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ルノー、モータースポーツジャパンで「ルーテシア ルノー・スポール」を初披露
F1日本GPで3位入賞のロマン・グロージャン選手がデモ走行!
(2013/10/15 18:47)
ルノー・ジャポンは10月14日、東京 お台場で開催された「モータースポーツジャパン 2013 フェスティバル イン お台場」の会場において、新型「ルーテシア ルノー・スポール」を発表した。ルノー・スポールが開発した直列4気筒DOHC 1.6リッター直噴ターボエンジンと、通常のルーテシアにも搭載される6速エフィシエントデュアルクラッチ(EDC)トランスミッションを搭載する。
新型はシャシーが2タイプから選択でき、日常の使い勝手も考慮した「シャシー スポール」と、よりスポーツ走行向けの「シャシー カップ」から選べる。価格はそれぞれ299万円と309万円。発売は11月14日。
シャシー スポールとシャシー カップが選べる
搭載エンジンを従来型の直列4気筒DOHC 2.0リッター+6速MTから、最高出力147kW(200PS)/6000rpm、最大トルク240Nm(24.5kgm)/1750rpmを発生する直列4気筒DOHC 1.6リッターターボと6速EDCに変化したことが大きなトピック。最高出力はほぼ同等、最大トルクは25Nm増大している。最大トルクの発生回転数は従来では5400rpmだったものが、新型では1750rpmへと低下、従来型とは最大トルクの発生ポイントが異なる。
従来型の国内導入はシャシー スポールのみだったが、新型からはシャシー カップも選択できるようになった。シャシー スポールに対するシャシー カップの違いは、スプリングレートをフロント27%、リア20%高め、ステアリングギア比を高めたことのほか、標準装着のタイヤをシャシー スポールが205/45 R17なのに対し、シャシーカップは205/40 R18にインチアップ。ブレーキキャリパーも赤に塗装する。また、シャシー カップには専用となる黄色の限定色「ジョン シリウス メタリック」が用意され、こちらのカラーを選択すると通常の価格に15万円を加えた324万円となる。
乾式6速デュアルクラッチトランスミッションの6速EDCはゲトラグ製で、標準のルーテシアに搭載されるものとベースは同じ。ハイパワー化に対応するため一部パーツに耐久性の異なるものを使用したり、スプリングの強化を行ったりしているという。
変速は「R.S.ドライブ」と呼ばれる3つの走行モードの切り替え機構を備え、変速時のシフトスピードがノーマルが0.2秒なのに対し、スポーツでは0.17秒、レースでは0.15秒に変化する。変速だけでなく、アクセルマッピングの変更やアイドリング回転数の上昇、ブレーキ制御の変更も含まれる。レースモードではESCなどの安全支援が解除される。
また、R.S.ドライブでスポーツおよびレースを選択した場合に有効となる、ローンチコントロールを搭載し、簡単な操作で停止した状態から最大加速が行える。
フロントのダンパーは2つのシャシーで特性は異なるものの、どちらも「ハイドリック コンプレッション コントール(HCC)」を採用。HCCにはメインダンパーのハウジング内にバンプストップラバーの機能を持つセカンダリーダンパーを組み込んでおり、乗り心地などを改善したほか、リア・サスペンションに採用するアンチロールバーは、標準のルーテシアよりも60%以上剛性を高めた仕様になっている。
また、ルノーの市販車の中で最大となる直径320mmのフロントディスク(リアは260mm)を採用したほか、前輪左右間の速度差が大きくなると、グリップを失いかけた側にわずかなブレーキを掛ける「R.S.デフ」システムも装備している。
エクステリアでは、F1スタイルのフロントエアインテークブレード、リアディフューザー、リアスポイラーが特徴。また、フロントグリルに配置されるルノーの菱型のマークである「ロザンジュ」の下には「R.S.」の文字が入る。
インテリアは、ブラックトリムの中にレッドやオレンジ色が配された室内空間とした。シフトレバーやそのベース部分をはじめ、シートやステアリングホイールなど随所にステッチがあしらわれる。シートはサポート性だけでなくルノー車ならではの快適な乗り心地も両立したという。また、車内にスポーティなエンジン音を響かせるためにサウンドパイプを採用。アクセルを踏んだ際に排気がダッシュボード裏のフィルターを通って音を響かせる。
なお、生産工場はフランス・ノルマンディのディエップ工場。この工場はレースカーの製造などを行っており、ルーテシアがベースの「クリオ カップ」も製造している。
F1に近づける装備を盛り込んだ
発表会場で新型ルーテシア ルノー・スポールの説明を行った、ルノー・ジャポンのチーフマーケティングマネージャーであるフレデリック・ブレン氏は、気筒数は違うが来年のF1と同じ1.6リッターターボ、パドルシフト、ローンチコントロールといった装備があることについて「よりF1に近づける装備を盛り込んだ」と特徴を説明。
また、ブレン氏は新型では搭載エンジンが変わったことに伴い、低い回転数で最大トルクを発生するようになった点を「カーブの出口で早くトルクとパワーを発揮する」と説明するとともに、ダンパーのHCCについては「ロールはするが、デコボコだけでなく縁石に乗ったときも吸収してくれる技術があり、高いレベルでコーナーを通過できる」「どんな小さいサーキットでも、以前のルーテシアRSに比べて1~2秒は速く走ることができた」と高性能化を強調した。
ローンチコントロールについても「楽しい」と絶賛。あくまでサーキットでやってほしいと前置きしながらも、「停止した状態から左足でブレーキを抑え、パドルの両側を引いてローンチコントロールをオン、アクセルを全開にすると2500rpmを維持し、ブレーキをリリースすると最適な加速が行われる」とやり方を説明した。レースモードでは電子制御をオフするため、「できれば全部マニュアル操作と、ローンチコントロールを利用した場合のタイム差を測るのも楽しいのでは」と楽しみ方も提案した。
また、代表取締役社長の大極司氏は、9月に発売した通常モデルのルーテシアについて「クルマがディーラーにきていない段階で予約注文が200台以上入った。そして発表から2週間、ルノー・ジャポン始まって以来の来店をいただいている」と述べ、新型ルーテシアの出だしが好調なことをアピール。
F1でのルノーの活躍については、「日本グランプリでルノーは1-2-3位のポディウムを独占。しかも(独占は韓国グランプリに続いて)2週連続、そして5戦連続でトップ。今、ルノーのエンジン技術が花開いている」とコメントした。
シャシー スポール | シャシー カップ | |
---|---|---|
駆動方式 | 2WD(FF) | |
全長×全幅×全高 | 4105×1750×1435mm | |
ホイールベース | 2600mm | |
トレッド(前/後) | 1505/1500mm | |
重量 | 1280kg | |
エンジン | 直列4気筒DOHC 1.6リッター直噴ターボ | |
最高出力 | 147kW(200PS)/6000rpm | |
最大トルク | 240Nm(24.5kgm)/1750rpm | |
トランスミッション | 6速EDC(エフィシエントデュアルクラッチ) | |
サスペンション(前/後) | マクファーソン/トレーリングアーム | |
ブレーキ(前/後) | ベンチレーテッドディスク/ディスク | |
タイヤ(前/後) | 205/45 R17 | 205/40 R18 |
ホイール(前/後) | 7.5J×17 | 7.5J×18 |
ロマン・グロージャン選手がアンベール&デモ走行
発表会では、ルノー・エンジンを搭載するロータス・ルノーのF1ドライバー、ロマン・グロージャン選手が登場し、ルーテシア ルノー・スポールのアンベールを行った。
グロージャン選手はルーテシア ルノー・スポールからF1の技術が感じられる点としてサスペンションのセッティングやエンジン、燃費のマネージメントを挙げ、これらはF1で得られたものだと評価するとともに、前日のF1日本グランプリを振り返り、スタート直後の追い抜きについて「ルノーエンジンは非常にスムーズなので、ロケットスタートには最適だった」とコメントした。
グロージャン選手は、ルノーブースでの発表会を終えた後に特設走行エリアへ移動し、用意されたルーテシア ルノー・スポール(シャシー カップ)でコースを走行。ど派手にタイヤスモークを出すなど、来場者を大きく沸かせた。