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BMW、7月上旬オープン予定のブランド体験型販売拠点の名称を「BMW GROUP Tokyo Bay」と発表

次の100年を見据えた「新・都市戦略」。カーボンフレームを修理できる「木場サービスセンター」も新規オープン

2016年7月上旬 オープン予定

7月上旬のグランドオープンに向け「完成度96%」と紹介されたBMW/MINIのブランド体験型販売拠点「BMW GROUP Tokyo Bay」

 ビー・エム・ダブリューは4月14日、7月上旬にグランドオープンを予定するBMW/MINIのブランド体験型販売拠点の名称を「BMW GROUP Tokyo Bay」と発表。また、サブブランドとして運営しているBMW iの「i3」「i8」などのモデルで採用されているカーボンフレームの修理が日本国内で唯一行なえる同社サービス拠点「木場サービス・センター」が4月15日から営業を開始することも合わせて発表された。

“小さな島を1つ購入できる”約43億円を「BMW GROUP Tokyo Bay」に投資

ビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長 ペーター・クロンシュナーブル氏

 翌日に営業開始を控えた木場サービス・センターで行なわれた発表会は「BMW Group 都市圏投資案件について」と題され、大きなプロジェクトであるBMW GROUP Tokyo Bayや木場サービス・センターの新設のほか、3月に迎えたBMWグループの創業100周年を念頭に置いて“今後の100年”に向け、今後のグローバル展開や国内戦略などについて紹介された。

 プレゼンテーションを行なったビー・エム・ダブリュー 代表取締役社長のペーター・クロンシュナーブル氏は、この木場サービス・センターを「2015年から続けてきた大規模な投資案件で、最も新しく完成した施設」と紹介し、「弊社がお台場に大規模なブランド体験施設を造っていることはみなさんもご存じかと思います。しかし、それだけはありません。本日は都市圏で行なう主要な施設投資についてご紹介します」と語って説明をスタートした。

 クロンシュナーブル氏は、3月に迎えたBMWグループの100周年に関連してこれまでの歴史を簡潔に紹介。さらに日本に関しては、1981年に初めて自社で輸入販売会社を設立した海外メーカーであることをアピール。35年にわたってさまざまな点で市場をリードしてきたと語る。また、“今後の100年”に向けた多岐に渡る戦略のうち、とくに日本市場と関連の大きい重要な分野について解説を実施。

 製品と技術の分野では、新しい形の自動運転機能とデジタルコネクティビティを、“新世代のエレクトリックモビリティ”や軽量構造、先駆的なインテリアデザインと合わせて実現する「BMW iNEXT」について触れ、さらにプラグインハイブリッドカーについてはすでに第3世代と呼ばれる製品に進化。続く第4世代では電気による航続距離が伸び、すでに第5世代の開発もスタートしているという。

 自動運転についてイニシアチブを取る「Project i 2.0」では、高解像度のデジタルマップ、センサー技術、クラウド技術、AI(人工知能)にフォーカスしていくという。また、7シリーズに投入した先進的な自動化技術について、今後はほかのモデルでの展開も行なうと明かした。

3月にドイツ・ミュンヘンで開催された創立記念イベント。コンセプトカー「BMW VISION NEXT 100」が公開されたほか、“今後の100年”に向けてさまざまな提案が行なわれた
「BMW iNEXT」が取り組む先進技術
プラグインハイブリッドカーもラインアップを拡大している
「リモート・パーキング」「ステアリング&レーン・コントロール・アシスト」といった自動化技術をほかのモデルでも展開する予定であることが明らかにされた

 日本市場での戦略では、ブランドとデザイン、カスタマーエクスペリエンス、サービスに重点を置いており、新たに発表した2つの施設投資は、まさにこの重点に資する「メトロポリタン・オフェンシブ(都市戦略)」と呼ぶものであると説明した。日本市場においてBMWとMINIは6年連続で販売台数を伸ばしており、MINIブランドは初めて年間2万台を超える販売を達成する勢いを見せている。この状況をさらに伸長させる余地があり、そのために、ラグジュアリーブランドにふさわしい“特別なおもてなし”を保証すること、自分たちのブランドに興味を持ってくれる人とつながるための新しい手法を提供することが必要だと解説された。

 このために、東京、名古屋、大阪という3大都市圏がとくに重要で、ここでは周辺からの人口の流入があり、日本国内でも大都市圏では人口が増加傾向にあるという。この3大都市圏でより多くの顧客を確保していくことが重要で、投資も拡大しているとの分析を紹介し、同社でも都市部でのプレゼンスを高めるべく、すでに数十億円規模の設備投資を積極的に展開しており、一例として虎ノ門ヒルズ近くにある「BMW i Megacity Studio」を紹介。このほかにも3大都市圏で規模の大きな投資を複数行なっており、「これらの活動が都市部での最高の顧客体験につながることを確信している」とクロンシュナーブル氏は語った。

収益性を高めていくための戦略的アプローチ
2015年にBMWとMINIで合わせて6万7312台を販売。この数字は「カーインポーターとしてトップ」であるという
先進的な「BMW i」のモデルに気軽に試乗できる「BMW i Megacity Studio」
2015年10月に東京都杉並区から渋谷区の笹塚に移転した「BMW Tokyo 笹塚サービス・センター」
関西圏ではディーラー網を強化

 こうした施設投資のなかで「最大規模の投資」と評されるのが、7月上旬にグランドオープンを予定する新しいブランド体験型販売拠点。東京 お台場の2万7000m2以上の敷地を利用するこの新施設は、この発表会で名称がBMW GROUP Tokyo Bayであると明らかにされたほか、投資総額が約43億円となり、クロンシュナーブル氏はこの金額について「小さな島を1つ購入できるほどの額」と表現した。

 この新施設については、1月に開催された「330e」「225xe アクティブ ツアラー」発表会の席で概要については紹介が行なわれており、BMWとMINIを販売するディーラーとしての機能を持つほか、車両展示、敷地内で試乗やドライバートレーニングといったプログラムが実施されることがアナウンスされていた。今回の発表では、敷地内に100台を収容可能な来場者用駐車場、ネスレのエスプレッソマシン「ネスプレッソ」と特別タイアップしたカフェ、ライフスタイルショップなどが設置され、試乗などを行なうドライビング・エリアにはスキッドパッド、ウェット路面再現、ブレーキング&レーンチェンジなどのゾーンが用意されるといった詳細が公開された。

 また、4月15日にオープンする木場サービス・センターも施設投資によるカスタマーサービス部門の充実を図るもので、最新のサービス・センターを東京都内に設置。今後も増加していくBMW/MINIモデルに対応し、さらに最新モデルに導入されているCFRP(炭素繊維強化プラスチック)や電動パワートレーンを取り扱えることも大きなアピールポイントとなっている。駐車場は360台を収容可能で、1階は車検、プログラミング変更などを行なうワークショップ、2階はフレーム修正なども可能な板金エリア、3階は塗装やボディコーティングなどを行なうエリアとなっており、2階では日本国内にあるサービス・センターで唯一CFRPの修理が可能なワークショップとなっている。

 最後にクロンシュナーブル氏は、「日本での3大都市圏における施設投資、グローバルでの“ストラテジー ナンバーワン ネクスト”の展開により、私たちは今後の継続的な成長に対して大きな期待を寄せています」と口にしてプレゼンテーションを締めくくった。

新しいBMW/MINIのブランド体験型販売拠点「BMW GROUP Tokyo Bay(BMWグループ東京ベイ)」
Mモデルを並べて紹介する「Mコーナー」
BMW GROUP Tokyo Bayの施設概要
BMWとMINIのショールームを接続するエリアは「センターホール」となり、同社の新車発表会などのほか、イベントスペースとして社外にも貸し出していく予定とのこと
約1万2488m2の延床面積を持つ木場サービス・センター。社員数は50名
木場サービス・センターの施設概要

7月上旬グランドオープン予定のBMW GROUP Tokyo Bay

 発表会の終了後、BMW GROUP Tokyo Bayと木場サービス・センターの施設見学ツアーが実施された。

 東京 お台場のBMW GROUP Tokyo Bayは、住所としては東京都江東区青海2丁目79番12となり、周囲にはトヨタ自動車のアミューズメント施設である「メガウェブ」、新車発表会などでもたびたび登場する「日本科学未来館」などがあり、この週末に迫った「モータースポーツジャパン 2016 フェスティバル イン お台場」などのイベント会場となるエリアも近く、クルマに興味がある人にとってはなじみ深いエリアとなっている。

 今回は7月上旬グランドオープンに向けて建設作業が続けられているということから、周囲の道路を移動しながらポイントを解説される形式での見学となった。現在の完成度は「96%」とのこと。土地は東京都から12年の定期借地の契約で借りているが、近在のメガウェブも当初の契約期間を延長して利用が続いていることを例に挙げ、「我々も20年、30年と使い続けられるような構造にしている」と解説された。

メガウェブに近い敷地北側の角にあるMINIショールーム。壁面からケーブルが伸びており、完成後はMINIのロゴマークがライトアップされる仕様であることをうかがわせる
左側のMINIショールーム、右側のBMWショールームを接続するセンターホール。奥に見えるガラス張りの建物はフジテレビ湾岸スタジオ
センターホールとBMWショールーム。奥にあるのは日本学生支援機構 東京国際交流館
BMWショールームにはBMWのラインアップモデルなど全28台を展示する
来場者向けの駐輪場を2カ所に設置
BMWショールーム背面の屋外エリアに認定中古車を20台展示するスペースを設定
認定中古車の展示スペースとドライビング・エリアのあいだに100台分の来場者駐車場を用意する
110m分の直線コースも設定可能なドライビング・エリア
路面の一部はまだ敷設前だった
ウェット路面を再現する水の散布は、建物内からスイッチ操作でON/OFFを切り替え可能
周辺のプロムナードから少し低い位置にドライビング・エリアがあり、通行中の人にも試乗シーンを見てもらえる設計となっている
ドライビング・エリアの周囲にはライトが置かれ、夜間にも試乗などが行なえるほか、夜祭りやフェスなどのイベントでも使ってほしいと考えているとのこと

4月15日に営業を開始する木場サービス・センター

木場サービス・センター。住所は東京都江東区塩浜2-4-7
駐車スペースにチャデモ対応の急速充電器を設置
受け付けスペースでは純正用品やアパレル製品などを展示、販売
1階のワークショップスペース。シリンダーリフトを8基、2柱リフトを備えるワークベイを2カ所設定
シリンダーリフトのスペースに、イメージ用に「X1」が駐車されていた。X1との比較で、高くリフトアップできる構造であることが把握できる
ルーフからLEDのハンドライトなどに加え、エンジンオイルを注入できるガンも用意されている。ガソリンエンジン用とディーゼルエンジン用の2本がある
ワークベイに設置された2柱リフトは、操作パネルを両側に備え、どちらで作業していても車両の上げ下げが行なえるよう工夫されている
OBD2コネクタで接続し、プログラムを書き換えるプログラミングベイ
2階の板金エリアでは、「i3」を使ってカーボン・フレームの補修などについて紹介
フレーム修正器
3階の塗装エリア。ルーフに設置する照明を通常の2ラインから3ラインに増やし、屋外の明るさに近い環境で色合いを見極めながら塗装できるようになっている
リフトを備えた塗装ブースも設置。下まわりの塗装は作業担当者にとって大きな負担になるため、逆に車両の方を高く持ち上げて効率を高めている
塗料を混ぜ合わせて車両のボディコンディションに近づけていく調合室
塗装面をチェックするスペース。ボディ表面のラインなどを見極めるための蛍光灯などが設置されている
塗料の感想を早めるヒーターは、ルーフから吊り下げているものとローラーで自在に移動できるものの2種類を用意

(編集部:佐久間 秀)