SUPER GT第8戦九州(オートポリス)リポート
PETRONAS TOM'S SC430が今期初優勝

今季初優勝したPETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)

2009年10月18日決勝開催



 
 2009 AUTOBACS SUPER GT第8戦「SUPER GT in KYUSHU 300km」の決勝レースが、10月18日、オートポリス(大分県)で行われた。GT500クラスはレクサス同士の接戦を制した、36号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)が今期初優勝。GT300クラスは11号車 JIMGAINER ADVAN F430(田中哲也/平中克幸)が優勝した。

 全9戦で行われる2009 SUPER GTシリーズも残り2戦。チャンピオン争いもいよいよ大詰めだ。第7戦までのGT500クラスのドライバーズポイント上位チームは以下のとおり。

Car No.マシンドライバーポイント
1MOTUL AUTECH GT-R本山哲63
8ARTA NSXラルフ・ファーマン/
伊沢拓也
53
36PETRONAS TOM'S SC430脇阪寿一/
アンドレ・ロッテラー
53
3HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rロニー・クインタレッリ/
安田裕信
46
18ROCKSTAR 童夢 NSX道上龍/
小暮卓史
43
38ZENT CERUMO SC430立川祐路/
リチャード・ライアン
41
17KEIHIN NSX金石年弘/
塚越広大/
金石勝智
40
35KRAFT SC430石浦宏明/
大嶋和也
38
24HIS ADVAN KONDO GT-RJ.P・デ・オリベイラ/
荒聖治
37

 GT300クラスの上位チームは以下のとおり。

Car No.マシンドライバーポイント
43ARTA Garaiya新田守男/
高木真一
63
2アップル・K-one・紫電加藤寛規63
19ウェッズスポーツIS350織戸学/
片岡龍也
63
46エスロード MOLA Z星野一樹/
柳田真孝
55
7M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7谷口信輝/
折目遼
52
81ダイシン アドバン Ferrari青木孝行/
藤井誠暢
51
11JIMGAINER ADVAN F430田中哲也/
平中克幸
51
33ハンコックポルシェ木下みつひろ/
影山正美
45
74COROLLA Axio apr GT井口卓人/
国本雄資
22
66triple a ムルシェ RG-1山西康司/
余郷敦
17
スタート直後の1コーナー。予選4位のPETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)がアウトから各マシンを抜き、2位に浮上した

GT500クラス
 天候は晴れ。65周で行われる決勝レースは14時にスタートが切られた。最初の1コーナーはポールポジションの38号車 ZENT CERUMO SC430(リチャード・ライアン)がトップをキープ。2位には予選4位の36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)が好スタートを決め順位を上げた。3位には12号車 IMPUL カルソニック GT-R(セバスチャン・フィリップ)、4位には ポイントトップの1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)、前戦で優勝した8号車 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)が5位に続いた。

 10周目の1コーナー、6位の6号車 ENEOS SC430(ビヨン・ビルドハイム)が8号車 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)を抜き5位に浮上した。トップ2台のSC430は接戦を続け、15周目の1コーナーでは、いったん36号車 PETRONAS TOM'S SC430が38号車 ZENT CERUMO SC430のインに入り前に出るが、クロスラインを取った38号車 ZENT CERUMO SC430が抜き返し順位をキープした。

 23周目の第1ヘアピンではGT300に詰まった6号車 ENEOS SC430(ビヨン・ビルドハイム)を8号車 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)が抜き返し5位を取り返す。さらにタイヤを痛めペースの落ちた1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)に肉薄する。1号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)はここで早めのピットイン。レース後半2/3を本山哲選手に託すこととなった。

 毎レース、速さは見せるが、結果を出せないでいた6号車 ENEOS SC430に、またもアクシデントが発生した。GT300でトップに立った11号車 JIMGAINER ADVAN F430に追突し、左フロントを大破。スロー走行してピットに戻り修復するが優勝争いから脱落してしまった。

 トップ2台は29周終了時に同時ピットイン。38号車 ZENT CERUMO SC430が立川祐路選手に、36号車 PETRONAS TOM'S SC430が脇阪寿一選手にドライバー交代した。ピット作業が速かったのは36号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一)で、38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)より先にコースに復帰した。さらに早めにピットインした1号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲)が2台の間に入ったが、32周目の1コーナーで38号車 ZENT CERUMO SC430が1号車 MOTUL AUTECH GT-Rを抜き返した。

 後半は前半と攻守を入れ替え、トップの36号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一)を2位の38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)が追う形で1秒以内の接近戦に。数秒離れて1号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲)が続くという展開が20周余りにわたって続いた。

 チェッカーまでトップ2台のバトルが続くかと思われたが、残り9周になったところで、38号車 ZENT CERUMO SC430にピット作業違反で30秒加算のペナルティが課せられた。ピット作業の際、エアジャッキが下ろされる前にエンジンをスタートしてしまったためだ。

 これで優勝争いからは脱落。加えて60周目にはGT300に詰まりペースダウンした36号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一)に追突しそうになりスピン、コースアウト。ガードレールに後部をヒットしてウイングを曲げ、ピットインを余儀なくされてしまった。

 これで独走となった36号車 PETRONAS TOM'S SC430はそのまま走りきり、今期初優勝を飾った。2位には1号車 MOTUL AUTECH GT-R、3位には24号車 HIS ADVAN KONDO GT-Rが入り表彰台を獲得した。

優勝した36号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)2位に入った1号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)
3位に入った24号車 HIS ADVAN KONDO GT-R(J.P・デ・オリベイラ/荒聖治)GT500の表彰台

 最終のクラス順位は以下のとおり。

順位Car No.マシンドライバー
1位36PETRONAS TOM'S SC430脇阪寿一/
アンドレ・ロッテラー
2位1MOTUL AUTECH GT-R本山哲/
ブノワ・トレルイエ
3位24HIS ADVAN KONDO GT-RJ.P・デ・オリベイラ/
荒聖治
4位8ARTA NSXラルフ・ファーマン/
伊沢拓也
5位18ROCKSTAR 童夢 NSX道上龍/
小暮卓史
6位100RAYBRIG NSX井出有治/
松浦孝亮
7位35KRAFT SC430石浦宏明/
大嶋和也
8位3HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rロニー・クインタレッリ
/安田裕信
9位32EPSON NSXロイック・デュバル/
中山友貴
10位6ENEOS SC430伊藤大輔/
ビヨン・ビルドハイム

GT300クラス
 ポイント争いの上位3台が同点、4位以下も僅差で続く接戦となっているGT300クラスは、最終戦に向け1ポイントでも多くポイント獲得をしたい上位陣によるバトルが展開された。

GT300クラスのスタート。アウトから74号車 COROLLA Axio apr GT(井口卓人)が並びかけるが抜けなかった

 スタートで予選2位の74号車 COROLLA Axio apr GT(井口卓人)がポールポジションの43号車 ARTA Garaiya(新田守男)のほんのわずか前に出るが、抜くまでには至らずそのままの順位となる。3位争いは11号車 JIMGAINER ADVAN F430(田中哲也)、2号車 アップル・K-one・紫電(加藤寛規)、7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(谷口信輝)が横並びで1コーナーに侵入するが、アウト側の7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7が押し出され11位まで順位を落とした。

 1周目の順位は、ポイントランキングトップの43号車 ARTA Garaiya(新田守男)が1位、74号車 COROLLA Axio apr GT(井口卓人)が2位、ポイント7位の11号車 JIMGAINER ADVAN F430(田中哲也)が3位、ポイントトップの2号車 アップル・K-one・紫電(加藤寛規)が4位、ポイント6位の81号車 ダイシン アドバン Ferrari(青木孝行)が5位、ポイント4位の46号車 エスロード MOLA Z(星野一樹)が6位、ポイントトップの19号車 ウェッズスポーツIS350(片岡龍也)は7位と出遅れた。

 43号車 ARTA Garaiyaは一時は2位以下を引き離しにかかるが、徐々にペースダウン、数珠つなぎの展開となる。19周目、最初に脱落したのは81号車 ダイシン アドバン Ferrari。マシントラブルでピットインし、大きく順位を落とした。

 22周目の第2ヘアピンでGT500クラスのマシンに道を譲った74号車 COROLLA Axio apr GTのインをつき、11号車 JIMGAINER ADVAN F430が2位に浮上。さらに着々と順位を上げてきた26号車 UP START タイサンポルシェ(阿部翼)がジェットコースターストレートで74号車 COROLLA Axio apr GTを抜き3位に上がった。

 さらに次の周、勢いに乗った11号車 JIMGAINER ADVAN F430は1位の43号車 ARTA Garaiyaを抜きトップに立った。ところがその直後、GT500クラス、6号車 ENEOS SC430(ビヨン・ビルドハイム)に追突されスピン。順位を7位まで落としてピットインした。

 その後、勢いに乗ったもう1台である、26号車 UP START タイサンポルシェがメインストレートで43号車 ARTA Garaiyaを抜きトップ浮上。3位には74号車 COROLLA Axio apr GT、4位にはスタートで11位まで順位を落とした7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(谷口信輝)が上がってきた。猛進を続けるM7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7は第2ヘアピンの手前で74号車 COROLLA Axio apr GT を抜き3位。さらに次の周の1コーナーで43号車 ARTA Garaiyaも交わし2位に浮上した。5位には46号車 エスロード MOLA Z、6位には19号車 ウェッズスポーツIS350(片岡龍也)が続いた。

 レースは1/3を消化しピットインが始まった。11号車 JIMGAINER ADVAN F430と同時にピットインした2号車 アップル・K-one・紫電は直後にマシントラブルで2度目のピットイン、大きく順位を落としポイント争いから脱落した。ピットインを遅らせた26号車 UP START タイサンポルシェがコースに戻った段階で、早めにピットインを済ませた19号車 ウェッズスポーツIS350(織戸学)がトップに。スピン後追い上げた11号車 JIMGAINER ADVAN F430(平中克幸)が2位、7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(折目遼)が3位、43号車 ARTA Garaiya(高木真一)が4位、74号車 COROLLA Axio apr GT(国本雄資)が5位と続いた。

 残り9周の第2ヘアピン、GT500クラスのマシンに道を譲った19号車 ウェッズスポーツIS350のインを突き11号車 JIMGAINER ADVAN F430(平中克幸)がトップ浮上。抜き返しを狙ったウェッズスポーツIS350だが、残り2周で単独スピン。7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7に抜かれ3位に落ちた。

 その後、11号車 JIMGAINER ADVAN F430がそのまま走りきり今期初優勝。スタートの出遅れから猛進した7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7が2位、3位には19号車 ウェッズスポーツIS350が入った。

 人気チーム、808号車 初音ミク Studie GLAD BMW Z4(番場琢/田ヶ原章蔵)は第6戦の鈴鹿で第3ドライバーとして活躍した番場琢選手が第1ドライバーとしてステアリングを握った。速さを見せる番場選手がスタートドライバーを務め、ギリギリまでピットインを遅らせる作戦を採ったため、一時は3位を走る好走を見せた。最終的に11位でチェッカーを受けたが、10位の66号車 triple a ムルシェ RG-1(山西康司/余郷敦)がタイム加算のペナルティを受けていたため10位となり、念願の初ポイントを獲得した。

優勝した11号車 JIMGAINER ADVAN F430(田中哲也/平中克幸)2位に入った7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(谷口信輝/折目遼)
3位に入った19号車 ウェッズスポーツIS350(織戸学/片岡龍也)GT300クラスの表彰台

 最終のクラス順位は以下のとおり。

順位Car No.マシンドライバー
1位11JIMGAINER ADVAN F430田中哲也/
平中克幸
2位7M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7谷口信輝/
折目遼
3位19ウェッズスポーツIS350織戸学/
片岡龍也
4位43ARTA Garaiya新田守男/
高木真一
5位31avex apr COROLLA Axio坂本雄也/
峰尾恭輔
6位5マッハGOGOGO車検320Rマッハ号玉中哲二/
赤鮫オヤジ
7位74COROLLA Axio apr GT井口卓人/
国本雄資
8位46エスロード MOLA Z星野一樹/
柳田真孝
9位26UP START タイサンポルシェ阿部翼/
筒井克彦
10位808号車初音ミク Studie GLAD BMW Z4番場琢/
田ヶ原章蔵

 この結果、11月7日、8日にツインリンクもてぎで開催される最終戦を前にしてのポイントランキングは、GT500クラス、GT300クラスそれぞれ以下のとおり。

・GT500

Car No.マシンドライバーポイント
1MOTUL AUTECH GT-R本山哲78
36PETRONAS TOM'S SC430脇阪寿一/
アンドレ・ロッテラー
73
8ARTA NSXラルフ・ファーマン/
伊沢拓也
61
3HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rロニー・クインタレッリ/
安田裕信
49
18ROCKSTAR 童夢 NSX道上龍/
小暮卓史
49
24HIS ADVAN KONDO GT-RJ.P・デ・オリベイラ/
荒聖治
48

・GT300

Car No.マシンドライバーポイント
19ウェッズスポーツIS350織戸学/
片岡龍也
74
43ARTA Garaiya新田守男/
高木真一
71
11JIMGAINER ADVAN F430田中哲也/
平中克幸
71
7M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7谷口信輝/
折目遼
67
2アップル・K-one・紫電加藤寛規63
46エスロード MOLA Z星野一樹/
柳田真孝
58

 GT500では、最終戦にチャンピオン争いのチャンスを残したのは上位3チーム。事実上は1号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲)と、36号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)の一騎打ちとなり、GT300では、上位6チームに可能性がある。とくにGT300の上位3チームは3ポイント差の接戦となっている。

 ツインリンクもてぎの最終戦はウエイトハンディなしのガチンコバトル。GT500、GT300とも、最後まで目の離せない争いが続きそうだ。

(奥川浩彦)
2009年 10月 19日