トヨタ、「86 CLUB HOUSE」「86 ACADEMY」発表説明会
「金曜日の夜にサラリーマンが都心でカウンターステアを体験できる」と講師のピストン西沢氏

スポーツカー文化の普及を図る、トヨタマーケティングジャパン スポーツカーカルチャー推進グループ マーケティングディレクター 喜馬克治氏(左)と、モータージャーナリストでもあるピストン西沢氏(右)

2012年11月22日開催



 トヨタマーケティングジャパンは、東京・お台場の「メガウェブ」内トヨタシティショウケース2階に、スポーツカー専用サロン「86 CLUB HOUSE(86クラブハウス)」を12月7日にオープンすると発表した。また、この86クラブハウス開設に伴いスクールプログラム「86 ACADEMY(86アカデミー)」の提供も開始する。

喜馬克治氏

 11月22日、その86クラブハウスと、86アカデミーに関する発表説明会がメガウェブ内で開催された。トヨタマーケティングジャパン スポーツカーカルチャー推進グループの喜馬克治氏は、10月13日にTOYO TIRESターンパイクを貸し切って86台限定で行ったイベント「86S(ハチロックス)」にふれ、「このイベントの最後に『イベントに満足して帰られるだけでなく、それぞれの方々がそれぞれの地域に持ち帰って広げていってくださいね』という話をした。その後、あるユーザーさんが声をかけ自主的に20台強集まって、オフ会をわいわいと楽しんでいた」という動きがあり、自身が参加したことを報告。同社が推進するスポーツカーカルチャーが、着実な広がりをみせていることを紹介した。

10月13日に開催された86S11月3日に有志が開催した86Sオフ会

 12月7日からメガウェブ内に設けられる86クラブハウスは、メガウェブ内の展示エリアにスポーツカー専用ゾーンがなかったため新たに専用ゾーンを設置。ただ専用ゾーンを設けるだけでなく「ファンの方が集まる場所にしたいという思いを持って『クラブハウス』という名前をつけた」(喜馬氏)とのことだ。

 この86クラブハウスでは、86の世界観や峠のモチーフを活かした空間が演出される。さらに、箱根の大観山に期間限定でオープンしている「86ピットハウス」が12月14日で終了することから、86ピットハウス内に設置している峠のミラーボックスギャラリーを86クラブハウスに移設すると言う。


86クラブハウスのロゴ86クラブハウスのイメージスケッチ

 喜馬氏は、「それだけだとハードウェアに過ぎないので、ソフトウェアとして『86アカデミー』を設ける」「まずは9つのプログラムを用意した。一緒に学ぶ仲間たちと交流を深めあって行きたい」と語り、スクールプログラムの86アカデミーには、ただ学習するだけでなく、スポーツカーという同じ趣味を持つ仲間同士の交流を深めてほしいとの思いもあるようだ。

 当初用意される9つのプログラムは「レーサーエクササイズプログラム」「モビリタ 86 レッスン」「カーボンワークショップ」「フォトカルチャースクール[ベーシック]」「フォトカルチャースクール[アドバンス]」「フォトカルチャースクール[スペシャル]」「峠ソムリエ検定」「CEミーティング」「コントロールテクニックプログラム ~Weekend Oversteer~」。

86アカデミーのロゴ86アカデミーのプログラム毎週金曜日の夜に1授業を開催

 レーサーエクササイズプログラムでは、レーシングドライバーの脇阪寿一選手が講師となって、レーシングドライバーのエクササイズや、メンタル面のメンテナンスなどを解説。「自分の調べたところ、こういうプログラムは今まで存在しない」(喜馬氏)というように、一流のアスリートの過ごし方を知ることができる貴重なプログラムだろう。

 モビリタ 86 レッスンは、運転技術をしっかり学びたい人向けのプログラム。このプログラムだけ、富士スピードウェイ内にある交通安全センター「モビリタ」で実施し、クルマがどう動いていくのかなどを学習する。講師は、影山正彦選手などが予定されている。

 カーボンワークショップは、クルマのスペシャルパーツなどで使用範囲が広がっているカーボン製品の製作教室。「いわゆる陶芸教室みたいにカーボン製品を作り上げていくプログラム」(喜馬氏)と言い、カーボン製のトレイを実際にメガウェブで製作する。カーボンの製作工程には、クレープと呼ばれる釜も必要だが、それに関してもミニサイズのものをメガウェブ内に持ち込む。

レーサーエクササイズプログラム講師は脇阪寿一選手
モビリタ 86 レッスンカーボンワークショップカーボンワークショップで作るトレイ

 フォトカルチャースクールは、クルマのかっこよく撮る方法を習うことができるプログラム。講師は、日本レース写真家協会(JRPA:ジャルパ)の会長でもある小林稔氏。ベーシックではコンパクトデジカメを使っての基本的な撮影方法を習うことができ、アドバンスではデジタル一眼カメラを使って夜の撮影などを学習。メガウェブのライドワンコースにある噴水などを使用して、愛車の撮影方法を学んでいく。スペシャルは、機材は問わず、モデルを絡めたクルマの撮影方法を覚える。女性モデルは3人~5人用意するとのこと。なお、このフォトカルチャースクールでは機材の貸し出しはないため、自分のカメラを持ち込む必要がある。

 峠ソムリエ検定は、峠の知識を検定という形で認定するもの。「峠のウンチクに詳しい方に検定を受けていただき、峠のエバンジェリストになっていただきたい」(喜馬氏)とのことで、峠に関するレクチャーと、試験がセットになっている。講師は、本誌でもおなじみの飯田裕子氏。

 CEミーティングは、86の開発者であるトヨタ自動車 製品企画本部 製品企画 チーフエンジニアの多田哲哉氏と、ミーティングを行うプログラム。プログラム前半は多田氏が語り、後半では参加者とさまざまなことについて話し合える場にしたいと言う。

フォトカルチャースクール講師は日本レース写真家協会会長の小林稔氏ベーシック、アドバンス、スペシャルの3つを用意
峠ソムリエ検定講師は飯田裕子氏CEミーティングでは、多田哲哉氏とスポーツカー談義が行える

 コントロールテクニックプログラム ~Weekend Oversteer~は、この86アカデミーのウリとなるモノで、モータージャーナリストでありレーシングドライバーでもあるピストン西沢氏を講師にクルマの挙動を学習できる。

 講師のピストン西沢氏は、「自分は昔、コーナーを立ち上がっていくときのスライドした動き、あーいう動きに憧れた。最近のクルマではそのような動きがデバイスなどによって押さえ込まれている。運転はスポーツすることだと思っており、それを実践する場所がほしい。低μ路でスライドを体験することでクルマの動きを覚えてもらう」と言い、メガウェブの試乗コースであるライドワンに水をまくことで低μ路を実現。そこで、アクセルターンと、少し走ってのサイドブレーキターンを学んでいく。

コントロールテクニックプログラム ~Weekend Oversteer~講師のピストン西沢氏各授業の定員と価格

 ピストン西沢氏は、「金曜日の夜にサラリーマンが都心でカウンターステアを体験できるプログラム」と言い、クルマを操る楽しさを学ぶきっかけと位置づけている。ライドワンコースは広さに限りがあるため、これ以上の学習については「モビリタ 86 レッスンを選んでほしい」(ピストン西沢氏)とのこと。

 いずれのプログラムも、トヨタ86Webサイト内にある「86 ACADEMY」特設Webページ(http://toyota-86.jp/86society/86academy/)から申し込める。CEミーティングのみ無料で、ほかのプログラムは有料。峠ソムリエ検定は、検定に落ちた人のために2度目からは割引が行われる。プログラム開催日は毎週金曜日(一部土曜日)となっており、会社帰りのサラリーマンが参加しやすいよう配慮している。

 「86オーナーでなくても、すべてのプログラムは申し込むことができる」(喜馬氏)ため、86アカデミーはクルマの楽しさをウイークエンドカルチャースクール感覚で楽しめるプログラムと言える。

(編集部:谷川 潔)
2012年 11月 22日