2日で延べ10万人が楽しんだ「モータースポーツジャパン2012」リポート
多様なカテゴリーのモータースポーツマシンが東京・お台場に集結

モータースポーツジャパン2012フェスティバル イン お台場

2012年10月20日~21日開催



モータースポーツジャパンのスーパーバイザーを努める近藤真彦氏

 50年もの歴史をもつ我が国のモータースポーツ文化の発展と継承を目的とする「モータースポーツジャパン2012フェスティバル イン お台場」が今年も10月20日~21日の2日間にわたり、お台場特設会場(東京都江東区青海)にて開催された。

 名誉会長に石原慎太郎東京都知事、スーパーバイザーに近藤真彦氏を迎え、例年どおりプレミアムパドックと名付けられた一部の有料エリアをのぞき入場無料で開催され2日間でのべ10万人を超える(主催者発表)来場者が楽しんだ。

 会場はアクティブゾーン(A会場)、エクスペリエンスゾーン(B会場)、カルチャー&レジェンドゾーン(C会場)とジャンル別にわけられているので、各ゾーンごとに紹介していく。

アクティブゾーン(A会場)
 モータスポーツジャパンの中心エリアがアクティブゾーン。新旧モータースポーツ車輛の展示、そして走行エリアがある。多くのイベントが開催され、ショップや飲食コーナもここに集まっている。

SUPER GTやJGTC等レース車輛の展示
ラリー車も全日本ラリーやWRC、ダカールラリー出場のランクルからパイクスピークヒルクライム出場の電気自動車(EV)マシンまで多彩。新井敏弘選手のインプレッサは先月のラリー北海道でダメージを受けたボディーがそのまま展示され何とも痛々しい
新旧F1マシンやニュルブルクリンク24時間レース、ル・マン参戦車輛もずらり。前の週にWEC JAPANで勝利したトヨタTS030ハイブリッドも展示された。

 モータースポーツジャパンはモータースポーツを彩る様々なマシンとともに多くのカテゴリーからプロドライバーが参加し、迫力ある走りを披露した。またファンとドライバーが身近に接することの可能な貴重なイベントだ。

トップドライバー達の走りを間近に堪能できる
往年の走りを彷彿させるSTI SUPER GTの総監督辰己英治氏のデモ走行には観客のみならず他のプロドライバーも大盛り上がり(写真左)。全日本ジムカーナからは山野哲也、直也兄弟(写真中)。TEAM SHOW小橋選手はまだ初心者マーク付き!(写真右)
同乗走行も実施された。助手席にファンが乗っていようとも激しい走りは変わらず
SUPER GTやフォーミュラ・ニッポン、ジムカーナやラリーの各ドライバーによるメーカー対抗カートバトル

 A会場ではレーシンングカー関連以外にもさまざまなブースで展示や催し物が沢山あり来場者を楽しませていた。かわいくもマニアックなペーパークラフトやこれからのEVの普及を見据えたJAFの充電機能付きロードサービスカー、警視庁からは触って乗れる白バイやパトカーの展示。トヨタLFAニュル参戦車輛の運転席も乗り込む事ができ来場者には好評だったようだ。またレース中のタイヤ交換の体験やカートの走行、日本レース写真家協会(JRPA)による名車との記念撮影等、無料のイベントとは思えない程充実していた。

 クルマの魅力を「見て」「聞いて」「体感して」と謳うこのイベントのコンセプトに偽りなしといったところだろう。

「聞いて」と言えば、歴代のホンダF1のエンジン音を楽しむ「エキサイティングフォーミュラーサウンド」には第1期よりRA272(1964)、第2期よりマクラーレンホンダMP4/4(1988)、第3期よりB.A.RホンダRA106(2006)が顔をそろえた。また解説は「川井ちゃん」こと川井一仁氏。その個性的な声とF1サウンドは日本のF1ファンにとってこれ以上無い組み合わせかもしれない。

会場にはミシュランやヨコハマタイヤ(横浜ゴム)などタイヤメーカーの出店もあり、ブリヂストンは有料エリアのホスピタリティブースに巨大なトレーラーを持ち込んだ。また「東京スマートドライバー」特設ステージではショートムービーの完成発表会が行われ映画監督小山薫堂氏、首都高菅原社長、モータースポーツジャパンスーパーバイザー近藤真彦氏のトークショーの開催し多くの人を集めた。

ヨコハマタイヤはADVAN(アドバン)で戦う車輛を展示。ミシュランタイヤはミシュランマンがお出迎え。ブリヂストンはホスピタリティブースに巨大トレーラー
安全運転のためのトークショーで首都高の社長がトークで大暴走。近藤真彦氏もタジタジ

 また、国内外の2輪車の展示やイベントも充実していた。

トライアル競技の小林直樹選手は本多選手とともに卓越した技術と爆笑トークを披露。(写真左)

エクスペリエンスゾーン(B会場)
 国内外の自動車メーカー15社の車輛展示や同乗試乗会、また日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)主催の「母と子の楽ラク運転講習会」が行われた。試乗車には各メーカーの最新モデルやイチオシの車が用意された。トヨタ「86」/スバル「BRZ」をはじめ日産「GT-R」、最新のトヨタ「オーリス」、輸入車勢ではフォルクスワーゲン「high up!」やMINIコンバーチブル等のコンパクトなモデルからメルセデス・ベンツ「SLS AMGロードスター」やアウディ「R8スパイダー」、ジャガー「XKR-S」等普段なかなか乗る機会の少ないものまで30種近いモデルが勢揃いした。

 また、STI(スバルテクニカインターナショナル)は、レガシィ tsのコンセプトモデルを展示。マクラーレンは「MP4-12C」の展示を行った。

国内外合わせて30車種近い試乗車が用意された
マクラーレンや未発売コンセプトモデル、そしてバスの展示
各自動車メーカーブース横転の体験会。シートベルトの有用性を確認する
試乗や講習はすべて日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)の会員の協力によって行われていたエリアの一角のソープボックスモックカーコーナー。展示されていた各メーカーのソープボックスカーにはカラーリングが施され、まるでワークスカー。トヨタのものには社長の直筆サインが!

カルチャー&レジェンドゾーン(C会場)
 A、B会場とダイバーシティ東京プラザの間に位置するウエストプロムナードがC会場。1989年以前に生産された歴史的モデルやレースカーやラリーカーのレプリカの展示スペースで、特設ブースでは日本のモータースポーツの歴史を映像で見ることができるた。どれもが力作。こだわりのレプリカ達となる。

マニアックな選択と美しい仕上がりレプリカ達。特に華やかなカラーリングのラリーカーが人気。なかには泥だらけにしてSS走行後の雰囲気にまでこだわった力作も
オリジナルの存在しないアリタリアカラーのセラ。とてもかわいい1991年仕様のカルソニックスカイラインには星野選手……のヘルメットが。芸が細かい今年のラリー北海道出場車のレプリカ……じゃなくて何故か本物を展示。もちろん小出選手も本物
いすゞ117クーペ。いつ見ても美しいボディーは健在A73ランサーは日本ラリー界の名車。フロントフェンダーにはSHINOZUKAの文字がTE27トレノはラリーヒストリックモンテカルロ2回の完走を誇るマシン
悲運のトヨタ7。展示されていたのは5リッターNAモデルスーパーアグリSA07ホンダ。車はもちろん鈴木亜久里のF1挑戦そのものが日本のモータースポーツの歴史に残る1コマサーキットではお馴染みだったADVANカラーのGCマシンとF3000マシン

 恒例となったお台場でのモータースポーツジャパン。さまざまな問題をかかえつつも世界的に見ればいまだトップクラスの自動車大国日本において、開催目的に掲げる「日本のモータースポーツ文化の発展と継承」は非常に重要だ。

 今年はロータリーサウンドがなく、それにとって変わるように多くのプログラムで、EVのリーフRCがわずかなモーター音のみで猛然と加速する姿は印象的だった。進化する車と変わらぬモータースポーツを楽しむ会場人たちの笑顔はこのイベントの両輪だ。今年来ることができなかった人も、ぜひ来年は足を運んでみてほしい。

(高橋 学)
2012年 10月 24日