ロボットEVなどEV関連技術が多数展示された「EV・HEV駆動システム技術展」 「国際カーエレクトロニクス技術展」などと併催 |
東京ビッグサイト(東京都江東区)で、1月19日~21日まで、「第2回EV・HEV駆動システム技術展(EV JAPAN)」「第3回国際カーエレクトロニクス技術展」「第1回クルマの軽量化技術展」の3つの展示会が開催されている。
この3つの展示会は、ビッグサイトの東展示場の半分ほどを使用して開催されており、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HEV)や関連技術を一堂に見ることができるものとなっている。イベントのWebサイトから無料招待券を申し込むことができ、招待券がない場合は入場料5000円。
3つの展示会は、ほぼ一体となって開催されており、来場者は自由に見て回ることができる。また、「第2回半導体パッケージング技術展」「第12回国際電子部品商談展」「第12回プリント配線板EXPO」「第2回先端電子材料EXPO」「第1回精密微細加工技術EXPO」「第40回インターネプコン ジャパン」「第28回エレクトロテスト ジャパン」「第3回次世代照明技術展」など、機械・電子関連の展示会も併催されており、もの作りの最先端技術を同時に見て回ることが可能だ。
■多数展示された大手メーカー製EVやガレージメーカー製EV
会場の一角には「電気自動車特別展示コーナー」が設けられ、日産自動車「リーフ」、三菱自動車工業「i-MiEV」といった大手自動車メーカー製EVから、輸入EV、ガレージメーカー製EVが展示されいてた。
一番人気は、昨年末に市販が開始されたリーフで、黒山の人だかり。横に並ぶトヨタ自動車のプラグイン ハイブリッド車「プリウス プラグイン ハイブリッド」とあわせ、人に囲まれた状態が続いていた。
日本初の量産EV、三菱「i-MiEV」 | 日産「リーフ」は、人に囲まれて見るのが大変なほど | トヨタ「プリウス プラグイン ハイブリッド」も同様に大人気 |
BMW「MINI E」 | スバル(富士重工業)「プラグイン ステラ」 | i-MiEVベースの光岡自動車「雷駆(ライク)」 |
そのほか注目を集めていたのが、ロボット開発などで知られるゼットエムピー(ZMP)のロボットEV「RoboCar MEV」。RoboCar MEVは、ステレオカメラ、GPS、各種センサー、Wi-Fi/3Gのインターネット接続ができるEV開発用プラットフォームで、ステアリングコントロールも電子化。ステレオカメラで対象物との距離を認識するほか、レーダーセンサー、GPSによるマップマッチングなどで自動運転を実現している。288万円から販売されており、大学や大手家電メーカー、自動車メーカーなどへの販売実績があると言う。
変わったEVとしては、淀川製作所が展示したEV「Meguru」。大阪府守口市の4社が共同開発した3輪EVで、観光地での採用を目指していると言う。そのほかBMWの「ミニE」、グリーンロードモータースの「トミーカイラZZ」など話題のEVをはじめ、フランスから八洲が輸入する「エクサム・メガ マルチトラック」、韓国からみちのくトレードが輸入する「シャープシューター」など、狭いエリアに多数のEVが展示されていた。
ビートソニックは、20系プリウスをプラグイン ハイブリッド車に改造する「プラグス40+」を展示。このプラグス40+はキット販売されており、プリウスにバッテリーを増設し、AC100V充電を可能にするもの。充電した電力のみで40kmの走行ができ、製品名の40となっている。現行の30系プリウス用のキットも開発中で、春には発売できそうだとのことだ。
EV化キットでは、TOSMOがビジネスバイクの電動化キット「EVK」の展示を行っていた。このEVKは10万円という低価格な電動化キットで、本田技研工業の2輪車「スーパーカブ」をEV化できる。あらかじめEV化したバイクも15万円ほどで販売予定となっている。
ビートソニックの「プラグス40+」。ラゲッジルーム下に1.3kWhの大容量バッテリーを搭載する |
TOSMOの「EVK」。スーパーカブをベースとした2輪EV。フロントカウル部分にあるのが駆動用の鉛蓄電池。リチウムイオンバッテリーにすることも可能だと言う |
■新たな提案などがあったEV用充電器
EVの普及に伴って多数必要となるのがEV用充電器。このEV用充電器は、大きく分けて急速充電器、普通充電器の2種類があり、各メーカーがさまざまな充電器を展示していた。
JFEエンジニアリングは、蓄電池を用いる急速充電器「RAPIDAS(ラピダス)」を展示。急速充電器の設置には、50kW級の給電設備が必要となるが蓄電池を用いることで20kW級の給電設備で急速充電ができ、初期工事費用を低減できる。これにより電気料金契約が安価な低圧受電契約となるほか、安価な夜間電力を活用でき、ランニングコストを低減できるとする。
また、福西電機はEV用充電器管理システム「パ・チャ・ポ」を展示。これは利用者の個別管理が可能な充電管理システムで、商業施設やマンションに設置することで、充電ポイントなどのサービスや課金を行うことができる。認証者のみ利用できるようにすることで、不正利用を防げると言う。
■Andorid搭載IVIシステムなど
インドのタタ・モーターズの関連会社であるタタ コンサルシーサービシズ ジャパンは、Intel AtomプロセッサーにAndoroid OSを搭載したIVI(In-Vehicle Infotainment)を参考展示していた。Andoroid OSのバージョンは2.2で、音楽プレイヤーや、カーナビなどの機能が統合されている。
タタ コンサルシーサービシズのブースでは、Atomプロセッサーを用いた画像認識システム、GT-Rの中古車認定プロセスでも使用されていた診断ツール「CONSULT(コンサルト)」などを見ることができる。
現在、車載プロセッサーとして実績を数多くの持つのがフリースケール。フリースケールでも、自社のIVI用プロセッサー「i.MX」を展示。Andoroid 2.2を使用したIVIのほか、LinuxベースのオープンソースソフトウェアプラットフォームMeeGoを使用したIVIの動作展示を行っていた。展示されていたi.MXは、Coretex A8を内蔵したi.MX51とのことだが、すでにCoretex A9のクアッドコアを内蔵するi.MX 6Quadが発表されており、車載用IVIプロセッサーとしてさらなる高機能化を図っていく。
そのほか、この3つの展示会では、各種計測ツール、加工ツール、モーターやインバーターなどEV用部品、各種新素材の自動車軽量化部品が多数展示されている。EVに対する社会的な注目度の高まりもあってか来場者は多い展示会となっていた。
東レが展示していた軽量化素材を用いたデモカー。東レのさまざまな新素材が組み込まれている | グラフテックは、データロガーを中心に展示。写真は絶縁高速多チャンネルデータロガー「GL900-8」。8チャンネルの入力を持つ |
安川電機のSiCを採用したEV用高効率モーター「SiC-QMETモーター」 | 同じくSiCを採用した「SiC-QMETインバーター」 |
【お詫びと訂正】記事初出時、JFEエンジニアリングの急速充電器「RAPIDAS」の写真として他社のEVの写真を掲載しておりました。また、このRAPIDASは50kWの給電設備を用いず、20kW級の給電設備を利用できるものとなっています。お詫びして訂正させていただきます。
(編集部:谷川 潔)
2011年 1月 19日