【ETC休日特別割引】東京~岡山~四国1500kmの旅(前編)
休日特別割引は予習しておかないと損をする

エスティマハイブリッドで岡山を目指す

2009年3月27日~30日




 いよいよ、3月28日から高速道路の休日特別割引が始まった。ドライブ好きで旅行好きな記者にとってはとてもありがたい話。もちろんCar Watch編集部としても高速道路上限1000円化は気になる話題。一同、さっそく日本各地に出かけてみることにした。

東京都千代田区にある会社から出発。一度自宅により調布ICから中央道に乗る

エスティマハイブリッドで岡山を目指す
 記者の目的地は岡山だ。ちょうど割引が始まる28日から岡山国際サーキットで「ドライブ王国」というトヨタ自動車のイベントが開催されるため、その取材もかねての旅となる。なお、ドライブ王国の内容は別の記事にまとめてあるので、関連記事をご覧いただきたい。

 東京から岡山まではおよそ700km。途中名古屋と大阪で渋滞にはまることが予想されるため、10時間ほどで到着すればよいほうだろう。旅の相棒はトヨタ「エスティマハイブリッド」のG“レザーパッケージ”。距離を走るので、少しでも燃費のよいクルマを選ぼうと思っての選択だ。広い車内は、途中のSA(サービスエリア)での休憩にも向いてそうだ。

駒ヶ岳SAは雪で真っ白。雪に不慣れな記者にはかなり不安だ

金曜日に乗っても土曜日に降りれば1000円になるのか実験
 さすがに距離が遠いので、出発は前日の金曜日とし、途中1泊することにした。休日特別割引は土日を挟んでさえいればよいので、金曜日に高速に乗っても、日付をまたいで土曜日に降りれば1000円になるはず。なので、金曜日は中央道を経由し、東京から約400kmの岐阜県羽島市を目指す。予定ではその辺りに着く頃には0時を過ぎているはずだ。なぜ羽島を選んだかというと、0時過ぎでもチェックインできるホテルがあったから。ビジネスホテルなどでも、0時を過ぎるとチェックインできなくなってしまうホテルは多いのだ。

【お詫びと訂正】記事初出時、「岐阜羽島市」と記載しておりましたが、正しくは「岐阜県羽島市」です。お詫びして訂正させていただきます。

 いざ出発して中央道に乗ってみると、交通量は多いものの金曜の夜ということを考えに入れても驚くほどの交通量ではなかった。しかし駒ヶ根IC(インターチェンジ)の辺りで突然の吹雪に見舞われてしまいペースダウンを余儀なくされた。結局、羽島に着いたのは土曜日の1時30分過ぎ。時間は押してしまったが、ETCレーンの料金表示には予測どおり「割引 普通 ¥1,000」と表示され、まずはひと安心だ。都心からだと八王子料金所までが大都市近郊区間になるが、この区間は料金一律区間で別料金となり、八王子料金所~岐阜羽島IC間の通常料金は7600円。割引が始まってわずか1時間30分で6600円も得をしたことになる。

JR岐阜羽島駅前にあるビジネスホテルの「サンホテル岐阜羽島」

割引開始初日のSAは朝6時から混雑
 1日目の宿である「サンホテル岐阜羽島」を朝6時過ぎに出発。初日に取材を行う岡山国際サーキットまでは、残すところ約300km。目標としては10時30分までに到着したい。再び岐阜羽島ICから名神高速に乗り岡山を目指すが、昨晩とは打って変わって交通量が多い。養老SA(サービスエリア)に寄ってみるとすでに駐車場は満車寸前だった。朝6時台にこの混み具合というのは、やはり割引効果なのだろう。

 渋滞するほどではないものの、交通量の多さでペースが上がらず、吹田JCT(ジャンクション)から中国道に入る頃には8時を過ぎていた。さらに宝塚を先頭に17kmの渋滞が発生。見れば高速と平行して走っている一般道は比較的スムーズに流れている。このままでは取材に間に合わなくなってしまうので、中国豊中ICで1度降り、一般道で2つ先の宝塚ICまで行くことにした。

朝6時50分の養老SA。駐車場はすでに大混雑中国豊中IC手前で宝塚まであと60分の表示

渋滞でも我慢したほうが高速代は安くなる
 しかし実はこれは失敗だった。記者は勘違いをしていて「どうせ上限1000円が適用されない大都市近郊区間だから、1度降りても全体の高速代に大差はない」と考えたのだ。東京の場合、大都市近郊区間を通過するためには一度首都高なり一般道を使った乗り継ぎが必要となる。たとえ首都高を使った場合でも、一度料金所を通過するため、高速を降りたのと同じことになるのだ。そのため、乗継特例が実施される4月29日になる前は、乗り継ぎ前後の地方区間でそれぞれ上限1000円が発生することになる。つまり、間の大都市近郊区間で1度降りても、トータルでの価格には、あまり差は発生しないのだ。(きちんと調べたところ圏央道だけは乗り継ぎせずに通過可能だった)

 記者は、そのことが頭にあったので「大都市近郊区間で降りても価格に差はない」と思い込んでいたのだが、大阪の大都市近郊区間は、阪神高速などに乗り継ぎせずに通過できるルートがたくさんあるのだ。今回の名神から中国道や山陽道に抜けるルートもその1つで、この場合、4月29日からの乗継特例実施前であっても、大都市近郊区間を挟んだ前後の地方区間は、あわせて上限1000円になる。

 つまり、1度降りてしまったことで最大1000円分損をするということ。一度も降りずに岐阜羽島ICから備前ICまで走れば2500円だったところが、中国豊中ICで1度降りてしまったことで、岐阜羽島IC~中国豊中ICの2050円と宝塚IC~備前ICの1300円の合計3350円となってしまった。実際には高速道路を走る距離が減ったので、850円の損で済んではいるのだが。

 850円というと通常なら単純計算で大都市近郊区間の高速道路約27km分程度の金額なので、これで15分程度の短縮ができたなら悪くはないだろう。しかし休日の50%割引で計算すると、ちょっと損かな、という感じ。今後休日の渋滞が増えた場合に、1000円をけちるか、空いている一般道を走るか、ドライバーは苦渋の選択を迫られるだろう。

 ……などと自分のミスから話題をすり替えたところで話を先に進めよう。宝塚ICで再度中国道に乗り、西宮名塩SAで朝食、山陽道を通って備前ICを降りたのはすっかり予定時刻を過ぎた11時40分。岡山国際サーキット到着は12時過ぎとなってしまった。

西宮名塩SAの食事処、「官兵衛」の朝ごはん。鮭塩焼、豚汁、生卵が付いて680円同じく官兵衛の六甲おろしうどん700円。要は大根おろしうどんですねフードコートで売っていた豚まんで有名な神戸南京町 「皇蘭」の焼きそばまん。1個250円
日帰り温泉の「湯郷鷺温泉館湯郷鷺温泉館」は大人600円、子供400円。撮影中も次々とお客さんが来る人気の温泉だ

長旅の疲れを湯郷温泉で癒す
 どうにか無事ドライブ王国の取材を終了し、本日の宿泊地、湯郷温泉を目指す。湯郷温泉は岡山国際サーキットからも近く、美作三湯の1つ。ちなみに湯郷は「ゆのごう」、美作は「みまさか」と読む。その昔、円仁法師が白鷺が足の傷を癒しているのを見て発見したと伝えられる1200年もの歴史がある温泉だ。600円で入れる日帰り温泉もあるし、最近ではスパリゾートホテルなどもオープンしていて、若い女性にもお勧めだ。

 記者が泊まったのは「湯郷グランドホテル」。「旅のプロが選ぶ、5つ星の宿」にも4年連続で選ばれているホテルだ。「野の花会席部屋食プラン」は、2名1室で平日1万1800円、土曜日が1万5800円。牛肉しゃぶしゃぶや鯛の荒煮、やまめの塩焼きなど全11品の夕食に加え、バイキングも楽しめる朝食もセット。温泉は大浴場や露天風呂、足湯に加え、貸し切り風呂や岩盤浴も用意される。

鷺温泉館のすぐそばにある湯郷グランドホテル。宴会場などもある大きなホテルだ晩ご飯は野の花会席。お肉もお刺身も焼き魚も食べられてどれも美味!朝食は朝食会場でご飯とお味噌汁にバイキングがセット。朝から満腹になれます

 料理もおいしかったが、温泉が絶品で、熱すぎずぬるすぎず、ゆっくりとお湯につかることができた。先に入っていたおじさん達が「肌がツルツルや」「ほんまや、ツルツルや」と子供のようにはしゃいでいたのが印象的だった。おじさん達のおっしゃるとおり、見た目は無色透明なのだが、肌がツルツルになる。

現代彫刻家の空充秋氏造作の石積みモニュメントに囲まれた露天風呂。泉質はナトリウム・カルシウム・塩化物泉(低張性弱アルカリ性温泉)で効能は神経痛、筋肉痛、関節痛、うちみ、くじき、慢性消化器病、冷え性、痔疾、疲労回復など

 また、車で10分ほど走ったところにある大山展望台からは、秋から春にかけて雲海が見られることもあるとか。記者も朝5時に起きて足を運んでみたが、この時期はもう遅すぎるようで雲海は見られず。それでも夜明けに眼下に見下ろす景色は、一見の価値はあった。

大山展望台から望む吉野川。朝の霞に浮かぶ幾重にも重なった稜線が幻想的な雰囲気を醸し出す吉野川沿いには桜も咲いていた温泉郷のあちこちに円仁法師の像がある

 ということで、1日目の行程は無事終了。2日目からの模様は後編でお届けする。

(編集部:瀬戸 学)
2009年 4月 8日