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日産、「アラウンドビューモニター」を活用した遠隔操作無人探査機の浅海実験に成功
試作ユニットは水深3000mで使用可能。限定的ながらも海中の3D表現を実現
2016年12月19日 21:26
- 2016年12月19日 発表
日産自動車は12月19日、日産の「アラウンドビューモニター」を装着する遠隔操作無人探査機(Remotely operated vehicle:ROV)試作ユニットによる浅海実験が成功したと発表した。
JAMSTEC(海洋研究開発機構)、トピー工業と共同で実施したこの実験は、内閣府が進める「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」で取り上げられている11の課題の1つとなる「次世代海洋資源調査技術」で扱われている研究開発課題「ROVによる高効率海中作業システムの開発」に日産のアラウンドビューモニターを応用した実験。また、この実験でJAMSTECは「高効率海中作業システム」、トピー工業は「世界初のフリッパー型全方向移動クローラー」という課題に取り組んだ。
日産が2007年に世界で初めて採用したアラウンドビューモニターは、クルマを真上から見ているかのような画像を作り出し、カーナビなどの画面に表示して駐車をアシストする運転支援技術。2011年には移動物検知機能(MOD)を追加しており、日産では「自動運転につながる要素技術」として技術開発を続けている。
この取り組みは2015年4月から続けられており、今回の試作ユニットは日本サルヴェージが所有するROVにアラウンドビューモニター、フリッパー型全方向移動クローラーを追加装着したもの。水中での実験の結果、ROV自身を任意の視点から客観視するような立体的な映像をリアルタイムで表示することに成功した。また、この試作ユニットは水深3000mで使用可能となっており、ジャイロと水中高度計を使って海底面を探知。アラウンドビューモニターに反映することで、限定的ながら海中の様子を3Dで表現するという。
さらにアラウンドビューモニターを活用することで、ROVが水中を浮遊して移動する場合でも船上で操作するオペレーターが海底やROVの状態を瞬時に把握でき、水中作業の効率を大幅に改善することが見込まれている。将来的には世界に1000台程度が普及している大型ROVへの活用、窓が小さく視野が極端に狭い有人潜水船の支援などの発展が期待され、今後は深海での動作確認を進めるとともに、共同開発によって培ってきた技術の産業化に向け、引き続き実験を継続していくという。
この発表のなかで日産は、自社で開発した技術やノウハウなどを多くの分野に展開する取り組みによって技術発展に寄与しつつ、無形資産の有効活用で得られる収入を新たな技術開発に投資して技術開発を進めるとしている。