NEXCO東日本、応急復旧が完了した区間が93%に
被害20路線870km区間の内、813km区間を復旧

NEXCO東日本管内の被害状況について語る、同社代表取締役会長兼社長 佐藤龍雄氏

2011年3月24日開催



 NEXCO東日本(東日本高速道路)は3月24日、定例記者会見を行い、東日本大震災による被害が確認された20路線870km区間の内、813km区間の応急復旧を完了したと発表した。震災発生以来、一般車について通行規制の行われていた東北自動車道も同日6時に規制解除され、すべての車両が通行可能となっている。

 同社代表取締役会長兼社長 佐藤龍雄氏は、記者会見の冒頭、被災者へのお見舞いを述べた後、現在の復旧状況までの経過について語り「NEXCO東日本では3月11日の地震発生後、直ちに自分を本部長とした緊急対策本部を立ち上げた。高速道路の緊急点検を行い、(高速道路を利用中の)お客様の待避、SA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)を利用中のお客様の緊急避難を行った」と、災害即応体制が採れたと言う。

NEXCO東日本管内の復旧状況。仙台東部道路、三陸自動車道、常磐自動車道の一部で未復旧区間が残る

 12日には緊急車両の通行を可能とする仮復旧を順次完了し、19日には北関東自動車道 太田桐生IC(インターチェンジ)~佐野田沼IC間の開通を東北道の一部区間の通行規制解除とともに前倒し、交通インフラの提供に尽力。24日6時には応急復旧率が93%に達し、東北道全線の通行規制解除を実現できたと言う。

 とくに復旧において大変だったのが、余震が起こることなどで、一度応急復旧した個所が再度被災するなどの例もあったとのこと。「かなり早い時期に復旧できたのではないかと思っている」(佐藤社長)と言い、残る3区間の内、「仙台東部道路 仙台若林JCT(ジャンクション)~仙台東北JCT」と「三陸自動車道 仙台港北IC~利府JCT」の2区間については3月末を目処に復旧としたが、原発事故により避難地域に指定されている「常磐自動車道 いわき中央IC~常磐富岡IC」については、まったく目処が立たない状況と言う。

 今回の被害金額については、まだすべてが終わっておらず分からないとしたものの、阪神淡路大震災のように橋脚が倒壊するというような事態には至っていないため、それよりは下回るだろうとの見通しを示した。

 また、SAなどでのガソリンの供給については「関係各所に優先的に配慮をお願いしているところ」としつつ、製油所などには燃料があるものの、燃料を輸送するタンクローリーなどの数が足りず、SAなどに対して潤沢な供給ができていない。ただ、これに関しては「今週中に解消する見込み」と語った。

 そのほか、4月1日からの平日上限2000円という新料金制度が見送られたことに関して、「今の段階においては、政府の判断として正しい判断ではないかと思う。今後については、個人としては英断をくだしてほしい」と語り、今後震災復興でどれだけ費用がかかるか分からない状況の中、高速道路料金の引き下げに予算を回すべきではないとの見方を示した。

 震災発生から約2週間、応急復旧は93%の区間で終わったものの、高速道路の復旧のほか「現在も各支社に蓄えている非常物資の放出、原発事故による避難が続く福島地区での炊き出しの手伝いなどを行っている」(佐藤社長)と、震災の影響はまだまだ続いており、現在も現場に送る応援物資が本社内に積み上げられていると語った。


(編集部:谷川 潔)
2011年 3月 24日