東京オートサロン 2016

佐藤琢磨の“ゾーン”体験や“デザイン重視”のコンセプトタイヤなどが楽しめるタイヤメーカーブース

ブリヂストン、横浜ゴム、ダンロップ、ファルケン、トーヨータイヤ、グッドイヤーブースを一挙に紹介

2016年1月15日~17日開催

 1月15日に幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)で開幕した「東京オートサロン2016 with NAPAC」では、多数のタイヤメーカーもブースを構えており、それぞれユニークなコンセプトで来場者を楽しませている。ここでは国内のタイヤメーカーを中心に紹介する。

POTENZAをアピールするブリヂストンブース。佐藤琢磨のレース中の感覚も体感可能

ブリヂストンブース

 ブリヂストンのブースは、プレミアムスポーツタイヤブランド「POTENZA」を軸に展開していることもあり、全体的な展示内容はレース一色。

 もっとも目を引くのは、“Into The Zone”と書かれた正面のゲートから伸びる、コーポレートカラーの赤で塗り込められたタイヤ痕。その両脇で、POTENZA RACING TYREを装着したARTA NSX CONCEPT-GTと、POTENZA RE-71Rを装着したTOYOTA 86が出迎える。

ゲートから伸びるレッドカーペットのようなタイヤ痕
両脇にはPOTENZAを装着したARTA NSX CONCEPT-GTとTOYOTA 86
LEXUS LFAとRowen R35 GTRも並ぶ

 タイヤ痕の先にあるステージの裏には、ブリヂストンの4輪レースにおける活動内容や、レーシングドライバーらのコメンタリ―映像が流れ、さらにその隅には“Into The Zone EXPERIENCE”と書かれた部屋が見える。ここでは佐藤琢磨がインディカーレース中にまれに遭遇するという、感覚が鋭利に研ぎ澄まされ、瞬間がスローに見える“ゾーン”に入った時の現象を、ヘッドマウントディスプレイによる佐藤琢磨のオンボード映像とヘッドフォンの音声で再現、VR的に体感できるようになっている。

4輪レース活動の紹介
prodriveブランドのホイールが陳列
SUPER GTで使われているタイヤ
佐藤琢磨の“ゾーン”を体感できるブース

ADVANブランドを訴求する横浜ゴムブースでは、「ADVAN消しゴム」を即売中

横浜ゴムブース

 横浜ゴムは、プレミアムスポーツタイヤブランド「ADVAN」を前面に押し出している。別記事でリポートしている新型タイヤ「ADVAN A052」のほか、スポーツラジアルのフラグシップ「ADVAN Sport V105」を含む、ADVANのほぼフルラインアップを展示。2016年以降のスーパーフォーミュラのワンメイクタイヤに選ばれたことから、実際のタイヤを装着したスーパーフォーミュラの実車も見ることができる。

2016年から横浜ゴムのワンメイクとなったスーパーフォーミュラ
ADVAN Sport V105をはじめ、ADVANのラインアップが勢揃い
ADVAN Sport V105装着のポルシェ パナメーラ GT-S
ADVAN Sport V105装着のLEXUS RC F
ADVAN A005装着の日産GT-R NISMO GT3

 ブースの片隅では、「ADVAN消しゴム」の販売専用窓口が設けられ、通常価格410円のところ400円で誰でも購入できる。ただし、販売個数はイベント期間中限定5000個で、2日目の16日、3日目の17日ともに2000個ずつの販売となっている。売り切れる可能性もあるので、気になる人は真っ先に横浜ゴムブースに駆けつけていただきたい。

ADVAN消しゴム。400円
表裏にADVAN A050とADVAN NEOVA AD08Rのパターンが刻まれている

「長持ち」がテーマのダンロップブースでハートを見つけよう

サーキットのバックヤードを思わせるダンロップブース

 ダンロップ(住友ゴム工業)のブースは、「長持ち」と「低燃費」を基本テーマに据えたユニークな展示が用意されている。

 既報の通り、同社では石油外天然資源を素材にした「しなやか成分」により、タイヤの経年劣化を抑制し、長期間トレッドの柔軟性を保つことでグリップ性能を長持ちさせる技術を開発している。この「しなやかさ」を体験できるよう、同じ期間だけ経年変化させた従来技術のゴムと、しなやか成分配合のゴムとを並べ、直接指で触れて比較できるようにしている。

しなやか成分配合のゴムとそうでないものを比較できる
エコタイヤのエナセーブやスポーツラジアルのDIREZZAなどを展示
DIREZZAを履くGAINER TANAX GT-R
1963年のル・マン24時間レースに参戦したALPINE M63

 また、同社のタイヤ性能指標表示でハートマークを用いていることから、ちょっとした「宝探しイベント」のような感覚で、そのハートマークをブース内の各所に隠すように配置、来場者が見つけて楽しめるという工夫も盛り込んだ。ブースの一角にはカップルらが手でハート型を作って写真撮影し、その場でプリントできるコーナーも設けられ、親しみやすさを打ち出している。

タイヤ性能指標に使われているハートマーク
このハートマークがブースのあちこちにある、らしい。分かりやすいところでは、大きなハート型オブジェの真ん中
裏側は写真撮影コーナーとなっている

ファルケン、エアロバイクで「走りの鼓動を、体感せよ」

ファルケンブース

 国内では住友ゴム工業がダンロップとは別のブランドで展開するファルケン。同ブースでもっとも目立つのは、同ブランドがサポートするエアレース用の機体だ。コンパクトなだけでなく、よく見ると表面は非常に滑らか。まさに俊敏に、正確なラインを描いて、一切の無駄なく飛ぶために生まれたと感じられる美しいボディに引き込まれる。

エアレースの日本人パイロット・室屋義秀氏も駆るEdge 540と呼ばれる機体
AZENIS FK453を装着するポルシェ 911 GT-3CUP(Type997)MY2006
AZENIS FK453 RUNFLAT、EUROWINTER HS449などが展示

 奥にはリング状のユニークな形をしたイタリア生まれのエアロバイク「シクロッテ」と、巨大スクリーンが設置されている。ここでは「Experience the PULSE ~走りの鼓動を、体感せよ~」という同ブースのテーマらしく、エアロバイクを回した時の自身の心拍数に応じて変化する映像と音声を堪能できる。心拍数を図れるAndroid Wearを腕に巻き、エアロバイクに乗ってペダルを回転させると、巨大スクリーンの映像と音声のリズムが自身の心拍の高まりに合わせてどんどん高速化、トリップしたような気分になれる仕掛けだ。

イタリア生まれのエアロバイク「シクロッテ」
脈拍センサー付きAndroid Wearを腕に巻いてバイクをこぐ
映像や音声が心拍に連動
巨大スクリーンのサイドに並ぶタイヤスピーカー。実際に音が鳴る

立体デザインのコンセプトタイヤなどを展示するトーヨータイヤ

トーヨータイヤブース

 スポーツラジアルのPROXESシリーズや、ミニバン用タイヤTRANPATHなどを展開するトーヨータイヤ(東洋ゴム工業)は、「イグニションによる点火、発火を表現した」という白基調のブースを構えている。同社が扱う一連の製品を展示するだけでなく、特定の車両のイメージに合わせて開発したという2種類のタイヤを披露している。

 1つはアウディ R8をイメージしたもので、彫り込みの深い立体的なトレッドパターンが特徴的な「PROXES Sport CONCEPT」。市販予定は現在のところ一切なく、あくまでも「トーヨータイヤのデザイン力をアピールするため」のスタディモデルとして、R8に似合うデザインを追求して作り込んだもの。性能面での検証も特に行なわれていない。

アウディ R8と「PROXES Sport CONCEPT」

 もう1つはスズキ ハスラーをモチーフに、ダート路面での走行にも向いたオン・オフ兼用タイヤ「OPEN COUNTRY R/T PROTOTYPE」。こちらはすでに北米で販売されており、人気を博しているタイヤとのことだが、日本国内においても夏ごろに発売を予定しているという。マルチパーパスなハスラーのイメージを元に、荒れた路面での高い走破性の実現を目指して開発され、林道のようなシーンでも活躍するとしている。サイドウォールのエンボスパターンも独特だ。

スズキ ハスラーと「OPEN COUNTRY R/T PROTOTYPE」
ミニバン専用タイヤTRANPATHシリーズと、スポーツタイヤのPROXESシリーズ
ポルシェ マカンに装着したPROXES T1 Sport SUV
トヨタ ヴェルファイアに装着したTRANPATH LuII

NASCARをモチーフに、アメリカンな空気を漂わせる日本グッドイヤーブース

日本グッドイヤーブース

 2015年6月に住友ゴム工業との提携を解消し、独自に日本市場への開拓を進めることになった日本グッドイヤー。同ブースでは、同社が展開するブランドのうち、EAGLEとVectorに絞ったごくシンプルなタイヤ展示としている。そのほかの大部分は、同社がレースタイヤを供給するNASCARをモチーフにした、アメリカンな雰囲気ムンムンのセットだ。

同社代表取締役社長の金原雄次郎氏が挨拶
EAGLEとVectorの2ブランドのみが展示

 ピットインの様子を再現したと思われるセットでは、トヨタ カムリをベースに625PSを絞り出す5866ccのエンジンが搭載されたレガシーな雰囲気のNASCARのレース車両や、忙しくピット作業をこなす様子のマネキンなどが配置され、レースの緊張感が伝わってくるかのよう。レースで鍛えられたタイヤの信頼性をアピールするような内容となっている。

NASCARをモチーフにした、レースの臨場感が伝わってくるかのようなセット

日沼諭史