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【SUPER GT インタビュー】SUPER GTに参戦するホンダ勢、100号車の山本選手、伊沢選手と、64号車のバゲット選手、松浦選手に聞く

第2戦富士終了時点での手応えは?

100号車「RAYBRIG NSX-GT」

 2017年のSUPER GT GT500クラスは、第1戦、第2戦のレースを制したレクサス勢に対して、開幕戦でのトラブルがあったホンダ勢は苦しい戦いが続いている。

 第2戦終了時のチームランキングを見ると、8位の100号車「TEAM KUNIMITSUがホンダ勢としてトップ。以下、9位に17号車「KEIHIN REAL RACING」、11位に16号車「TEAM MUGEN」、12位に8号車「AUTOBACS RACING TEAM AGURI」、13位に64号車「NAKAJIMA RACING」と続く。

 今回、ホンダアクセスがサポートを行なう「TEAM KUNIMITSU」「Epson Nakajima Racing」の2チームに話を聞くことができたので、ここにお伝えする。

100号車「TEAM KUNIMITSU」の山本尚貴選手、伊沢拓也選手に聞く

100号車「RAYBRIG NSX-GT」をドライブする山本尚貴選手(左)、伊沢拓也選手(右)

 100号車「TEAM KUNIMITSU」の山本尚貴選手、伊沢拓也選手は、第1戦の岡山でノーポイントに終わっており、第2戦の予選日に行なわれたインタビューでは、チーム全体のピリピリとした緊張感がこちらに伝わってきた。

――今日の予選の振り返りを聞かせてください

伊沢選手:残念ながらQ2に進出することができませんでしたが、それまでの流れとか、全体的なホンダのタイムを含めて考えると、内容としてはまずまずの展開。山本選手のアタックもミスなく、クルマの限界を引き出してくれたので、そういった1つ1つの積み重ねができている感覚はある。ちょっと、開幕戦は走れなかったので、今回最後まで走りきればいい結果を得られると思いますので、諦めずに最後まで戦いたい。

山本選手:朝からの流れからして、クルマはだいぶよくなっていた。大きいミスもなくベストは尽くせたのですが9番手からということで、伊沢選手にバトンを渡せなかったのは非常に残念ですし、申し訳なかった。明日の決勝はレースも長いので、しっかりと9番手から追い上げて、まずはしっかりと走りきっていい戦いをしたいと思います。

山本尚貴選手
伊沢拓也選手

 翌日に行なわれた第2戦の決勝レースでは、山本選手、伊沢選手がドライブする100号車「RAYBRIG NSX-GT」は6位。このレースで5ポイントを獲得して、第2戦終了後のドライバーランキング10位で次戦オートポリスに挑むことになる。

――今日のレースの感想を聞かせてください

山本選手:レースを通して快調に走れたと思っている。結果は6位と、開幕戦の僕達の戦いぶりからすると、出し切れた結果かなと思っている。

伊沢選手:自分のスティントはミスがあって、コースオフがあってタイムロスをしてしまった。なんとか山本選手につないで彼がいいペースを取り戻してくれたので、6位というのは喜べる順位。この順位が僕達のベストとは言いたくなく、優勝がベストになるようにしなければならないが、大きなミスなく戦えたことで、次につながる1戦になると思う。

64号車「Epson Nakajima Racing」のベルトラン・バゲット選手、松浦孝亮選手に聞く

64号車「Epson Modulo NSX-GT」をドライブする松浦孝亮選手(左)、ベルトラン・バゲット選手(右)

 ベルトラン・バゲット選手、松浦孝亮選手がドライブするEpson Nakajima Racingの64号車「Epson Modulo NSX-GT」は、開幕戦の岡山でトラブルに見舞われつつ12位で完走を果たしたものの、タイヤのセッティングに課題を抱えているようだ。

――予選を振り返って感想を聞かせてください

バゲット選手:よい予選だったとは言えないよね。調子のよいアタックラップで、他のクルマにひっかかってしまって、本来のペースで走れなかったからタイムは出す事が出来なかったよ。予選で用意してきたタイヤもセーブできているから、明日のレースによいタイヤが残せていると思う。レースはなにが起こるか分からないしね。

松浦選手:富士のこのレースに関してはチームとしても少し苦手な部分で、我々としては菅生とか小さいコースのほうが得意。予選で最後尾ということで残念ではありますが、レースは500kmあるのでしぶとく走りたい。

――GT500では唯一ダンロップと組んでいますが、メリットはありますか?

松浦選手:メリットとしては小まわりが効くところ、例えば週末の気温が変わったときに持ち込むタイヤを急遽変えることができたりしますが、やはりたくさんの台数でやっているチームのほうがメリットが大きいと思います。例えば自分のマシンがトラブったときに、他のチームがタイヤの評価をしてくれたりするので。

――予選では早めにコースインしていきましたよね?

バゲット選手:タイヤを温めるのに時間がかかるという問題があったし、アタックラップが約2周しかないと考えていたから、早めのコースインを選択したんだ。特にフロントタイヤの温まりに苦戦していて、1周目ではフロントタイヤを十分に温める事が出来なかった。2周目にはフロントタイヤの温まりも追いついて、S1・S2と調子がよかったんだけど、最後のセクターで24号車に邪魔をされてしまってタイムが出せなかったんだ。特にフロントタイヤの温まりには苦戦していると感じているよ。

ベルトラン・バゲット選手
松浦孝亮選手

 第2戦富士の決勝は、バゲット選手、松浦選手がドライブする64号車Epson Modulo NSX-GTは13位。開幕戦、第2戦とも完走することができたもののドライバーポイントの獲得はできなかった。

――決勝レースを振り返って感想を聞かせてください

松浦選手:難しい週末で、自分たちの望んでいる結果とは程遠いところでした。タイヤのトラブルとかもありましたが、今のSUPER GTはタイヤに厳しく、この富士のサーキットも負荷が高くタイヤにとっても厳しいサーキットです。また、自分たちのペースもよくなかったので、まだまだ課題の残るレースでした。

 でも、自分たちとしてはいろいろ長期的なプランとして、今後のキャッチアップができるネタをいっぱい用意しているので、開発はすぐには進まない部分もありますが、それを期待してダンロップとの仕事を一緒に頑張りたい。

バゲット選手:松浦選手が言ってくれた事がほとんどだとは思うけど……、チームにとっては厳しいレースウィークとなったと思う。スタートドライバーとして2スティント担当したけど、レースの始めは調子がよかったと思う。最初に16号車を抜く事が出来て、17号車の後ろで走る事が出来た。でも、15周をすぎた辺りでタイヤに異変を感じ始めて、特にリアタイヤの調子がよくなくなってきたんだ。その矢先にタイヤパンクチャーに見舞われて、ピットインせざる得なくなってしまった。

 チームとして、とても厳しいレースとなった事には間違いないね。ただ、次戦へ向けての課題も見つかったレースだったと思うし、なにより今後に新しいタイヤの導入を予定していて、それがこれからのレースのよい結果に繋がると思う。

――最後のスティントではタイムが安定しているように見えましたが、タイヤ的になにかコンディションの変化などあったのでしょうか?

バゲット選手:なぜだか理由は分からないけど、確かに最後のスティントの方が安定して走れていたと思う。ただ、最初のスティントと全く同じタイヤを使っていたし、クルマは最初のスティントの方が速かったんだ。もしかしたら、レースが後半になるにつれて路面にラバーが乗った事による結果だったのかもしれない。タイヤの安定性という面では最後のスティントはとてもよかったけど、スピードやグリップという点では満足できる物ではなかったね。次の新しいスペックのタイヤはそういう点が改善されていると思うんだ。よかったと言える点は「安定性」という所だけだったと思う。

64号車「Epson Modulo NSX-GT」

 第2戦の決勝終了後のインタビューでは、それぞれの立ち位置を確認することができたようで、次戦に向けてやるべきことが見えてきた印象を受けた。第3戦「2017 AUTOBACS SUPER GT Round 3 SUPER GT in KYUSHU 300km」はオートポリス(大分県日田市)で5月20日~21日に開催される。

提供:ホンダアクセス

編集部:椿山和雄

Photo:高橋 学