ルノー、コンパクトなクーペロードスター「ウインド」
12秒で開閉する電動ハードトップを装備

2011年7月6日発売
255万円



 ルノー ジャポンは、クーペロードスター「ウインド」を、7月6日に発売する。価格は255万円。左ハンドルのみ用意される。

電動回転格納式ルーフでトランク容量も確保
 ルノーのエントリーコンパクト「トゥインゴ」のプラットフォームを使った2シータークーペ。電動ハードトップを備え、「クーペロードスター」を名乗る。全長3.8m強、全幅1.7m弱と、コンパクトに仕上がっている。

 ハードトップは「電動回転格納式」。センターコンソールのスイッチを操作することで、ルーフがリアピラーを支点に後方へ180度回転し、裏返しになってトランクリッドに格納されるようになっている。シンプルな機構とルーフの重さが21.8kgと軽量なことから、開閉に要する時間は12秒、「ほとんどのオープンカーの半分くらいの時間」としている。

 またルーフが格納されるスペースが厚みのあるトランクリッドの中なので、ルーフを開いていても閉めていても、トランクの容量は270Lのままで変わらない。ルーフの格納スペースとトランクは完全に仕切られているため、ルーフと荷物が干渉することもない。

トランクリッド上の“コブ”は「エアロフィン」と呼ばれ、インテリアとエクステリアの連続性を表現するリアにはディフューザー。中央にバックランプを備える
ヘッドライトはハロゲン。アクセサリーとしてLEDのスモールバルブとフォグバルブが用意される標準のアルミホイールは16インチ
ルーフが開くところ。リアピラーを支点に、電動で後方に回転して開く。開閉動作中はメーターパネル内に「ROOF OPENING」「ROOF CLOSING」と表示され、バーで進行状況が示される(写真右下)
トランクリッドを開けたところ。持ち上がっているリッドの中にルーフが収納されるトランクルーム。床下にテンパータイヤを積む
シートはヘッドレスト一体型のファブリック

 

ルノー・スポールがチューン、限定車も
 パワートレーンはフロントに横置きした直列4気筒DOHC 1.6リッター+5速MT。本国には1.2リッターターボ搭載車もあるが、スポーティーなフィールを優先して日本仕様は1.6リッター自然吸気が選ばれた。

 パワートレーンとシャシーはルノーのスポーツカー・ビジネスユニットであるルノー・スポールがチューニングしており、アルミのインテークマニホールド、61mm径のスロットルボディ、フロントのアルミ製ロワーアーム、フロント22mm径、リア24mm径のアンチロールバー、専用チューニングのスプリングとダンパーなどを装備する。

 ルノー・スポール・チューンというと、メガーヌ・ルノー・スポールに代表されるハードな乗り味が予想されるが、同社はウインドを「スポーツカーではなく、スポーティーなクルマ」と言う。サーキット走行までは考慮しないものの「ワインディングロードで真価を発揮する」のがウインドということだ。

 ボディーカラーはブルー マジョレル メタリック、ルージュ ディナ メタリック、ブラン グラシエ、グリ アルティカ メタリックが用意される。

 なお30台限定で「ウインド コレクション」が同日発売される。専用装備のブラックメタル調ハードトップ、バッジ、シリアルナンバー入りプレート、シートヒーター付きレザーシート、ドアストラップ、USB端子と、デカール、クロムドアミラー、クロムエアロフィン、レッドクリアメーターフード、レッドトリミングフロアマット、17インチアルミホイールなどを装備しており、価格は268万円。ボディーカラーはブラン グラシエのみとなる。

30台限定の「ウインド コレクション」。仏本国では発売記念の限定車として生産された
ブラックメタル調のルーフクロムエアロフィンクロムドアミラー
バッヂやテールランプ、サイドシルのデカール
17インチホイールドアストラップレッドトリミングフロアマット
レッドクリアメーターフードUSB端子。その上がルーフの開閉スイッチで、その左右がパワーウインドウスイッチアルミインテークを備えるエンジン
「ウインド コレクション」はレザーシートを装備スポーツカーらしい3眼メーターを採用
ルーフのロックレバー。ルーフは電動開閉するが、ここだけは手動でロック/アロックするシートの後ろの物入れステアリングコラムにはオーディオリモコンを備える

 

大極COO

一目惚れで買う
 同社は同日、都内のショールームで報道関係者向けに発表会を開催した。

 左ハンドル+MTのみという大胆な仕様が注目されたが、本国では英国と日本向けに右ハンドルの開発が進んでいたところを、あえて左ハンドル仕様で導入したという。その理由として、メガーヌ・ルノー・スポールが左ハンドル+MTのみだったのに目標を大きく上回るセールスを記録したことと、ペダル類のレイアウトや各種配管、配線が左ハンドルのほうが自然であるという理由で左ハンドル仕様を好む顧客が多いこと、コンパクトなウインドなら左ハンドルでも運転しやすいこと、をあげている。

 同社の大極司COOは、12秒で開閉できるルーフと共に「エンジン、ブレーキ、足まわり全てにルノー・スポールの魂が込められている。ただのオープンカーではなく走りもきちんと楽しんでいただける」とルノー・スポールによる走りを強調。日本に導入される仕様は左ハンドル+5速MTのみであることも「この走りを日本のお客様にも楽しんでいただきたく、仏で走っている左ハンドルのMTをそのままを持ってきた」とした。

 同社は、クルマに「フレンチタッチ、トレンディ、スポーツ」の3要素を盛り込む「FTS戦略」をかねてから掲げているが、「話し合いを重ねたことで仏ルノーもこのFTS戦略を理解している」と大極COOは述べた。最近ではこれに沿った提案を受けることも多く、ウインドもその1つと言う。

 マーケティング部商品計画グループのフレデリック・ブレン氏は、ウインドのキャッチフレーズ「オープン&プレイ」を「単にルーフを開けて遊ぶという意味だけではない。オープンはオープンマインド、自由になること、プレイは楽しむこと。なので“自由に楽しむクルマ”というのがコンセプト」と説明。

 また輸入車の購入動機で最も高い要素が外観デザインであることをあげ、「このクルマは“一目惚れ”のデザイン。7~8割が一目惚れで買っていただくことになるだろう」と述べた。

ブレン氏

 

ルノー「ウインド」
全長×全幅×全高[mm]3835×1690×1389
ホイールベース[mm]2365
前/後トレッド[mm]1450/1430
重量[kg]1190
エンジン直列4気筒DOHC 1.6リッター
最高出力[kW(PS)/rpm]98(134)/6750
最大トルク[Nm(kgm)/rpm]160(16.3)/4400
トランスミッション5速MT
10・15モード燃費[km/L]13.4km/L
JC08モード燃費[km/L]
駆動方式2WD(FF)
ステアリング
前/後サスペンションマクファーソンストラット/ツイストビーム
前/後ブレーキベンチレーテッドディスク(280mm)/ディスク(240mm)
前/後タイヤ195/45 R16
前/後ホイール7J×16
定員[名]2

(編集部:田中真一郎)
2011年 7月 6日