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グーグル、「Android Auto」発表会でパナソニック「ストラーダ」をデモ

既存アプリも簡単にAndroid Autoに対応可能

2016年7月13日 開催

Android Autoに対応したパナソニック「ストラーダ CN-F1D」

 グーグルは7月13日、車載向けソフトウェア「Android Auto」を日本国内で提供開始し、東京都内でAndroid Autoについて解説する記者発表会を実施した。

 Android Autoはグーグル製のOSであるAndroidをベースとした車載インフォテイメント向けソフトウェア。同ソフトウェアに対応したカーナビやクルマとAndroid搭載スマートフォンをUSBケーブルで接続することにより、スマホ内のアプリなどをカーナビの画面で操作できるようにする。Android 5.0以降に対応し、事前にGoogle PLAY ストア内にあるAndroid Autoのダウンロードページでアプリをダウンロードする必要がある。

Google Inc.Android Auto 担当プロダクトマネージャー ダニエル・ホール氏

 発表会では、米GoogleのAndroid Auto 担当プロダクトマネージャーであるダニエル・ホール氏が登壇。まず、Androidはモバイルの世界でオープンスタンダードを目指して開発され、「30日間のアクティブユーザーが14億人を数える」ほか、「40社ものOEMメーカーが400機種ものデバイスを生産している」「アプリケーションは過去12カ月のあいだに650億件のダウンロードが行なわれる」など、「素晴らしいモバイル体験がそこから提供されている」と振り返った。

 こうした結果、今では携帯電話やタブレットだけでなく、「アンドロイドウェア」という形で時計、そしてスマートテレビへの搭載も進んでおり、「その次」が自動車になるのは自然な流れであるとした。

 自動車向けソフトウェアを開発するにあたっては、「まず、ドライバーが携帯電話をどのように使っているかをリサーチした」と言い、それにより「真のデジタル体験をクルマのなかで行なうためには、大きな改善の余地があるということに気づいた」と解説。スマホはユーザーにとってパーソナルで信頼するデバイスであり、運転する最中も片時も離さないほど浸透しているが、「クルマに最適化されたものではないため安全とは言えない」とホール氏は語り、改善の余地がある部分、すなわち現行デバイスの問題点を挙げた。

 Android Autoではこういった状況を改善するとともに、Androidならではのエクスペリエンスをクルマの車内に持ち込むために、スマホを中心にシステムを構築。「スマホをクルマにプラグインすると、スマホからクルマのディスプレイをコントロールできるようにする」とともに、「タッチスクリーンやステアリングのコントロールボタンから入力が行なえるようにした」と説明。また、アプリケーションに関しても、ダウンロードやアップデートを「Google PLAY ストア」から簡単に行なえるようにすることで、「ディーラーに行くことなくクルマ用アプリケーションを最新にしておくことができます。エンタテインメントは常に最新状態、クルマの古さは関係ありません」と、スマホベースのAndroid Autoならではのメリットをアピールした。

Androidの現状
スマホやタブレットの次は自動車がターゲットになる
Android Autoはクルマの車内でも安全にスマホを利用できる
OAA(Open Automotive Alliance)には数多くのメーカーが参加

 開発にあっては「私たちはずいぶん多くの作業をAndroid Autoにはつぎ込んできた」と言う。最初にAndroid Autoを発表したのは2014年の「Google I/O」というディベロッパーカンファレンス。その1年後の2015年には、ヒュンダイ「ソナタ」がAndroid Autoの最初の搭載車として発表された。この間、グーグルは自動車業界とともに「OAA(Open Automotive Alliance)」を立ち上げており、40社もの自動車メーカーが参加を表明しているほか、すでに100車種がサポートしていると解説。「Android Autoは国際的にも広がりをみせており、すでに30カ国以上でこのような発表を行なって参りました。常にプロダクトのクオリティを担保するべく、今でも私たちはがんばっていますし、さらにより多くの国に訴求していきたいと思っています」とコメントするとともに、自動車業界において非常に豊かな歴史を持つ日本においてAndroid Autoを紹介できるのは「私たちにとっても特別なことだ」と述べた。

 ホール氏は、Android Autoにおいて重要なのは「ドライビングユーザーエクスペリエンス向けに最適化を行なうこと」であり、そのなかでもとくに重視したのが「安全性」だと言う。この点に関しては業界の専門家とドライビングエクスペリエンス向けに最適化することを試みており、「見なくても大丈夫な技術」を多数搭載しているという。それは例えば「音声認識」や「話している方向の認識」で、同時にタッチスクリーンやステアリング上のコントロールボタンと統合することにより、「より安全に、ドライバーが目を向けることなくこのような機能を使うことができるようになっているのです」と述べた。

 また、操作に関してはスマホを扱うのと同じように、シームレスで直感的な操作性を目指したという。これにより、スマホにインストールされているお気に入りのアプリケーションやユーザー設定、お気に入りのプレイリストなどが、スマホと同様に車内で楽しめるようになる。また、Googleならではのパワフルな音声認識をはじめ、「Google マップ」「Google Play ミュージック」などを、ステアリングから手を離すことなく、また前方の道路から目を離すことなく利用できるようになっている。

40以上のメーカーから100車種以上のモデルが登場
Android Autoはすでに30カ国以上で展開中
7月13日から日本でも提供を開始
Android Autoの特長-安全性を考慮した設計
Android Autoの特長-直感的でシームレスな操作性
Android Autoの特長-Googleのサービスを車内でも

 アプリに関しては「素晴らしいサードパーティのアプリケーションがなければAndroidとは言えません」と述べ、メディア、およびメッセージングのアプリケーション向けにAndroid AutoのAPIを開発した。アプリ開発者をサポートすることで機能の実装をうながし、そのアプリを利用するユーザーにとっては音楽、ポッドキャスト、オーディオブックプレーヤーと言ったメディアアプリをクルマの車内で、しかも運転している最中にエンタテインメントとして楽しめるようになる。「スマホを自動車にプラグインするだけで、車内にある大型のタッチスクリーンに自分のパーソナルプレイリストが表示される。これを目にするのは魔法のような体験でもあります」とホール氏。また、「お気に入りのアプリケーションを使うことによって通知を受け取ったり、あるいはメッセージを音声で再生したり、さらには音声で返信したりということができるようになります。これによって運転中のこうした操作がずっと安全になるのは明らかです」と、Android Autoのメリットを強調した。

 また、ディベロッパー側から見ても「単一プラットフォームでの開発によって、さまざまな車種、さまざまな地球上の地域に対応することが可能になることを意味します。素晴らしい自動車用のアプリを開発することができ、それによって多くの人に訴求することが可能となるわけです。最終的にはAndroidのアプリでありますので、既存のアプリも簡単にAndroid Autoに対応させることができます」と大きなメリットがあるとした。

 こうしたアプローチにより「すでに何百ものメディア、およびメッセージングのアプリがAndroid Autoをサポートするようになっており、さらに統合も進んでいます。インターナショナルな、あるいはローカルな、ときにはニッチなアプリケーションがAndroid Autoと統合を図っています。すでに日本で人気のある“AWA”のようなアプリもその中に含まれているのです」とし、こうした発表ができることを「大変嬉しく思います」とコメントした。

サードパーティ製のアプリにも対応
対応アプリは数百種類

 最後にホール氏はAndroid Autoについて、ドライビングに最適化されており、安全性をとても重視しているとした上で、「シームレスかつ直感的な操作ができる」「自分のパーソナルなデバイスをクルマに持ち込んでそれを統合することができる」とメリットを強調。「クルマのなかでグーグルのサービスを活用することが可能です。マップ、音楽、さらにはGoogle ナウ、音声認識。こうした機能が車内で可能となりました」と締めくくった。

日産自動車株式会社 グローバルコンバージョン&アクセサリー企画開発部 主管 石川雅博氏

 ホール氏に続き、Android Autoをサポートするディベロッパーの代表として、日産自動車 グローバルコンバージョン&アクセサリー企画開発部 主管の石川雅博氏、本田技術研究所 四輪R&Dセンター 主任研究員の京光達哉氏、パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 インフォテインメントシステム事業部 部長の高島浩二氏の3人がコメントを述べた。

 DOPナビなど車両IT系商品の企画開発などを担当する日産自動車の石川氏は、「多様なニーズとITに追従するために、毎年純正カーナビをモデルチェンジしている」と言い、2016年モデルとしてパナソニックと共同開発した「MM516D-L/W」を7月15日に発表、発売すると説明した。さらにこのモデルの兄弟機となる大型ディスプレイ搭載仕様を8月24日に発売予定の新型「セレナ」に用意すると述べ、「Android Autoは新型セレナの魅力アップに繋がると期待する」と語った。

株式会社本田技術研究所 四輪R&Dセンター 主任研究員 京光達哉氏

 本田技術研究所の京光氏は「2014年のOAA発足以来、Android Auto対応のインフォテイメントシステムを開発してきた」と語り、「2015年の北米アコードから適合を開始して、順次多くのお客様に使っていただいている」「日本ではクラリティ フューエル セル、アコード ハイブリッドがAndroid Autoに対応しており、順次適応を拡大していく予定」とした。

パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 インフォテインメントシステム事業部 部長 高島浩二氏

 2016年6月に、国内市販カーナビとして初めてAndroid Autoを搭載したカーナビを発売したパナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社の高島氏は、「IoTやコネクテッドカーといったキーワードが世の中に踊っている。一方で最新技術を搭載していない既存車、ベーシックモデルでもコネクテッドやクラウドサービスを体験してほしい」とコメント。これらのサービスについて「現時点での最短解は市販カーナビ+Android Autoと考えている。できるだけ多くのクルマ、ドライバーにこのような体験を提供していきたい」とした。

「ストラーダ CN-F1D」とスマホをUSB接続。接続中はスマホ側からは操作できない
メニュー画面にあるAndroid Autoのボタン
位置情報はクルマ側からの情報を活用
ルート探索
周辺検索
ルート案内中の画面
音声認識中。右上のマイクボタンがトリガーになっている
地図表示中にもメッセージなどを画面上に表示
利用するアプリケーションが複数ある場合はユーザーが選択できる
Google Play ミュージックのメニュー
Google Play ミュージック再生画面
ホーム画面