テスラモーターズ、「モデルS」のシャシーを公開 同社ショールームに展示 |
6月に米国で行われた納車開始イベントの様子が上映された。画面はテスラモーターズのイーロン・マスクCEO |
テスラモーターズジャパンは30日、北米で納車が始まった電気自動車(EV)「モデルS」のシャシーとパワートレーンを、東京 青山の同社ショールームで公開。米テスラモーターズのエンジニアであるカート・ケルティ氏がその特長を説明した。
モデルSは5ドアサルーンの7人乗りEVで、アルミボディーの床下にリチウムイオンバッテリーを、リアオーバーハングにインバーター/モーター/ギアボックスを搭載する。
ケルティ氏は「iMiEVやロードスター(テスラモーターズのEV第1作)はガソリンエンジン車をEVにしたものだが、モデルSは最初からEVとして設計したので、いろいろなメリットがある」と説明を始めた。
シャシーを一見して分かるそのメリットは、広大な室内空間だ。リチウムイオンバッテリー、パワートレーン、エアサスペンション用やブレーキ用のポンプはすべて床下に収まっており、トランスミッションやプロペラシャフトが不要なのでセンタートンネルがなく、床はフラットだ。フロントのボンネット下はエンジンなどがないため、トランクルームになっている。これを利して5人分のシートの後方に後ろ向きの2人がけシートを配し、7人乗りとしている。
モデルSのシャシー。前方から見たところ | 上から見たところ。右上が進行方向 |
また、重心を低くでき、ドライバビリティを向上させることができた。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクで、オプションのエアサスペンションを選べば、コックピットのタッチスクリーンを操作して車高を変えることができる。
モーターの出力は300~400HP。ロードスターのものよりステーターを25%拡大し、パワーアップした。9.73:1のレシオのギアボックスで減速され、後輪を駆動する。インバーター/モーター/ギアボックスは一体となって搭載されており、整備性を向上させている。
ケルティ氏が持っているのが18650充電池のセル。このように立てた状態で搭載される |
バッテリーはロードスター同様に汎用規格「18650」を採用。ノートPCのバッテリーなどでも使われている規格だが、中身はEV用にパナソニックと共同開発したもので、高いエネルギー密度を誇ると言う。ただし2社購買になっていると言う。
容量は40kWh、60kWh、85khWの3種類用意され、それぞれ航続距離が160マイル(約250km)、230マイル(約370km)、300マイル(約490km)となっている。ユーザーは価格と航続距離を天秤にかけて選ぶことになる。
ただし、容量が変わっても重量は同じに揃えた。衝突試験でのパラメーターが変わってしまうの避けるためだ。
普通充電が基本だが急速充電にも対応し、CHAdeMOを始めとする各地域の急速充電規格にも対応する予定だ。
モデルSは米カリフォルニアの元トヨタの工場で、これまで100台生産された。今年中に5000台を生産する予定だ。日本には2013年に導入される予定となっている。
(編集部:田中真一郎)
2012年 8月 31日