SUPER GT第6戦富士はカルソニックIMPUL GT-Rが優勝
ランキングトップにS Road REITO MOLA GT-Rが浮上

優勝したカルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)

2012年9月9日開催



 9月9日、2012 AUTOBACS SUPER GT第6戦「FUJI GT 300km RACE」の決勝レースが富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催された。GT500クラスは、予選1位の12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が1度もトップを譲ることなくパーフェクトウィンで今季初優勝、GT300クラスは33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)が31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)の追撃を振り切り今季2勝目となった。

 全8戦で行われるSUPER GTシリーズもこのレースを含め残り3戦。シリーズチャンピオン獲得の争いも佳境に入ってきた。各マシンに搭載されるウエイトハンデは、第2戦から第6戦までは獲得ポイントを2倍した重さ(ポイント×2kg)。第7戦は獲得ポイントの等倍kg。最終戦はウエイトハンデなしとなっている。今回の第6戦が最も重いウエイトを積んでのレースとなる。

 シリーズポイント争いで上位のチームは、今回の第6戦を取りこぼしなくしのげば、残り2戦を有利に戦える。ポイント下位のチームは、軽さを活かして上位入賞をするチャンスと言えよう。

GT500クラス
 GT500クラスの第5戦までのドライバーズポイントは、開幕戦で優勝し、その後も全戦でポイントを獲得してきた38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)が1位。シーズン序盤は出遅れたが、第4戦SUGOで3位、第5戦鈴鹿で優勝した昨年のチャンピオン1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)が2位に浮上してきた。第2戦で優勝した39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)が3位。開幕戦、第2戦で2位表彰台を獲得した100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)はウエイトと積んでから失速、4位となっている。

 速さは見せるが結果が出ていない12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)は11位と低迷。この第6戦が最後のチャンスとなりそうだ。

GT500ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)47
2位1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)43
3位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)38
4位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)38
5位18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム)34
6位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)32
7位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)30
8位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)29
9位35号車 KeePer Kraft SC430(国本雄資/アンドレア・カルダレッリ)24
10位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)24
11位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)23
12位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ロイック・デュバル)21
13位24号車 D'station ADVAN GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)14
14位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志)10
15位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(リチャード・ライアン)8
16位19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/アンドレ・クート)8

GT500クラスのスタートシーン(Photo:Burner Images)

 前日の予選で1位になったのは12号車 カルソニックIMPUL GT-R。予選Q2は松田選手が通過ギリギリの7番手タイムとなったが、予選Q3でオリベイラ選手が唯一の1分32秒台をたたき出しポールポジションを獲得。予選2位は1号車 S Road REITO MOLA GT-R、予選3位は第4戦SUGOから好調が続いている35号車 KeePer Kraft SC430となった。

 14時、気温29度、路面温度45度と夏のような天候のもと、66周の決勝レースがスタートした。ポールポジションからスタートした12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生)はトップをキープ。1コーナーで予選2位の1号車 S Road REITO MOLA GT-R(ロニー・クインタレッリ)と35号車 KeePer Kraft SC430(アンドレア・カルダレッリ)が競り合うが、1号車 S Road REITO MOLA GT-Rが先行し予選ポジションをキープした。

12号車の後方、1号車と35号車が競り合うが1号車が2位をキープ5位6号車、6位23号車、7位19号車と続く

 オープニングラップを終えトップは12号車 カルソニックIMPUL GT-R。以下2位は1号車 S Road REITO MOLA GT-R、3位は35号車 KeePer Kraft SC430、4位は36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ロイック・デュバル)、5位は6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔)、6位は19号車 WedsSport ADVAN SC430(アンドレ・クート)となった。

12号車は徐々に後方を引き離した

 7周目の1コーナー、19号車 WedsSport ADVAN SC430が6号車 ENEOS SUSTINA SC430のインに飛び込み5位に浮上。最終コーナーでは、3位の35号車 KeePer Kraft SC430がGT300クラスの2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電を抜く際に接触スピン、すぐ後方の36号車 PETRONAS TOM'S SC430もスピンした2台を避けコースアウト、ともに順位を落とした。これで19号車 WedsSport ADVAN SC430は労せず3位にポジションアップした。

3位の35号車と4位の36号車。その後方で6号車と19号車が5位争い19号車が6号車を抜き5位浮上。この後3位、4位が遅れ3位に浮上する

 このレースまで8ポイントしか獲得していない19号車 WedsSport ADVAN SC430はウエイトハンデの少なさもあり快調にラップを続け、13周目の1コーナーで1号車 S Road REITO MOLA GT-Rに肉薄しコカ・コーラコーナーのブレーキングで先行、1号車 S Road REITO MOLA GT-Rは100Rをアウトから抜き返そうとするが、6号車 ENEOS SUSTINA SC430がそのインから並びかけ1号車 S Road REITO MOLA GT-Rは2位から4位へ後退した。

2位の1号車に19号車が肉薄。その後方に6号車

 その後方ではポイントランキング1位の38号車 ZENT CERUMO SC430(平手晃平)、3位の39号車 DENSO KOBELCO SC430(石浦宏明)、4位の100号車 RAYBRIG HSV-010(山本尚貴)、7位の23号車 MOTUL AUTECH GT-R(ミハエル・クルム)、8位の36号車 PETRONAS TOM'S SC430、9位の35号車 KeePer Kraft SC430による5位争いが大混戦となった。

 7周目の最終コーナーのアクシデントで遅れた36号車 PETRONAS TOM'S SC430が後方の集団に飲み込まれ、スピンから復帰した35号車 KeePer Kraft SC430がその集団に追い付き、GT300の車両も加わり10台の大集団を形成した。

19号車が2位浮上。3位6号車、4位1号車となった36号車は接触を避け後退。5位争いに飲み込まれた

 混戦で遅れた36号車 PETRONAS TOM'S SC430は10位まで後退、35号車 KeePer Kraft SC430は10位に落ちたポジションを6位まで戻すことに成功した。大きく後退した36号車 PETRONAS TOM'S SC430だが、13周目に9位、14周目に8位、15周目に7位まで順位を回復した。

35号車、100号車、38号車が横並び。その後方に39号車、36号車がGT300も加わり大混戦6位争いをする35、100、38、39、36号車
23号車は集団から抜け出した35号車も集団から抜け出した
36号車と100号車がサイド・バイ・サイド。36号車が先行

 28周目、上位陣の一角が崩れた。3位を走っていた6号車 ENEOS SUSTINA SC430にミッショントラブルが発生。ダンロップ立ち上がりでコースを外れ、その周にピットイン。2速が使えなり優勝争いから脱落、そのまま大嶋和也に交代し我慢のレースを続けることとなった。

 レースの折返しが近付き各車のピットインが行われた。3位の1号車 S Road REITO MOLA GT-Rは29周目、2位の19号車 WedsSport ADVAN SC430は32周目にピットイン。19号車 WedsSport ADVAN SC430は1号車 S Road REITO MOLA GT-Rの前でコースに復帰するがすぐに抜かれ事実上の3位に後退した。

36号車も集団から抜け出したピットアウト後に1号車が19号車を抜き2位へ

 トップ快走の12号車 カルソニックIMPUL GT-Rは最も遅く34周目にピットイン。オリベイラ選手に交代しトップの座を譲ることなく1位でコースに戻った。35周目の順位は2位に1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝)、3位に19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治)、4位に36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)、5位に23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲)、6位に17号車 KEIHIN HSV-010(塚越広大)、7位に35号車 KeePer Kraft SC430(国本雄資)、8位に38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)、9位に39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一)、10位に100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也)となった。

1号車と19号車の争いは終盤まで続いた

 2位、3位争いはしばらく接近戦が続いたが50周目あたりから差が開き1号車 S Road REITO MOLA GT-Rが2位をキープ。4位、5位争いはピットアウト直後は接戦となったが23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが黄旗無視のペナルティストップで後退、36号車 PETRONAS TOM'S SC430が4位をキープした。

 35号車 KeePer Kraft SC430、38号車 ZENT CERUMO SC430、39号車 DENSO KOBELCO SC430の6位~8位争いは、終盤に39号車 DENSO KOBELCO SC430が9位から7位へポジションアップ、貴重なポイントを加算した。

 スタートから終始安定した走行を見せた12号車 カルソニックIMPUL GT-Rは1度もトップの座を譲ることなくパーフェクトウィン、今季初優勝を飾った。2位は好調を取り戻した1号車 S Road REITO MOLA GT-R、3位には19号車 WedsSport ADVAN SC430が入り今季初表彰台を獲得した。

パーフェクトウィンを飾り手を振るオリベイラ選手2位に入りランキング1位となった柳田選手GT500クラスの表彰式(Photo:Burner Images)

 ポイントランキング8位の36号車 PETRONAS TOM'S SC430は4位、ランキング3位の39号車 DENSO KOBELCO SC430は6位、ランキング1位の38号車 ZENT CERUMO SC430は8位でそれぞれポイントを加算。ランキング4位の100号車 RAYBRIG HSV-010、7位の23号車 MOTUL AUTECH GT-Rはノーポイントに終わった。

GT500クラス最終順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)
2位1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)
3位19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/アンドレ・クート)
4位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴/ロイック・デュバル)
5位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)
6位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)
7位35号車 KeePer Kraft SC430(国本雄資/アンドレア・カルダレッリ)
8位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)
9位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志)
10位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)
11位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)
12位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)
13位24号車 D'station ADVAN GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)
14位32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)


GT500ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)58
2位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)50
3位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)43
4位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)43
5位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)38
6位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)37
7位18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム)34
8位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)33
9位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)30
10位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)30
11位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ロイック・デュバル)29
12位35号車 KeePer Kraft SC430(国本雄資/アンドレア・カルダレッリ)28
13位19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/アンドレ・クート)19
14位24号車 D'station ADVAN GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)14
15位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志)12
16位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(リチャード・ライアン)8

 第4戦から3戦連続表彰台を獲得した1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)がラインキングトップに立ち、2年連続シリーズチャンピオンに1歩近付いた。38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)が2位、39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)が3位、今回のレースで優勝した12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が4位に浮上しチャンピオン争いに絡んできた。

GT300クラス
 GT300クラスの第5戦までのドライバーズポイントは、圧倒的な速さを見せる66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)が1位だが、マシントラブルが多く表彰台かリタイヤかという不安定な状況が続いている。2位は第4戦のSUGOで優勝した3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛/千代勝正)だが、今回のレースはペナルティポイントの累積により関口選手が出場停止となっている。

 3位は11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)。開幕戦で優勝したがその後は性能調整やウエイトハンデの影響もあり予選では低迷。それでも決勝では全戦ポイントを獲得する巧さと粘りを見せている。4位、5位のポルシェ勢は直線スピードが速く、今回の富士は優勝のチャンスがある。6位は第2戦富士で優勝した0号車 GSR 初音ミク BMW。昨年ほどの速さは見られないがベテランコンビの強さでポイントを獲得。2回のガス欠リタイヤの影響で順位を落としている。

GT300クラス ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)47
2位3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛/千代勝正)46
3位11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)43
4位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)40
5位911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)39
6位0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)35
7位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)27
8位2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電(高橋一穂/加藤寛規)25
9位88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行)24
10位52号車 GREEN TEC & LEON SLS(竹内浩典/黒澤治樹)21

 前日の予選でポールポジションを獲得したのは31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)。2位は33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)、3位は16号車 無限 CR-Z GT(武藤英紀/中嶋大祐)とハイブリッド車が1位、3位となった。ポイントランキング1位の66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)は6番手からスタートする。

 初ポールポジションを獲得した31号車 apr HASEPRO PRIUS GTは朝のフリー走行からブレーキトラブルが発生し、グリッド上でブレーキローターの交換をするなど不安を抱えながらのスタートとなった。

GT300クラスのスタートシーン(Photo:Burner Images)

 31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男)の不安はスタート直後の第1コーナーで現実のものとなった。トップで1コーナーに進入するがブレーキングで姿勢を乱し単独スピン。すぐにコースに復帰したがピットスタートした2台の前、21位まで順位を落としてしまった。

31号車は単独スピン。すぐに戦列に復帰するが21位へ後退

 1周で17位までポジションアップしたが、2周目も1コーナーで減速できずエスケープでスピン。3周目も1コーナーをオーバーランしポールポジションスタートから一転、ほぼ最後尾に落ち万事休すかと思われた。

2周目も1コーナーで止まりきれずスピン3周目はオーバーラン。88号車の後方でコースに戻った

 ポールスタートの31号車 apr HASEPRO PRIUS GTがいなくなり、トップに立ったのは33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美)。オープニングラップの順位は2位16号車 無限 CR-Z GT(武藤英紀)。3位911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔)、4位66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹)となった。

33号車のトップに浮上。16号車、911号車、66号車が続く33号車は後続を引き離す2位争いをする16号車、911号車

 序盤、66号車 triple a Vantage GT3は予想どおりの速さで順位を上げていく。3周目に3位に浮上、8周目には16号車 無限 CR-Z GTと壮絶なバトルを見せた。1コーナーからの加速で16号車 無限 CR-Z GTに並びコカ・コーラ進入で2位にポジションアップするもややオーバーラン。100Rでアウトから16号車 無限 CR-Z GTがサイド・バイ・サイドに持ち込みヘアピンで逆転。続く300Rで66号車 triple a Vantage GT3が再びサイド・バイ・サイドに持ち込みダンロップで16号車 無限 CR-Z GTの前に立った。

66号車が徐々に順位を上げた2位の16号車に迫る66号車2位に浮上しトップの33号車を追う66号車

 66号車 triple a Vantage GT3そのままトップに追い付き17周目のヘアピンで33号車 HANKOOK PORSCHEを抜きトップに浮上。徐々に後続を引き離しに掛かった。66号車 triple a Vantage GT3は燃費性能が悪く給油時間が他車より20秒ほど長い。この時間をコースで稼ぎ出す必要がある。2位33号車 HANKOOK PORSCHEとの差を20周目には3秒、25周目には7秒と広げていった。

トップに追い付いた66号車33号車を抜きトップに立った66号車後続を引き離しひたすらピット時間のマージンを稼ぐ

 ほぼ最後尾に落ち万事休すかと思われた31号車 apr HASEPRO PRIUS GTが予選1位の速さを見せ徐々に順位を上げてきた。5周目に20位、8周目に16位、10周目に14位、14周目に12位、18周目に11位とポジションを回復。19周目には9位とポイント圏内まで浮上した。

16位まで順位を回復した31号車12位まで順位を回復した31号車9位まで順位を回復した31号車

 この間のラップタイムは1分42~43秒台とトップの66号車 triple a Vantage GT3を上回るペースで周回を重ね24周目に早々にピットイン、嵯峨宏紀選手にドライバー交代、給油、リアタイヤのみの交換を行い16位でコースに復帰、再び1分42~43秒台のハイペースで後方から追い上げを開始した。

61号車が0号車を1コーナーでパス
3号車と0号車の争いは0号車が順位をキープ

 30周を過ぎた頃から上位陣のピットインが始まった。30周目に33号車 HANKOOK PORSCHEと911号車 エンドレス TAISAN 911、31周目に16号車 無限 CR-Z GT、33周目に66号車 triple a Vantage GT3、35周目に0号車 GSR 初音ミク BMWがピットイン。0号車 GSR 初音ミク BMWはタイヤ無交換でピット作業時間を短縮する作戦に出た。各チームのインラップ、アウトラップを合計時間を比較してみよう。

 0号車16号車31号車33号車911号車66号車
インラップ1:50.3411:51.4181:50.3101:49.9381:50.4741:48.841
アウトラップ2:43.7782:44.6572:52.6312:58.6653:03.7423:20.390
合計4:34.1194:36.0754:42.9414:48.6034:54.2165:09.231
タイム差0:01.9560:08.8220:14.4840:20.0970:35.112

 上位陣で最も速かったのはタイヤ無交換作戦の0号車 GSR 初音ミク BMW。ハイブリッド車の16号車 無限 CR-Z GTよりも短い時間でピット作業を終えている。最も遅かった66号車 triple a Vantage GT3とは35秒もの差となった。

 このピット作業の時間差により順位は大きく入れ替わった。16号車 無限 CR-Z GT(中嶋大祐)が33号車 HANKOOK PORSCHE(藤井誠暢)を逆転、0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝)も66号車 triple a Vantage GT3(星野一樹)の前に出ることができた。

 33号車 HANKOOK PORSCHEはすぐに16号車 無限 CR-Z GTを抜き返したため上位陣がピット作業を終えた36周目の順位はトップが33号車 HANKOOK PORSCHE、1秒差の2位が16号車 無限 CR-Z GT、11秒差の3位には31号車 apr HASEPRO PRIUS GTが返り咲き、17秒差の4位に0号車 GSR 初音ミク BMW、18秒差の5位に66号車 triple a Vantage GT3、20秒差の6位に911号車 エンドレス TAISAN 911(横溝直輝)となった。

ピットアウト後16号車を抜き返しトップを快走する33号車16号車の背後には31号車が3位まで浮上

 ピットインで4位に後退した66号車 triple a Vantage GT3が再び追い上げを開始し、37周目には0号車 GSR 初音ミク BMWを抜き3位に浮上するが、エンジンの1気筒を失いペースダウン、ズルズルと順位を落とし42周目にピットイン、またしてもマシントラブルでリタイヤとなった。

66号車が0号車を抜き快進撃を見せるかと思われたが……ズルズルと後退する66号車

 最後尾から3位まで浮上してきた31号車 apr HASEPRO PRIUS GTはレース後半も1分42秒台を連発するハイペースで飛ばし、45周目に16号車 無限 CR-Z GTを抜き2位に浮上。8秒前を行くトップとの差を44周目に5秒、47周目に3秒と詰め、49周目には0.4秒まで迫りテール・トゥ・ノーズの争いとなった。

 直線スピードやトップを死守する33号車 HANKOOK PORSCHEが有利。コーナー区間は31号車 apr HASEPRO PRIUS GTが有利。僅差のバトルが数周続き53周目のヘアピンで31号車 apr HASEPRO PRIUS GTが33号車 HANKOOK PORSCHEのインに飛び込むがスピン。後続の16号車 無限 CR-Z GTにも抜かれ3位に後退した。

31号車は33号車との距離詰め、イン、アウトから攻め立てた

 一方、66号車 triple a Vantage GT3がリタイヤした後、4位争いはシリーズポイント上位のマシンが熾烈な争いを続けていた。ポイントランキング6位の0号車 GSR 初音ミク BMWはタイヤ無交換作戦の影響なのかペースが上がらず苦しい展開。40周目にポイントランキング5位の911号車 エンドレス TAISAN 911に抜かれ5位に後退した。

0号車に迫る43号車と61号車

 そのすぐ後方に前戦鈴鹿から調子を上げてきた61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(佐々木孝太)と43号車 ARTA Garaiya(松浦孝亮)が迫り、さらに後方にはランキング2位の3号車 S Road NDDP GT-Rとランキング3位の11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSが忍び寄ってきた。

 43周目の13コーナーで61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTが0号車 GSR 初音ミク BMWのインに飛び込み2台は軽く接触。続くプリウスコーナーではその後方の43号車 ARTA Garaiyaが争う2台のインに飛び込み、最終コーナーからストレート立ち上がりは3台が接触を続けながらスリーワイドのバトルとなった。行き場を失った61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTがやや遅れ43号車 ARTA Garaiyaがが6位に浮上した。


43号車が抜け出し、その後方で61号車に0号車が並びかける

 3台のバトルはその後も続き、50周目のプリウスコーナーで43号車 ARTA Garaiyaが0号車 GSR 初音ミク BMWのインを奪い5位へポジションアップ。抜かれたときにラインを乱した0号車 GSR 初音ミク BMWは61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTにも抜かれ7位へ後退した。

61号車を抜き返えそうとする0号車

 さらにポイントランキング3位の11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSが0号車 GSR 初音ミク BMWに迫り57周目に順位を入れ替え、0号車 GSR 初音ミク BMWはピットアウト時の4位から8位へ後退、4位8ポイントが8位3ポイントと5ポイントを失った。

43号車は逃げ、61号車の後方では0号車と11号車がバトルへ11号車と3号車が0号車に迫る
11号車が0号車をパス3号車も0号車を攻めるが抜くことはできなかった

 果敢にトップを狙うもスピンし3位に後退した31号車 apr HASEPRO PRIUS GTだが諦めることなく猛進を続け2位の16号車 無限 CR-Z GTに迫った。53周目には5秒あった差を、56周目に3秒、58周目には1.5秒と詰め60周目の1コーナーで16号車 無限 CR-Z GTを捕らえ2位の座を取り返した。

スピンし3位に後退した31号車が16号車を追う16号車に迫る31号車
2位に浮上した31号車ゴール時には他車の破片をフロントグリルに貼り付け走行

GT300クラスの表彰式(Photo:Burner Images)

 しかし追撃もここまで、33号車 HANKOOK PORSCHEがハイブリッド車2台を抑え今季2勝目を挙げ、ポイントランキングも1位となった。2位の31号車 apr HASEPRO PRIUS GTはタラレバを言えば3回のスピンと1回のコースアウトがなければ間違いなくハイブリッド車初優勝を飾れただろう。3位の16号車 無限 CR-Z GTはデビュー3戦目で表彰台を獲得した。

 4位には911号車 エンドレス TAISAN 911、5位 43号車 ARTA Garaiya、6位 61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTと続き、7位の11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSは今回も予選14位から粘りの走りでポイントを獲得。0号車 GSR 初音ミク BMWは8位に終わった。

GT300クラス最終順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)
2位31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)
3位16号車 無限 CR-Z GT(武藤英紀/中嶋大祐)
4位911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)
5位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)
6位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太)
7位11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)
8位0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)
9位3号車 S Road NDDP GT-R(千代勝正/佐々木大樹)
10位30号車 IWASAKI MODAクロコ apr R8(岩崎祐貴/坂本雄也)

GT300ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)60
2位3号車 S Road NDDP GT-R(千代勝正)48
3位66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)47
4位11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)47
5位911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)47
6位3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛)46
7位0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)38
8位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)33
9位2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電(高橋一穂/加藤寛規)25
10位88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行)24

 残りは9月29日~30日開催のオートポリスと、10月27日~28日開催のツインリンクもてぎの2戦。計算上は2連勝すれば40ポイントが獲得できるが、他車もポイントを加算するので事実上は上位5台によるシリーズチャンピオン争いとなりそうだ。

 このレースの模様はテレビ東京系列で毎週日曜23時30分からの「SUPER GTプラス」(BSジャパンでは毎週日曜10時30分から)で放送される。

(奥川浩彦/Photo:奥川浩彦/報道専用レースフォトデータベース Burner Images)
2012年 9月 13日