「インサイト」のハイブリッドテクノロジー
発表会の技術展示を写真で紹介

ホンダの最新ハイブリッドテクノロジーが注ぎ込まれたインサイト
 本田技研工業の最新ハイブリッドカー「インサイト」。発表会において技術展示も行われており、本記事ではその展示内容を写真で紹介する。

 既報のとおり、インサイトではハイブリッドシステムにパラレル方式を採用する。このパラレル方式では、エンジンをモーターがアシストし、その合成力がトランスミッションであるCVTに伝わり、適切なギア比に変換され車を駆動する。

 インサイトの特長はこのパラレルハイブリッドを非常にコンパクトにまとめあげたこと。エンジンとモーターをフロントに、モーターの駆動や電力回生の制御を行うPCU(パワーコントロールユニット)とニッケル水素(Ni-MH)のバッテリーから構成されるIPU(インテリジェントパワーユニット)をリアに配置し、システムの小型軽量化を実現している。

1.3L i-VTECエンジン(LDA)+薄型DCブラシレスモーター(MF6)

フロントボンネット内に収まるパワーユニット。トランスミッションであるCVTも一体化して納められている。左からエンジン、モーター、CVTという配置。IMAとはインテグレーテッド・モーター・アシストの略発表会に展示されていたパワーユニットのカットモデル。左半分が1.3L i-VTECエンジンで、中央部の凹んだ部分に薄型DCブラシレスモーターがある。右のユニットがCVTシリンダー(気筒)部分。SOHCの8バルブエンジンで、1シリンダーに吸気用、排気用のバルブをそれぞれ1つ持つ。プラグは1シリンダーに2つで、燃焼時間の短縮と確実な着火性能で燃焼改善を図っている。また、ピストンも側面にコーティングが施され、ピストンリングの張力を低下させたこととあわせて、フリクションの低減を実現した
シリンダー上部を側面から見たところ。ピストンの上部がへこんだ形で燃焼室が形成される。コンロッド(ピストンの下に付いている棒)の角度を見て分かるとおり、ピストンはほぼ上死点の位置にある

中央に見える横倒しの円柱が薄型DCブラシレスモーター。銅色の電線が巻かれているのがステーターで、その原理は電磁石。この電磁石の磁界を変化させることで内側の円柱(IPMローター)を回し回転力が発生する

横から近寄ってみた写真。右側の横倒しの円柱2つがCVTの主要部分。金属製のベルトによってつながれている
CVTを斜め方向から撮影。上下の円柱に隙間があり、そこに金属ベルトがかかる。この上下の隙間をそれぞれ可変させることでギア比を連続的に変化させるパワートレインの説明図。数々の工夫によって10・15モード燃費30.0km/L(G、Lグレード)が達成された

IPU

リアのラゲッジルーム下に納められているIPUのカットモデル。IPUはニッケル水素バッテリーとPCU(パワーコントロールユニット)から構成される。下側のメタリックグリーンとオレンジの円柱がバッテリーで、PCUはその上部に配置されるニッケル水素バッテリー。シビックハイブリッドの11モジュールから7モジュールに削減しながらも、各モジュールの出力は30%アップされているIPUの説明図。各構成要素を着実に進化させていったことが分かる

マルチプレックスメーター

ハイブリッドシステムの動きが分かるマルチプレックスメーター。左にはIMAのアシスト量と、回生エネルギーのバッテリーへのチャージ量を示すメーターを、右には燃料計が配置され、モーターとエンジンの情報がハッキリと切り分けられている。両ユニットの統合出力は中央配置のタコメーターとスピードメーターで把握できるという論理的なデザインだ

インサイトのカットモデル

発表会場に展示されていたインサイトのカットモデル。電気エネルギーの動きの説明を行うためのもの。フロントからリアへと流れるパイプをオレンジに塗りその動きを説明していた。モーターアシスト時はリアのIPU(PCU+バッテリー)からフロントのDCブラシレスモーターへとエネルギーが流れ、減速時などはフロントのモーターで発生する回生エネルギーがリアのIPUへと回収されるフロントのDCブラシレスモーター部。CVTを取り外した状態。オレンジのパイプ上にある丸いものは、エネルギーの流れを光でデモするためのLEDフロア下に配されたオレンジのパイプ。インサイトでは、エンジンルームとIPUを結ぶケーブルをこの1本のパイプ内に集約し、スペース効率を高めている。ところどころデモ用のLEDが光っているのが分かるだろうか
リア方向からフロント方向を見る。パイプの上には青い矢印で「アシスト」と書いてあり、下には緑の矢印でチャージと書いてある。矢印の方向はエネルギーの流れを示すリアシート後方に取り付けられているIPU。IPUの上部にあるダクトは排熱のためのものだろうIPU部。手前の銀色のボックスがモーターをコントロールするECU(エレクトロニックコントロールユニット)で、その下の黒いボックスがバッテリーの高電圧を12Vに変換するDC/DCコンバーター。ECUの奥の黒いボックスが直流を交流に変換するためのインバーターを含むPDU(パワードライブユニット)で、これらのユニットから構成されるのがPCU
IPU部をリアゲート方向から見る。左上部がECU、右上部がPDU。それぞれの配置が分かるだろうか

 

URL
本田技研工業株式会社
http://www.honda.co.jp/
ニュースリリース
http://www.honda.co.jp/news/2009/4090205-insight.html
製品情報
http://www.honda.co.jp/INSIGHT/
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(編集部:谷川 潔)
2009年2月6日