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三菱、電気自動車「i-MiEV」を市販化
法人など向けにリース販売し、2010年4月に一般販売予定

i-MiEV

2009年6月5日発売
459万9000円


 三菱自動車工業は6月5日、電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」を発表した。当初は官庁や法人などを対象にリース販売を行い、2009年7月頃にデリバリーを開始。個人向け販売は、2010年4月から開始する予定だ。価格は459万9000円で、経済産業省が実施している「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」の対象車となっており、次世代自動車振興センターより最大139万円の補助金が交付される。

 i-MiEVは、同社が2006年1月から販売している軽自動車「i(アイ)」をベースとした電気自動車。大容量のリチウムイオン電池、小型かつ高性能なモーターなどを搭載した同社の電気自動車技術「MiEV:Mitsubishi innovative Electric Vehicle」をiに採用したことからi-MiEVと名付けられた。2009年度は法人ユーザーや自治体などを中心に、約1400台を車両費用や税金、保険費用、整備費用の一部などを含めてリースする「メンテナンスリース」を基本に販売。個人向け販売は2010年4月から開始する予定で、2009年7月下旬より購入受付を開始する予定だ。なお、4月1日より施行された「エコカー減税」にも適合しており、自動車重量税と自動車取得税が全額免除される。

i-MiEVのエクステリア

 三菱は、2006年よりi-MiEVの開発しており、市販化に向けたテストに加えて、東京電力や中国電力などの電気事業、環境庁や神奈川県警察などの官庁、郵便事業やローソンなどの民間企業らと実証実験を実施してきた。加えて、グローバル展開も視野に入れ、欧州や米国、カナダ、ニュージーランド、豪州、香港などで実用化に向けた実証試験や調査、プロモーションも実施しており、投入された実験車両は合計80台に及ぶ。これらの実証実験から得られたデータを元にi-MiEVの開発を進め、今回の市販化を実現した。なお、市販化にあたり、名称を「i MiEV」から「i-MiEV」に変更している。

試験車両のi-MiEV 北海道電力向け実験車両 東京電力向け実験車両
北陸電力向け実験車両 関西電力向け実験車両 中国電力向け実験車両
九州電力向け実験車両 沖縄電力向け実験車両
GSユアサ向け実験車両 京都府とGSユアサの実験車両 郵便事業向け実験車両
ローソン向け実験車両 神奈川県警向け実験車両
開発時の振動耐久試験 走行耐久試験 高速走行試験
低温試験 冠水路走行試験

  リアミッドシップレイアウトを採用したiのパッケージングを活用しており、床下の燃料タンク部分に駆動用バッテリーパックを、リアラゲッジルーム下のエンジンルームにモーター、トランスミッション、インバーター、車載充電器などを搭載。リアミッドシップレイアウトや軽自動車では最長となる2550mmのホイールベースといったiのパッケージングを活用することで、主要コンポーネントを床下に配置することが可能となり、iと同等の居住スペースと積載スペースを確保し、使い勝手のよさを継承している。ボディーサイズは、3395×1475×1610mm(全長×全幅×全高)で、iより全高が10mm上昇。重量は1100kgで、iより190〜200kg増加している。

 搭載するモーター「Y4F1型」の出力は、最高出力が47kW(64PS)/3000〜6000rpm、最大トルクが180Nm(18.4kgm)/0〜2000rpm、最高速度は130km/h。ガソリンを使用しないため走行中のCO2をまったく排出しないほか、発電時に発生するCO2もiのターボエンジン搭載車の約70%に低減している。加えて、100%電気で走行するため、走行時に必要なコストは電気代のみとなり、電力会社が提供する夜間割引などを併用することで、さらに低コストを図ることもできる。

iとi-MiEVのパッケージング比較 4人乗車時のi-MiEVのイメージ Y4F1型モーター

 トランスミッションは、i-MiEV専用に開発された1段固定の減速機構のものを採用する。セレクターレバーは、iと同様にゲート式を採用しているが、iの3速ポジションが「ECOポジション」に、2速ポジションが「Bポジション」に変更されている。ECOポジションは、モーター出力を抑えて走行するモードで、回生ブレーキもDポジションより強く動作するため電力消費を抑えた走行ができる。Bポジションは、出力やトルクの制御はDポジションと同等だが、回生ブレーキをより強く動作させるため、減速力を高められるほかバッテリーへの充電量も増やすことができる。

 メーターパネルも、デジタルスピードメーターとアナログメーターを組み合わせたiと同一デザインとなるが、iでタコメーターであった部分が電力消費量や回生時の充電量を表示するパワーメーターに、燃料残量計がバッテリー残量計に変更され、トリップメーターに航続可能距離を表示する。

トランスミッション i-MiEVのセレクトレバー i-MiEVのメーターパネル

 バッテリーは、ジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)、三菱商事らによる合弁会社のリチウムエナジー ジャパン(LEJ)製のリチウムイオンバッテリーを搭載。総電力量は16kWh、総電圧は330Vで、満充電時は10・15モードで160km、40〜60km/hでの市街地走行では、エアコンの使用状況などに応じて80km〜120km走行できるとしている。

 充電は、AC100VおよびAC200Vの普通電源のほか、三相AC200V/50kWの急送充電器による充電も可能。満充電までの充電時間は、AC100Vで約14時間、AC200Vで約7時間。急速充電器での充電時間は充電器の仕様によって異なるが、約30分で80%充電できる。車両にはAC200V用の充電ケーブル、AC200VからAC100Vへの変換ケーブルが付属し、ケーブルの収納ケースも用意。ディーラーオプションで5mの充電延長ケーブルも用意する。

 ボディーは、基本的な構造はiと同様なため、iと同等の衝突安全性を確保している。加えて、床下に設置したバッテリーを保護するために、バッテリーパックをボディー骨格で囲い、井桁フレームで保護。井桁フレームをボディー骨格に直接ボルト溶接しているため、iと比較してボディーの曲げ剛性で約3%、捻り剛性で約8%向上している。また、モーターにも専用のマウントシステムを採用し、車体との結合部に大型インシュレーターを採用することでモーター特有の高周波音を遮断。ダッシュパッドハード層の厚みを倍増させる、Bピラーロアフェルトを追加する、などといった改良により、iよりも静粛性を高めている。

 足まわりは、iと同様にフロントにマクファーソンストラット式、リアに3リンク ド・ディオン式のサスペンションを採用し、重量増に応じてコイルスプリングのばね定数のチューニングを施している。また、バッテリーを床下に搭載することから重心が約70mm低下し、iと同様の操舵安定性を確保しつつ、コーナーリング時の車体ロール角が減少している。

 ブレーキは、重量増に対応するためフロントのベンチレーテッドディスクを13インチから14インチに、リアの8インチドラムブレーキのホイールシリンダー直径を17.5mmから18.0mmに拡大している。加えて、ブレーキブースターに新開発のオンデマンド式のブレーキ負圧電動ポンプを採用し、ブレーキ負圧発生時の消費電力の低減を図っている。タイヤは、iと同様でフロントに145/65 R15、リアに175/55 R15サイズを採用している。

 加えて、モーターやインバーター、バッテリーなどの電気自動車コンポーネントの情報を集約し、統合制御するOS「MiEV OS」を開発し搭載している。MiEV OSは、モーター、インバーター、バッテリーなどから得られる情報を元に、バッテリー管理や漏電監視、航続距離の推定といった安全性に関する部分のほか、トラクションコントロール、回生ブレーキ制御、発進時のトルク制御といった走行性能に関する部分も統合制御して、電気自動車特有のトラブルや走行性の変化に対応し、安全性を確保している。

リチウムイオンバッテリーセル i-MiEVの床下に設置されている、バッテリーと高電圧システムから構成されるバッテリーパック AC100V/AC200Vでの充電で使用する、付属のAC200V充電ケーブル
AC100V/AC200Vの充電リッドは車体右側リアフェンダーの、iではエアインテークが設けられていた箇所に設置 AC100V充電時に、AC200V充電ケーブルに接続する変換ケーブル
急送充電用リッドを車体左側リアフェンダーに設置。iの給油口と同じ箇所だ 充電時にメーターパネルに表示される充電ランプ

 エクステリアでは、iからデザインの変更などは行われていないが、新たにLEDヘッドライトとLEDリアコンビライトを装備。ワイパーも、軽自動車では初となるエアロブレードタイプに変更し、高速走行時の風切り音の低減と軽量化を図っている。ボディーカラーは、モノトーン、2トーン TYPE A、2トーン TYPE Bの3タイプ8色を設定。モノトーンは、有料色の「ラズベリーレッドパール」のほか「ホワイトソリッド」「クールシルバーメタリック」を、2トーン TYPE Aでは「レッドソリッド/ホワイトソリッド」「クールシルバーメタリック/ホワイトソリッド」を、2トーン TYPE Bでは「ホワイトパール/ミントグリーンソリッド」「ホワイトパール/オーシャンブルーメタリック」「クールシルバーメタリック/ブラックマイカ」を用意する。

LEDヘッドライト LEDリアコンビライト エアロブレードタイプのワイパー
ボディーカラーは、3タイプ8色を用意 ラズベリーレッドパール ホワイトソリッド
クールシルバーメタリック レッドソリッド/ホワイトソリッド クールシルバーメタリック/ホワイトソリッド
ホワイトパール/ミントグリーンソリッド ホワイトパール/オーシャンブルーメタリック クールシルバーメタリック/ブラックマイカ

 インテリアも、デザインや機能はiと同等で、iの2008年12月の一部改良でターボ車に設定されたブラックインテリアを基調とし、シルバー塗装のパワーウインドースイッチパネルや、アルミプレート付きのフロントスカッフプレートなどを追加。シートも、ドット柄のエンボス加工が施されたi-MiEV専用表皮を採用している。加えて、テールゲート内部の竹繊維とPBS(ポリブチレンサクシネート)を組み合わせた内装材や、フロアカーペット、バンパーやダッシュパネル遮音材のリサイクル材など、石油由来樹脂の代替となる素材を多様している。このほか、メーカーオプションのSSD内蔵カーナビ「三菱マルチエンターテイメントシステム(MMES)」には、充電器の設置個所を表示し、SDカードでデーターを更新できる機能の提供を予定している。

i-MiEVのインテリア。基本的なデザインや機能はiと同一
シルバー塗装のパワーウインドースイッチパネル アルミプレート付きフロントスカッフプレート ステアリング下部に新設されたアンダートレイ
インパネ右側にトラクションコントロースのスイッチが新設されたほか、リアデフォッガーのスイッチを中央のエアコンパネルから移設してる 竹繊維とPBSを組み合わせたテールゲートの内装材。竹繊維とプラスチックの混合技術は、同社が世界で初めて実用化したと言う 三菱マルチエンターテイメントシステム(MMES)


(編集部:大久保有規彦)
2009年 6月 5日


 



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