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ベントレー、新型「フライングスパー」を公開
リアシートの快適性を向上
(2013/6/6 00:00)
ベントレー モーターズ ジャパンは6月5日、都内で新型「フライングスパー」を報道陣に公開した。今年3月のジュネーブ・モーターショーで初公開された4ドアセダンで、価格は2280万円。秋ごろより国内で納車が開始される予定。
外見はキープコンセプトだが、リアシートの快適性を向上
新型「フライングスパー」だが、まずクルマの名称が先代の「コンチネンタル フライングスパー」から“コンチネンタル”が外れた。ベントレーのラインナップでは4ドアモデルとして「ミュルザンヌ」があるが、その下位となる。
スタイリングは先代と共通する部分が多く、丸型4灯ヘッドライトやメッシュフロントグリルを踏襲する。ライトは従来型が内側が大きく、外側が小さかったのに対し、より車幅を強調すべく、外側のライト径を大きくした。バンパー下のエアインテークも横長の一体化したデザインのものとなり、アクセントにクロームの水平バーを装着した。
サイドは以前のリアのフェンダーを盛り上げ、従来のベントレー S1コンチネンタル フライングスパーのイメージを引き継ぐスタイリング。リアは横長のテールライトとなり、楕円に光るLEDライトを内蔵する。
ボディーは基本的にスチールで、ボディーサイズは5295×1976×1488mm(全長×全幅×全高)。ボンネットとフロントノーズからフェンダーにかけてはアルミ製、トランクリッドは各種通信用のアンテナと一体化するため、ポリマー複合材料を採用した。ボディーのねじれ剛性は先代よりも4%向上した36500Nm/degree。ボディーの軽量化を実現し、ボディーサイズが大型化し、エンジンのパワーアップを行うも先代に対して50kgの減量となった。
エンジンはツインターボW型12気筒6.0リッターで、最高出力は460kW(625PS)/6000rpm、最大トルクは800Nm。先代に比べ15PS/50Nmの向上を果たし、0-100km/h加速は4.6秒と0.2秒短縮、反対に環境性能は向上しており、燃費は13.5%改善され、CO2排出量は343g/kmと従来より53g/km減少した。最高速度は322km/hで変更はない。
トランスミッションは先代の6速ATに対し、ZF製の8速ATに進化、前後比40:60で4輪を駆動する。
サスペンションはバネ定数を変更、先代よりフロントで10%、リアで13%低減、サスペンションレバーブッシュも25%以上柔らかくし、振動や騒音をボディーに伝わりにくくした。それとともに連続可変式ダンパーを改良し、ボディーコントロールと安定性を最適化した。
インテリアはフロントフェイシアからドアネルまでウッドが続く、ラップアラウンドデザインを採用した。ベントレー S1コンチネンタル フライングスパーから引き継ぐもの。
リアシートは防音性を高めるなど快適性の向上とともに、実用性の向上を行い、タッチスクリーン式のインフォテインメントを採用。取り外し式で、リアシートでくつろぎながら、エアコンの調整や外気温度の表示、車速の表示などが可能。この機能はiOSとAndorid向けに「Flying Spur TSR」というアプリが用意され、スマートフォンから操作も可能。
フライングスパーの海外モデルは通信回線と無線LANルータを内蔵し、車内でモバイル接続ができるようなシステムを搭載するが、残念ながら日本向けをはじめ一部の国向けのモデルには法規制の関係もあり搭載されない。
オプションで10インチの液晶画面が左右のフロントシート裏側に装着され、それぞれに独立してDVD、SDカードの再生や、HDMI、USBで他のデバイスと接続が可能となる。専用のヘッドホンも用意、さらに64GBの内部記憶装置も持っている。
また、100を超えるボディーカラー、17色の内装仕様にカスタマイズが可能で、リアシートは独立したタイプの合計4人乗りと、合計5人乗りが選択可能となっている。
リアシートの機能向上を強調した発表会
発表会では、ベントレー モーターズ ジャパン代表のティム・マッキンレー氏がベントレーの好調ぶりをアピール。2012年の実績として、全世界で前年比22%増の8510台を販売。日本では前年比73%増の約200台を販売したことを発表した。さらに「2013年5月までの実績で、前年比28%増の77台を販売しており、通年で前年比30%増を超える特別な年になるのではないかと予測している」とし、好調さを強調した。
マッキンレー氏は好調の要因として、2011年発売の新型コンチネンタルGTの好評ぶりを挙げ、V8エンジン搭載車が新規顧客に受け入れられたと説明した。今回の新型「フライングスパー」については「フライングスパーのお客様は、それぞれの分野のリーダーとなる方」と顧客層を分析、「運転する楽しさを残しつつも、ビジネスを行うため、リラックスするための機能を備えている」とリアシートの改善ぶりをアピールした。
また、フライングスパーについてはPR・マーケティングマネージャーの横倉典氏が詳細を説明した。内外のデザインについては「フォーマルさをそぎ落として、よりダイナミックな印象を与えることがポイント。ボディーの表面を筋肉質で彫刻的なフォルムで実現」とデザインコンセプトに付いて語り「600ものパーツが新しくデザインされ、ほぼ一新されている」と説明した。
リアシートについては「インフォテイメントが改良し、室内が仕事の場にもリラックスする場にも使える」とし、独立した液晶画面によるエンタテインメントを楽しめること、取り外し式のインフォテイメント端末の操作性や良さを訴えた。
横倉氏はフライングスパーについては「日本で800台以上、販売され、中心的な役割を担う、主力モデル」とし、機能向上したリアシートにより「既存のお客様だけでなく、これまでベントレーと接点のない新たなお客様に、このクルマの魅力をご理解いただけると考えている」と話し、今後の売れ行きに自信を見せた。