スズキ、“スズキ グリーン テクノロジー”を採用した新型「ワゴンR」発表会
「スズキ グリーン テクノロジーはシンプルかつ低コストであることが重要」

俳優の渡辺謙さんと新型ワゴンR

2012年9月6日開催



新型ワゴンRについて語る渡辺さん。身長は約183cmだそうで、渡辺さんのシートポジションに合わせると後席に座る人の足下が狭くなることが多いと言う。しかし新型ワゴンRでは自らのシートポジションに合わせて後席に座っても、まったく狭さを感じなかったと言う

 スズキは9月6日、新型「ワゴンR」「ワゴンR スティングレー」の発表会を、都内で開催した。発表会には、鈴木修会長兼社長、本田治代表取締役副社長のほか、新型ワゴンRのTV-CMに出演する俳優の渡辺謙さんが出席し、新型ワゴンRについての印象を語った。

 ワゴンRは「FX」「FXリミテッド」、スティングレーは「X」「T」の計4グレードを展開し、それぞれ2WD(FF)車と4WD車をラインアップする。ワゴンR スティングレーのTのみ直列3気筒 DOHC 0.66リッター ターボエンジンで、そのほかのモデルは直列3気筒 DOHC 0.66リッターの自然吸気エンジンを搭載する。

 燃費については、自然吸気エンジン搭載車(2WD)で28.8km/Lの軽ワゴンNo.1の低燃費を実現した。また、ターボエンジン搭載車(2WD)も26.8km/Lを達成しており、新型ワゴンR/スティングレーではターボ車も含め、2WD・4WD車ともに全車エコカー減税の免税(100%減税)車となるのが大きな特徴と言える。価格は関連記事を参照されたい。


スティングレー「T」(2WD)。最高出力47kW(64PS)/6000rpm、最大トルク95Nm(9.7kgm)/3000rpmを発生する直列3気筒 DOHC 0.66リッター ターボエンジンを搭載。ボディーカラーはフェニックスレッドパールで、フロントグリルとヘッドランプにLEDイルミネーションを装備する
スティングレー「T」のインテリア。インテリアカラーはブラックを基調とし、パドルシフトやフルオートエアコンなどの装備が備わる。また、平均燃費や航続可能距離などを表示するマルチインフォメーションディスプレイを装備するメーターは、燃費がよい運転をすると照明がブルーからグリーンに変化する
ワゴンR FXリミテッドは直列3気筒 DOHC 0.66リッターエンジンを搭載し、最高出力38kW(52PS)/6000rpm、最大トルク63Nm(6.4kgm)/4000rpmを発生。ボディーカラーはフィズブルーパールメタリック
ワゴンR FXリミテッドのインテリア。グレーベージュを採用した2トーン内装を採用し、上面や前面のボリュームを小さくし、乗員への圧迫感のないインストルメントパネル造形とした
独自の減速エネルギー回生機構「エネチャージ」で使われる高効率リチウムイオンバッテリーは助手席下に配置される

鈴木修会長兼社長

 発表会の冒頭、鈴木会長は、新型ワゴンRがJC08モード燃費で28.8km/L(自然吸気・2WD車)を達成したことに触れ、軽ワゴンNo.1の低燃費を実現しつつも「燃費問題は1日1日改善していかなければならない。明日(ワゴンRより)すごいのが出てくるかもしれないので、これからも改善を続けていきたい」と意欲を見せる。

 また、新型ワゴンRを生産する同社の湖西工場(静岡県湖西市)について、「車体は湖西工場、エンジンは相良工場と分けて作っていたが、相良工場が(中部電力浜岡原子力発電所から)11kmしか離れていないため、湖西工場で生産することになった」と、生産工場を1本化したことについての経緯を述べるとともに、浜松地区は海岸に沿っていることから、「原発に加え津波の問題があり、今後工場立地自体を考えていかなければならない。少ない国内生産の中で、どのように合理化していくかという点が今後の課題になる」と説明した。


本田治代表取締役副社長

 新型ワゴンRについては、本田副社長が概要を説明を行った。

 1993年にデビューしたワゴンRは、「使いやすい室内空間や運転のしやすさ、存在感のあるデザインが特徴で、“軽ワゴン”という軽自動車の標準型とも言えるカテゴリーを築くことができた」と述べるとともに、5代目となる新型ワゴンRでは、『誰にでも使いやすいボディーサイズ、室内』『すぐにワゴンRとわかる、キリッとしたデザイン』『軽ワゴンNo.1の低燃費』『きびきびと、且つ軽やかな走り』の4点に焦点をあてて開発を行ったと言う。

 詳細は関連記事に譲るが、新型ワゴンRでは燃費改善を目的に、新たに「ENE-CHARGE(エネチャージ)」、「新アイドリングストップシステム」、「ECO-COOL(エコクール)」という3つの新技術を全グレードに採用した。こうした燃費改善技術について、同社は今後「SUZUKI GREEN Technology(スズキ グリーン テクノロジー)」と呼ぶことを明らかにした。本田氏いわく「スズキ グリーン テクノロジーはシンプルかつ低コストであることが重要」であり、今後も「お客様にとってお求めやすい価格でご利用いただける環境技術に注力していく」と述べた。

 このスズキ グリーン テクノロジーは、エンジンの高効率化や車両の軽量化といった「基礎技術」と、アイドリングストップシステムや減速エネルギー回生など、無駄なエネルギーの消費を抑えたりエネルギーを生み出す「飛躍させる技術」の2つからなる。

 基礎技術にあたるエンジンでは改良型の「R06A型」エンジンを採用し、自然吸気エンジンでは「低燃費」「軽量化」、ターボエンジンでは「パワフル」「静粛性」を特徴とした。また、軽量化については、新旧のFXリミテッドで比較したところトータルで70kg軽くなり、「この結果、低燃費であることはもちろんのこと、今までのワゴンRと比べてもさらに軽やかでキビキビした走りを実現した」と、本田副社長は説明する。

 また、新型ワゴンRでは燃費のみならず、「ワゴンRならではの乗り降りのしやすさ、使いやすさなど、これらを大切に引き継いで作った」「デザインは一目でワゴンRと分かる、より力強く、ピリッとした質感の高いものを心がけた」と述べるとともに、「新型ワゴンRはとてもよいクルマに仕上がったと思っている。お客様には見ていただいても、実際に使っていただいても、必ずそのことを感じていただけると私どもは確信している」とし、説明を締めくくった。

新型ワゴンRの開発で目指した点JC08モード燃費は先代ワゴンR(FX アイドリングストップ)比で22%向上の28.8km/Lを達成同社の燃費改善技術は今後「スズキ グリーン テクノロジー」と呼ばれることになる
スズキ グリーン テクノロジーは「基礎技術」と「飛躍させる技術」の2つに分かれる改良型のR06A型エンジンを採用先代ワゴンR(FXリミテッド アイドリングストップ付き/2WD)と比較して、新型ワゴンR FXリミテッド(2WD)は70kg軽くなり、790kgを実現した
燃費を飛躍させる3つの技術新型ワゴンRは、先代ワゴンRからホイールベースが25mm長い2425mm、室内長が115mm長い2165mm、前後乗員間距離が25mm長い1000mmを確保全車エコカー減税の免税(100%減税)車となる
減速時のエネルギーで発電・充電し、走行時の発電に使用する燃料を低減する「ENE-CHARGE(エネチャージ)」停車前の減速時に13km/h以下でエンジンを停止し、燃料カット領域を拡大する「新アイドリングストップシステム」
蓄冷材を採用してエンジン停止中でも冷風を送ることで室内を快適に保つとともに、アイドリングストップ時間の拡大に貢献する「ECO-COOL(エコクール)」
エコドライブアシスト照明を採用し、燃費のよい運転をすると、メーターの照明がブルーからグリーンになるエコドライブ度を点数で表示するエコスコア機能も付く車両重量における軽量化寄与率
ボディーには超高張力鋼板、高張力鋼板を広く採用し、先代比で約15kgの軽量化に成功ドアやシート、内装部材、サスペンションなどでも軽量化を行っている
搭載エンジンの出力について専用開発タイヤを採用先代比でインストルメントパネルの上面を20mm低く、オーディオを20mm前方に配置することで、ゆとりや開放感を高めた
先代と比べ、ベルトラインを25mm下げてサイドウインドーのガラスエリアを拡大した最小回転半径は4.4m(14インチタイヤ装着車)
運転席はシートリフターを装備(ワゴンR FXをのぞく)新型ワゴンRではきめ細やかにシートポジションを設定できる豊富な収納スペースを用意する
防振。防音対策を徹底的に行った歩行者傷害軽減ボディーを採用グレード構成

(編集部:小林 隆)
2012年 9月 6日