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ホンダ、「2016 鈴鹿8耐 Hondaファンミーティング」で8耐参戦ライダーが意気込みを語る
2016年7月15日 22:44
- 2016年7月15日 開催
本田技研工業は7月15日、東京 南青山のホンダウエルカムプラザ青山で「2016 鈴鹿8耐 Hondaファンミーティング」を開催した。
7月28日~31日に鈴鹿サーキットで開催される国内最大級のバイクイベント「2016 FIM世界耐久選手権シリーズ第3戦“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第39回大会」(鈴鹿8耐)に、ホンダは「F.C.C. TSR Honda」「au&Teluru・ Kohara RT」「TOHO Racing」「MuSASHi RT HARC-PRO.」の4チーム体制で臨むことはすでにCar Watchでも関連記事「【鈴鹿8耐】ホンダ、被災した熊本製作所から社内チームが参戦」で紹介しているが、同日のイベントに出演したF.C.C. TSR HondaとMuSASHi RT HARC-PRO.の鈴鹿8耐参戦選手とチーム監督にインタビューする時間が設けられたので、その模様をレポートする。
「F.C.C. TSR Hondaチームは“世界最速のコーナーリング”を目指したチーム」と藤井監督
2015年の鈴鹿8耐で2位を獲得したF.C.C. TSR Hondaチームからは、藤井正和監督とMFJ全日本ロードレース選手権シリーズ JSB100クラスに参戦している渡辺一馬選手、FIMスーパースポーツ世界選手権シリーズ(WSS)参戦中のパトリック・ジェイコブセン選手の3人が登場。
まず最初に、鈴鹿8耐に対する思いについて藤井監督は「なんと言っても8耐のためにレース活動をしているので、参加できることが嬉しくてたまらない。その嬉しさをみんなと分け合いたい」とコメント。渡辺選手は「このチームから8耐に出られることを光栄に思っているし、感謝している。今年の鈴鹿で勝つことを目標に1年間やってきているし、そのために『ル・マン24時間』や『ポルトガル12時間』などの耐久レースに出てきたので、その成果を示すためにライダーとして精一杯のことをするし、チームやファンに対しての恩返しの気持ちを結果で表せるようにしたい」と意気込みを語った。
ジェイコブセン選手は「今回、初めて鈴鹿8耐に出場することになったが、経験豊富な藤井監督と一緒なことも楽しみ。厳しいし困難なレースになることが予測されるが、セッションを続けるにつれてスピードが上がってきて調子も上がっているし、(ドミニク・エガーター選手と)3人で走ることも含めて8耐を楽しみにしている」と、鈴鹿8耐に対する希望を話した。
鈴鹿8耐の魅力について藤井監督は「8耐って、1つのシンボルであり巨大な山。毎年そこにチャレンジするが、気候などの条件が違ったり、いつも違う。そのなかで今年は、鈴鹿8耐の前に違う山である『ル・マン24時間』や『ポルトガル12時間』に挑戦することで自分たちを鍛えてきた。戦い方、捉え方、チームメンバー選択などの能力を得て、チーム一丸となって取り組んでいくのが我々の考え方。8耐は戦略的にも取り組み方にも、いろいろなアプローチができるレースだと思っている」と、チームのアプローチの仕方についても語っている。
渡辺選手は「8耐は子供のころから観ていた憧れのレースの1つ。そこで勝ち、表彰台に上ることに憧れ、目標にしてきた。今年はそのチャンスに限りなく近いし、プレッシャーもあるが、そんな舞台をこのチームで走れることは楽しみだし、チェッカー後の花火を表彰台の上から観たい」とコメントし、ジェイコブセン選手は「レースで好きなところは、一番難しいところを見つけて征服すること。鈴鹿8耐ではそれができると思っている。プラクティスでは自分はいい結果ではないが、チームみんなで力を合わせ、自分のパートで最大限の結果を出して次のライダーに繋げられれば、一番高いところが手に入ると考えている」と語った。
また、藤井監督は「総合力ではトップではないので、なにか違ったことをしないと勝てない。なので、“世界最速のコーナーリング”を目指したチームにするべく、600ccのライダーたち3人を集めた。同じホンダでも、ほかのチームとは根本的な考え方が違うと思うが、そうしないと勝てない。1コーナーやS字の進入スピードは最速ではないかと思う」と、他チームとの違いを明かした。
「ファンの心に残るレースにして『やはりホンダは強いのだ』と伝えられるよう努力する」と本田監督
MuSASHi RT HARC-PRO.チームからは、本田重樹監督と2013年、2014年の鈴鹿8耐で2連覇を達成した高橋巧選手とマイケル・ファン・デル・マーク選手、2006年MotoGPチャンピオンで鈴鹿8耐に13年ぶりに参戦するニッキー・ヘイデン選手の4人が登場し、2年ぶりの優勝を狙っていることをアピール。「昨年は残念な結果に終わった8耐だが、今年は高橋とファン・デル・マークにヘイデンと言う強力な助っ人が来てくれたので、彼らとともにチームワークを最大限活用して、去年忘れてきたトロフィを奪還するべく挑む」と、本田監督は今年の目標が1位に返り咲くことであると語った。
高橋選手は「昨年も最高のパッケージで頂点を狙えると思っていたが、アクシデントでリタイヤに終わり悔しい気持ちになった。今年も最高の環境と体制で走れることになったので王座奪還に向けて頑張る」とコメント。また、5日間全て参加したテストについては「正直、最初の公開テストでいい状態になっていてほしかったが、実際に詰め切れていないし、自分でも迷っている部分があったので、早く2人(ファン・デル・マーク選手とヘイデン選手)に乗ってフォローしてほしいという気持ちがあった。3人揃った2日間のテストは、完全に充実したものだったとは言えないが、直さないといけない部分が明確になった」と語り、8耐マシンはライダー1人に最適化するものではないことを解説した。
ファン・デル・マーク選手は「目標は1つで簡単。昨年得られなかったトロフィーを、素晴らしいレースによってもう1度手に入れること」と話し、ヘイデン選手は「8耐に参戦するのは勝つため。今までもたくさんのレースで勝つことができたが、有名で名誉ある鈴鹿8耐のトロフィーは獲得したことがない。MotoGPやスーパーバイクなど数多くのトロフィが自分のコレクションにはあるが、そこに8耐のトロフィも飾りたい」と、優勝への意欲について語った。
また、ヘイデン選手が加わったことについての感想を求められた本田監督は「ニッキーと一緒に仕事できることを楽しみにしていたし、彼がウチのバイクに乗ってくれるなんて夢のようなこと」と、チームに加わってくれたことに感謝していると述べ、「ニッキーは常に最先端のバイクに乗っているが、今回のマシンについてはシフトダウンが難しいと言ったので、『クラッチを使っているか?』と聞いたら『そんなもの、何年も使ったことないから忘れた』と笑わせてくれるキャラクターで、昨日今日に初めて会ったような気がしない」と、レースに向けてチームが明るい雰囲気になってきていることも語ってくれた。
本田監督は鈴鹿8耐の魅力について「普段はスプリントレースをしていて、ヨーイドンでスタートして一番でゴールすればいいので、マシンをライダーとトラックに合わせてラップタイムを上げていくことに集中するのが仕事だが、8耐は3人のライダーそれぞれが納得のいかないオートバイに乗ってベストを尽くさなければいけない。ライダーにとってはフラストレーションのたまるレースだと思うが、それを抑えて、チームとして優勝することを目指してがんばった結果、優勝できたらなにごとにも代えがたい喜びだと思う」と、ライダーの心境も観客に知らせたいという思いを話していた。