CES 2016

“ぶつからない”を学習する人工知能自動運転車のデモが見られるトヨタブース

3種類の学習状態をデモ。海外仕様の自動運転車「Highway Teammate」も展示

2016年1月6日~9日開催

新しい燃料電池車のコンセプトモデル「FCV PLUS」

 CES 2014から参加を続けるトヨタ自動車のブースでは、“ぶつからない”を学習する人工知能搭載自動運転車のデモ、新しい燃料電池車のコンセプトモデル「FCV PLUS」、地図の自動生成デモなどを見ることができる。

FCV PLUSは、トヨタの燃料電池車の特徴である“大きく空気を採り入れる”デザインを採用。いろいろ異論のあるデザインだが、個人的には見慣れてしまい、最近は違和感なく見ることができる。クラウンや新型プリウスもそうだが、見慣れることを前提としたトヨタデザインの底力か?
FCV PLUSは、東京モーターショーで展示されたFV2の隣に置いてあった
CES 2016に展示された自動運転車「Highway Teammate」。トヨタの自動運転コンセプトである「MOBILITY TEAMMATE CONCEPT」に基づいたもの。よく見ると、ドライバーのパートナーであるTeammateの色が日本仕様と異なるほか、ステアリング位置も米国仕様になっている

 この中でも必見と言えるのが、“ぶつからない”を学習する人工知能搭載自動運転車のデモ。これはトヨタが出資したPreferred Networksの技術を自動車に応用する可能性を示すものだが、将来のクルマの動きを予見するものだ。

“ぶつからない”を学習する人工知能自動運転車のデモ

 自律自動運転するクルマ個々が学習を行ない、最初はぶつかっていたのが、学習が進むたびにぶつからなくなっていき、ついにはお互いに譲り合って、車線らしきものが現われてくる。Preferred Networksの担当者に聞いたところ、今回のデモはあらかじめ3段階の学習状態を用意しておき、それをデモエリア上部に設けられたカメラ通信ユニットから無線でダウンロード。この無線ダウンロードにはNTTが協力しており、多様な通信状態を構築。さまざまな電波が飛び交うCES会場で、デモの安定性を確保しているそうだ。

デモエリア
上部カメラからの動きを表示。学習状態も表示している

 この自律自動運転の自動学習(機械学習)には、Preferred Networksのディープラーニング開発フレームワーク「Chainer」が用いられており、NVIDIA製のGPUで動作する開発言語CUDAによって記述されている。

 以前にYoutubeの映像でPreferred Networksのデモを見たことがあったものの、実際に会場で模型のプリウスがうじゃうじゃぶつからずに動く様子を見ると、大昔にマイコン画面で初めて“ライフゲーム”を見たときのような衝撃がある。ディープラーニングによる人口知能の構築がリアルな空間で実現しており、それにトヨタが出資して共同開発していくというのは、今後の展開が楽しみなところ。ちなみにPreferred Networksは2013年創立の若い会社で、ソフトウェア技術力により日本のもの作りを革新していきたいという志を持っている。ファナックと共同で行なっているロボットの知能化で注目を集めていたが、トヨタとの共同開発で自動車の知能化を進めていくことになる。

 見ているだけでもおもしろいデモだが、デモエリアのまわりにはスタッフがいると思われるので、興味がある人は詳しい話をスタッフに聞いてみるのをお勧めする。トヨタとPreferred Networksは日本の会社なので、日本人スタッフも多く、日本語での詳細な質問にも対応可能だろう。

編集部:谷川 潔

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