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チューニングパーツの効果は体感できるのか? 走行会で検証してみた
D-SPORT CUPで補強パーツとパワーアップパーツを比較試乗
- 提供:
- D-SPORT
2018年6月7日 00:00
D-SPORTは、ダイハツ車にターゲットを絞り高機能部品を開発するブランドだ。クオリティの高さも特徴で、ディーラーでも「D-SPORTのパーツなら」と扱う販売会社が多い。信頼の厚いブランドなのである。そんなD-SPORTは、年4回サーキットイベント「D-SPORT CUP」を開催。5月19日に、筑波サーキット コース1000を舞台に2018年の第1戦目が開催されたのだが、その場でD-SPORTの“最新”かつ“要注目”のパーツを体感することができたのでレポートする。
剛性アップと制震効果の「MCB」を比較検証
1つ目は、4月に販売開始された「MCB(モーションコントロールビーム)」。簡単に言うとタワーバーの位置にセットする補強パーツの1つで、取材時点での対象車種は新旧コペン(L880K/LA400K)。「車種ごとにちょうどいい特性になるようにテストを繰り返し、車両を徹底的に乗り込むことで完成した」と語るのは商品開発リーダーの松尾光洋さん。
タワーバーと取り付け位置が一緒で、同様にボディ補強パーツに括られるが、ではタワーバーとはいったい何が違うか? 松尾さんは「役割が違う」と言う。リジッドにボディを固めるタワーバーに対し、MCBには動く“しろ”があるのだ。MCBは1本の棒ではなく、入力・振動を減衰する内部構造を採用していて、力を“いなす”ことができる。タワーバーがある状態(=ガッチリ固める状態)とない状態の中間的なパーツ、とも言えるか。その中でD-SPORTは、走り込むことで“美味しい”セッティングを探った。前だけ装着したり、後ろだけ装着したり、装着する位置を変えたり、さらに減衰特性を見直したり……、約1年に渡る期間を経て開発した。ちなみに、MCBは完成したが性格が違うため、今後も変わらずタワーバーも販売されるという。
では、実際着けたらどうなのか? どう走りが変わるのか? その道のプロに試乗してもらい、感想を聞いた。1人目はロードスター乗りとして有名なドライバー 加藤彰彬選手。加藤選手には、装着前・後を、間髪をいれずにドライブしてもらった。
「全然違いますね。MCBがない時にはうねっていた箇所でも、MCBありではうねらない。段差を乗り越えても、コチラは一発で収束してくれた。アクセルを開けながら縁石に乗るところでも、きちんと越えられる」と高評価。
さらに「一番大きく違うのが、ギャップを越えた時の収束の仕方。MCBなしの時は、バンと落ちて、もう一度バーンと跳ねていましたが、MCBありだと一発で収まる。そしてFF車では、縁石に乗って跳ねた時に駆動輪が空転するんですが、それがなくなる。そのまま前に押し出してくれる。もっと曲げていってくれる。試乗車がLSD着きの車両だったこともありますが、タイムアップにも繋がるでしょう」
一本モノのタワーバーとの違いはどう感じたかを伺うと「リジッドのタワーバーは、しなった後に反発し、ブルブルと震える感触があった。コチラの場合はしなやかに収束する。減衰してくれるのか、反発する感覚がない」と言う。
2人目の試乗者は殿村裕一さん。実はこの方、コペンファンには有名な方で、ダイハツ社員でコペン開発陣の1人。この日も大阪から自走してきた愛車でMCBを試してもらった。松尾さん曰く「D-SPORTの開発顧問的存在」でもある。
「初心者の人にいいんじゃないかな。リジッドのタワーバーよりも吸収してくれて、縁石を踏んでもマイルド。サーキットを走り始めたばかりの人には、懐が深いコチラの方がいいかも」と話す。
「逆に言うと、クイックな乗り味が好きな人には物足りない面もあるかな。頭がギュンギュンと入っていくわけではないから。でもちゃんと荷重を掛けて、コーナリングの体勢にタイヤを持っていけば、サスペンションのダンピングとMCBのダンピングが重なって、とにかく気持ちがいい」と続ける。殿村さんは自身の愛車にMCBを装着して試したのだが、2ペダル車だったこともあり「安心だから、暇だなぁ(笑)、と。もっとパワーが欲しくなる」とも話していた。
3人目は、殿村さんと同じくダイハツの社員ながら全日本ラリーに参戦するドライバーの相原泰祐さん。今後、参戦マシンをコペンにシフトする予定で、将来的にはラリージャパンへの参戦も目指しているという。
「毎周、走り方を変えて試しました。ラリーで使ったらどうなんだろうと想像しながら。MCBが付いている場合、Gが溜まっていった時の動きがよかった。タワーバーのように最初からつんのめるのではなく、溜まっていった時にグーッと動く。リジッドのタワーバーは、舵を入れて初期からバシッと効くけど、MCBだと初期はソフト。ミニサーキットだと特によくて、Gが乗り切った時、荷重が乗り切った時に効いてくれる。4輪の接地性もよいですね」と評価。「フロントはタワーバーで、リアはコレ、といったように使い分けるのも面白そう」とも。
試乗した皆さん、揃って高評価だった。気になる価格は、複雑な機構を採用するだけに、一本棒のタワーバーと比べて高価になる。けれども、体感できる効果や、タワーバーだけでなく新たな選択肢が増えたと捉えると、注目すべきパーツであることは間違いない。実際、取材時は発売後1カ月経った時期だったが、「大反響です」(松尾さん)と言うのだから。
ミニサーキットでサブコンの効果はいかに?
もう1つの注目パーツは、D-SPORTがピボットと共同開発したサブコンピューターの「PIVOT パワードライブ PDX-D1」。2月に発売開始されたばかりの新製品だ。対象はKF-VETエンジン搭載車。装着は簡単で、エアフロのカプラー部に割り込ませ、あとは電源を確保するだけ。手慣れたメカニックの手に掛かると、着脱はそれこそあっという間。これならDIYでの装着も可能かもしれない。
パワードライブ PDX-D1は、安全マージンの大きいノーマルに対し、エア流入量センサーの信号を補正して燃料の量を最適化。理論空燃比に近づけることでパワーアップを図るという。パワー計測では、最高出力が10PSほどアップしたというデータもある。10段階の調整ダイヤルがあるので、走るステージに合わせて選択したり、また好みのフィールを求める・探ることも可能だ。ちなみにメーカー推奨はエンジンまわりがノーマルの場合で「7」。あくまで、ノーマルタービンのポテンシャルを活かす方向性のチューニングパーツで、もちろん最大値の「9」でもマージン内に収まる設定だというから安心だ。
こちらは走行会に参加していたオーナーの愛車に装着して、“違い”を体感してもらった。パワードライブは着脱が簡単なので、このようなモニター体験が可能なのだ。
1人目は2週間前に愛車で筑波のコース1000を走ったというハンドルネーム:班長さん。果たして感想は?
「立ち上がりがいいですね。2週前に走った時より1秒近くタイムがよく、自己ベストを更新できました。特に、フルブレーキングからの立ち上がりが違う。クルマは通勤をメインに使っていますが、付けてみたいパーツの1つですね」と好感触。さらに「取り付けが簡単だし、D-SPORT製というのも、安心感があっていいですね」とも話していた。
2人目は吸排気はノーマルだが、希望のタイヤを求めてあえてインチダウンするほど走りにこだわる高橋さん。実際に試してみると「全体的にスムーズに加速する感じでした。CVTなので、もっさりしたところがあるんですが、全体的に解消されている気がしました。タイムもあるなしで1秒くらい違っている。慣れもあると思うけど(最初“なし”、それから“あり”を試した)、踏んだ分だけ加速する感覚でした」と、コチラも好印象。興味深かったのは最高速の違い。「メーター読みで、“なし”が103km/h、“あり”が110km/h」というのだ。なるほど、効果は高そう!
今回の体感テストは、時間の都合もあって、メーカーがノーマルエンジンで推奨している「7」で行なわれた。しかし、吸排気系チューンをしている班長さんのクルマなら他の数値が最適だったかもしれないし、コースの特性にあったベストセッティングは他にあったかもしれない。そんな調整幅があるのもこの製品の面白いところだろう。これで10PS以上のパワーアップが手に入るのだから、コストパフォーマンスは高いのではないだろうか。
MCB、パワードライブ PDX-D1ともに、比較的簡単に装着できるのも魅力。さらに、効果も体感でき、コストパフォーマンスも高い訳だ。スポーツ派コペンオーナーにとって、気になるパーツが追加されたのは間違いない。
ダイハツ車向け「D-SPORT CUP」はあと3回開催
今回おじゃました「D-SPORT CUP」は、ダイハツ車向けの走行会として年4回開催されているもの。タイムアタックのシリーズ戦も行ない、覇を競ってもいる。といっても、基本は初めての人でもサーキットを楽しめるアットホームなイベントだ。D-SPORTのデモカーや最新パーツをいち早く見ることのできる貴重な機会でもある。今回の筑波サーキット以降にも2018年内にあと3回予定されているので、ダイハツ車オーナーは参加してみては?