FIA 世界耐久選手権 第7戦 富士6時間耐久レースは、レーススタートから4時間を経過し、現在のLMP1のトップはトヨタ TS030 Hybird（7号車）、LMP2はオレカ03ニッサン（25号車）、LMGTE Proはポルシェ911 RSR（77号車）。

　注目のLMP1クラスは、トヨタ TS030 Hybird（7号車）とアウディ e-tron quattro（1号車）の激しい争いが続いていたが、レースは124周目にアウディ e-tron quattro（1号車）が周回遅れと接触し、フロントカウルを破損、緊急ピットインを強いられる展開に。

　しかし、その接触で生じたデブリを取り除くためにセーフティーカーが導入され、アウディの被害は最小限になりレースが再開されるが、アウディ e-tron quattro（1号車）にはその接触によりストップ＆ゴーペナルティが科せられることになった。これにより、アウディ勢よりも1回ピットストップが多いと考えられていたトヨタはアウディにピットストップ1回分の時間である50秒差をつけ、現在中嶋一貴のドライブでトップを独走中だ。

アウディ e-tron quattro（1号車）	アウディ e-tron quattro（2号車）

■1号車のアウディが周回遅れと接触してセーフティーカーがでる荒れた展開に
　トヨタ TS030 Hybird（7号車）とアウディ e-tron quattro（1号車）のマッチレースは、レース開始から3時間が経過してもまだ続いていた。

　レースが大きく動いたのはレース開始から3時間が過ぎた124周。トヨタ TS030 Hybird（7号車）を抜き、トップを快走していたB.トレルイエがドライブするアウディ e-tron quattro（1号車）が周回遅れのアストンマーチン（97号車）とダンロップコーナーで接触し、フロントカウルを破損したのだ。これにより、アウディ e-tron quattro（1号車）は緊急ピットインを余儀なくされ、トップはトヨタ TS030 Hybird（7号車）に交代することになった。

　ところが、その次の周にトヨタ TS030 Hybird（7号車）もピットインして、給油、タイヤ交換、ドライバーを中嶋一貴へ交代を行った。そこでトップに立ったのはアウディ e-tron quattro（2号車）だが、アウディ e-tron quattro（1号車）が接触したときに落としたデブリが危険ということで、セーフティーカーが導入されることになった。これによりアウディ e-tron quattro（2号車）もピットイン。遅れていたアウディ e-tron quattro（1号車）もトップのトヨタ TS030 Hybird（7号車）と差を縮めることが可能になった。

　このセーフティーカーでピットインしたアウディ e-tron quattro（2号車）だが、WECでは1コースで2台出されるセーフティーカーの2つめに引っかかり、ピット出口で待たされることになり、トヨタ TS030 Hybird（7号車）との差を縮めることができなかった。

■1号車アウディのストップ＆ゴーペナルティが出され、勝負は振り出しに
　129周にレースが再開されると、トヨタ TS030 Hybird（7号車）をドライブする中嶋一貴はハイペースで逃げ始めた。1分28秒台のファステストラップを連発しながら逃げ、当初10秒台だったアウディ e-tron quattro（1号車）との差を20秒台に広げた。しかも、アウディ e-tron quattro（1号車）には、セーフティーカーがでる原因になった接触が原因でピットでのストップ＆ゴーペナルティが出され、アウディ e-tron quattro（2号車）にも抜かれ3位に後退することになった。

　これにより、トヨタ TS030 Hybird（7号車）とアウディ e-tron quattro（1号車）の差はほぼ1周近い差をつける展開になっており、トヨタ TS030 Hybird（7号車）が1回多くピットインしても、アウディ e-tron quattro（1号車）の前に出る計算となり、アウディよりも1回ピットストップが多いトヨタにも勝機が見えてきたと言える。

　なお、LMP2のトップは中野信治選手がドライブするオレカ03ニッサン（25号車）、LMGTEPはポルシェ911 RSR（77号車）が引き続きトップとなっている。

オレカ03ニッサン（25号車）	ポルシェ911 RSR（77号車）