高圧洗浄機で洗車をスピードアップ
ケルヒャー「K 2.360」
メーカー:ケルヒャー
価格:オープンプライス(購入価格:2万3000円)

 

ケルヒャー「K 2.360」本体と標準でパッケージされているオプション

 世の中には「洗車が三度のメシよりも好き」とか「晴れた休日は半日かけてジックリ洗う」、という方もいるのかも知れないが、自分は洗車はなるべくしたくない派、なるべく短時間でしかも極力楽しんで終わらせたい。そこで今回、高圧洗浄機を導入することにした。洗車時間短縮を図るためでもあるが、なんにせよガンで掃除するメカが楽しそうに感じたということも購入理由だ。

 いざ高圧洗浄機を選ぼうとすると、意外に多くのメーカーから発売されているので驚くが、基本的に出力と価格のバランスから選ぶ程度なので、なかなか決定的な特徴が見い出しにくい。吟味した後、装着できるオプションの多さと高圧洗浄機最大手の定評を信じることにしてケルヒャー製を選択。その中から標準装備が充実していることもあって、2010年4月末に発売された新モデルの「K 2.360」に決定した。出力のワリに小柄でシャープなデザインも決め手のひとつだ。

 通販サイトの商品画像だけだと分かりにくいかも知れないが、この「K 2.360」よりもやや高出力の「K 2.99 M」や「K 3.99 MD」あたりにすると、いきなり本体がひとまわり大きくなるので注意してほしい。用途が洗車のみなら、より小さなモデルでも十分な性能だ。

 高圧洗浄機は、水道からの水(ためた水から使えるモデルもある)を電動ポンプで加圧し、水圧の上がった強力な水流を吹きつけることで、汚れを落とすツールだ。使用する場所には、AC100Vのコンセントと水道が必要になる。あくまでも洗車場所が自宅前に確保できることが条件になる。

 洗剤を使ってこすったりする落とし方とは異なり、油汚れを分解することはできず、あくまでも水の勢いで付着した汚れをはじき飛ばすだけ。そのため、油分の汚れを落とすために洗剤を使った行程が別に必要になる。また、水垢やくすみなどの汚れも落とすこともできない。なんでも汚れが落ちると思っていると肩すかしにあう。


 高圧洗浄機による洗車の手順を簡単に書くと、以下のようになる。

高圧洗浄機の水圧で泥やホコリ汚れを落とす。
 ↓
高圧洗浄機で洗剤を泡立てながら塗布する。
 ↓
洗車用スポンジや高圧洗浄機のブラシなどでこすり洗い。
 ↓
高圧洗浄機の水圧で洗剤をすすぎ洗い流す。
 ↓
水分を拭き取る。

 ホースによる散水に対してのメリットは、最初に油分以外の汚れを水流であらかた落とせることと、水圧を使って洗剤の泡立てが勢いよくできること。これらで作業時間短縮が期待できる。ただ、機器の設置と撤収の手間もあわせて考えると微妙なところではあるのだが……。

 なお、洗浄剤を本体に入れて一緒に噴射させる機能を持つものもあるが(K 2.360も可能だ)、これには専用のタブレット洗剤が必要なため「フォームノズル」(2814円)というアタッチメントを使ったほうが経済的だと思う。こちらは、いつも使っている洗車用洗剤を薄めてボトルに入れることで利用可能になる。今回はこれも追加購入した。

 このK 2.360は、コンパクトな入門モデルという位置づけながら、付属品が強化されている点もウリ。トリガーガンに接続する先端のアタッチメントは、「バリオスプレーランス」という圧力を無段階に可変できるタイプと、「サイクロンジェットノズル」という細い高圧水流が高速回転するタイプの2種が付属する。これに加え、ホイール洗浄用に、ブラシタイプの「ウォッシュブラシ」(4011円)も追加購入した。

トリガーガンとノズル、電源コードは本体に取り付けて収納できるようになっている同時にウォッシュブラシ(左)とフォームノズル(右)も購入した洗車で主に利用するノズル、バリオスプレーランスは先端を回転して水圧をコントロールできる

 さらに、本体とトリガーガンを接続する高圧ホースがやや長めで、8mのものが付属している。これより小型のモデルでは、4mのホースがセットになっている。4mの長さでは、本体を置いたまま車を1周するのが難しく、ときどき本体を一緒に移動させる必要が出てくる(「ジャパネットたかた」専売モデルには、小型モデルと10mの高圧ホースをセットにしたオリジナルモデルがある)。

 水を供給するホースは標準で3mのものが付属するが、これで足りるケースはまれだろう。ホームセンターなどで、内径が15mmで糸メッシュが使われた耐圧タイプのホースを買えば、付属のカップリングを付け替えることで利用できる。内径15mmのホースというのは、もっとも汎用性が高いタイプなのだが、最近では家庭向けに手頃なリールやシャワーと一体になった製品が主流になっていて、これらで内径15mmホースを使ったタイプを探すのがなかなか難しい。収納時のコンパクトさが優先され、9~13mmが主流のようだ。

 しかし、これらホースに使われている接続部分のカップリングは、ほぼ各社共通にしているようで、さまざまなアタッチメントが接続できるようになっている。これがそのままケルヒャー本体のカップリングにも接続できる可能性が高い。

 今回選んだホースは、タカギ「パワーリールα 20m巻」という製品で、プラスチックスパイラルにより圧力や変形に耐えるよう作られたホースだ。高圧洗浄機は水を勢いよく吸い込むので、その負圧にも強いことが要求される。内径13mmなのだが、このタカギ製のカップリングであれば、そのままケルヒャー製の本体側カップリングに問題なく装着でき、水漏れも起こさないことが確認できた。ただし、これはメーカーが推奨している方法ではないので、あくまでも自己責任で選択してほしい。たとえカップリングが合ったとしても、内径9mmといった極端に細いホースでは水の連続供給が追いつかないことも考えられる。

今回ホースとして接続したタカギ「パワーリールα 20m巻」。スパイラルチューブタイプのホースで圧力やねじれに強いタカギ製のホース接続カップリングは、K 2.360本体のカップリングとピッタリ合い利用可能給水用ホースと電源、高圧ホースを接続すると準備完了。蛇口を開き電源を入れる

 なお、K 2.360はバケツなどに貯めた水を使うことも可能だが、その場合、オプションのサクションホースセットとフィルタが必要になる。さらに電源のコードが足りない場合には、延長コードが必要になる。1250W使うので、これに耐えられるコードを用意しよう。また10m以上の延長は避けるようにする。コンセント部分には、くれぐれも水がかかってショートすることのないように注意したい。濡れた手でコンセントに触れることは厳禁だ。今回ガレージ内にコンセントがあったので、コードを延長することなく使っている。

トリガーを引くと噴射する。バリオスプレーランスで最強の状態

 実際に使ってみると、雨染みや泥はねといった汚れがあっという間に吹き飛んでいくのは実に気持ちがよい。入り組んだホイール部もあらかたの汚れを一気に落とすことができる。ドアやトランク、バンパー、エンブレムなどの隙間に入り込んだ汚れも、勢いよく飛び出してくるほどだ。この辺りはやればやるほど汚れが出てくるので、ほどほどにしておくほうがよいかも知れない。もしステッカーを貼っている場合、直接水流を当てるとはがれるおそれがあるので注意したほうがよいだろう。バリオスプレーランスの場合、先端を回転させて水圧をコントロールできるので、使う個所に応じた圧力で利用できる。サイクロンジェットノズルは、水圧が高すぎ塗装を痛めるため洗車では使用しないことにした。

 8mの高圧ホースは、愛車である小型車の場合、本体を動かさずに洗浄が可能だった。おそらくミニバンクラスであっても問題はないと思われる。

バリオスプレーランスで水圧を弱めた状態サイクロンジェットノズルは、さらに高圧で細い水流が高速回転して汚れを落とす。これは洗車には使わないまず最初に水流のみでの汚れ落とし
少々わざとらしい写真だが、泥汚れのみなら瞬時にここまで落ちてしまう。汚れた状態(写真左)と右半分を噴射して落とした状態(写真右)全体の泥汚れを落としたら、フォームノズルで洗剤を噴射する
油系の汚れを落とすためには、スポンジやブラシでこすり洗いする必要がある入り組んだホイールなどは、ウォッシュブラシを使い、水流で落とすと手早い洗剤などを使ったら、再度水流でよく洗い流しておく。勢いがあるので隙間部分の汚れも落としやすい

 注意点は、水圧が強いため水しぶきが汚れとともに広範囲に広がることだ。周囲に洗濯物や、隣家の壁や窓など汚れがかかると困るモノがないか確認してから作業したほうがよいだろう。夏場はよいが、適宜カッパを着るなどの対策も必要かも知れない。

 ポンプの音はそれなりにするが、想像していたよりも大きくはなかった。深夜でもなければ住宅街で使っても苦情が来るようなレベルではない。水流がボディーに当たる音のほうが大きいくらいだ。

 セッティングはやや面倒だが、強力な水鉄砲で掃除をしているような感覚があり、気持ちよく洗車を楽しめる。ただ、高圧洗浄機が本当の実力を発揮するのは、苔や泥で汚れたタイルやコンクリートなどの家の外構部分を掃除する作業だろう。ガレージのコンクリ床清掃にはさらなる威力を発揮してくる。洗車のみの用途で導入するのは、少々もったいないかも知れないが、一軒家の外構掃除と兼用するのなら、一家に1台備えておきたい製品だ。

(村上俊一)
2010年 7月 16日

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