「モータースポーツジャパン2010」リポート
SUPER GT、フォーミュラ・ニッポン、ラリーマシンが集結。小林可夢偉選手も

お台場特設会場で行われたモータースポーツジャパン2010

2010年10月2日、3日開催
入場無料



 モータースポーツ ジャパン2010 フェスティバル イン お台場が10月2日、3日の2日間にわたりお台場特設会場(東京都江東区青海)で開催された。

 モータースポーツジャパンは、都心の真ん中でSUPER GTやフォーミュラ・ニッポンといったトップカテゴリーのレース車両を走らせ、モータースポーツの普及とクルマの魅力や運転することの楽しさを伝えようというイベント。名誉会長には石原慎太郎東京都知事が就任。特設観客席を除いて入場料が無料というのも魅力だ。

 今年は例年よりも規模を拡大し、従来の会場の他にもう一つ第二会場が設けられた。この第二会場では、国産、輸入車の自動車メーカー14社が出展し、市販車を多数展示したほか、実際に乗ることができる「ふれあい試乗会&体験会」も開催。アウディR8といった普段はあまり触れる機会のない高級スポーツカーも用意された。

 また第二会場では、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)による安全運転講習「母と子の楽ラク運転講習会」も開催。そのほか、スバルは安全運転支援装置のEyeSightによる自動緊急ブレーキを実際に体験できるコーナーを設けるなど、参加者が直接体験できるコーナーが多数用意されていた。

第二会場では普段あまり乗れる機会の少ない高級車も含めた試乗会&体験会が開催された
レガシィに搭載されたEyeSightの体験コーナーも設けられた各自動車メーカーのブースでは新車が展示されていた

 メイン会場となる第一会場では、トヨタやホンダ、日産、スバルが各社のモータースポーツ参戦車両を展示したほか、新型車なども展示。またメルセデス・ベンツ日本はガラス張りのケースの中にSLS AMGを展示し、タジマモーターコーポレーションはパイクスピークで総合優勝したSX4を持ち込んでいた。

第一会場にも多くのブースが設けられ、トヨタブースにはニュルブルクリンク24時間にチャレンジしたLF-Aなども展示ホンダのブースではタイヤ交換の体験なども行われていた
日産のブースでもタイヤ交換などのアトラクションが行われたほか、ル・マンに出場した「NISMO GT-R LM」(写真中)やサファリラリーで総合2位、クラス優勝した「シルビア200SX」(写真右)といったレーシングマシンも展示されていた
スバルブースでは、今年のラリージャパンを走ったゼロカーやニュルブルクリンク24時間にチャレンジしたインプレッサなどを展示。また、SUPER GTのレースクィーンによるじゃんけん大会なども行っていた
タジマモーターコーポレーションはパイクスピークで総合優勝したSX4を展示。さらに実際にデモ走行もしたメルセデス・ベンツ日本はSLS AMGを展示。ちなみに価格は2430万円
そのほかにも新旧さまざまなレーシングマシンが展示されていたアイルトン・セナ メモリアルブースでは、10月8日より公開されるドキュメンタリー映画「アイルトン・セナ 音速の彼方へ」の予告編も上映された
「グランツーリスモ5」や「フォーミュラ1 2010」が体験できるブースも設けられたレプリカ車の展示も行われていた。手前は1978年のカナダ・ケベックラリーに出たダットサン510、後ろは1991年のマンクスラリーに出たレガシィ

 第一会場中央に設けられた走行エリアでは、SUPER GTやフォーミュラニッポン、F3、ラリージャパンで走ったゼロカーやパイクスピークのSX4によるデモランも行われた。

 走行エリアはサーキットと比べれば狭いのでSUPER GTやフォーミュラ・ニッポンのマシンの本当の速さを見せることは難しかったが、タイヤスモークを巻き上げながらの旋回ドリフトするフォーミュラカーなど、普段のレースでは見られない姿を見られ、来場者からは大きな喝采が沸いていた。

ラリージャパンにも出たゼロカーやインフォメーションカーなど、ラリーマシンが走る。体を乗り出しながらの旋回ドリフトなど、派手なパフォーマンスで会場を沸かせた
F3マシンがタイヤスモークを巻き上げながら都心でドリフトする姿はここでしか見られないだろう
フォーミュラ・ニッポンのマシンによるデモランではタイヤ交換のデモンストレーションも行われた
SUPER GT 500クラスのマシンが所狭しと走り回る
ミシュランマンによるトライアルバイクのデモも走行エリアの大型ビジョンでは10月9日公開される映画「RED LINE」のスペシャルプレビューも行われた

 第一会場に設けられたメインステージでは、ドライバーによるトークショーやドライバー対抗のゲーム大会「グランツーリスモ大会」などが行われたが、3日には、11月12~13日に富士スピードウェイで開催される「JAFグランプリ スーパーGT&フォーミュラ・ニッポン 富士スプリントカップ2010」の公開メディア説明会が開催された。

 富士スプリントカップは史上初めてSUPER GTとフォーミュラ・ニッポンを同日開催するもの。両カテゴリーともシリーズ戦とは分かれた特別戦として開催される。予選は12日に行い、13日と14日は両日決勝となる。

 今回の説明会ではその表彰と賞金についてが発表された。決勝は両日それぞれの上位3位までにメダルを授与するほか、両日の総合優勝チームにはJAFグランプリ杯を、2位と3位にはJAF国際楯が授与されると言う。

 また、賞金は総額で1億円を予定とのこと。スターティングマネーとして、出走車両1台につき100万円を贈呈するほか、決勝両日で、それぞれ優勝ドライバーに各300万円、2位のドライバーに各150万円、3位に100万円が支払われる。

 さらに富士スプリントカップでは、現役を退いた往年のトップドライバーによるレジェンドカップや、F4といったサポートレースも開催するが、それらドライバーも含め、すべてのドライバーを出身地で東西チームに分け、その総合ポイントで競う東西対抗戦も行うとのこと。

 応援グッズとして東西のリストバンドタオル(500円)も販売し、勝ったチームのリストバンドタオル購入者には金のメダルバッヂをプレゼントすると言う。なお、このリストバンドの売り上げ比もポイントとして加算されるとのこと。ファンの応援が直接勝敗に影響するシステムだ。また、この東西対決にも賞金を用意するとしている。

 なお、開催地となる富士スピードウェイと言えば、先日の大雨によりSUPER GTが中止になったばかりだが、その復旧状況についてもこの説明会で加藤裕明社長より説明がされた。

 加藤氏によれば、富士スピードウェイでも崩落や土砂の堆積などがあったものの、比較的すぐに復旧し、通常営業に戻れていると言う。しかし富士スピードウェイにアクセスする道路においては、メインとなるルートがまだ復旧しておらず、迂回路を通ってもらうことになるとした。

富士スプリントカップ2010の公開メディア説明会も開催。賞金の話を聞いて、選手達のテンションがとても上がっていた東西チームを応援するリストバンドタオル

 第一会場脇にはステージが設けられており、SUPER GTドライバー、c、フォーミュラ・ニッポンドライバーらによるトークショーなどを開催。とくに10月3日はF1ドライバーの小林可夢偉選手、山本左近選手らによるトークショーが開かれ、実に多くの観客が集まっていた。

 このF1ドライバートークショーでは、F1解説者の立場として近藤真彦監督も参加。F1鈴鹿グランプリに向けての抱負などを聞いていた。小林選手は「マシンのアップデートは、シンガポールグランプリで行った。その仕様のマシンで、鈴鹿に向けて挑む」と言い、その意気込みを語っていたが、山本選手は「僕らのチームにはセッティングがない。いつも同じ仕様」と笑いを誘っていた。

 また、小林選手は「とにかくシューマッハと絡むことが多いので、予選ではシューマッハの前になることが大切」と言い、2人とも母国グランプリでの健闘を誓っていた。

SUPER GTドライバーによるトークショースバル系ドライバーによるトークショーフォーミュラ・ニッポン/F3ドライバーによるトークショー。右端の伊沢拓也選手は、SUPER GTに続いての参加
トークショー後は、選手が帰るところを狙っての即席サイン会。1人1人にサインを行っていた松田次生選手F1ドライバーによるトークショー。左から小林可夢偉選手、山本左近選手、F1解説者として近藤真彦監督F1ドライバーの回には、実に多くの観客が集まった。F1人気は高く、鈴鹿に行くと答えていた人も多くいた
今年はレギュラードライバーとしてF1を戦っている小林選手。鈴鹿では「じゃんじゃん焼き」が食べられるのが楽しみと言う「いつでも同じセッティング」と、小さなチームの悲哀をネタにしていた山本選手近藤監督は、F1解説者としての立場から、トークショーの進行を努めた

 モータースポーツジャパンでは、そのほかにもJRPA(日本レース写真家協会)による子供向けの写真教室や、同乗体験走行、スタンプラリー、レーシングカート体験会、サイン会なども開催されるなど、参加者が積極的にモータースポーツを楽しめるものとなっていた。

JRPAによる写真教室も開催。子供達は最前列でカメラを構えシャッターチャンスを狙っていたスタンプラリーでスタンプを集めると抽選会に参加できる親子で参加できるカート体験コーナーも
モータースポーツジャパン恒例のサイン会も。ラリードライバーからSUPER GTのドライバーまでジャンルを超えた選手のサインが集まるのはほかではあまりないだろう

(瀬戸 学)
2010年 10月 4日