三菱自動車とビックカメラ、EV「i-MiEV」の普及推進に関する協力協定を締結
ビックカメラの旗艦店4店舗で試乗会や商品展示を実施

三菱自動車工業 取締役社長 益子修氏(左)と、ビックカメラ 代表取締役社長 宮嶋宏幸氏(右)

2010年11月9日発表



 三菱自動車自動車工業とビックカメラは11月9日、「電気自動車の普及に関する基本協定」を締結し、ビックカメラ有楽町店店頭で、三菱自動車工業 取締役社長 益子修氏、ビックカメラ 代表取締役社長 宮嶋宏幸氏による調印式を開催した。

 この協定は、電気自動車の普及推進を目指して結ばれたもので、三菱が発売中の電気自動車(EV)「i-MiEV」の商品紹介や試乗会などの各種イベントをビックカメラの旗艦店4店舗(池袋本店、有楽町店、新宿西口店、ラゾーナ川崎店)を行うというもの。当初は4店舗のみだが、順次実施店舗を拡大していく。

 ビックカメラはEVの販売やサポートは行わず、商品紹介や試乗会のみを行う。購入要望があれば、三菱ディーラーを紹介し、そこでEVを購入することになる。商品紹介や試乗会では、自動車のイベントを運営するノウハウなどが必要となるが、それについては三菱がサポートを行っていく。

調印式を行う両社長互いにサインを終え、協定を結んだ協定書。低炭素社会の実現に向けEVの普及促進の協力を図る

 調印式において、ビックカメラの宮嶋社長は、「低炭素社会の担い手であるEVを量産する三菱自動車と提携を結ばせていただいた。これは、業界の垣根を越えて初めて結ぶ協定になる」とその意義を述べ、両社が環境省から「エコファースト企業」に認定されており、エコファースト企業同士の活動の中で、EVに関する話をする機会があり、それが今回の提携につながったと言う。

 「実際、EVを試乗したら、想像以上の力強い加速と、安定性があり非常に驚いた。当たり前のことだが、停止時は音や振動がない。ビックカメラも社用車として購入している。EVは未来の乗り物という印象を持っている人が多いと思うが、国や自治体で手厚い補助がされているし、充電環境も進んできている。そのような中、より多くの人に、EVを知ってもらいたい、試してもらいたい、そのように思っている」(宮嶋社長)と語り、EVをビックカメラの販売網を通じて知ってもらい、地球環境に貢献していきたいとした。

 三菱の益子社長は、「昨年世界に先駆けて量産EV『i-MiEV』を市場投入した。10月には欧州での投入も始まった。EVというこれまでになりカテゴリーのクルマを普及させるためには業界の垣根を越えた取り組みが必要になる。EVは排気ガスを出さないということから我々の生活空間に入ることができ、家電的な利用も広まっていくと思われる」と言い、生活空間の中での新たな提案や使い方の発見が期待できる家電業界との協業は、今後ますます需要になると語った。

 今回の協定に、ビックカメラにおけるi-MiEVの販売は含まれていないが、将来的にEVが家電量販店で購入できるようになるかは気になるところ。宮嶋社長は、「オール電化や、スマートフォンなどと同じく、将来EVは家庭の中で重要な位置づけとなっていくだろう。(家庭の中で)EVからの給電、EVへの充電ということもあり、そういった面を踏まえて考えていく」とし、すべてはお客さん次第だと言う。

 益子社長は、「EVの販売を通じて電力業界など新しい業界とのつきあいが広がった。EVはまだまだ新しい製品。これからEVは進化していく。将来的にはEVの販売チャンネルとして家電量販店を考えている」と、現時点では家電量販店での販売を予定していないと述べた。

ビックカメラ 宮嶋社長三菱自動車工業 益子社長調印式後、ビックカメラ有楽町店ではi-MiEVの展示が始まった。i-MiEVは11月4日に一部改良が行われた

 ビックカメラはこれまで、クルマを販売した経験がなく、i-MiEVの展示や試乗会を通じて、それらのノウハウを蓄積していく予定だ。一方、三菱も、駅前や繁華街に立地し、多大な集客を行うビックカメラの情報発信力に期待している。日本有数の乗降客数を数える、池袋、有楽町、新宿、川崎駅前で、容易にEVの試乗などが行えることは、EVの普及にとって大きなきっかけとなるだろう。

(編集部:谷川 潔)
2010年 11月 9日