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秋のお台場恒例イベント「モータースポーツジャパン2013」リポート

ロマン・グロージャン選手やFIAのジャン・トッド会長も来場し、今年も内容充実

2013年10月13日、14日開催

 モータースポーツを「見て」「触って」「体感」できるイベント「モータースポーツジャパン2013フェスティバル イン お台場」が、10月13日、14日の2日間にわたり晴天のお台場特設会場(東京都江東区青海)にて開催された。

 名誉会長に猪瀬直樹東京都知事、スーパーバイザーに近藤真彦氏を迎え、例年どおりプレミアムパドックと名付けられた一部の有料エリアをのぞき入場無料で開催され、2日間でのべ9万4490人もの来場者(主催者発表)が楽しんだ。

 会場は昨年同様アクティブゾーン(A会場)、エクスペリエンスゾーン(B会場)、カルチャー&レジェンドゾーン(C会場)とジャンル別に分けられているので、各ゾーンごとに紹介していく。

アクティブゾーン(A会場)

 アクティブゾーン(A会場)はモータースポーツジャパンの中心エリアであり、走行エリアではさまざまなカテゴリーのマシンがその迫力ある走りを披露。またプロドライバーによる同乗走行もここで行われた。

 今年は10月11日~13日に鈴鹿でF1日本GP、岐阜で全日本ラリー選手権、富山で全日本ジムカーナ選手権が行われていたため、14日のみ参加したドライバーも多かった。

イベントは両日ともにプロのドライビングによる同乗走行でスタート。貴重な体験だ
会場を縦横無尽に走るラリーカー。全日本からアジアパシフィック選手権、ダカールラリーまで多彩だ
パイクスピーク・ヒルクライムマシンはさながら白煙大会、全てEVマシンだ
前日に行われた全日本ラリー選手権で勝利し、シリーズチャンピオンに王手をかけた勝田・足立組インプレッサと同じく、前日に全日本ジムカーナで勝利しシリーズチャンピオンを獲得した山野哲也選手も登場しハイレベルな走行を披露した
日野の巨大なダカールラリー参戦車両のデモランは圧巻。日野社内で公募されたディーラーメカニックも参戦するスタイルは、ニュルブルクリンク24時間レースにおけるスバル・インプレッサ(写真右)と同じだ
毎年恒例のメーカー対抗カートリレー。松田次生選手がパイロンを持って走っているのは謎だ
今年はSUPER GTの走行シーンが非常に少なかった
スーパーフォーミュラーは今シーズンモデルのデモランとともにブースで2014年モデルの展示をした。この時期に一般公開するのは珍しいのではないだろうか。ブースでは解説ハンドブックを配布していた

 13日に鈴鹿で行われた日本GPで3位を獲得したロマン・グロージャン選手は、会場で発表されたルノーの新型モデル「ルーテシア ルノー・スポール」でデモランを披露。

 また、FIAのジャン・トッド会長もお台場に駆けつけ会場は大いに盛り上がった。現役F1レーサーの人気はもちろんだが、ジャン・トッド会長の登場での盛り上がりはグループBの205T16時代のプジョーチームを指揮した顔や、フェラーリF1チームの監督という顔など、多くのジャンルで記憶に残る功績の賜物だろう。

ルノーは最新のスポーツモデル「ルーテシア ルノー・スポール」のお披露目を会場で行い、大いに注目された
かつて自身がコ・ドライバーを務めモンテカルロラリーで総合3位を獲得したフェアレディZとジャン・トッドFIA会長
左から井原慶子選手、ジャン・トッドFIA会長、近藤真彦スーパーバイザー

各社展示ブースも充実

新車の展示にも積極的。左からマツダ「アクセラ」、日産「デイズ」、メルセデス・ベンツ「Aクラス」
ブリヂストンはプレミアムパドック内にホスピタリティブースを設置
横浜ゴムのブースでは高橋国光選手のF3000を展示。子供はシートに乗り込み記念写真を撮っていた
ミシュランはSUPER GTやWEC(世界耐久選手権)用タイヤを展示。実際に持ってそのサイズ感や重さを体感できた
日本レース写真家協会(JRPA)は会員の写真展示のほか、F1マシン等との記念撮影を実施した
2輪のデモラン&展示もあり。13日C会場で行われたMotoGPのパブリックビューイングは大勢のファンで大いにい盛り上がった(写真右)
そのほかのブースやイベントにも来場者が多く訪れていた

エクスペリエンスゾーン(B会場)

 カート走行体験や国内外22ブランドの最新モデルの同乗試乗会、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)による「母と子の楽ラク運転講習会」など、まさに実際に触れたり体験するのがこのB会場だ。

 「母と子の楽ラク運転講習会」は座学と実技からなるドライ、ウエット路面での急ブレーキ体験や車庫入れ、縦列駐車のアドバイスなどさまざまなプログラムが用意されていた。

「母と子の楽ラク運転講習会」には、弊誌でもお馴染みのモータージャーナリスト・岡本幸一郎氏も参加。クルマが横に倒れたときなどの様子を体験できる、タカタのロールオーバーシミュレーターの横でシートベルトの重要性などを解説
「ふれあい試乗会&体験会」

カルチャー&レジェンドゾーン(C会場)

 A、B会場とダイバーシティ東京プラザの間に位置するウエストプロムナードがC会場。1989年以前に生産された歴史的モデルやレースカー、ラリーカーのレプリカの展示スペースで、特設ブースでは日本のモータースポーツの歴史を映像で見ることができた。また、今年はK4GPへの参加車両や、86/BRZワンメイク車両によるカラーリングコンテストも行われた。

K4GP参加車両
86/BRZワンメイク車両
ロスマンズポルシェ911SC RSのグループBマシン
クラシックカーが似合う美しい会場がC会場だ
1967年スバル360カスタム
スカイランシリーズは不動の人気
懐かしいセリカ
後ろ姿が美しい欧州車4台

 仕上げの美しさもさることながら、そのカラーリングの選択にこだわりが見えるレプリカ車達。シビックタイプRユーロのラリーカーは車種そのものが稀少だ。赤いマルティニカラーのデルタインテグラーレはベース車も16Vモデルでストライプも忠実な、まさに1989年サンレモ・ラリーのあのウイニングマシンだ。

 ロスマンズカラーのレガシィはWRCではなく1991年の英国選手権のC.マクレー車とのこと。そのこだわりに驚く。またグループAスカイラインはさまざまなカラーリングが楽しい。

レプリカの圧倒的人気はやはりラリーカーだ
こちらは根強い人気のR32スカイライン グループA
当時の人気を考えれば意外なほど少ないST165型セリカTTEカラー
赤マルティニのランチアと初代レガシィ
三菱ワークスにちょっと痛車風味のランサー

 今年のモータースポーツジャパンも晴天に恵まれ大成功に終わったようだ。シーズン中とは言え、日本のモータースポーツにおいて人気の高いSUPER GTのマシンのデモランが殆どなく、また歴史的名車も展示こそあるが走行は皆無だったことに少々寂しさを覚えるのが正直なところだ。

 だが、会場内で多くの子供達が目を輝かせて楽しんでいる様子を見ていると、やはりホンモノに触れる機会があるのは大事だと感じる。車を取り巻く環境が変化したとは言え、日本にとって自動車産業は決して小さい存在ではなく、これからも大きな存在であり続けるであろう。

 ならば車がもっと楽しく、もっと魅力的に感じるこのようなイベントは大変重要でありこれからもぜひ続けて欲しいイベントだ。

【お詫びと訂正】記事初出時、ST165型セリカの形式名に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。

(高橋 学)