4月14日開通目前、新東名「NEOPASA静岡・清水」を公開
NEOPASA清水は、クルマ好きのための空間を演出

NEXCO中日本のPRチーム「バンビーナ・アランチア」(NEOPASA静岡 下り)

2012年4月14日15時開通



 NEXCO中日本は4月10日、14日に開通を控えた新東名高速道路の休憩施設「NEOPASA(ネオパーサ)静岡」と同「清水」を報道関係者と周辺住民に公開した。

 既報のとおり、新東名高速道路は御殿場JCT(ジャンクション)~三ケ日JCTが14日15時に開通する。この区間には7つのSA(サービスエリア)、PA(パーキングエリア)が設けられるが、うち4つに「NEOPASA(ネオパーサ)」のブランドを冠している。

 10日に公開されたのは、御殿場JCTから三ケ日JCTに向かって3つめの「NEOPASA静岡」(静岡SA)と、2つめの「NEOPASA清水」(清水PA)。ここでは公開の模様と、それぞれの施設で提供される代表的なメニューやサービスを、写真を中心にお届けする。

バンビーナ・アランチアのプロモーションカー「アランチア」は「アバルト500C」のカスタマイズモデル。アランチアはイタリア語で「オレンジ」の意味。アランチアの1/24プラモデル(右)が東名、新東名のコンシェルジュカウンターとオンラインショップで販売されている(3200円)

「静岡の情報発信基地」を目指す「NEOPASA静岡」
 NEOPASA静岡(静岡SA)は新静岡ICと藤枝岡部ICの間に位置する。

 NEOPASAはそれぞれのNEOPASAごとにコンセプトを設け、NEOPASAごとの個性を打ち出すことで、「NEOPASAに行くことが高速道路を使う目的になる」ような魅力的な施設づくりを目指す。

 NEOPASA静岡のコンセプトは上下線とも「ハートフルオアシス」。静岡県の中央であることから、フードコートやショッピングモールには静岡の特産品を揃え、静岡の魅力を満喫できる空間を狙っている。

 なかでも土産物などを扱う「しずおかマルシェ」は、扱う品目の4割以上が高速道路初出品か、しずおかマルシェ限定の商品。その中には県内で人気の洋菓子店「セティボン」のバームクーヘンや、徳川家康にわさびを献上したこともあるという日本最古のわさび農家「わさびの門前」のわさび製品など、静岡ならではの逸品が多数含まれている。

 しずおかマルシェを運営する静岡鉄道 事業開発課の牧野友彦課長によれば「うちの商品は高速道路での販売に向かない」「1万程度のロットでなければオリジナル商品は出品できない」と、消極的なところが多かった。しかし「(新東名を利用する人たちに)ここから静岡の情報を発信し、いずれは静岡を旅の目的地にしてもらいたい」というメッセージをもって粘り強く交渉し、共感を得たのだと言う。

静岡SA(下り)の駐車スペース。EVの急速充電器があるITSスポット対応カーナビで地域の情報を受け取ることができる駐車マスが2つある
静岡SA(下り)にはスマートICがある下りのヘリポート。SAを防災拠点として活用するほか、ドクターヘリの発着にも使う
NEOPASA静岡(下り)の外観は静岡市の花であるタチアオイや市木のハナミズキの色をイメージした
「ドライバース・スポット」は長距離ドライバーのための施設。コインランドリー(上段右)、コインシャワー(下段左)、マッサージチェアー(下段中)、リクライニングチェアを備えたリフレッシュブース(下段右)を備える。静岡以外にも駿河湾沼津、浜松、掛川PAに設置される
ドライバーズ・スポットは静岡で弁当・惣菜店などを経営する天神屋が運営。おにぎりや静岡おでんなどの軽食が提供される
コンシェルジュカウンター上り線のフードコート(左)。テラス席(右)もある
桜海老、しらす、まぐろなど、静岡の海産物を使った海鮮丼を出す「駿河丸」。生の桜海老と釜揚げしらすが乗った「駿河丼」はあおさの味噌汁付きで880円(右)。桜海老としらすのかき揚げ丼なども
関東系醤油ラーメンの「炙ラーメン 明」は、豚バラ、豚肩、鶏の3種のチャーシューがウリ。チャーシューには、野菜を巻いて蒸してから醤油だれに漬け、仕上げに炙るという手間をかける。炙り豚バラチャーシューが入った「ラーメン」は650円(右)
「鉄太郎うどん」は桜海老、黒はんぺんなどの地元食材を使ったうどん・そばを販売。「鶏の磯辺揚げ」は、鳥の天ぷらに浜名湖の海苔を入れたもの。静岡の牛肉を使った「牛肉うどん」は650円(右)
点心の「パオパオハイウェイ」。「よくばりチャーハンセット」(980円)のような定食のほか、黒豚まん(330円)や「もち豚シューマイ」(430円)などの単品も
地元の食材を使った洋食の「ミートキッチンMJ」。「豚焼ライス」(680円)は甘めのソース
屋外のテイクアウトの店。左から出井牧場のソフトクリームなどを売る「いでぼく」、牛タン串焼きの「しおや」、焼き鳥や唐揚げの「鶏膳」
ベーカリーコーナーは「アンデルセン」が担当。「デニッシュハート」のようなアンデルセンの定番メニューのほか、「静岡産深蒸し茶のクリームあんぱん」「静岡産しらすの薄焼きパン」「静岡産桜えびのちぎりパン」といった限定商品も
「ガンダム」をテーマとしたメンズアパレルショップ「STRICT-G」(ストリクト・ジー)はNEOPASA静岡の上下線に出店。今のところこれらの商品はこことお台場のSTRICT-Gでしか買えない。運営するバンダイは静岡に工場を持っているが、工場の内装や制服、はては工作機械までがガンダム風デザインで統一されている
「IZONE NEW YORK」はサングラスのショップ。ドライバー向けに偏光サングラスが充実
取り扱い商品の4割以上が高速初出店またはNEOPASA静岡限定という土産物屋「しずおかマルシェ」
しずおかマルシェでは静岡の工芸品なども扱う。タミヤ、ハセガワ、アオシマといった、県内に本社を構えるメーカーのプラモデルも
しずおかマルシェには黒はんぺんフライなどのテイクアウトフードも。右は県内の調理専門学校が開発した「静岡揚げ」。黒はんぺんに桜海老をはさんで海苔を混ぜた衣をつけて揚げた。1枚130円
こちらは上り線のしずおかマルシェ。什器に県産の材木を使ったセティボンのバームクーヘン「千年乃樹」(左)や、ポンヌジュルネの「ポルポローネ」、長登屋の「本山茶クグロフ」などさまざまな高速初出品商品を揃える。右の生わさびは「わさびの門前」の商品。門前のわさびは料亭でも使われるような高級品で、それがSAで買えるのは画期的
上り線のフードコートうどん専門店「つるこし」の「静岡三宝うどん」(530円)は桜海老、しらす、黒はんぺんをトッピング。横にあるのは追加のトッピングの桜海老のかき揚げと桜海老のさつま揚げ洋食の「マイバーグ」。写真はハンバーグ、チキン、エビフライがのった「どっか~んパワフルセット」(1400円)。ほかに静岡わさびソースのハンバーグなども
おなじみとんこつラーメンの「一風堂」も「IPPUDO NOODLE EXPRESS」として上り線に出店。安定の一風堂クオリティだが、高速店向けに伸びにくい麺を採用するなどの改良も。一風堂名物のホットもやし取り放題はないが、トッピングとして用意されているとのこと。写真は白丸とんこつ(600円)これもおなじみ「とんかつ新宿さぼてん」。一口ひれかつとわさびや桜海老のコロッケや黒はんぺんのセットは静岡限定。写真はここがデビューとなる新商品「ソースカツ丼」。単品が980円で、そばセットが1150円中華の「西安餃子」。写真の「駿河湾産桜エビとしゃきしゃきレタスの炒飯」(880円)はNEOPASA静岡(上り)限定
上り線のベーカリーは高速初出店のヴィ・ド・フランスが運営する「デリフランス」。桜えび入りねぎ焼き、静岡カレーパン、各種メロンパンにパニエと、オリジナル商品が多数
下り線のソフトクリームは馬飼野牧場が担当。クレープなども販売するテイクアウトメニューの「海老寿屋」の「駿河の炒麺」(500円)
下り線のプレイロットドッグランは駿河湾沼津、静岡、浜松の上下線に用意。駿河湾沼津と浜松にはドッグカフェもある
静岡SA上り線にはバイオディーゼル燃料のプラントがある。駿河湾沼津、清水、静岡、浜松、藤枝、掛川、遠州森町の店舗で調理に使った食用油の廃油をここに集め、ディーゼル燃料として精製し、高速道路の維持管理車両の燃料とする。1日に400Lの油を精製する能力がある
NEOPASA静岡(下り)のトイレ
女性トイレにはパウダールームや空室の表示板などを備える
交通情報ターミナル。Felica機能付き携帯電話に情報を転送することができる

クルマ好きのための空間を演出した「NEOPASA清水」
 NEOPASA清水は上下線を集約した施設だ。清水はSAでなくPAだが、SA並に大規模な商業設備となっているため、NEOPASAブランドを冠する。

 コンセプトは「くるまライフ・コミュニティーパーク」で、クルマやバイクを楽しむ人たちが集まる場所を演出した。施設はガレージをイメージしたもので、タイヤやチェッカーフラッグをモチーフとした調度を備え、クルマやバイクを展示する。

 NEOPASA清水のもう1つの特徴は、UNITED ARROWS、FREE'S SHOP(フリーズショップ)、Hartdance、クシタニといったアパレル・雑貨系の出店が多いこと。出店者は「多くの人が集まる高速道路のPAでブランドを幅広い層にアピールし、新しい顧客を開拓したい」と口を揃える。そのため、たとえば女性向け宝飾品を扱うハートダンスは、子供向けの雑貨を揃え、フリーズショップはメンズ商品も扱うなど、幅広い層をターゲットにした品揃えをしている。

 なお清水PAには富士山と駿河湾を眺めることができる展望台がある。新東名で富士山が見える休憩施設は、ここ清水PAと藤枝PAだけだ。

NEOPASA清水
ガレージをイメージした内部
富士山と駿河湾が見える展望台がある
韓国料理「明洞食堂」のスンドゥブラーメン(750円)
丼ぶりものの「寅福」の「静岡産釜揚げしらす丼」(1000円)
鉄板焼き「鐵一」の「富士山極太焼きそば」(600円)は富士山型目玉焼き入り
ピザの「PIZZA-LA EXZPRESS」。ピザ2ピース+フレンチフライ+ドリンクのセットで1000円。井出牧場の牛乳を使ったソフトクリームやクレープなどのスイーツも
ビームスが運営するカフェ「レムソンズ」の「アボガドチリドッグ」(600円)と「ジンジャーモヒート」(380円)
こちらはユナイテッドアローズが運営するフレンチトースト専門店「ロンカフェ」。写真はNEOPASA清水限定の「静岡抹茶とあずきとバナナのフレンチトースト」(980円)
「カワセミベーカリー」はやはり井出牧場の牛乳や静岡のみかんを使ったシュークリームを販売
カワセミベーカリーのご当地パン。左から「みかんデニッシュ」「やぶきた茶あんのデニッシュ」「特濃牛乳のクリームパン」
カワセミベーカリー横の「カワセミバーガー」は「富士鶏のチキンカツバーガー」(630円)「朝霧高原のLYB豚の生姜焼きバーガー」(680円)などのご当地メニューを用意
NEOPASA清水のもっとも特徴的な場所が、アパレルブランドが並ぶショッピングアーケード高速初出店のFREE'S SHOPの店「FR FREE'S SHOP drive-in」は「海の家」をイメージした開放的なつくり土産や車内で食べるためのお菓子を扱う
幅広い層に対応するため、通常は1つの店舗に混在させない「キャスキッドソン」商品やメンズ商品を一緒に並べている。ここだけの限定商品も用意
UNITED ARROWSの高速店「THE HIWAYSTORE UNITED ARROWS LTD」はEXPASA海老名にも出店済み。クルマ型USBメモリなど、クルマ好きのための商品を揃える。中央のHIWAYSORE限定トートバッグはオリジナルのクルマ柄の生地に、シートベルトを使ったハンドルを装着
THE HIWAYSTORE UNITED ARROWS LTDが行き先の観光地で使う商品も揃えるのは、海老名での経験から。1枚羽織るだけで様になるパーカーや、グレゴリー、カリマーといった本格的なアウトドアブランドの商品が並ぶ
「Heartdance+」はHartdanceで扱っているアクセサリーの他に、子供向けのおもちゃなども揃えて客層の拡大を図る
バイク用アパレルの「クシタニ」は、同社の直営店「プロショップ」とは一線を画した「パフォーマンスショップ」を出店。クールなイメージの店舗に、バイク用品のほかにバイクに乗らない人にもアピールする限定アクセサリーなどを揃える。下段中央のサドルバッグは、レーシングスーツに使われる撥水性のある革を使った、これまた限定商品
NEOPASA清水のトイレはすこしクールな調度

本線には富士山が見える場所も

静岡SAから清水PAへの上り車線。当初は片側2車線で運用される新東名だが、ICやSA/PAの合流部分は3車線になる
標識の裏側。逆光でも読めるように、文字の部分に細かい穴が開いている新東名は山間部を走るうえ、カーブや勾配を減らすために高架やトンネルが多い
118.2kmポスト付近のカーブは、新東名で最も曲率のきつい場所。しかし回転半径は3000mで、現東名で最もきつい300mと比べれば、10倍ゆるい静岡SAと清水PAの中間にある新清水JCT(上り)は、正面に富士山を望むポイント。新清水JCTは新東名と現東名を結ぶ連絡路の分岐合流点清水PAから東京に向かってすぐの新清水ICでも正面に大きく富士山が見える
新清水IC手前の案内看板

(編集部:田中真一郎)
2012年 4月 11日