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写真で見るベントレー「フライングスパー」

 2013年のジュネーブショーでワールドプレミアされた4ドアセダン・ベントレー「フライングスパー」。同社には同じく4ドアモデルとなる「ミュルザンヌ」もラインアップするが、こちらはフラッグシップサルーン的な位置づけ。対してフライングスパーはハイパフォーマンスサルーンであり、もう少しフォーマルなドライバーズカーとしての役割も担っている。

 とは言え、この新型フライングスパーは最大のマーケットとなる中国からの要望に応え、ショーファー面を強く意識し快適性を重視した味付けとなっているのが特長だ。

 乗り心地の面ではスプリングやスタビライザー、ブッシュといったパーツを10~25%もソフト化することで、路面からの入力をボディーに伝えにくくしている。その一方で、連続可変式ダンピングコントロール(CDC)の見直しにより、必要なときには素早く減衰力をアップするようなセッティングも採り入れている。

 静音性の面では、従来からの吸音パネルを装着したアンダーフロアに加え、防音ガラスの採用、ドア外板への防音材の追加、マフラーの大型化などを実施。また、ベンチレーションシステムの強化によって、車内温度の適温化までの時間も短縮されているなど、こだわりの作り込みによって高級サルーンならではのハイレベルな快適性を実現しているワケだ。

 エンジンはW型12気筒DOHC 6.0リッターツインターボを搭載。そのスペックは最高出力460kW(625PS)/6000rpm、最大トルク800Nm/2000rpmを誇り、ベントレー4ドアモデルでは史上最強のユニットとなる。組み合わせるトランスミッションはZF製の8速AT。駆動方式は4WDで、通常はフロント:リアには40:60のトルク配分を行うが、シチュエーションに応じてフロント65~リア85まで変化。強烈なエンジンパワーを的確に路面に伝えることが可能となっている。

 同時にボディー構造も見直された。先代モデルよりねじり剛性を高める一方で、車両重量は50kg軽量化。とは言え、その重量は2475kgとヘビー級だが、前述したパワートレーンを採用することで、停止状態から100km/hに達するまでに要する時間はわずか4.6秒。エアサスペンションにより車高を2段階調節する機構も備えており、195km/h時にフロント5mm/リア10mm、240km/h時にフロント8mm/リア13mmダウン。エアロバランスを最適化するとともにドラッグ(走行抵抗)を低減することで、最高速は322km/hをマーク、最速の4ドアセダンを名乗るに恥じないパフォーマンスを備えているのだ。

 価格は2280万円。ボディーカラーは標準カラーが17色、オプションカラーが100色以上用意される。撮影車両のボディーカラーはグレーシャーホワイト(Glacier White)。シートベンチレーション&マッサージ機構などのセットオプション「コンフォートスペック」、21インチアルミホイールなどのオプションを装着している。

フロントグリルやフェンダーラインなど、いかにもベントレーらしいエクステリア。ボディーサイズは5295×1976×1488mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは3065mm
ひと目でベントレーと分かるフロントマスクだが、グリルは従来モデルより上部に配置するなどリファインされている。ボンネットとフロントフェンダーはアルミ製
グリル上部に「B」をあしらったエンブレムが付く
フロントフェンダーにもウイングとBの文字をイメージしたベンチレーションが用意される
カラードタイプのサイドミラー。ウインカーと足下を照らすランプを内蔵
ドアハンドルはグリップタイプ
LEDとプロジェクターランプを組み合わせたヘッドライト。コンチネンタル系と異なり外側が大径になっている
バックランプはホワイトLED。楕円のモチーフを継承。コンチネンタルは楕円が縦に2つ並んでいたが、フライングスパーは大きいのが1つだけになった
W型12気筒DOHC 6.0リッターツインターボは最高出力460kW(625PS)/6000rpm、最大トルク800Nm/2000rpmを発生
ボンネット側にエアフィルターが付く
マフラーエンドも楕円をモチーフにしたデザイン
標準タイヤは275/45 R19だが、撮影車両はオプションの275/35 R21を装着する。ブレーキローターは405mmと大径
華やかで上質、そしてモダンなインテリア。レザートリムのカラーやパターンが選べるほか、ウッドパネルだけでも7種類も用意されている
ツートンカラーのステアリングはオプション。工芸品のようなフィニッシュは触れるのをためらってしまうほど
パドルでのシフトチェンジも可能。ワイパーのダイヤルもローレット入り
メーターまわりはシンプルでちょっとクラシカルなデザイン
シフトレバーもインテリアカラー同色の本革仕上げ
シフトレバー左にドアミラーのスイッチ
シフトレバー右にはパーキングブレーキスイッチ
シフトレバー後方はエンジンスタート、ハザード、シートヒーターなどのスイッチが並ぶ
ライトダイヤルはローレット入り
ペダルはスポーティかつ独特なデザイン
パークディスタンスコントロールなどのスイッチ群
インパネ上部にアナログ時計を配置
8インチタッチパネルモニターを核としたセントラルインフォテイメントシステム
オートエアコンは左右独立温度調整式
ベントレーならではのサングラスホルダー。センターコンソール上のカップホルダー、収納部のどちらにも置くことができる
グローブボックスにはiPod接続用端子やETC車載器が収まる
マップランプなどが収まるオーバーヘッドコンソールもウッドパネル仕上げ。さらにルーフライニングも本革だ
ゆったりとしたフロントシート。だが、サイドサポートもしっかりとしてして座り心地はバツグン
運転席は14ウェイ電動調整式。シートヒーターだけでなくベンチレーション機能も
ヘッドレストにはエンブレムの刺繍が入る
運転席のドアトリム。ウッドパネルはインパネに向かってラウンドした形状。これは1950年代のウッドの使い方を再現したものと言う
アームレストにはパワーウインドースイッチに加え、トランク、フューエルリッドのオープナーも
リアシートもゆったり。撮影車両は5人乗りだが4人乗りモデルもある
リアシートも電動調節式
リアのドアトリム。アームレストには左右両側のウインドウスイッチがある
アームレストにはカップホルダーや収納も
センターコンソール後端にエアコン吹き出し口を用意
下のパネル部分は取り外し可能なリモコンで、オーディオやナビゲーションの操作が可能。また、iPhoneとAndroid用に専用アプリが用意されており、Bluetooth接続により同様の操作が可能
オプションの後席用テーブル
テーブルではなく10インチモニターを装着することも可能
フロントシートのバックポケットに装着できる専用マルチメディアプレーヤーも用意されている
後席用にもマップランプを用意
最近の高級車では常識と言える電動リアブラインドも装着
475Lの大容量トランクルーム
長尺物の積み込みが可能なトランクスルー機構付だ
トランクリッドは電動式
21インチのテンパータイヤ。ホイールはアルミだ
トランク左右に通常用と非常用のバッテリーを配置

(安田 剛)