橋本洋平の“夢のガレージハウス”探訪記

第2回:所ジョージさんのSETAGAYA BASEのような世界が広がるデイトナハウス

ガレージハウスに主眼を置いた本企画。第2回はDAYTONA HOUSE×LDK KITAMOTOのモデルハウスにお邪魔した

ガレージに入るクルマをあえて見せる作り

 夢のガレージハウスを追い求めているこの連載。第2回は秘密基地的なイメージが強いDAYTONA HOUSE×LDKを取材させていただくことになった。このDAYTONA HOUSE×LDKは所ジョージさんの表紙でおなじみのライフスタイルマガジン「Daytona」や「別冊 世田谷ベース」と、数多くの設計&建築を手掛けてきた「株式会社LDK」のコラボレーションによって誕生したという建築ブランドだ。ガレージ付き住宅・賃貸アパートを各地で展開するほか、高床式平屋住宅や店舗型なども展開している。

 今回訪れたのはそのDAYTONA HOUSE×LDKの施工を行なっている加盟店であるHearts建築工房の事務所兼ショールームのDAYTONA HOUSE×LDK KITAMOTO。埼玉県北本市にある建物で、箱型企画住宅のTYPE-Bをベースにサイズなどをカスタマイズしたというものだ。ガラス面積が多く、ガレージに入るクルマをあえて見せていることがかなり特徴的に見える。伺った際にはそこにオートバイが並べられ、外にはサニトラを改造したハコトラ(ハコスカのようなサニートラック)が並んでいたりと、かなりの趣味空間が展開されていた。所ジョージさんのSETAGAYA BASEのような世界がそこにある。

事務所兼ショールームのDAYTONA HOUSE×LDK KITAMOTOのガレージ。バイクもクルマも大好きというのが伝わってくる
今回は株式会社Hearts建築工房の代表取締役である高橋三光氏にお話をうかがった

 けれども玄関からお邪魔してみると、1階部分は意外にも一般住宅っぽくもある。リビングにはアイランドキッチンやテーブル、そして大画面テレビやソファーが並べられ、たしかに住宅といえば住宅なのかとホッとする。ただ、よくよく周囲を見渡してみると、やはりタダものじゃないことが即座に伝わる。

 構造体はあえて剥き出しとした粉体焼付塗装(パウダーコーティング)が生み出すザラザラとしたマットブラックが落ち着いた雰囲気を展開。壁際には耐震性とデザイン性に寄与するというダブルの筋違いが通っているし、見上げればリズム感ある鉄鋼トラス梁が通っている。その上で吹き抜けになり、端にはオリジナル鉄骨製のらせん階段が備え付けられている。そこから上がると、1階部分プラスガレージの空間がそのまま広がる事務所があるのだが、これだけ広ければ可能性は無限大。ちなみに玄関上の部分はバルコニーとなっている。

1階部分のリビング。一見して一般住宅のようだが壁際のダブルの筋違い、リズム感ある鉄鋼トラス梁、オリジナル鉄骨製のらせん階段などがあり、一般的な建売住宅とは明確に異なる作り込みがなされている

 ここまで大きな空間であり、構造体が剥き出しとなれば断熱が気になるところ。伺った日はまだ外は暑かったのだが、クーラーを全開にすることもなく涼しい空間が広がっていた。外壁には40mmの断熱材が入り(現在の省エネ基準だと60mmの断熱が必要になる場合もある)、サッシにはLow-Eガラスを使ったペアガラスを採用。これはガラス表面に金属膜をコーティングした断熱性に優れたものだ。2枚のガラスの内側にはアルゴンガスを注入してあるのだとか。こうした対策により壁もガラスも触ってみたところで暑さを感じず、だからこそ快適な空間が広がっているのだろう。

取材当日は猛暑日だったので、黒を基調とした外観デザインや大きくとられた窓面積によって室内は暑いのでは? と思ったが、断熱材やペアガラスなどの対策でクーラーを全開にすることなく快適さをキープしていた

プライベートショールームのようなガレージ

ガレージ横には書斎も用意

 そんなリビングの奥から繋がっているガレージ裏側に位置する書斎に入ってみる。その空間からは愛車が眺められるようにもなっているし、その気になれば趣味も仕事も集中できそうな没入感が得られる。端には趣味の物がいろいろと並べられていたのだが、特に目を引いたのは壁面に与えられた棚。この棚はオリジナルのブラケットで鉄骨躯体が家具に拡張できてしまうという優れモノ。これが書斎だけでなくガレージにも展開できるのであれば、工具や洗車用具などさまざまなものを効率よく収納することが可能になりそうだ。

書斎壁面に用意された優れモノの棚

 そして最後はわれわれにとって肝心要といっていいガレージだ。厚かましくもまた愛車を入れさせていただいたのだが、その際にあえて愛車が家の一部となるようなところがうれしくもあった。愛車を外に見せつけるかのようなガラス張りは、まさにプライベートショールーム。なんならライトアップしてしまいたいとさえ思えてくる。まあ、興味のない人から見れば防犯的にどうなの? なんて考えてしまうのだろうが、そんな向きにはガラス部分を壁にしてしまうことだってもちろん可能だから安心だ。

今回もガレージに筆者の愛車であるRZ34を置かせていただき、ガレージハウスのある生活を垣間見た

 もう1つ注目しておきたいのは、ガレージの床面にこだわりがあったことだ。コンクリートの上に強度の高いモルタルを打っているのだとか。それも黒い粉を入れてモルタルを黒くするというこだわりのもので、オイルやガソリンをこぼした際にも痛まないように考えられている。また、それを敷き詰める際にも、あえてコテムラが残るようにして倉庫のような雰囲気を出したりもしている。

 もちろん、きれいな床に仕上げようと思えばそれも可能なのだが、あえて無骨な雰囲気にして楽しむあたりもDAYTONA HOUSE×LDK流といえるのかもしれない。DIYを楽しむような方々にはうってつけの仕上げのように感じた。見た目から使い勝手までかゆいところに手が届く、そこがDAYTONA HOUSE×LDKのよさなのだろう。

ガレージの床面もこだわりの仕上げ。こんなところにもDAYTONA HOUSE×LDKのこだわりが見て取れた
橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。2019年に「86/BRZ Race クラブマンEX」でシリーズチャンピオンを獲得するなどドライビング特化型なため、走りの評価はとにかく細かい。最近は先進運転支援システムの仕上がりにも興味を持っている。また、クルマ単体だけでなくタイヤにもうるさい一面を持ち、夏タイヤだけでなく、冬タイヤの乗り比べ経験も豊富。現在の愛車はユーノスロードスター(NA)、MINIクロスオーバー、フェアレディZ(RZ34)。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:高橋 学