【東京モーターショー2011
トヨタ、次世代環境車や小型FRスポーツカー「86」などを公開


トヨタは「FUN TO DRIVE, AGAIN.」をテーマに、クルマの持つ夢や楽しさを提案

会期:11月30日~12月11日(一般公開日:12月3日~11日)
会場:東京ビッグサイト



 トヨタは、東京モーターショーでつながるコンセプトカー「TOYOTA Fun-Vii(ファン・ヴィー)」をはじめ、プラグインハイブリッド車「プリウスPHV」、燃料電池自動車「FCV-R」、都市型電気自動車「FT-EVIII」、コンパクトなハイブリッド専用車「AQUA(アクア)」、そして小型FRスポーツカー「86(ハチロク)」と、ワールドプレミアとなるモデルをはじめ多数のクルマを公開した。

 公開に先立ち行われたカンファレンスでスピーチを行った豊田章男社長は「未来のクルマの選択肢はおそらく1つにはならない」と前置きした上で、「いつの時代でも人々に夢や希望を与えられる存在であってほしい。クルマがどんなに進化したとしてもワクワク感やドキドキ感はなくしたくないと思います」とコメント。続けて「若い人を中心にクルマには興味がないとか、もっと面白いものがあるとかいわれるのは、自動車メーカーとしては正直悔しい」と明かし、だからこそ「FUN TO DRIVE, AGAIN.」とたくさんの人に感じてもらえるクルマを作る、と決意表明を行った。

 また、東日本大震災とタイの大洪水に触れ、トヨタにできることは「モノづくりを通じて、地域の人たちとともに、未来を想像すること」と結論。東北からも、タイからも退かず、地域の人たちと力を合わせて復旧・復興の原動力になりたいと熱弁をふるった。

 最後に「たとえモノづくりを取り巻く環境がどんなに厳しくなったとしても、いくつもの試練が私たちに降りかかってきたとしても、モノづくりの底力を信じ、未来のクルマ社会の実現に向けた歩みを、一歩一歩着実に進めていく」と締めくくった。個々のクルマには触れず企業の方向性を示す内容となったが、気持ちのこもった熱いスピーチに会場からは大きな拍手が巻き起こった。

アンベール前のメインステージメインステージには「プリウスPHV」などエコカー3台が並ぶ
モーターショーのカンファレンスとは思えないほど熱の入ったスピーチを行う豊田章男社長
ドラえもんをフィーチャーした装飾があちこちに

TOYOTA Fun-Vii(ファン-ヴィー)
 クルマの未来の姿を具現化したコンセプトカー。ボディ全面をディスプレイとし、スマートフォンを使って表示を変更する機能を備えるほか、ネットワークによりクルマの機能をアップデート、顔認証によるセキュリティシステムなどを搭載している。

もっとも奥まった位置に展示される「TOYOTA Fun-Vii」。ボディサイドに表示されるグラフィックスの美しさは必見

プリウスPHV
 最新の高容量リチウムイオン電池を搭載し、家庭用電源からの充電機能を実現。電池のみでの走行が可能なほか、長距離では普通のハイブリッドカーとして利用できる。2012年1月30日に発売。

ようやくお目見えのプリウスPHV。展示されるのは市販モデルに準じた内容で、エクステリアは普通のプリウスに比べ、若干の加飾が施されている
タイヤはブリヂストンのエコピア。サイズは195/65R15ボディサイドのグラフィックスは展示用
リアゲートのバッジはどちらもPHV専用
ボディ右側のリッドが充電用フロントには1.8リッターエンジンなどプリウスベースのシステムを搭載
インパネまわりは見慣れたプリウスのものとあまり変わらない
シートもプリウスと同等で乗車定員も5名
フロントドア内張はシンプルな造形インパネ右側にはドアミラーなどのスイッチが並ぶ
リース用モデルよりバッテリーを小型化したことで、ラゲッジスペースはプリウス同等を確保。後端には大型のボックスもフローティングタイプのセンターコンソールなど、助手席側からの眺めもノーマルプリウスと変わらない
メーターにはEV走行とハイブリッド走行の比率を表示するモードが追加されている
センターコンソール部分のマテリアルもプリウスと変わりがないようだ展示車両には小物入れ部分にスマートフォンの充電スペースが用意されていた
ボタン式のパワースイッチは健在見慣れた形状のステアリング

FCV-R
 燃料に水素を利用することで走行中に排出ガスやCO2を出さない燃料電池自動車。専用ボディーを採用することで、燃料電池ユニットや高圧水素タンクを搭載しながら、4名乗車が可能なセダンボディを実現した。2015年頃の市場導入を予定。

エクステリアはいかにもトヨタ的なフィニッシュ。コンセプトカーならではの部分もあるが、市販車としてもそれほど違和感のない仕上がりだ
いかにもコンセプトカー的ではなく、現実味を感じさせるインテリアステアリング形状はスポーツカー風味
メーター類はすべて液晶モニター。前方2つは反射を利用した遠視点仕様になっているようだ
オーディオやエアコンもタッチパネルを利用したもの。シフトチェンジはダイヤル式センターコンソール下部には無接点充電の設備も
フロントシートはマネキンがベストを着た(?)ようなちょっと面白い形状ルームライトは巨大な面発光タイプフロントドア内側はきわめて現実的な造形
大型のアームレストが標準装備となっているリアシート。アームレスト前端には液晶モニターも

FT-EVIII
 iQをベースとしたコンパクトなボディを持った電気自動車。リチウムイオン電池を搭載し、1回の充電で105kmの走行を想定する。2012年頃の市場導入を目指して開発が進んでいる。

iQがベースとなっているため、コンパクトとはいえ4名乗車が可能
家庭での充電を想定したパターン。充電口はフロントグリル部分にある
フロントフェンダーには「ELECTRIC」のバッジが付くインパネまわりは、ほぼiQそのままといった印象
メーターパネルはシンプル
プッシュ式のパワースイッチを採用横方向の広さは大人でも余裕十分半面、ラゲッジスペースはミニマム

AQUA(アクア)
 まもなく発売となるコンパクトクラスのハイブリッドカー。ハイブリッドならではの省燃費性は、軽い車重や全高を抑え空力性能を高めるなどにより、35.4km/L(JC08モード)まで向上。さらに高出力モーターの採用や低重心パッケージにより、操る楽しさも実現している。

海外では「Prius c」の名前で発売されることからもわかるように、プリウスファミリーの一員であることがひと目でわかるスタイリング。撮影車両はオプションパッケージ付きだが、一般公開日にはノーマル状態のモデルが追加展示される予定だ
インパネは兄よりスッキリした造形メーターパネルにはシステムの状態を示すグラフィック表示も

86(ハチロク)
 つい先日、富士スピードウェイで公開された86がいよいよ一般向けに姿を現す。ただ、今回もプロトタイプで市販バージョンのお披露目はまだ先になる。詳細はすでにアップされている「写真で見る」やレビューで確認してほしい。

いかにもスポーツカー的なルックスは素直にカッコイイといえるモノ。ぜひ会場で実車をチェックしてほしい
エンジンはスバルとトヨタの技術のコラボレーションにより生まれた2リッターの自然吸気エンジン。ターボはなく、操ることの気持ちよさを重視しているアルミホイールはモーターショー展示車両用の特別モデル。ハブ径がいかにもスバルな感じだインパネまわりもソソる感じ

そのほか
 ステージではなくフロアに何気なく置かれているのが「GRMNスポーツハイブリッドコンセプトII」。ストレッチ&ワイドトレッド化した「MR-S」をベースに「RX450h」のハイブリッドシステムを搭載。見た目のハデさはもちろん、フロントをモーターで、リアをミッドに積んだエンジンによって駆動する全天候型スポーツカーなのだ。その横にはプリウスをベースにしたGスポーツコンセプトも。どちらもスポーツカー好きなら要注目だ。

こちらもぜひ市販して欲しい感のあるGRMNスポーツハイブリッドコンセプトII。以前、SUGOで展示された時より若干モディファイが加えられているようだ
プリウスをベースにしたGスポーツコンセプト。プリウスならではの環境性能はそのままに、スポーツ性能をプラスした欲張りモデル
ブースの奥にはプリウスのカットモデル。エンジンやバッテリー単体も展示されている

(安田 剛)
2011年 12月 1日