トピック

初心者でも安心? ダイハツ車のためのサーキットイベント「D-SPORT CUP」レポート

第2戦ではダイハツ「P-5」がデモラン予定

2019年4月27日 開催

D-SPORT CUP 2019の初戦が筑波サーキット1000で開催された

 ダイハツ車をより楽しむためのさまざまなアイテムをリリースし、トータルチューニングブランドとして展開する「D-SPORT」。そんなD-SPORTが初心者から上級者まで楽しめるサーキット走行イベントとして開催しているのが、各地のサーキットを転戦する「D-SPORT CUP」だ。

 参加車両はダイハツの軽自動車。一部他メーカーの軽自動車も混じるが、初心者向けクラスなどレベルと車種でクラス分けされているので、サーキット初心者にも参加しやすい走行会となっている。さらに、今年からは1台ずつ走行するジムカーナ形式の安全運転講習を兼ね備えた走行会「D-SPORT GYM」も開催される。サーキットでの混走は不安、という人にとっても参加しやすいイベントとなっている。

 また、D-SPORTのデモカーを展示したり、デモランしたりするのもD-SPORT CUPの魅力。ダイハツ車オーナーにとって気になるD-SPORTのパーツを、実際に見たり触れたりできる貴重な機会となる。持ち込まれる車両は回によって異なるが、なんと5月25日に愛知県の美浜サーキットで行われる第2戦には、ダイハツ工業のサポートにより、オートサロンで展示されたダイハツ「P-5」が持ち込まれる。このP-5は、1960年代の日本グランプリで活躍し、クラス優勝も果たしたレーシングカーで、ダイハツ従業員の手によって50年ぶりにレストアされたもの。会場では間近で見ることができるのはもちろん、あくまで旧車なので当日のコンディションにもよるが、デモランも実施予定だというから注目だ。見学だけでもOKとのことなので、興味がある人はこの機会にのぞいてみるのもよいだろう。

D-SPORTデモカーの展示やデモランなども行われる。筑波には新旧コペンのデモカーや、ドレスフォーメーションキットを装着したデモカーが来ていた
5月25日に美浜サーキットで行われる第2戦にはレストア車のダイハツ「P-5」も来る

ハードルはホントに低い? 参加者に聞いてみた

 今回はそんなD-SPORT CUPの2019年初戦となる筑波サーキット1000での模様を取材してきたのでレポートしたい。

 まず、当日のタイムスケジュールをカンタンに紹介しておくと、朝一に受け付けを済ませ、その後ドライバーズミーティング、クラスごとに分けられた走行枠が2回(練習走行)、昼食を挟んでタイム計測を行なう走行枠が2回、最後に表彰式で終了といった具合となる。

 各走行枠の間は1時間30分ほど空いているものの、メンテナンスをしたり、他の参加者の走りを見たりなど自由に過ごすことができる。また、インストラクターとして全日本ジムカーナ選手権で9回タイトルを獲得した西原正樹選手が参加しており、個別のアドバイスを受けることができる時間も設けられていた。それ以外にも、展示されているデモカーを見たり、同じクルマに乗るほかの参加者と話をしたりなど、時間を持て余すことはなさそうだった。

受け付け後にはまずブリーフィング
別室に移ってコース紹介などのドライバーズミーティング。講師は西原正樹選手
走行時間は15分が4回とタップリ
走行時間外は参加者それぞれの過ごし方で楽しむ
D-SPORTブースではイベント限定のグッズ等も販売
西原正樹選手による個人別のレクチャーもあった

 ということで、実際に参加したユーザーにも話を聞いてみた。1人目は「サーキットはハードルが高い」と思っていた田原哲也さん。

「以前はサーキットの経験はありませんでしたが、ディーラーの方に“楽しい”“危なくない”とD-SPORT CUPのことを教えてもらって参加したのがきっかけです。そこからすでに今回で5回目ですね。最初に新調したのはヘルメットとグローブだけです。クルマは普段用のカスタマイズだけで、サーキット専用の装備はありません。まだ走行に余裕はありませんが、走るにつれて“丁寧に走る”という意味が分かってきたような気がします。とにかくサーキットは楽しいですね」とコメント。田原さんは抽選で西原正樹選手による同乗走行もゲットしており、「動画などで予習していましたが、コーナーの入り方やブレーキの踏み方など、実際に横に乗って走ってもらうと全然違いますね」と驚いた様子だった。

自分が走るだけでなく西原正樹選手のドライブによる同乗走行を体験

 ハンドルネーム:Genさんは2016年から参加をはじめ2017年、2018年は全戦参加と、すっかりD-SPORT CUPにはまっているベテラン。「同じ車種、同じカテゴリーのクルマと競える」ことがD-SPORT CUPの魅力だという。また、クルマの維持費や各種経費、パーツなどが安いこともメリットとか。タイムアップに効果的なパーツを尋ねてみたところ、「(皆同じようなチューニングになってしまうので)最終的にはタイヤかな?」とのこと。

チューニングは吸排気系をはじめ随所に。ただし、最後はタイヤがカギになるそうだ

 3人目はエッセで目立つ走りを披露していた藤井俊也さん。普段はジムカーナ中心で走っており、D-SPORT CUPは3年目で、「同じような車種が集まる」のが魅力という。また、カスタマイズについては「ダイハツ車ならではの流用チューンが楽しい」と話す。ちょっとだけ教えて貰ったところ、トランスミッションの1速2速がコペン用で5速がシャレード用、ファイナルギヤはムーヴの4WD用など、多彩な(?)組み合わせ。エクステリアもミラ アヴィ用サイドステップ、スカイライン用オートスポイラーなど、「分かる人には分かる」的な内容だ。

藤井俊也さんは個性派流用チューンで楽しむ

 楽しみ方は各オーナーそれぞれながら、やはり手軽に同じクルマで競えるあたりを魅力と感じている様子。ダイハツ車やその他のメーカの軽自動車に乗っていて、サーキット走行に少しでも興味があるなら、初めて参加する走行会としてもD-SPORT CUPは参加しやすい走行会と言えそうだ。

クラスごとに表彰が行なわれるため多くの参加者にチャンスがある
参加者人数によって表彰人数が異なる。こちらはコペンビギナー400クラス
こちらはNAエキスパートクラス
最後はじゃんけん大会で各種グッズがプレゼントされた

デモカーなどをちょっと紹介

 この日もタイムアタック仕様のコペンや、先代コペンのデモカーなど、多数のデモカーが来ていたいが、中でも注目だったのが、COPENとD-SPORTのコラボレーションから生まれた「COPEN×D-SPORT XPLAY DRESS KIT」だ。元々は「東京オートサロン2015 with NAPAC」で発表されたクルマで、その市販バージョンとなる。このキットはバンパーやフェンダーなど17点のパーツで構成されており、コペンならではのドレスフォーメーションを活かして、ドア以外を別パーツ化する大がかりなもの。受注生産で価格も65万円(工賃、塗装別)となかなかに高価だが、ほかにはないルックスを実現できる。

COPEN×D-SPORT XPLAY DRESS KIT
ボディキットでは、ボンネットに左右ロッカー、前後バンパー、前後スポイラー、前後フェンダー、サイドスカート、ドアガーニッシュ、フューエルリッドやトランクフードが含まれる。センター出しの「スポーツマフラーCD」装着が必須となる
エンジンルームには、タワーバーの位置につける「MCB(モーションコントロールビーム)」やサブコンピュータの「PIVOT パワードライブ PDX-D1」などが装着される
インテリア。スピーカーはFocalのコペン用キットが装着される
シフトノブやシフトゲートパネルもD-SPORTのものに。その奥に見えるのはPIVOTのクルーズコントロール
D-SPORTのロゴが入った「プレミアムシートカバー」

 2台目に紹介したいのが、ダイハツ社員でありコペンの生みの親のひとりでもある殿村裕一さんの愛車のコペン。殿村さんの愛車はCVT仕様ながら、D-SPORTのパーツで強化され、各地で行われるD-SPORT CUPや、ジムカーナなどにも参戦している。実際、D-DPORTのパーツ開発のアドバイザー的存在でもあり、この日のクルマにも、まだ発売されるかは未定だが、開発中のロールケージが装着されていた。

ダイハツ社員でコペン開発陣の1人でもある殿村裕一さんの姿も
ATながらロールケージも装着されて、サーキットを走りまくる殿村さんの愛車

 最後はダイハツの社員ながら全日本ラリーに参戦する相原泰祐選手と山口佳祐選手のコンビが駆るクルマ。競技向けの車両のため、ワンオフパーツなども多数つくが、D-SPORTも車両の開発に協力している。今回は2020年に開催が期待されるラリージャパンへの参戦を見据え、レギュレーション変更に伴う新たな改造部分を確認するために参加したという。

全日本ラリーに参戦するコペン。ドライバーは相原泰祐選手、コ・ドライバーは山口佳祐選手
レギュレーションの変更により、これまでよりも改造できる範囲が広がったとのこと
ブレーキはエンドレスの対向キャリパー
マフラーはD-SPORTのフルチタンマフラーを装着。純正比で3.9kgの軽量化になる
JAF規定に合わせて作ったワンオフのロールケージが張り巡らされる
リアのバルクヘッドを抜ける形のためルーフは開かなくなるが、この2点を外せば屋根の開閉もできると言う

D-SPORT CUPとは?

 ダイハツ車と軽自動車に限定したサーキット走行イベントであるD-SPORT CUP。今回取材した筑波サーキット1000を皮切りに、今年は美浜サーキット(愛知県)、TSタカタサーキット(広島県)、茂原ツインサーキット(千葉県)の計4戦が予定されている。

D-SPORT CUP 2019開催スケジュール
ラウンド開催日会場
14月27日(土)[終了]筑波サーキットコース1000(茨城県)
25月25日(土)美浜サーキット(愛知県)
39月21日(土)TSタカタサーキット(広島県)
411月9日(土)茂原ツインサーキット(千葉県)

 このイベントは走行時間が15分×4回の計60分とタップリ確保されているのがポイントで、クラス分けも「コペンユーザー(さらに型式で細分化される)」をはじめ「ターボクラス」「NAクラス」など多彩で、加えて「ビギナークラス」も用意されている。さらにインストラクターによる個別のアドバイスや自分の愛車を運転してもらい同乗できる「同乗走行(抽選)」といったコンテンツも用意されているから、「サーキットなんて走ったことない」という人でも安心だ。費用は昼食や保険料などを含めてダイハツ車オーナーが1万2000円、他メーカーの場合でも1万4000円とリーズナブルな設定なのも嬉しい。

 なお、次回開催となるラウンド2では、東京オートサロン 2019に出展されていた「P-5」のレストア車が参加予定。1960年に開催された「第5回 日本グランプリ」でクラス優勝を納めるなど輝かしい戦績を持つマシンを、ナマで見ることができる貴重なチャンスとなる。

 このほか、初心者でも参加しやすいジムカーナとして「D-SPORT GYM」を、奥伊吹モーターパーク(6月22日)、富士スピードウェイ(10月14日)で開催予定。詳細は煮詰めている最中とのことなので、興味のある向きはD-DPORTのWEBサイトをチェックしてほしい。

初代コペン(L800系)のクラス
現行コペン(LA400系)も多数参加
もちろん他のダイハツ車や軽自動車も走る
D-SPORTのデモカーも走る