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三菱ふそう、高速周回路でトレーラーのクルーズコントロールを体感する勉強会
クルマをリモートコントロールできるアプリを提供予定
2017年10月11日 19:04
- 2017年10月10日 開催
三菱ふそうトラック・バスは10月10日、同社の喜連川研究所において、新型大型トラック「スーパーグレート」のトラクターモデルの勉強会を開催した。トラクター登場に合わせてスーパーグレートに3つの改良点を発表したほか、高速周回路などでトレーラーを連結、先行車に追随するクルーズコントロールのプロキシミティ・コントロール・アシストの動作を体感した。
スーパーグレートにスマホアプリを提供など3つの改良点
スーパーグレードの特徴については、すでに2017年5月の発表会で報じているとおりだが、勉強会では、ダウンサイジングエンジンやコネクティビティの充実といったスーパーグレートに関する説明も改めて行なうとともに、トラクター登場時点の3つの改良点が説明された。
新たな提供サービスとしてスマートフォンアプリがあるが、これは、クルマのさまざまな状態を表示できるほか、リモコン機能が充実する。例えば、スマホが室内灯やオーディオを操作するリモコンになることで、キャブのベッドで休んでいるときの快適性が増す。
また、ヘッドライトのON/OFFもリモート操作可能になり、これまでは運行前点検で灯火類を確認する際、運転席と車外に2名以上のスタッフが必要だったが、スマホを持って車外から操作することで、球切れの確認が1人で素早くできるとしている。
スマホアプリの提供予定時期ははっきりとしていないが、現在、アプリストアの認証で手間がかかっており、2017年内に提供できればとしている。対応OSは、iOSとAndroidの2つ。
また、コンピューターでオイルの劣化状況をモニターすることで、オイル交換インターバルを延長する「フレキシブル・サービス・システム(FSS)」の提供も開始する。
これは、純正のハイグレードオイルを利用、高速道路走行が70%以上の場合のエンジンオイルはこれまで10万kmまたは1年となっていたが、FSSで劣化状況をモニターすることで、最大12万kmまで伸ばすことが可能になる。トランスミッションオイルも同様で、30万kmまたは3年となっていたものを、FSS有りでは最大40万kmまで伸ばすことも可能になり、メンテナンスコストの低減を図れるという。
ボディカラーは365色を設定。トラクターではカプラーを工場装着
さらなる改良点は、ボディの純正カラーペイントを365色用意したこと。これまで、ユーザーがコーポレートカラーなどに仕上げる際、白色でクルマを完成させたあと、改めて塗装していたが、工場のラインで塗られるカラーが選べるようになることで、納期の短縮や塗装品質の向上が望めるという。コストも最大17万5000円削減できるとしている。
365色という色は、色を適当に散りばめたのではなく、物流大手企業などのユーザーが使用する色そのものを多数含んでの365色。塗装品質の向上は、ラインでの塗装となることにより、パーツを装着する前の焼き付け塗装が可能になり耐久性向上が図れるという。
また、トラクターでは新たにトレーラーを連結するためのカプラーをライン装着可能とした。カプラーのメーカーはヨースト、ソーシンの2社から選択でき、装着された状態で納車できるようにした。カプラーはボディカラーと同様、ラインオフした後のカスタマイズだったが、工場のライン装着となることで納期の短縮や保証体制といった面で有利になる。なお、従来どおりカプラーなしでの納車も可能。
色やカプラーの種類の選択範囲は、今後もユーザーの反応を見て、選択肢を広げる検討もしているという。
高速周回路でトレーラーのアダプティブクルーズコントロールを試す
実際の試乗では、主にアダプティブクルーズコントロールである「プロキシミティ・コントロール・アシスト」を体感した。スーパーグレートの機能は停止まで追随するタイプで、停止から3秒以内であれば自動でスタートも行なう。
高速周回路では、走り出したのち、プロキシミティ・コントロール・アシストをONにして、設定速度を巡航速度に設定する。その後はアクセル、ブレーキは一切操作せず、先行車が減速すれば、こちらも減速。先行車が停止すれば、こちらも停止する。乗用車でもそうだが、停止まで機械が面倒を見てくれるかどうかで疲労感はだいぶ異なる。
気になる停止や発進の上手さだが、自分でアクセルやブレーキを操作していないと前後揺れに敏感になるということを踏まえても、身体が大きく揺さぶられ不快というところまでいたらない。積荷への影響も問題ないと思われる。
先行車が先導する形の試乗だったため、周回路を1周する間に実際にアクセルを踏んだのは走り出しと、先行車が3秒以上停止した状態からの再スタートの2回だけ。ブレーキにいたっては走行中は一切踏むことがなく、走り出しと試乗終了時でシフトスイッチを操作するときだけ踏むという状況。高速道路ならステアリング操作だけでほとんどの走行ができ、渋滞時の疲労も大幅に削減されると思われる。
トレーラーを連結した状態とトラクター単体の2つで試したが、慣性の法則もあってトレーラーを連結した状態のほうが前後ショックは少ないが、制御自体は単体のほうがスムーズに感じた。トレーラーの連結の有無や積載量で挙動は異なるはずだが、これもクルマの状態に合わせて制御しているのだという。
なお、今回はテストコースだったが、公道であれば地図データを持っており、道路の勾配を予測して制御している。
試乗では、坂道、車庫入れ、スラローム走行も体験。トレーラーを連結した状態でも坂道発進やクリープ走行がスムーズにできることを体感した。
トラクターを写真で見る
この日、試乗や展示が行なわれたトラクターは全7色。ホワイト、シルバー、ブルー、イエロー、グリーン、オレンジ、レッドとすべてラインで塗装されたもの。ドアを開けたりキャブ上げたりした状態でも、ボディカラーと同じ塗装がされていることが確認できた。