【6 Hours of Fuji】富士6時間耐久レースリポート【2時間経過時】
LMP1のトップはアウディ e-tron quattro

富士6時間耐久レースのスタートシーン

2012年10月14日



 FIA 世界耐久選手権 第7戦 富士6時間耐久レースは、レーススタートから2時間を経過し、現在のLMP1のトップはアウディ e-tron quattro(1号車)、LMP2はオレカ03ニッサン(25号車)、LMGTE Proはポルシェ911 RSR(77号車)。注目のLMP1クラスは、トヨタ TS030 Hybird(7号車)とアウディ e-tron quattro(1号車)のマッチレースの様相を呈してきており、ピットストップ戦略が最終結果に大きな影響を与えそうな情勢だ。

スタート後、1コーナーにトップで進入したのはトヨタ TS030 Hybird(7号車)

6時間耐久レースなのに、スプリントレースのような激しいスタート
 富士6時間耐久レースのスタートは、耐久レースの落ち着いたスタートではなく、いきなりポールのトヨタ TS030 Hybird(7号車)と、2位のアウディ R18 e-tron quattro(1号車)が第1コーナーで激しく先陣を争うスタートとなった。トヨタ TS030 Hybird(7号車)を操るA.ブルツと、アウディ e-tron quattro(1号車)を操るA.ロッテラーは、1コーナーでロッテラーがアウトから並びかけてそのまま2コーナーへ入っていくと、ブルツも応戦しアウト側はロッテラーを押し出し、たまらずロッテラーはハードブレーキング。それにより、チームメイトのアウディ e-tron quattro(2号車)を操るA.マクニッシュにも抜かれる展開となった。

 レースはそのままトヨタ TS030 Hybird(7号車)、アウディ e-tron quattro(2号車)、アウディ e-tron quattro(1号車)の順位で静かに進んでいたが、大きく動いたのは15周目。ダンロップコーナーでアウディ e-tron quattro(1号車)のロッテラーが、チームメイトであるアウディ e-tron quattro(2号車)のマイクニッシュのインに入り、見事オーバーテイクに成功した。その後、トヨタ TS030 Hybird(7号車)のブルツをアウディ e-tron quattro(1号車)のロッテラーが追い上げる展開でレースが展開していった。

 31周目の終わりには、トヨタ TS030 Hybird(7号車)がピットイン。トヨタ参戦後のWECでは、トヨタはアウディよりも早いタイミングでピットインを繰り返しており、すでに燃費の点ではアウディに比べてやや不利であることがすでに知られており、早めにピットインするだろうと予想されていた。このピットストップで、トヨタは給油だけを行い、ドライバー交代、タイヤ交換をしないことを選択し、ピットストップにかかる時間を短くする選択に出た。その3周後にアウディの2台がピットストップしたが、1号車は給油とタイヤ交換を、2号車は給油、タイヤ交換、ドライバー交代のフルサービスを行い、トヨタ TS030 Hybird(7号車)に比べてそれぞれ23秒、25秒余計にかかり、トヨタ TS030 Hybird(7号車)と大きな差がつく展開になった。

トヨタ TS030 Hybird(7号車)アウディ e-tron quattro(1号車)アウディ e-tron quattro(2号車)

1号車と7号車が数秒の差でトップを争うマッチレースに
 しかし、ここからアウディ e-tron quattro(1号車)を操るロッテラーの猛烈な追い上げが始まる。ラップによっては2秒近くトヨタ TS030 Hybird(7号車)との差を縮め始め、当初は26秒近くあった差は、トヨタの2回目のピットインを目前にして8秒差まで縮まってきた。トヨタは1回目のピットストップでタイヤ交換をしなかったことが影響していると考えられる。一方、3位のアウディ e-tron quattro(2号車)との差は45~50秒の差がついていた。2回目のピットストップはトヨタ TS030 Hybird(7号車)が63周目(N.ラピエールにドライバー交代、給油/タイヤ交換、86秒)、アウディ e-tron quattro(1号車)が69周目(B.トレルイエにドライバー交代、給油/タイヤ交換 80秒)、アウディ e-tron quattro(2号車)が70周(給油、タイヤ交換、80秒)。

 ピットインが終わると、トヨタ TS030 Hybird(7号車)が再びトップに立つが、アウディ e-tron quattro(1号車)との差はわずかに4.4秒。その後77周目の終わりに、トヨタ TS030 Hybird(7号車)がLMGTE Amクラスの車両と交錯した隙を突き、アウディ e-tron quattro(1号車)がトップに立ち、現在の両車の差はわずかに2秒。両車とアウディ e-tron quattro(2号車)との差は50秒近くついており、レースはトヨタ TS030 Hybird(7号車)とアウディ e-tron quattro(1号車)のマッチレースになっていきそうな展開だ。今後もピットストップ戦略の違いが、両車の最終結果を左右しそうな展開で、ピットストップが今後どのように行われるのか(タイヤ交換をしないなど)に注目が集まるところだ。

 LMP2クラスは中野信治選手が駆るオレカ03ニッサン(25号車)がトップに立っており、2位に14秒差をつけている。LMGTE Proクラスはフェラーリ F458 イタリア(51号車)がトップに立ち、2位のポルシェ911 RSR(77号車)が追い上げる展開となっている。

オレカ03ニッサン(25号車)フェラーリ F458 イタリア(51号車)

(笠原一輝/Photo:奥川浩彦)
2012年 10月 14日