展開。第1戦では霜野、第2戦では白石が優勝している。

 インドを中心に開催されるMRFチャレンジシリーズでは道見真也、陣川雄大も参戦した。このシリーズは、ヨーロッパのレースシーズンがオフのときに開催されるため、GP2クラスのドライバーも参戦する。そのなかで道見と陣川は速さを見せた。

 小林可夢偉が今季F1に乗れないことが決まったとき、「これで日本のF1が終わってしまう」と悲観的なコメントも聞かれた。だが、このように海外で活躍する日本人の有望なドライバーは多い。まだ終わっていない。彼等の未来に向けたさらなる活躍が期待されるとともに、彼らへの支援も必要だ。

小林可夢偉、FIA WEC参戦へ

スクーデリア・フェラーリとの契約を結んだ小林可夢偉

 小林可夢偉は、FIA WECに参戦することが決まった。小林が乗るのはGTE Proに参戦するイタリアのAFコルセチーム。マシンはフェラーリ458イタリアだ。AFコルセチームは2台のマシンをエントリーし、1台はジャンカルロ・フィジケラとジャンマリア・ブルニ組とし、もう1台を小林とトニー・ヴィランダー組としている。

 このGTE Proクラスは、フェラーリ、ポルシェ、アストンマーティンが、市販スポーツカーの販売とイメージを賭けて熾烈な戦いを繰り広げる。AFコルセは、ほぼフェラーリのワークスチーム的立場である。そこの体制強化として加入したのが小林であり、その期待も大きいはず。

 ただ唯一心配なのは、あまり上手くやり過ぎてしまうと「耐久レーサーに向いている」と誤解されてしまうことだ。半面、上手くできなければドライバーとして評価を下げてしまう。適度に上手くやりながら今年を戦い、そして来年の新たな道へとつながることに期待したい。

 小林のWECでの緒戦は4月8日の開幕戦、シルバーストン6時間となる。

スーパーフォーミュラは“スーパーなフォーミュラ”に

来年用マシンのレンダリングと両角岳彦氏による解説がスーパーフォーミュラのWebサイトに掲載されている

 目を日本に向けると、今季のスーパーフォーミュラの体制発表が3月26日に行われた。

 昨年までフォーミュラ・ニッポンと呼ばれた国内最高峰フォーミュラは、全日本選手権のタイトルはそのままにスーパーフォーミュラとなり、8月には韓国のインジェ・オートピアでも公式戦が1戦組み込まれる。

 この発表に先立って、3月には鈴鹿と富士で各2日間、合計4日間の公式テストが行われ、そこで驚異的なタイムが続出した。

 鈴鹿テストではまだ寒い3月初旬にもかかわらず、小暮卓が昨年JP.オリベイラが出した1分38秒700のコースレコードを2秒あまり短縮する1分36秒574のタイムを出した。そして、テストに出走した全ドライバーがコースレコードを破っていた。小暮に僅差まで迫っての2番手は、ルーキの平川亮だった。

 鈴鹿での小暮のタイムは、昨年のF1日本GPの予選タイムと比較すると、最下位のカーティケヤン(HRT)を上回っている。路面温度などのコンディションを考えると、小暮らテスト上位勢は昨年のF1下位チームと予選で互角の戦いができることになる。スーパーフォーミュラのマシンは、大柄で空気抵抗が大きいためストレートスピードではF1よりやや低い。それでもラップタイムがF1に匹敵するということは、コーナーではF1と同等かF1をしのぐ部分がでてきていると考えられるほど。

 スーパーフォーミュラの速さは、富士でもはっきりした。2日間のテストで、練習に来ていた韓国人ドライバー以外全員が、2008年に松田次生が記録したコースレコードの1分24秒290を上回っていた。トップタイムはJP.オリベイラの1分22秒366で、コースレコードより約2秒も速かった。これは、テスト終盤に赤旗が出たため最後のアタックができなかったことと、メインストレートで向かい風があってのもの。よりよい条件でアタックできていたら、1分21秒台に突入するドライバーが続出しただろうという見方も多い。

 この驚異的なタイムを出す最大要因は、ブリヂストンが今年から投入する新スペックタイヤだ。とてもグリップがよく、しかも性能の持続性も高いと言う。

 テストから見ると、トップタイムから1秒以内に10台以上がひしめいている。昨年はトムスとダンデライアン勢のチャンピオン争いに、インパル勢が食いつく展開だったが、今年はその3チームの差がより縮まったうえに、ナカジマレーシング勢、チームル・マンも速さを取り戻した。そのため予選、決勝から大激戦になるだろう。

 今季の体制発表では、来年から更新される新型マシンのレンダリングも発表された。ダラーラ製の新型マシンは夏にテストと実車お披露目が予定されているが、現行マシンを上回る空力性能が期待できそうな形状をしている。エンジンは直列4気筒1600ccの直噴ガソリンターボンエンジンで、600PS以上になると言う。そのため。現行のマシンよりもさらに速くなりそうだ。このエンジンは、燃料の瞬間流量規制という来年のF1でも導入していない新技術が導入され、最大パワー時にもっとも燃焼(燃費)効率がよくなるという、ダウンサイジングエンジン技術向上への「走る実験室」の役割と、エンジンメーカーによる技術開発競争の面白さを含んでいる。

 この来年用マシンのレンダリングと両角岳彦氏による解説がスーパーフォーミュラのWebサイト(http://www.superformula.net/sf/enjoy/2013/special/feature05.shtml)に掲載されている。

 シリーズ名称が変わり、韓国戦も組み込んでアジア圏への進出も始まろうとしているが、経験豊富なドライバーに若いドライバーが挑むスーパーフォーミュラは、全日本選手権の歴史と伝統を継承するシリーズにふさわしい、ハイレベルのレースを展開してくれるだろう。そしてF1にも迫り、F1以外ではロードコースで世界最速で世界に誇れる“スーパーなフォーミュラ”になるだろう。

 今季のスーパーフォーミュラは4月13日、14日に鈴鹿サーキットで開幕し、全7戦でチャンピオンシップが争われる。

小倉茂徳