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マツダ「デミオ」「ロードスター」のRCカーで競う「タミヤグランプリ全日本選手権 MAZDA Championship」

「走る歓び」を伝えるコラボレーションをメディア対抗レースで体験

2017年6月16日開催

「タミヤグランプリ全日本選手権 MAZDA Championship」を走行するCar Watchのデミオ

 タミヤの新型1/10 RCカー「M-07」シャーシを使った「MAZDA Championship」のメディア向けレース体験会が6月16日、タミヤ掛川サーキットで開催された。発売直前のマシンと、マツダ開発者も参加したレースの模様をお届けしよう。

 会場ではTRF(タミヤレーシングファクトリー)の鈴木清和氏、前住諭氏が「M-07」シャーシの開発意図や特徴を解説。マツダからは商品本部 本部長の野間幸治氏、ロードスター主査 兼 チーフデザイナーの中山雅氏が来場し、「MAZDA Championship」として協賛する目的や自身のRC歴を紹介。その後のレースにも参加し、メディア関係者を含めた13台で予選と決勝レースが行なわれた。

タミヤの鈴木清和氏(左)、前住諭氏(右)。Mシャーシは扱いやすさ、親しみやすさで人気のカテゴリー。「M-07」ではより走行性能を高め、メンテナンス性を上げるなど設計を一新。特に車体の剛性を高めたとコメント
デミオ 元開発責任者の野間幸治氏(左)とロードスター主査の中山雅氏(右)。実車とRCカーに共通する「走る楽しさ、意のままに操る歓び」を共有したいと協賛の意義を説明。野間氏はMRF(マツダRCファンクラブ)代表としても活動。中山氏は数十年ぶりにRCカーに触れたとのこと
サーキット全体。タミヤ掛川サーキットはエンジンカーでも使用される大型サーキット。2016年、全天候型施設にリニューアルされた
参加マシンの集合
スタート前に記念撮影。各メディアは事前に組んだ「M-07」シャーシにデミオまたはロードスターのボディで参加

Mシャーシで行なわれる「MAZDA Championship」

「MAZDA Championship」はタミヤ主催のRCカー競技会「タミヤグランプリ全日本選手権」の中で、「Mシャーシ」を使ったクラスとして開催される。「Mシャーシ」はRCカーで主流の「4WDツーリングカー」よりもコンパクトなモデル。2WD(FWDまたはRWD)のため初心者にも扱いやすいカテゴリー。従来の「M-05」「M-06」に加え、発売日以降は「M-07」が使用できる。

 国内17会場で開催され、各地の優勝者は「ワールドチャンピオン決定戦」への参加資格が得られる。また、入賞者にはデイトナキャップやカラーイラストなどが提供されることも発表された。

従来製品の「M-05」(FWD)
従来製品の「M-06」(RWD)
新製品「M-07 CONCEPT」(価格2万304円:6月24日ごろ発売)。体験会はノーマルのままだが、実際の大会ではチューンアップも可能
「ロードスター」「デミオ」のボディを装着。ホイールベースがロードスター/225mm、デミオ/239mmと異なるので、コースによってどちらが合うか、違いが生まれるかもしれない
賞品イラスト紹介

予選は2回、決勝レースは1回

 レース進行は予選2回、決勝レースを1回行なう。実際の大会ではどちらも規定時間(予選2~3分、決勝3~4分)の周回数を競うのだが、この体験会では予選のみ3分間で1周のベストラップを競うタイムアタック形式で行なわれた。そのタイム順位で決勝のグリッドを決め、4分間の周回レースを行なう。

コースレイアウトは操縦台に近い中央部のみを使用した。ラップタイムは17~19秒程。操縦台は高くとても見やすい。

参加車両はイコールコンディション

Car Watch デミオ
ボディ側面
ボディ後方
シャーシとボディ

 参加車両はロードスターとデミオのそれぞれでイコールコンディションとなり、「M-07 CONCEPT シャーシキット」と「ライトチューンモーター」「S-グリップ タイヤ」を無改造で使用。RCシステムも「ファインスペック 2.4G 電動RCドライブセット」で統一。Car Watchではボディにデミオを使用し、イメージカラーのメタリックレッドで塗装した。

 走行用バッテリーは「タミヤ LFバッテリー LF2200-6.6V」が各セッション毎に配給された。放電作業などの必要がないリチウムイオン電池だ。ドライブセット付属のニッカド電池は練習走行で使用した。

バッテリー
ゼッケンを貼ってレースの準備は完了

予選走行

 予選走行はデミオ、ロードスターに分けて行なわれた。ベストラップを競うので、クリーンに走る事が大切。

デミオ、ロードスターに分けて行なわれた予選走行

 ここで初めて他車と走行したことで、練習走行では気づかなかった「M-07」シャーシの特性に気づくことになった。実は筆者はMシャーシの最初のモデル、「M-01」シャーシを使っていたことがあり(20年ほど前、古くて申し訳ない)、その頃を思い出して、アンダーステアを出さないよう、インリフトさせないように気を遣って走っていたのが、周囲を見るとどうも様子が違う。コーナーでもほぼ全開で曲がっているようで、もっとスロットルを開けられるのかと試してみるとそのまま曲がれるし、タイムもポンと上がった。このシャーシは予想以上によく曲がり、しかも安定感が高い。

 こんな走らせ方ではタイヤをコジって片減りしないかと心配したのだが、予選後にチェックしてみるとトレッド面は均一な減り方でとてもキレイ。自分の感覚の古さと「M-07」シャーシのポテンシャルの高さを実感することになった。

 予選タイムは17.857秒で、13台中6番目。トップはアスキーチームの17.313秒。

決勝レース

決勝グリッド

 決勝レースは4分の周回レース。予選タイム順のグリッドで、デミオ、ロードスターが混在した13台が一斉にスタート! トップ数台は波乱もなく走り抜けるが、中段ではありがちな1コーナーでのクラッシュが発生。Car Watchデミオも巻き込まれブービーまで落ちてしまった。コースが広いため各車がバラけてしまえばそれからはスムーズに走れ、一旦は6~7位くらいまでは盛り返したが、最後は9位でフィニッシュとなった。

チェッカー
メディアMTG レース体験会 リザルト

1位:アスキー.ジェーピー
2位:ハチマルヒーロー
3位:ワンダードライビング
4位:ル・ボラン
5位:マツダ 野間
6位:マツダ 中山
7位:モデルアート
8位:ドライバー
9位:Car Watch
10位:4x4マガジン
11位:ベストカー
12位:デイトナ
13位:ドライバーズ ミーティング

表彰台 優勝はアスキーのアカザー氏。マツダデイトナキャップなどの賞品をゲットした
自ら手がけたクルマで参加したお二方。決勝は野間氏5位、中山氏6位。かなりのRC経験者である野間氏と、レースは初めてという中山氏が並ぶのはどうなんだと周囲からつっこみも入っていた

「M-07 CONCEPT シャーシキット」の特徴

 高いポテンシャルを体感した「M-07 CONCEPT シャーシキット」。その特徴をあらためて見てみよう

M-07 CONCEPT シャーシキット
モノコックパーツ

 モーターを前車軸の後ろに配置した前輪駆動。メインシャーシは背骨がとおっているような形状に成型されている。Mシャーシの特徴であるホイールベースの可変は従来の3段階(210、225、239mm)から2段階(225、239mm)になっている。これは車体剛性を高く保つことを優先し「余分な部品や分割が入ることを避けた」とのことで、2段階の変更はリアサスアームを裏返すことで対応している。フルベアリング、オイルダンパー、調整式アッパーアーム、ユニバーサルシャフト、ハイトルクサーボセイバーを標準装備し、ノーマルでも高い性能を発揮。セッティング変更も容易な構成だ。なお、「M-07 CONCEPT シャーシキット」にはボディ、モーター、タイヤは含まれない。

 樹脂成形のメインシャーシはアッパーデッキとロアデッキが繋がった形状のモノコックタイプとなっている。前方のギヤボックスは上下分割で、メンテナンスにも配慮されている

フロントアクスル サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン。アッパーアームの長さを変え、キャンバー調整もできる
デファレンシャルギヤはオイル封入式。粘度の高いオイルが付属する
リアサスペンション ロングスパンのリアサスアーム。写真はホイールベースを239mmにした状態で、裏返しに付けると225mmにできる
決勝を終えたタイヤ。一番きびしそうな右フロントでこの状態。タイヤに優しく速いセッティングに感心
破損したアップライト

 最後に今回のトラブルを1つ。予選前の練習走行でコース脇にぶつけ、はやくもアップライトを破損してしまった。タミヤスタッフからスペアパーツを提供していただき無事に修理したところ、破損した部品は"資料"としてスタッフに回収された。発売直前のマシンだけに、こうしたデータ収集にも抜かりがないようす。お役にたてれば幸いです。