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BMW、新拠点「BMW GROUP Tokyo Bay」お披露目会で“次の100年”のビジョンを紹介
航続距離を高めた「i3」を今月から量産。「i8 ロードスター」は2018年デビュー予定
2016年7月12日 00:00
- 2016年7月8日 開催
ビー・エム・ダブリューは7月8日、東京 お台場の臨海副都心地域にBMW&MINIブランドの体験型販売拠点「BMW GROUP Tokyo Bay(ビー・エム・ダブリュー・グループ・トウキョウ・ベイ)」をグランドオープン。同日に報道陣やディーラー関係者などに向けた施設内覧会を実施したほか、独BMWが3月7日に創立100周年を迎えたことを受け、これまでの振り返りと次の100年に向けた施策などを紹介する記者発表会を実施した。
MINI JCWやBMW Mなどを含む100台以上の試乗車を用意
新拠点のBMW GROUP Tokyo Bayに与えられた目玉施設の1つであるセンター棟・コンファレンスホールで実施された記者発表会では、最初にビー・エム・ダブリュー 代表取締役社長のペーター・クロンシュナーブル氏が登壇。クロンシュナーブル氏は「この新施設は象徴です。BMWグループのグローバルにおける成長だけでなく、日本市場に対する将来に向けたコミットメントです。日本では800人以上の社員がいて、そして全国に数百のショールームがあります。昨年私たちは7万台以上の車両を販売して記録となりました。さらに今年も対前年で8.9%増のペースとなっています。これは高級輸入車試乗で最も高い成長となっており、大変嬉しく思っています」と同社が好調を維持していることを紹介。
また、「MINI、ロールス・ロイスが私たちのラインアップに加わったことにより、私たちは毎年成長を記録的に高めることが可能になっています。また、幅広い年齢層の人に訴求できるようになっています。MINIはまさにプレミアムコンパクトカーというコンセプトの先駆けになっており、常にこのブランドが愛され、これからも愛され続けることを願っています。同様に私たちのバイクも人気を博しています。モトラッドのファンという人は、私たちのバイクが提供する自由とわくわく感というものを高く評価してくれています。一方でロールス・ロイスは、ほかにはない高級感のベンチマークを示し続けています。そこには最高のマテリアル、妥協のない質へのこだわりというものが存在します。過去の100年間で、私たちは小さな航空機用エンジンのメーカーから、世界におけるモビリティサービスのトッププロバイダに成長してきました」と語り、これまでの歴史をふり返った。
この歴史解説のなかで、同社が“フューチャーリテール”というユーザー目線で物事を捉える考え方に取り組んでおり、グランドオープンさせたBMW GROUP Tokyo Bayはこの原則をもとに構築されていると説明。施設内の目玉となる代表的な設備について解説した。
最後にクロンシュナーブル氏は、「実際のところはみなさん自身で体感していただきたい」と語り、「私もこの場に来るたびに新しい興奮を見つけています。このBMW GROUP Tokyo Bayはショールーム以上のものであると確信していますし、みなさんにも来ていただければ『また来たい』と感じていただけると思います。ここでいろいろな体験、そしてブランドに出会っていただきたいのです。MINI JCWやBMW i、BMW Mを含め、ここでは100台以上の試乗車を用意しておきます」と、新施設の魅力についてアピールした。
「自動運転は第一義的にはドライバーの補助となるシステム」と永島氏
クロンシュナーブル氏に続き、独BMWのBMWデザイン部門 エクステリア・クリエイティブ・ディレクターである永島譲二氏による「BMWデザインの未来」と題するプレゼンテーションも行なわれた。このなかで永島氏は、3月7日に実施された創立100周年記念式典の場で初公開された最新のコンセプトカー「BMW VISION NEXT 100」を取り上げ、このコンセプトカーを「私たちBMWデザインの将来に対する理想や夢が込められたモデル」と説明し、このBMW VISION NEXT 100の解説を中心にプレゼンテーションを進めた。
永島氏は「このクルマには自動運転のテクノロジーが組み込まれています。これはBMWのコンセプトカーとしては初めてとなるものです。未来のモビリティ、そしてドライバーからの要求は多様化するであろうということで、そんな要求に応えられるようにしたいというのが基本的な考えです。デザイン面の特徴では、まず、ダッシュボード先端位置にあるシーソーのように動く『コンパニオン』。これはこのクルマの頭脳のような働きをするものです。センサーとナビのシステムがいろいろな情報を集め、それをコンパニオンが選択して、瞬間ごとにドライバーに必要なインフォメーションだけを提示する役割となります。各種情報はフロントウィンドウに投影され、視線の位置をあまり動かすことなく、正面を見ながら必要な情報がきちんと目に入る。そうした意味で、このクルマの自動運転のシステムでは、第一義的にはドライバーの補助となるシステム。つまり、“どのようなドライバーでも最高のドライバーとする”という補助になるのが自動運転のシステムだと私たちは考えています」と説明し、BMWにおける自動運転の考え方を示した。
「i8 ロードスター」は2018年に市場投入予定
このほか、独BMW BMWセールス&マーケティングおよびBMW Groupセールス・ネットワーク担当 取締役上級副社長のイアン・ロバートソン氏からは、この先の100年を見据えて発表したグローバル戦略“ストラテジー ナンバーワン ネクスト”の4つの施策についての解説などが行なわれた。
このなかでロバートソン氏は「我々は現時点で、世界で最も著名でパワフル、100年という歴史を持つ『エンジニアリング会社』だと考えていますが、それを『グローバルテックカンパニー』に変身させていこうと思っています。我々の未来の姿はテックカンパニーです。単に最高のクルマを製造するということに止まらず、未来のモビリティサービスを形成するという役割が自分たちにはあると思います。A地点からB地点までの移動というものが、これまでの100年より、これからの10年のほうが大きく変わっていくと思います。そしてそんな変化を支える技術について、我々は『AECS(エイシス)』という言葉で呼称しています」と述べ、「このAECSは、まず自動運転の『オートノマス』のA、ゼロエミッションの『エレクトリシティ』のE、さらに『コネクテッド』のCと『シェアリング』のSを組み合わせたものです。この4つの要素が我々の戦略の基盤になると考えています」と説明した。
AECSの4要素のなかで、今回の発表でロバートソン氏は自動運転と電動化の2つについて語り、「1週間前に自動運転で大きな発表をいたしました。それは、BMWとインテル、そしてオランダのモービルアイの3社が一体となり、5年間で自動運転向けのオープンプラットフォームを造っていこうということです。オープンプラットフォームなので他社でも使えるようにしていきますが、3社の強みや能力を合わせることで自動運転を実現していこうという考えで、我々はこれを「i NEXT」と呼んでおり、2021年に導入していきたいと思っています」と自動運転の施策について解説。
また、電動化では「私たちの『i3』と『i8』は、すでにすべての市場ですばらしい成功を収めています。さらに我々は、次世代のバッテリーをi3に向けて投入する予定です。もっと航続距離を伸ばしてほしいというお客さまの声に応えたもので、今月から量産が始まり、日本でもまもなくの出荷を予定しております。また、i8も非常にいいクルマで、ロードスターのバージョンを2018年に市場に出す予定です。その先にi NEXTがあります」と明らかにした。
荒聖治選手とヨルグ・ミューラー選手が「BMW M6 GT3」でデモランを披露
当日は記者発表会のほか、敷地内の「ドライビング・エリア」でBMWモデルの走行性能をアピールする「ジ・アルティメット・ドライブ」を開催。SUPER GTのGT300クラスに出場している「BMW M6 GT3」を、ワークスドライバーである荒聖治選手、ヨルグ・ミューラー選手の2人がドライブしたほか、全日本ラリー選手権のJN5クラス参戦車両の「MINI JOHN COOPER WORKS」で大橋逸夫選手が走行。また、エクストリームバイク スタントライダーの小川裕之選手が「BMW F 800 R」でデモ走行を披露した。
このドライビング・エリアは周辺のプロムナードから少し低い位置に設定されお台場観光に足を運んだ人に気軽に走行内容を楽しんでもらえるように考えられているということもあって、デモ走行の実施中には周囲に響くエンジン音とスキール音に多くの人が足を止め、スマートフォンで写真を撮ったりしながら眺めている姿が見かけられた。