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本番直前の2016年ル・マン24時間、公開車検が行なわれる
決勝レースは今週末の6月18日~19日(現地時間)
2016年6月14日 21:09
- 2016年6月18日~19日(現地時間)決勝
曇り時々雷雨といった形で始まった2016年の「FIA世界耐久選手権(WEC)第3戦 ル・マン24時間レース」。
2015年圧倒的な強さを見せて優勝を飾ったポルシェは、通常進化といったマシンを2台持ち込んだ。見たところカラーリング以外変化は見られないが、細部にわたってモディファイされている模様。
これに対してアウディはがらりとマシンを作り変えてきた。エンジンこそV6 4.0リッターディーゼルターボと変化ないものの、ハイブリットシステムはフライホイール式からリチウムイオン電池に変更を行ない、1周当たりのエネルギー放出量も2015年の4MJから6MJに引き上げた。ただし回生はフロントのみで行なわれ、ポルシェが採用している熱回生は行なわれていない。
シャシーに関しても方針が大きく変更され、2015年までのマシンとはまったく違う様相となっている。一番の違いはコクピットの位置で、かなり後方に設定された。フォーミュラと違い、フロントにウィングを設置できないスポーツカーにとって、ダウンフォースをいかに得るかによってフロントデザインが大きく変わってくる。アウディは、フォーミュラのようにハイノーズ化させることでこれを解決しようと考えた。
しかし、規則では「エンプティーボリューム」と呼ばれる空間をコクピット先端からステアリングホイールまでの間に設けることが義務付けられている。そのため、フロントバルクヘッドを小さくすることができずノースを細く高くするのは難しかったが、アウディはコクピットを後方にレイアウトすることによってこれを可能とした。
2014年、2015年からの伸びしろを見誤り、惨敗ともいえるレースを戦ったトヨタ自動車は、まずエンジンを自然吸気からターボに変更した。
V6 2.4リッター直噴ターボガソリンエンジンが搭載されたニューマシンは、回生方式こそ変化なく前後で行なうものの、2015年までのキャパシタからこちらもリチウムイオン電池に変更された。これによりエネルギー放出量も8MJを実現した。
カラーリングは一新されたが、さほど変化したように見えないシャシーはとにかくドラッグを低減することを目標に掲げ、なおかつ2015年同様のダウンフォースを確保することに注力。テストデーでロングランテストを行なうほどの走りを見せ、縁石を積極的に使えるほどシャシー性能はよさそうだ。トップタイムを狙った走りではなかったと思われるが、このテストで出したタイムでレースできるならば十分に優勝の可能性はあるだろう。
LMP1クラスに参戦するいずれのメーカーも、図らずもリチウムイオン電池を採用したマシンとなったが、それ以外は各メーカーがそれぞれの考え方で取り組んできているため、わずか3社での戦いではあるが見ごたえのあるレースが期待できそうだ。
来年から車両規定が変わるLMP2クラスでは23台ものエントリーを集め、その中には日本人ドライバーである松田次生選手の名前もある。
LM-GTEプロクラスでは、何といっても復帰したフォードGTの存在が大きい。しかもWEC参戦のヨーロッパワークス2台に加え、アメリカチームも参加する。今年からプロクラスは規則が変更になり、特にリアまわりのデザインが大きく変わっている。アストンマーティンはキットパーツでこれに対応したため、特にデザイン変更が顕著となっていた。