長期レビュー

福島晃の「新型アクセラ(BM)」に乗って写真を撮りに行こう!

第1回:富士五湖(山梨県)-納車からスタッドレス交換までー

アクセラからアクセラを決断した理由

 アクセラからアクセラへ。正確には2代目(BL:2009年~)から3代目(BM:2013年~)に乗り換えた。その決断をしたのが2013年11月末、納車日は2014年3月6日だった。このように表記するとアクセラという車種に惚れ込んだ結果のように感じるかもしれないが、それは半分当たっていて、半分外れている。「Be a driver.」や「人馬一体」と表現されるマツダの基本コンセプトやデザインテーマである「魂動-Soul of Motion」には共感できる部分も多い。その一方でいろいろなメーカーや車種に乗りたいという欲求もある。事実、一時期はFT-86(トヨタ)にかなり心を奪われ、市販モデルの86に試乗するに至ったが、雑誌編集者という職業が邪魔をした。ドライバーである自分、写真家、モデル、ときには別の編集者が加わり、同乗者が4人となることも少なくない。86のあの小さな後部座席に2名を乗せるというシーンを想像することができなかった。その点、Cセグメントでありながらスタイリッシュなデザインかつ室内スペースにもほどよい空間のあるアクセラは貴重な存在だ。

山中湖、マリモ通りの駐車場にて。この場所は富士山を背にして撮影が楽しめる。白のマークXをワンポイントとして使わせてもらった

 パワートレーンにSH-VPTR型ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」がラインアップされたことも背中を押した。アテンザで試乗して、そのトルクを体感。この段階(2013年10月)でクリーンディーゼルを購入したいと考えていた。ところが、ディーラーから送られてきたラインアップと価格を見て愕然とした。車重が100kgも重くて、価格が50万円も高い(20S Touring L PackageとXDの比較)。サンルーフが走りとどんな関係があるのか私には理解できなかった。こうなるとディーゼルのわるい所がどんどんと目に飛び込んでくる。東京の西の外れ、青梅という田舎に住む私にとって、冬の寒さで軽油が固まってしまうのではないかという疑問や、1度目に試乗したときは気にならなかったディーゼル特有のカラカラとした音が2度目の試乗では気になってくる。アテンザの購入者が冬にエンジンがかからなかったケースがあったということ(ディーラーに移動するとエンジンは問題なくかかったとのこと)をディーラーから聞いて、完全にXDを諦めることにした。結果として、いちばん無難な2.0リッターガソリンの20S Touring L Packageをセレクトした。その選択肢は間違っていなかったと思っている。2代目に比べると低回転(1500~2500rpm)のパワーが感じられるようになったことが大きい(他車との差ではなく、前車種との比較という意味)。圧縮比が11.2から13.0、トルクが19.0kgmから20.0kgmとなった部分が、スペックだけでなく体感としても伝わってきているのだと思う。

 何かと話題の「MAZDA CONNECT」はメリットとデメリットが同居する格好だ。Bluetoothによるスマートフォンとのリンクはハンズフリーフォンだけでなく、オーディオソースとして使えるなど、実用性も高い。一方でナビゲーションシステムは突っ込みどころも多々あるが、私の場合は地図表示として使えればいいというレベルなので、頭に血が昇るというほどではない。むしろ3万5000円(地図データが入ったSDカードの金額)の価値は十分にあると思っている。それにしても、トンネルに入ったときの意味のない表示やあえて遠回りを選択するルートナビゲーションなど、理解に苦しむ部分もある。そのあたりはカスタマイズすることで、ある程度は対応できることと、今後のファームウェアアップで改善することに期待したい。「MAZDA CONNECT」については他にもリポートしたいこともあるので、2回目以降に譲ることにしたい。

ナビゲーションはハンガリーのNNG、地図はMapFanで知られるインクリメントP。すでに2013年に開通している道路が未対応であることを確認。最新データの更新に期待したいところだ
ユーザーの間では話題のトンネルビュー表示。Navigationから設定できるので、チェックボックスを外しておくのがベスト
トンネルビュー表示をONにするとご覧のありさま。右下のサブウインドーに地図が表示されるているけど、これでどこを走っているのか分かる人なんているのだろうか
肘掛け部分を開くとUSB端子が2つとSDスロット(ナビで占有される)が1つ用意されている。iPhoneなどはUSBで充電できるのだが、iPhone 5だとトレイがギリギリ、というか無理やり押し込まないと入らないのが残念
一度、設定してしまえばBluetoothでの接続は自動的に行われる。ハンドルの電話マークを押せば着信履歴から発信ができるようになっている

スタッドレスに履き替えて富士五湖にテストドライブ

 私が住んでいる青梅は都心とはだいぶ気温が違う。都心では冷たい雨であっても、帰宅してみると雪が降っているなんてことは珍しくない。そのため、スタッドレスタイヤは必須アイテム。記録的な大雪に見舞われた2月15日では、クルマがすっぽりと埋まってしまうほどの量が降り積もった。納車日は3月6日だったが、まだまだ冷え込んだ早朝などは道路が凍ることもあるので、ゴールデンウィークぐらいまではスタッドレスのままにしているというのが現状だ。撮影をするために奥多摩に行くことや、中央道を下って山梨や長野に出向くことも多々ある。納車日の翌週にスタッドレスに履き替えるためにタイヤガーデン昭島店を訪ねることにした。

 私がセレクトしたのはヨコハマタイヤの「iceGUARD5(アイスガードファイブ)」。求めているのは比較的グリップのよい雪道というよりも、ツルツルとしたアイスバーンに対する抵抗力。さらに加えるとすれば雪道ではないときの運動性能。雪上や氷上のグリップ力は十分であっても、スタッドレス特有の「ふらつき」があるようでは快適にドライブすることができない。青梅といえども、雪上や氷上を走る割合はおそらく20%にも満たない。20%のために、80%の性能を犠牲するのではなく、すべての路面で最適なパフォーマンスを発揮してくれることが望ましい。コスト面を考えると「iceGUARDトリプルプラス」という選択肢もあったが、4年後の氷上グリップ力(摩擦係数の経時劣化)が約1/3というシミュレーション結果をカタログで見てしまうと、むしろアイスガード5の方がコストパフォーマンスに優れているのではないかと思うに至った。ふらつきを抑制するという「たわみ制御プロファイル」も最上位ならではのパフォーマンスらしい。低燃費タイヤとして知られる「BlueEarth(ブルーアース)RV-01」のサイドプロファイル技術を使うことで、横方向の「たわみ」を適正化するというものだ。簡単に言うと、横方向に剛性を持たせることで揺れにくい形状を保つことができるというわけだ。結論から言ってしまうと、このパフォーマンスは本当だった。圏央道から中央道に入って、青梅から山中湖へ。思わずスタッドレスタイヤであることを忘れてしまうほどの快適な走りを見せてくれた。平均燃費は13.7km/Lで、夏タイヤとほとんど変わらない数値だった。

 今回、タイヤガーデン昭島店で取材に協力してくれたのは店長の新井さん、サブマネージャーの竜門さん、スタッフの後藤さんの3人。お店を訪ねるとすでに注文しておいたアルミホイールにタイヤがセットされた状態だった。アルミホイールもヨコハマブランドからYFC(http://www.gab.jp/)のGAB(18×7 1/2J)にした。センターキャップはデフォルトのブルーだったが、オプションでガンメタリックとシルバーに交換できるらしく、店長の新井さんが気を利かせて用意しておいてくれたので、ガンメタリックを選ぶことにした。

 ジャッキアップして取り付け作業に入る。ジャッキとクルマの間には車を傷つけないようにウレタンマットが使われている。このあたりの細やかな配慮はうれしい。まずは店長の新井さんが作業を行い、スタッフの後藤さんがダブルチェックするという流れで進められた。ハブボルトにセット、軽くナットを締め込んでセンターを決めてから、トルクレンチで確実に締め込んでゆく。丁寧かつ素早い作業だった。空気圧はノーマルレギュレーションのフロント240KPa、リア220KPaで合わせてもらった。作業終了後に抽選クジを引かせてもらうと、なんとA賞をいただくというオマケが付いてきた。

大雪に見舞われた2月15日の青梅街道。3~4日はこんな状況が続いた。もちろん、裏道に入ればもっと過酷な状況になっていた
新奥多摩街道(都道29号)沿いにあるタイヤガーデン昭島店
ヨコハマタイヤのアイスガード5、サイズは215/45 R18 89Q。イン側とアウト側が異なる非対称パターンとなっていて、イン側は氷上性能に優れたパターン、アウト側は雪上性能に優れたパターンとなっている
快く取材に協力してくれた店長の新井さん
まずは店長の新井さんがハブボルトに固定して、センター出しを行いながらタイヤを固定していく
ジャッキアップと車の間にはウレタンマットが用意されていて、クルマを傷つけないように配慮してくれている
ダブルチェックを行うことでミスを防ぐためにスタッフの後藤さんにバトンタッチ。トルクレンチでしっかりと固定してゆく
空気圧はレギュレーションに合わせてフロントが240KPa、リアが220KPaとした。ちなみに-0.1表示されるように設定されているとのことだ
真新しいスタッドレスタイヤに履き替えたところを撮影。左右非対称のパターンが美しい
作業終了後に引かせていただいた抽選BOX
見事にA賞を引き当てた(本当にやらせではありません)
A賞の賞品は緊急災害セット。ケータイを充電できるソーラーバッテリーや簡易トイレ、保温シート、食糧(えいようかん)などをYOKOHAMAロゴが入ったケースに詰め込むことができる
西湖は湖畔近くまでクルマで乗り付けることができる。風景の中にさりげなく小さく配置しても、ソウルレッドプレミアムメタリックが一際目を引く。このカラーを選んでよかったと思う瞬間だ
中央道の富士吉田IC(インターチェンジ)から東富士五湖道路へ。正面に美しい富士山が見える。車内は大人2人がゆったりと乗れるスペースが確保されている。インテリアも2代目と比較して、格段にグレードアップした印象だ
この日、最初に訪れた三国峠の1カット。新調したアルミホイールとスタッドレスタイヤを主役に富士山を合わせてみた。ポイントは絞りをF11ぐらいまで絞り込むことと、タイヤとの露出差をなくすためにレフ板でホイールに光を入れることだ
せっかく河口湖まで来たのだからということで、富士吉田うどんで有名な開花(かいか)に立ち寄ることにした
いちばん人気のきんぴら肉うどん(中盛で800円)をいただいた。しっかりと食感のある中太麺は昔ながらに薪で茹でるという

メーカーオプションとディーラーオプションの選択

 最後に個人的な主観になってしまうことを承知の上で、私がセレクトしたオプションについて少しだけ触れておきたい。というのも、私自身、この選択で大きな失敗をしたと思っているからだ。ご存知のようにメーカーオプションは一度注文してしまったら、キャンセルや変更は基本的に不可能となる。

 私がセレクトしたのは2.0リッターガソリンの20S Touring L Package、カラーはソウルレッドプレミアムメタリック。このパッケージはほぼフル装備のため、メーカーオプションの項目にあるのは、CD/DVD+地デジTVチューナー、Boseスピーカー、ガラスサンルーフの3つ。2代目アクセラではBoseスピーカーだったが、どうもBoseならではの独特の音質が馴染めずにいた。そこで新車ではノーマルからサウンドシステムを交換しようと考えた。だからという訳でもないのだが、何となくCD/DVD+地デジTVチューナーにチェックを入れてしまった。ある意味、この選択は両方とも失敗だった。スピーカーシステムは「MAZDA CONNECT」であることが邪魔をして、センターユニットを組み込むことが難しい。スピーカーユニットそのものも2代目までの5×7インチではなく、魂動シリーズからは16.5cmに変更されていて、インナーバッフルも国内メーカーではアクセラ用が存在しない。こんな状況であったなら、Boseスピーカーでもよかったかもしれないと思ってしまった。2つめはCD/DVD+地デジTVチューナー。こちらははっきり言って必要がない。結局、スマートフォンやサウンドデバイスを接続することがメインになるので、音楽CDをガチャガチャと入れ替えて使うことはない。地デジTVチューナーはフルセグとは思えないほど低解像度で画質が粗く、見るに堪えない。どうせ運転中は表示できないので、いまのところ出番は一度もない。

 ディーラーオプションはボディーコート、ナビゲーション用SDカード、バックモニターシステム、フロアマット、ETCと一般的。ちょっと普通とは違うのはアクリルバイザーを付けないことぐらいだ。このオプション、私の勝手なイメージでは装着率98%といった印象。私は喫煙者ではないし、夏の駐車場で少しだけ窓を開けておくこともない。だから、このオプションは空力とデザインを損なうだけの無用の長物にしか思えない。値引きの対象だからという意見もあるだろうが、私はその価格をアルミペダルに使った。その方がもっと意味がないじゃないかという指摘もあることだろう(笑)。

私はアクリルバイザーを付けない。空気力学的にも、デザイン的にもデメリットしか感じない。多くの人が付けている理由が分からない
アクリルバイザーを外して浮いた金額でアルミペダルを購入。こちらの方こそ意味がないという意見もあることだろう(笑)

●今回の走行距離と平均燃費
走行ルート:青梅(圏央道・中央道・東富士五湖道路)-山中湖―西湖-河口湖-青梅
走行距離:224km
平均燃費:13.7km/L

福島 晃