クルマの技術展「オートモーティブワールド2012」が開幕
シボレー・ボルトやさまざまな最新技術を展示

会期:2012年1月18日~20日
会場:東京ビッグサイト



 クルマの専門技術展「オートモーティブワールド2012」が18日、東京ビッグサイトで開幕した。会期は20日まで。同展のWebサイトで招待券を申しこめば入場無料だが、招待券がない場合は5,000円が必要。

 「第4回国際カーエレクトロニクス技術展」「第3回EV・EHV駆動システム技術展」「第2回クルマの軽量化技術展」の3つの技術展をまとめたイベント。エレクトロニクスの製造技術展「ネプコンジャパン」や、次世代照明技術展が同時に開催されている。

 クルマの製造、開発に関わる人々に向けたイベントだが、自動車のテクノロジーのトレンドを見ることができる。ここでは興味深い展示をピックアップして紹介する。

EVの特別展示には「ボルト」や「テスラ ロードスター」も
 会場の一角には電気自動車(EV)の特別展示コーナーが設けられており、「プリウスPHV」や「リーフ」「スマート フォーツー エレクトリックドライブ」から電動スクーターまで多数のEVが展示されている。

 中でも注目を浴びていたのが、GMの「シボレー ボルト」とテスラ・モータズの「テスラ ロードスター スポーツ」だ。

シボレー ボルトテスラ ロードスター スポーツ

プリウスをプラグイン・ハイブリッド化するキット
 ビートソニックは、3代目のトヨタ「プリウス」をプラグイン・ハイブリッド車に改造するキット「PLUGS 100+(プラグス 100+)」を展示した。4月の発売を予定している。

 同社はすでに、2代目プリウスを改造する「プラグス 40+」を145万円で発売しているが、プラグス 100+は改造する車両が3代目になったほか、モーターのみでの走行(EVモード)の航続距離を100kmに伸ばしている。このため、駆動用バッテリーにリチウムイオン電池を採用し、容量を12kWhに拡大した。充電時間はAC100Vで約16時間、AC200Vで約8時間となる。

 また、SAE-J1772充電コネクターを用意し、外出先の普通充電スタンドを利用することもできる。

 キットは、プリウスに搭載されている駆動用バッテリーと交換する駆動用リチウムイオンバッテリーの他、充電器、バッテリーマネジメントシステムなどで構成される。EVモードの最高速度は112km/h。EVモードでも急な坂や追い越し時は自動的にエンジンがかかるようになっている。

 価格は未定だが、「40+の倍にはしたくない」とのこと。また、航続距離45kmの「プラグス 45+」も用意される。

プラグス 100+プラグス 100+のラゲッジルーム。奥のグレーの部分は駆動用バッテリーのカバー。純正駆動用バッテリーより盛り上がるSAE-J1772充電コネクターをリアバンパーに装着できる

豊田合成の「ヴィッツ」コンバートEV
 豊田合成は「ヴィッツ」のコンバートEVを展示した。EVの開発が目的ではなく、EV向けの各種パーツなどを検証するための車両なので、バッテリーはコンベンショナルな鉛電池で、航続距離は60km。中部国際空港の構内で実際に運用して検証した。

ヴィッツのコンバートEVラゲッジルーム床下にコントローラーやバッテリーが搭載される

東レのコンセプトEV「TEEWAVE AR1」
 東レはEVのコンセプトモデル「TEEWAVE AR1」を展示した。F1やスポーツカーの設計者として知られる“鬼才”ゴードン・マレーが開発に協力したことで話題のモデル。一体成型のカーボンモノコックを採用することで、重量や成形時間、部品点数を削減しつつ、高剛性を実現。また、このモノコックをベースに4シーター車を作ることもできる。

 またTEEWAVE AR1はモノコック以外にもクラッシュボックス(全部衝撃吸収体)やルーフ、ハンドル、シート、ダッシュボードなどにもカーボンが使用されている。

TEEWAVE AR1
TEEWAVE AR1のカーボンモノコック。その前部に、アルミ構造材を介してカーボン製のクラッシュボックスが付くTEEWAVE AR1の各部素材

マツダのキャパシタによるエネルギー回生システム
 日本ケミコンは同社の電気二重層キャパシタ「DLCAP]を使用したマツダの減速エネルギー回生システムのモジュールを展示した。これは「i-ELOOP」(アイ・イーループ)として発表されたもの。

 このキャパシタは車載用に開発されたもの。従来のキャパシタよりも耐熱性を高め、内部抵抗を減らし、燃焼時に有毒ガスを発生する薬品を使わないようになっている。

マツダのi-ELOOPi-ELOOPに搭載されている日本ケミコンのキャパシタ

EV用充電ソリューションも展示
 EV関連の展示として、EV用の充電ソリューションの展示もいくつか見られた。

 ハセテックは非接触給電システムや2台同時に充電可能な急速充電器を展示。

 福西電機は充電器の認証・管理・課金システムを展示した。

ハセテックの非接触給電システム。電磁誘導方式を採用する。送受電コイルは昭和航空機製
ハセテックの2台同時充電可能な急速充電器。認証システムを備える
福西電機の充電ソリューション。パナソニックの充電スタンドに認証システムや課金システムを付加する。支払いはクレジットカードや硬貨でも可能福西電機の充電器管理システム。管理する充電器の利用状況を一覧できる

ワンチップで画像認識機能付きのサラウンドビューを実現
 ルネサス エレクトロニクスは画像認識用システム・オン・チップ(SoC)「SH7766」によるサラウンドビューシステムを展示した。SH7766にはCPU「SH4A」のほか、イメージプロセッサ「IMP-X2」や歪み補正エンジン「IMR-X」、グラフィックインターフェイスなどを搭載。車体の前後左右に装着された計4つのカメラからの画像を合成し、歪みを補正してサラウンドビューを表示するほか、CPUとイメージプロセッサによって動体や人間を認識し、画面上で強調表示するまでをワンチップでできる。

ルネサス エレクトロニクスによるサラウンドビューのデモ。赤いワーゲンの前後左右のカメラでサラウンドビューを表示し、動くパンダや人形を認識して強調表示するSH7766のブロック図
こちらもルネサスのデモ。車載ネットワークであるCANやLINのデータをイーサネットに流すためのゲートウェイのデモ。LIN上の機器で衝突を検出すると、イーサネット経由でPCにそのデータが流れる
ルネサスの参考展示は、シングルコアのプロセッサをマルチコア プロセッサに見せかける技術。1つのプロセッサ上で複数のプログラムを走らせるため、それぞれのプログラムに時間を割り当てて交互に処理し、同時に動いているように見せる。従来はソフトウェアで行なっていたが、ハードウェアで行うことで自動車にも使えるだけの信頼性を確保する。右の画面は処理能力を4つのプログラムに25%ずつ割いているのを表している。また左の画面の4つの鉄道模型はそれぞれのプログラムを表すが、1つがバグによって停まっても、ほかの3つは動き続けることを表す
シングルプロセッサしか搭載できない安価なモデルでも、マルチコアプロセッサ用のプログラムを走らせることができるのが、この技術のメリット

マルチメディアコンテンツや車両データを瞬間ワイヤレス転送
 パナソニックは、高速大容量SDメモリ「UHS-II」と、高速無線LAN「WiGig」を組み合わせた車載ソリューションを提案した。

 タブレット端末をリアシートのマルチメディアプレーヤーに向けて、ムービーのアイコンを端末の方にフリックすると、瞬時にそのムービーが端末に転送される(ストリーム再生ではなく、データ全体をコピーする)。WiGigは指向性が強いため、リアシート左右に端末が設けられていても、タブレット端末が向いている端末のほうにデータが送られる。

 また、車外の端末に車両データなどを送る用途も提案。こちらもWiGigの指向性を利用し、整備工場などで複数のクルマが置いてあっても、端末が向いた方向にあるクルマのデータだけを取得することができる。

左右のシートのプレーヤーのどちらかにタブレットを向け、転送したいムービーをフリックすると、そのプレーヤーにコンテンツがコピーされ、再生される
パナソニックのEV・HV用接近警報装置。日産のリーフやフーガ、三菱のi-MiEVに採用されているパナソニックのリチウムイオン電池モジュール。ノートPCなどで多用されている18650バッテリーを束ねてEV・HVの駆動用バッテリーとするソリューション。手前のドームの中が18650バッテリー、後方の箱が18650を束ねたモジュール

このほかの展示

安川電機は電動車両用駆動モーターの新製品QMET-IIを展示。さまざまあな車両に対応できる安川電機の参考展示。SiC(シリコンとカーバイトの化合物)をインバーターに使用したモーター。SiCは発熱が少なく、効率を高めることができる
日立が展示したハイブリッドシステム。リチウムイオン電池はGMのビュイック・ラクロスに、モーターとインバーターはシボレー・ボルトに採用されている日立の回生協調対応電動型制御ブレーキシステム。真空倍力装置を持たないEVなどに使う電動油圧ブレーキで、スタビリティ・コントロールや減速回生機能との協調動作が可能
日本電産のパワーステアリング用モーター。左から高出力と提出力のラックタイプ、コラムタイプ日本電産のデュアルクラッチAT用モーター。左がクラッチ用、右がシフトセレクト用
スターライト工業のアクティブ・グリルシャッター。高速走行時にはシャッターを閉め、空力を改善する。上がプジョー「3008」用、下がメルセデス・ベンツのトラック「アクトロス」用PCではおなじみのMSIコンピューターによる車載機器ブランドが「ファントロ」。業務用のソリューションがメインだが、観光バスの車載インフォテインメントシステムでお目にかかることがあるかもしれない

(編集部:田中真一郎)
2012年 1月 19日