長期レビュー

正田拓也の中古「サンバー」生活

第2回:名義変更して穴を塞いで走り始め!

自分の名義のナンバーがついた!

 数カ月のクルマ選びの後、予算優先でやってきたサンバーはボロ過ぎた……というが前回の話し。

 そこで、まずは堂々と走り回れるよう、最低限の補修と名義変更までやってみたいと思う。最低限といってもいろいろだが、とりあえず雨漏りをなくすこと。そして乗り始める前に必要なのが名義変更。軽自動車なので「登録」とは言わず「届け出」になるのだが、手続き的の方法や手間は白いナンバーの登録車とだいたい似ている。

軽自動車の名義変更はちょっと違う

車検ありの個体なのでナンバーは付いているが、元の所有者のナンバーを付けておくわけにもいかないのですぐに外しておいた

 なにはともあれ、これをやらないと始まらない。実は軽自動車の名義変更は筆者は初めて。オークション代行をお願いしたお店も、普段は軽自動車を扱わない店なのであまり詳しくはないとのことだ。調べた限りで登録車と違うことは以下のとおり。

・手続き場所は運輸支局でなく、軽自動車検査協会
・印鑑証明書は必要なく、住民票の写しでOK
・前の所有者の公的書類は必要なし
・用紙が異なる
・封印がないので、ナンバーが変わる際も車両の持ち込み不要
・「税止め」という手続きが必要
・車庫証明は届け出なので、新しい車検証をもらった後で警察署に行く

 名義変更を今後も自分でやるつもりのない人も、軽トラに限らずこれから軽自動車を持とうという人も覚えておいてほしいのが「税止め」。どちらかというと売る人が注意すべきなのが「税止め」だ。

「税止め」とは軽自動車税を止める手続き。軽自動車は登録車と違って市区町村から税金が徴収されるため、名義変更後に軽自動車税の申告をしても前の名義の市区町村に連絡が行かない。同じ都道府県内なら連絡が行くらしいが、違う都道府県の場合は前の市区町村に税金を止める手続きをしておかないと、前の使用者にも軽自動車税の請求が行ってしまう。

「税止め」は自分で前の市区町村に連絡して行なってもよいが、簡単で確実なのは名義変更の際、軽自動車検査協会で同時に頼んでしまうこと。有料だが、ほとんどの人はこれを利用しているという。売買の条件で、軽自動車検査協会で依頼して「税止め」の控えを前の所有者や仲介者に送ることを要求されることもある。今回も取引の条件に税止めの控えを出すように言われていたので、迷わず軽自動車検査協会に依頼した。料金は約1000円。

 登録車と違って軽自動車の名義変更に手数料はかからないが、税止めでお金がかかるため、実際に登録に要する費用は登録車とあまり変わらない。

 そして安いのは警察署で払う費用。車庫証明は「届け出」だけなので、通常2000円前後かかる車庫証明申請費用はなく、車庫証明のステッカー代の550円が請求されただけ。警察署でかかる費用だけはリーズナブル。そして、登録車の車庫証明は申請と受け取りで2回出向く必要があるが、軽自動車は届け出だけなので1回で終了する。

 名義変更で特徴的なのは、軽自動車はナンバーの封印がないので、ナンバーが変わる場合でもクルマを持ち込む必要がないこと。別のクルマに乗って行ったり電車やバスで名義変更の手続きに行ったりしても大丈夫。古いナンバーを返却して新しいナンバープレートだけ持ち帰ればよいからだ。

 なお、自分で名義変更をする場合に間違えないでほしいのが、手続き場所が登録車と異なること。地域によっては運輸支局と隣同士というところもあるが、遠く離れている場合もある。東京23区は品川、練馬、足立ナンバーともすべて離れており、例えば品川ナンバーの場合、登録車の運輸支局は鮫洲の運転免許試験場の隣だが、軽自動車の軽自動車検査協会は品川駅からレインボーブリッジ方面に歩いて15分ほどのところと、全く別の場所になる。

軽自動車検査協会の例。登録車の運輸支局とは別施設となる
自分のナンバープレートをもらえた! 封印作業がないので持ち帰ってナンバー装着だ

続いて補修の続き

下をのぞきこむ。フレームには穴や大きな錆はないようだ

 錆だらけのボディは見れば見るほど心配になるが、サンバーのボディはフレーム構造。キャビンに錆で大穴が空いていても、水が入ってくるだけで即クルマが崩れてくるわけではない。そこで、気を取り直してフレームの確認をしてみる。

 ボディの錆のひどさとは反対に、フレームはうっすら錆が見える場所はあっても穴があいたり腐ったりしている部分はない。シャシーブラックを車検のたびに吹き付けていたと思われることも幸いしているのかもしれない。走ってみて剛性感を感じたように、フレームは今のところ問題はなさそうだ。

 そこで、急いでやることは穴ふさぎ。特にフロントシートの裏側にあたる部分の穴がひどく、雨が降るとキャビンの後方に当たった雨水のほとんどが車内に入りシート下に貯まるようになっており、さらにあふれた水は足下まで流れてくる。シート下には前所有者のゴミ類がたくさん挟まっており、それが水を含んで……という想像したくない状態になっている。

 穴を完全にふさぐには、シートを外して運転席後方にあるコンピュータとリレーボックスを外し、通気口も外した上で、広範囲にエアコン用のガムを詰める必要がある。シートはボルトで止まっているが、外してみると通常はアクセスできない助手席の背もたれ側と運転席の座面下にいろいろなものが挟まっている。見たくないものも多数あったので即ゴミ袋へ。

 大量の泥をきれいにしてシート下のカーペットも洗浄し、これで汚いものは車内からほぼ追い出した。

シートとコンピュータの保護シートを外すと泥やゴミが溜まっていた
泥のアップ。こんなものが室内にあったのだ……
泥をほぼ拭きとったところ。錆は少し残っている
床下へ抜けるダクトを外したところ
あまりきれいではないが、ダクトやコンピュータなどを元通り組み上げたところ
カーペットも洗浄。完全にはきれいになっていないが泥はなくなった

シガーライターソケットを装着

 買ったボロサンバーのグレードは「TB」。贅沢装備が何もついてないグレードで、シガーライターソケットすらない。これは車内でUSB電源を取る場合でも困るので、まず最初のモデファイとしてシガーライターソケットを装着する。

 実はこれ、非常に簡単で安価なのである。ソケットも汎用品で、秋葉原のパーツ店の千石電商なら300円以下で手に入るものなのだ。

MT車だけにある小物入れを外すと中に配線が見える。これがシガーライターソケットの電源
秋葉原のパーツ店で買ったシガーライターソケット

 ソケットがあるべき場所についていたフタを外し、ソケットのネジ込みを回して取り付ける。配線はすぐ後ろにビニールテープで止まっているので、これを外してソケットの裏の端子に差し込むだけだ。ほんの数分と部品代300円でできることなので、サンバーオーナーでシガーライターソケットのない人はすぐにやっておくべきだ。

配線が付くかどうか仮止めした。電源が入った状態でこれをやるとショートするので、バッテリーを外すなどの対策は必ず行なってから作業をする
シガーライターソケットを取り付けたところ
シガーライターソケット完成の図。これでアクセサリー類の利用ができる

走行準備は完了! これでどこでも走れる

 本当はまだまだやりたいことはあるが、まずは走り回っても大丈夫な状態となった。

 インプレッションは次回に回したいが、非常に軽快に走りまわることができる。絶対的に小さいボディで、ショートホイールベースなので回転半径も小さい。今まで切り返しが必要だった場所でも簡単に回れてしまう。また、小ささから心配していた長距離走行や高速道路走行も意外に快適だ。

 そして、なんといっても荷台の便利さは格別だ。最初に実感したのが自転車が簡単に運べること。出先に自転車を持っていきたいとき、軽トラならさっと荷台に乗せてしまえば大丈夫。また、雨が降ったときに家族を自転車ごと駅まで迎えに行くということも簡単にできる。

 さて、やっと走り始めたボロサンバー。次回は走ってみた感想を語ってみたい。

正田拓也

Photo:安田 剛